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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

デイリー・デッキ都市伝説:灯籠の祟りの正体は黒いコントロールである(ヒストリック?)

岩SHOW

 マジック界でまことしやかに囁かれていたり、そんなことはなかったりする都市伝説。このコーナーではそれを解き明かし、ただの噂なのかそれとも真実なのかを突き止め――られるかはわからないが、誰かの暇つぶしになれば幸いだ。

 本日はまず、実際の都市伝説というか民間伝承というか……三重県松阪のお話からはじめよう。江戸時代、この地のある石灯籠の側で男が行き倒れになった。今ではなかなか考えられないことではあるが、当時は公共の交通手段もほとんどなかったため、徒歩での長距離移動の途中に力尽きてしまうことなど度々あったのだろう。

 その男は道行く人々に助けを求めたが、誰も取り合ってくれなかった。その男は「そんなに触れたくなかったら、触れなくても良い」と言い残し、そのまま亡くなったという。以来、男の側にあった石灯籠に触れたものはその祟りにあうのだとか。数年前に撤去されるまでは、この灯籠は実在したとのこと。信じるか信じないかは、あなた次第。

 と、いきなりガチの伝承からスタートになったが、今回のマジック都市伝説はこの灯籠に関するもの。マジックでも神河産のものをはじめ、いくつかのカードに灯籠というフレーズが見られる。それらの英名はLantern、つまりランタン。ランタンもまたカード名に見ることができる。このゲームにおいて灯籠とランタンは同じものと考えよう。

 それらランタン・カードは、記憶に残るものが多いのではないだろうか。パッといくつか、すでに思い浮かんでいる方もいらっしゃるだろう。それはなぜか、その理由は――

 

都市伝説その2:ランタンという名前のカードは、強い

 

 有名なところでは《洞察のランタン》というカードがある。

 リリースから長い間、誰にも見向きもされないようなカードだったが、このアーティファクトを戦場に出して対戦相手のライブラリーの一番上を公開し、引かれても問題ないカードならスルー・引かれたくないカードであれば《写本裁断機》などで切削する。こうして相手をロック状態に封印し、勝利できなくさせる「ランタン・コントロール」が開発されてからは注目の的となり、モダンの競技イベントで優勝含む好成績を何度も残している。ランタンカードの代表格といえよう。

 他には《彩色の灯籠》も有名だ。5色のカードを用いるデッキを成立させる優れたマナサポートである。

 これだけトーナメントで活躍しているランタン・カード。これから先、「ランタン」や「灯籠」というフレーズを見かけたら、そのカードはとても強力なものかもしれない。

 そう信じさせる決定打となるのが2021年に現れた最新のランタン。《恐怖の神、ターグリッド》だ。

回転

 彼女はランタンを手にする神だが、モードを持つ両面カードであり第2面は《ターグリッドのランタン》。ターグリッドはこのランタンモードが本当に強い。4マナで、タップすることで対戦相手の何かを奪う能力を持っている。手札か、土地でないパーマネントか、あるいは3点ライフか。ないものは選択できず、ライフを犠牲にリソースを守るか、危険域のライフのために手札かパーマネントを差し出すか。選択肢が相手にあるカードの働きは一定ではないが、このランタンは毎ターンこの選択を相手に突きつけることができるため、2回以上起動できれば4マナのコストには十分見合う働きとなる。

 そして恐ろしいことに、このランタンは{3}{B}支払えばアンタップする。しかも対戦相手のターンにも起動できるので、インスタントなどを構えながら相手のターンの様子を見て、マナの使い道が他になければランタンを起こして起動する、という隙の無い運用が可能だ。

 対コントロールなどの中速~低速のデッキには絶大な効果を発揮する《ターグリッドのランタン》。今日はこれを用いたデッキの一例を見ていただこう。

Nick Daimanolis - 「ディミーア・コントロール」
Eon Mirus community turnament 3勝3敗 / ヒストリック (2021年2月20日)[MO] [ARENA]
6 《
1 《
4 《清水の小道
4 《ロークスワイン城
4 《這い回るやせ地
4 《寓話の小道

-土地(23)-

4 《収得の熟練者
4 《古牙の信奉者
4 《恐怖の神、ターグリッド

-クリーチャー(12)-
2 《血の長の渇き
4 《精神迷わせの秘本
3 《無情な行動
1 《取り除き
4 《エルズペスの悪夢
4 《ペラッカの捕食
1 《魂の粉砕
2 《絶滅の契機
2 《影の評決
1 《サメ台風
1 《悪夢の詩神、アショク

-呪文(25)-
2 《強迫
1 《塵へのしがみつき
2 《軽蔑的な一撃
2 《否認
1 《取り除き
1 《無情な行動
2 《神秘の論争
2 《襲来の予測
1 《魂の粉砕
1 《悪夢の詩神、アショク

-サイドボード(15)-
MTGMelee より引用)

 

 あるヒストリックのオンライン・トーナメントで使用されていたリストだ。

 対戦相手の手札を捨てさせる、ほぼ黒単色のコントロールデッキだが、《悪夢の詩神、アショク》《サメ台風》、サイドボードの各種打ち消しのために青が足されている。

 黒単色系のコントロールといえば、手札破壊。正式なルール用語ではないが、対戦相手の手札を捨てさせたり追放したりして、相手から選択肢を奪う戦術をこう呼ぶのが一般的となっている。それとクリーチャー除去を組み合わせて、盤面に出てきたものは除去。まだプレイされていないものは捨てさせる。この作業を繰り返し、対戦相手が攻めるための手段をトップデッキにかけなければならない状況に持ち込み、こちらはどこかで2枚分以上の働きをするカードを挟むことでついた手数の差で先んじる。そんな長期戦を狙ったデッキである。

 主な手札破壊手段は《古牙の信奉者》《収得の熟練者》。

 古牙を先に出しておくと、クレリックのタイプが活きて熟練者で見られる枚数が2枚に増える。これらはクリーチャーなので、対戦相手の攻撃をブロックしてしのぐ盾にもなってくれる。

 時間を稼いだら《絶滅の契機》や《影の評決》でリセットというのが基本だ。

 《エルズペスの悪夢》でクリーチャーを潰しながらの手札破壊も、クリーチャーと非クリーチャーを併せ持つ相手には気持ちよく刺さる。

 《ペラッカの捕食》は序盤は土地として用いることを忘れずに。

 これらの手札破壊は序盤では相手の動きを妨害し、ターグリッド本人が戦場に出るころには相手のパーマネント・カードを落としてこちらの戦場に出す、勝利へのキーカードとなってくれるだろう。

 勘のいい人はお気づきかもしれないが、このリストはスタンダードのカードのみで組まれている。ヒストリックのトーナメントなのでその環境のデッキだろうと思い込み、全容を確認する前にコピーして対戦を行って、その最中に気が付いた。「なぜ《思考囲い》が入っていないのだろう。ライフ2点失うのは対アグロデッキにおいて痛手ってことかな」などと考えながらやっていたのが、なんともマヌケであった。なぜスタンダードのリストでヒストリックのトーナメントに出ているのか、その理由は当人のみが知るところだろう。

 ただそれでもヒストリックというスタンダードよりも圧倒的に強いデッキがひしめく環境で、3勝3敗と勝率5割をキープしているのだから、マジックというゲームはまだまだわからないことがいっぱいだ。

 ちなみに僕もターグリッドを用いた黒単に興味があったので、《思考囲い》はもちろんのこと、手札破壊だけでなく《無垢の血》《チェイナーの布告》など生け贄を要求するカードも投入してターグリッドの能力をフルに活かせるデッキを仮組みしていたところだった。

岩SHOW - 「黒単コントロール」
ヒストリック (2021年3月)[MO] [ARENA]
22 《
4 《陰謀団の要塞

-土地(26)-

4 《収得の熟練者
4 《古牙の信奉者
2 《残忍な騎士
3 《恐怖の神、ターグリッド

-クリーチャー(13)-
4 《思考囲い
2 《致命的な一押し
2 《無垢の血
2 《チェイナーの布告
2 《無情な行動
1 《リリアナの勝利
2 《遺跡の碑文
2 《ファイレクシアの闘技場
1 《ターグリッドの影
1 《最古再誕
1 《はぐれ影魔道士、ダブリエル
1 《戦慄衆の将軍、リリアナ

-呪文(21)-

 ヒストリックならではのカードがたくさん採用できて、使っていて楽しいデッキを目指している。何かアイデアがあればそれを加えて、各々好きなように調理してもらえれば僥倖だ。

 ランタンと呼ばれるカードは強い。このマジック都市伝説、信じるか信じないかは……実際にデッキを組んで、そのカードを使って、自分の肌で感じ取ってほしい。情報の海から真実をすくい上げられるかは、あなたの感覚に委ねられている。

 そして冒頭で紹介した伝説。フィクションであってほしいよね。もしも誰かが苦しんでいるところに遭遇したのであれば、救えるかはわからないが手を差し伸べる、そういうことができる人間になりたいなと、都市伝説を通して身を引き締めるのであった。

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