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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

青白コントロール:ニコ・アリスと英雄となれ(新スタンダード)

岩SHOW

 カルドハイムは基本的に寒い次元だ。その割にノースリーブだったり、ほぼ裸みたいな格好の方々がいるのは……まあ元気ってことだな。

 マジックにおける寒さ、氷や雪を担う色というのは、やはり第一に青。そして次点では色のイメージから白も上がってきそうだ。せっかくの雪と氷のセットなら、それにふさわしい色合いのデッキを組みたくなるというものだ。

 ちょうど『カルドハイム』には白青2色のプレインズウォーカー《ニコ・アリス》が収録されている。

 ニコはテーロス出身で、元は槍投げの選手。かなりの腕前を誇っていたらしいのだが、自分の運命は自分の手で切り開けるということを証明するために、予言された未来に逆らってわざと槍投げの競技で敗北する。

 この運命をねじ曲げるニコの行いは、テーロスの運命を司る神であるクローティスの目には反抗として映った。運命の神が差し向けた刺客との戦いによりニコはプレインズウォーカーとして目覚め、多元宇宙を旅してカルドハイムへと至る。ニコはこの地で自分が目指すもの、正義のため人のために戦う英雄を目指す――とのこと。

 多くのプレインズウォーカーが絶望の淵でその灯を点したのとは対照的に、ニコは自分の運命に逆らい生きる道を選択するという勝利を経て点火を迎えているのが印象深いね。

 《ニコ・アリス》はニコが魔力の破片を生成し、それを投げてトリッキーに戦うさまをカード化している。占術1と1枚ドローが行える破片・トークンをX個引き連れて登場し、こちらのクリーチャーをブロックされなくしたり、そのターンにドローした枚数分だけのダメージをタップ状態のクリーチャーに与えたり、追加の破片を得たり。ドローと除去を兼ねるという点で、どちらかというとコントロール向きのプレインズウォーカーだ。

 『カルドハイム』リリース後は伝統的な青白コン、組んでみる?

岩SHOW - 「青白コントロール」
スタンダード (『エルドレインの王権』~『カルドハイム』)[MO] [ARENA]
8 《冠雪の島
6 《冠雪の平地
4 《氷河の氾濫原
4 《連門の小道
2 《イストフェルの門
2 《寓話の小道
-土地(26)-

1 《夢さらい
1 《竜巻の召喚士
1 《王国まといの巨人
-クリーチャー(3)-
4 《ガラスの棺
4 《中和
4 《ニコ、運命に抗う
4 《襲来の予測
4 《多元宇宙の警告
4 《ドゥームスカール
2 《彫像の伝承
1 《エルズペス、死に打ち勝つ
2 《サメ台風
2 《ニコ・アリス
-呪文(31)-

 『カルドハイム』成分マシマシの青白2色のコントロールを考えてみた。

 この2色でデッキを組むのであれば、やはり予顕はたっぷりと取り入れたい。《ニコ、運命に抗う》がそういうデッキを組めと言わんばかりの英雄譚だからだ。

 ライフ回復、マナ、墓地から手札回収と、コントロールにとって嬉しいもの3点盛りであり、かつそのどれもが予顕に関するものだ。予顕状態のカードを3つほど用意して6点回復、得たマナでさらに予顕する or 予顕してあった呪文を唱え、最後にそれを回収。綺麗に動けばアグレッシブにライフを狙ってくるデッキをたたきつぶせるポテンシャルだ。この英雄譚はニコ本人以上にデッキの主役とも言える。

 予顕呪文そのものがどんなものかということもかなり重要になってくる。ここにコントロールにとって使い物にならない呪文を詰め込んでも良いデッキにはならない。その点、青白はかなり「やりよる」ラインナップを誇る。

 青の予顕の中でも最強格と目される《襲来の予測》。

 いつでも2マナで打ち消しが飛んでくるという恐怖。この重圧の中、対戦相手は打ち消されても良いものから行くか、打ち消しじゃない時にリターンが大きい方で行くか、勝手に迷ってくれる。これが予顕の強いところだなぁ。

 惑わされた挙げ句、クリーチャーを展開してきた対戦相手には《ドゥームスカール》で綺麗サッパリ流し去るというアンサーを叩きつけたい。

 予顕だとたった3マナで唱えられるこの全体除去、今後はこのカードの存在を無視してクリーチャーデッキをプレイすることは難しいだろね。迷った結果相手が何もせずにターンエンド?だったら《多元宇宙の警告》で悠々手札を補充してやろう。

 手札を補充すると言えば、《彫像の伝承》もかなり強そうだ。

 この氷雪インスタントのために土地をあらかた氷雪にする価値はあるね。5マナで3枚ドローのインスタントというだけでもなんだか久しぶりなハイスペックっぷりなのに、最大で占術5が行えるって。それだけ見ればかなり良質な手札が確保できる。こうなってはもうコントロール側の思うつぼ。ある意味でこれ自身がフィニッシャーなのである。

 そのフィニッシャー、ゲームを終わらせる役目は《ニコ・アリス》が担うわけだが……ニコは単体で多大なアドバンテージをもたらすポテンシャルはあるが、直接的に勝利することのできるカードではない。[+1]能力を上手く使うなどして勝利したい。そこで今回採用してみたのが《竜巻の召喚士》。

 7マナと重いが7/7というサイズ、そして巨人とウィザード以外と土地以外のパーマネントをすべて手札に戻すという能力。相手の強引な展開をリセットし、反撃の芽を摘む凄まじいものだ。

 この巨人をニコと組ませるとどうなるか。召喚士の能力ではニコも手札に戻る。ということは、再び唱え直す際にまた何マナか{X}に注いで破片を再展開できるのだ。また、ニコの[+1]で召喚士をブロック不可にして突撃させ、攻撃が通って対戦相手にダメージを与えたら手札に戻る。その召喚士をまた出して、と繰り返すことで相手のクリーチャーは速攻持ちでない限り出しても出しても毎ターン戻されて攻撃できないという、いわゆる「ハメ」パターンに持ち込めるのだ。そうやって相手の勝ち目を押さえ込んでいる間に3回殴って終わりってわけである。ニコと召喚士、良い組み合わせだ。

 召喚士の能力で手札に戻らない巨人であるので《王国まといの巨人》も《ドゥームスカール》の追加枠として採用している。

 今までのプレインズウォーカーとひと味違う性格のニコ。そのカードもまた{X}をコストに含む面白いものになっている。多元宇宙の新顔を相棒にしたコントロールで、カードをいっぱい引きまくりたいものだ。その時ニコは自身が望む英雄へと到達する……のかな。

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