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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今週のCool Deck:クールでスパイシーなトロールデッキ(スタンダード)
さぁさぁ1週間経っちまいましたよ(主に自らに言い聞かせながら)。というわけで今週もクールなデッキを紹介していきましょう。
今回のデッキはクールでもあり、スパイシーでもある。スパイシーというのは英語圏で最近用いられる表現で、トーナメントなどに持ち込まれた独自性の高い構築や勝利手段を目指すデッキを、文字通り刺激的だということでスパイシーデッキなどと呼ぶのである。
クールデッキというのは特に尺度はないが、このコラムでも独自性が高いものや、デッキリストがただただカッコイイものをそうカテゴライズさせてもらっている。ということは、それらは往々にしてスパイシーでもあるのだ。
クールとスパイシーは隣接するもの、両立するもの。目の覚めるような刺激を与えるデッキと出会った時、僕のようなデッキリストマニアは歓喜の声を上げてしまいがち。
なんだかよくわからなくなってきたが、クールでスパイシーなリストを早速見るぞ! ドン!
3 《冠雪の森》 3 《冠雪の島》 3 《冠雪の山》 3 《ケトリアのトライオーム》 4 《樹皮路の小道》 4 《岩山被りの小道》 4 《河川滑りの小道》 3 《寓話の小道》 -土地(27)- 1 《氷刻み、スヴェラ》 -クリーチャー(1)- |
4 《精神迷わせの秘本》 4 《狼柳の安息所》 4 《耕作》 2 《高所の追求》 2 《石成エンジン》 2 《嵐の怒り》 4 《霜と火の戦い》 4 《トロールの喚起》 4 《アールンドの天啓》 2 《発生の根本原理》 -呪文(32)- |
このクールなデッキは?
名付けて「ティムール・トロール」。韻も踏んでてイイ感じだ。
ティムール(青赤緑)カラーのトロールデッキというわけだが、トロール・クリーチャーを大量に採用して部族シナジーで、というデッキではないのはご覧の通り。このデッキのキーカードである《トロールの喚起》と、勝ち手段の1つである《氷刻み、スヴェラ》がトロールであるためこのように分類させてもらった。
《トロールの喚起》は6マナと、英雄譚エンチャントの中でも最重量級。その能力はすべて土地に関するもので、Ⅲ章はこちらと相手の土地の差分、トロールを呼び出すという派手なものだ。あまりスタンダードで見かけるカードではないが、これが意外やハマると強い。
そんなトロール英雄譚を主役としたこのデッキ、詳細を見ていこう。
どこがどうクールなのか?
クールポイントその1:ノータイムラグ・トロールズ
《トロールの喚起》は対戦相手の土地を破壊し、その後その墓地から土地をこちらの戦場に出す。そして最後の能力でトロールをドカンと呼び出すわけだが、これ単体を素直に用いるよりは、自分からガンガンと土地を並べた方がその効果が増すのは明白だ。
このデッキはいわゆる「ランプ」であり、ライブラリーや手札から土地を戦場に出す呪文を用いて対戦相手よりも多くのマナを得て戦うデッキだ。重い《トロールの喚起》も6ターン目よりも早いターンに出すことが可能で、そのおかげでより対戦相手との土地の枚数に差を付けて多くのトロールを召喚できるのである。
多色デッキ相手には特定の色を供給する土地を潰すことで自由な展開を阻害できるのも大きい。《狼柳の安息所》《耕作》から多くのマナを得てトロールに繋げることを狙っているが、《高所の追求》まで用いているのが珍しく、つまりはクールだ。
《発生の根本原理》もランプデッキとしてのゴールであり、土地を増やす要素でもある。実際にプレイしたときにはこれから喚起1枚土地4枚と飛び出して、最終的にⅢ章でトロールが14体も出てきてクールな大爆笑をしてしまったよ。
で、土地を多数並べて相手の土地を破壊して、いざトロールを呼び出した……その返しで、トロールを除去で全滅させられたらたまらないよね。一体ここ3ターンは何だったんだと、努力を無に帰す事態を避けるために採用されているのが……《アールンドの天啓》!
これで追加ターンを得て、大量発生したトロールを安全な状態で攻撃できるターンまで連れて行くのだ。たとえばトロールが4体出て、そこから天啓で追加ターンを迎えれば鳥・トークンの打点も含めて単純計算で18点分のダメージを叩き出せる。決着には十分な値だな。
最近のスタンダードではそこまで大きいクリーチャーが戦場に複数体並ぶということも珍しいため、4/4トランプルが複数体殴ってくるのはかなり強烈だ。追加ターンからⅢ章に繋いで盤面を固めたりと、天啓と喚起の相性はクールの極地、バツグンだ。
クールポイントその2:何をコピーしても強いという
《アールンドの天啓》はそれ1枚で十分に強いが、中にはそれをよりワルく使ってやりたいという欲張りなプレイヤーもいるだろう。そんな欲求に応えるように、このリストには《石成エンジン》が含まれている。こりゃあスパイシーだわ。
この伝説のアーティファクト、戦場に出して起動となるとかなりのマナを喰うので扱いにくいのだが、出てしまえばとてつもない働きを見せる。とりあえず天啓をコピーして2ターン追加が最強ではあるが、各種英雄譚の誘発型能力をコピーしたり、《氷刻み、スヴェラ》の起動型能力をコピーしたりと……まさしくやりたい放題。
マナを伸ばすことに特化したデッキだからこそ使用を許されたカードだ、クールデッキの特権を味わい尽くそうじゃないか。
クールテクニック!
このデッキには占術を行うカードが見られる。《精神迷わせの秘本》《霜と火の戦い》などで行う占術は、このデッキにとってはかなり重要。天啓で得た追加ターンで何を引くか、あるいはスヴェラの能力や《発生の根本原理》で何を公開したいか、状況に合わせてベストなものがライブラリーの上にくるように全力を尽くすのだ。
なので、ライブラリーをシャッフルしてしまうカードを使うタイミングにもご用心。《寓話の小道》はなるべく早く使ってしまいたいね。
さらなるクールのために
このリストにはサイドボードがないので、BO1(メインのみ1本勝負)のランク戦で連勝を重ねたものだと思われる。そこでBO1で使ってみたのだが……そこには白単、赤単、グルール、ありとあらゆるアグロデッキがひしめき合っている状況。特にライフゲイン型の白単がとても多い。
メインのみだからブン回って勝っちゃえば対策も何も知らん!というわけでそうなるのは自然なのだが……そういうデッキと戦ったら、クールじゃないことに全然勝てない(笑)。ドローに恵まれない、相手がノリノリ、という運の要素もあるとは思うが、このデッキのメイン除去である《霜と火の戦い》が間に合わずに負けてしまうことがしばしば。また、間に合っても《砕骨の巨人》が戦場にいて、そいつが生き延びてしまって負けるというクールと正反対な辛い負けパターンがとても多かった。
なので、軽い除去は増やした方が良いだろう。こちらも《砕骨の巨人》を使うというのが真っ先に思いつく。スパイシーさは減るかもしれないが、《霜と火の戦い》で自分の巨人が生き延びるのはクールとも言えるので目をつぶろう。一部を現実的なカードと置き換えていって、スパイシーとクール、そして常識がほどよくミックスされたデッキを目指したいものだ。
クールなまとめ
スタンダードにはまだまだスパイシーと感じられるデッキを作る余地がある。そのリストの完成度が高まれば、クールさも感じられるようになる。どっちも意識しなきゃならないのがデッキビルダーたちの辛いところだと思うが、各自の脳細胞をフル回転させて唸るようなデッキを見せてほしいものだ。僕はそんなビルダーたちに、日々敬意を表するのである。それじゃあ今週はここまで。Stay cool!! Be spicy!!
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