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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ナヤ・アドベンチャー(スタンダード)
カカカカルドハァァァイィィムッッ! いや~、このセットは良いね。構築のテンションが爆裂燃え上がり、リリースされた週末はメタルを聴きながらゴリゴリにスタンダードを遊んでしまった。ステイホームが推奨される期間においてこの上ない最高の娯楽がやってきたというもんだよ。
僕個人はとりあえずランク戦でいろいろなデッキと対戦できればそれで満足するのだが、競技としてやって結果を残してこそという思考のプレイヤーもいることかと思う。そんなプレイヤーのために、新環境のスタートと同時にさまざまなオンラインのトーナメントが開催され、好成績を収めたリストが公開されるという流れも、ここ1年ですっかり定着したなぁ。今日はそんなトーナメントにおいてスタートダッシュを決めた印象の強いデッキを取り上げよう。
『カルドハイム』最初期、多くのシェアを獲得し、また勝ち星を重ねたのはアドベンチャー(出来事)デッキ。『エルドレインの王権』リリースからしばらく経ったが、出来事を持つクリーチャー・呪文(当事者カード)と《エッジウォールの亭主》の組み合わせで戦うデッキの強さは2021年も健在だ。
スタンダードの前環境でも赤と緑の2色からなる「グルール・アドベンチャー」は人気を集めた。当事者カードの中でも、インスタントしてもクリーチャーとしても使い勝手が良く、最強と言える性能の《砕骨の巨人》。3マナ圏の中でも素のサイズで最大を誇る《恋煩いの野獣》。この出来事持ち二大巨頭を使えるというのが何より大きい。
1/1をコントロールしていないと攻撃できない野獣の弱点も《エッジウォールの亭主》がカバーしつつ、展開しても手札が減らないという脅威の攻勢を仕掛けて対戦相手を圧倒したものである。
出来事でのアドバンテージに加え、野獣もいるので扱いやすい《グレートヘンジ》も採用し、クリーチャーをガンガン展開するのに手札が枯渇しないという、最強の矛盾を抱えたデッキである。《エンバレスの宝剣》というライフを減らすという観点から見て最強の1枚も携え、クリーチャーとこれらの置物で構成されたシンプルな作りが万人受けしたというのもあるね。
で、新環境のスタート時に多くのプレイヤーによってプレイされたアドベンチャーはこのグルール(赤緑)……ではなく、ナヤ(赤緑白)だった。
3 《森》 2 《山》 2 《平地》 4 《岩山被りの小道》 4 《枝重なる小道》 4 《針縁の小道》 4 《寓話の小道》 -土地(23)- 4 《エッジウォールの亭主》 2 《巨人落とし》 3 《山火事の精霊》 2 《エンバレスの盾割り》 2 《群れの番人》 1 《漁る軟泥》 4 《砕骨の巨人》 4 《カザンドゥのマンモス》 4 《恋煩いの野獣》 2 《黄金架のドラゴン》 -クリーチャー(28)- |
4 《スカルドの決戦》 2 《グレートヘンジ》 2 《髑髏砕きの一撃》 1 《エンバレスの宝剣》 -呪文(9)- |
1 《漁る軟泥》 1 《運命の神、クローティス》 1 《探索する獣》 2 《アゴナスの雄牛》 3 《火の予言》 2 《萎れ》 2 《魂焦がし》 1 《アクロス戦争》 2 《怪物の代言者、ビビアン》 -サイドボード(15)- |
白にも当事者カードはあるのですんなり組めることは組めるが、決め手はそれらではない。『カルドハイム』からの新戦力として迎え入れた《スカルドの決戦》こそがグルールに白を足すことを促した要因である。
4マナでライブラリーを4枚追放し、それらを次のターンまで唱えられるというこの英雄譚。瞬間的なアドバンテージの獲得力に優れているのは当然のこと、出来事との相性の良さにも注目したい。ただでさえカード2枚分の仕事を見せる出来事を、これで追放して唱えた際の手数の増えっぷりといったらたまらない。
《スカルドの決戦》では4枚めくれるが、その4枚ともをきっちりと唱えきって盤面を作るというのは毎回できることではない。普通のクリーチャーデッキなら3マナクリーチャーが複数体めくれたときなど、どれかは唱えることを諦める必要があるだろう。
その点、野獣や巨人などはコストが非常に軽い出来事側で唱えてしまうことで、決戦の能力が切れたさらに次のターンに改めてクリーチャーとして唱えることが可能になる。要するに目玉が飛び出るようなアドバンテージが生まれるってこと。
さらに《スカルドの決戦》には呪文を唱えるたびにクリーチャーに+1/+1カウンターを置くという能力もついている。これまた言うまでもなく、カード1枚で2度呪文が唱えられる出来事との相性は◎。ただ展開力がすごいだけでなく、クリーチャーの質もゴリゴリに高めることができるのだ。
文字通り「これ1枚で勝てる」カードとして《スカルドの決戦》を扱えるポテンシャルがアドベンチャーにはあるということだ。
この《スカルドの決戦》、今回は新カードということもあって4枚採用しているリストを紹介させてもらったが、この枚数もどれが適正かは、今後数多のトーナメントを経て洗練されていくことだろう。確かに序盤に固め引いてしまうともっさりした動きになってしまう恐れもあるので、現時点で2枚や3枚に抑えているリストも多い。何枚が正解かはもう少し様子を見ながら判断していくべきだね。
構成の違いといえばクリーチャーにも見受けられる。出来事関係はデッキの根幹とも言える部分なので多くのリストが共通しているが、その他の部分にはプレイヤーそれぞれに微妙に異なるものとなっている。
例えば《黄金架のドラゴン》を採用しているか否か。
4/4飛行&速攻とダメージを生み出す力はバツグン。その上で宝物・トークンを生成し、かつその宝物から出るマナが2マナになるというのも恐ろしい話だ。この宝物を使って、さらなる出来事などを唱えて連撃をぶちかます姿は暴君そのもの。
出来事の中でも《群れの番人》の出来事《安全への導き》は除去が飛んできた際にドラゴンを回収して回避することができてすこぶる相性が良い。
マナを使い切っていても呪文の対象となることでドラゴンが宝物を生成するので、隙だらけに見えて護身が完成しているという、詰みの状況を生み出せる。これがえげつないんだよ、コントロールする側から見れば。
そんなわけで強いデッキではあるがまだまだ未完成というか、いくらでも調整する余地がありそうな「ナヤ・アドベンチャー」。新たなるトレンドとしてどこまで駆け抜けるのか注目だ。
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