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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ヴォリンクレックス来襲! カウンター倍増ビートダウン(スタンダード&新スタンダード)
『カルドハイム』! この冬の寒さとリンクするかのようにやってきた極寒の世界を舞台にしたセットには、久々にスタンダードに帰ってきた氷雪土地と氷雪呪文の数々が含まれている。北欧神話をベースにした世界には数々の神が住み、それらがモードを持つ両面カードを担う。
これだけでも十分に衝撃的なセットではあるのだが、冷え切った身体を最も熱くしたのはこのカードだったな、個人的には。
な、なぜカルドハイムにヴォリンクレックスが!?
新ファイレクシアの緑の派閥「悪意の大群」を束ねる法務官であるヴォリンクレックス。アートだけ見れば怪獣にしか見えないが、ミラディンとファイレクシアの攻防を描いたセットにおいては数々のカードのフレイバー・テキストに登場し、なかなかカッコイイ台詞を言っていたりもする。
彼の信条は弱肉強食・適者生存。強い者が弱者を喰らい尽くし、淘汰されていくという暴力的な自然の摂理を重んじる男だ。彼はかつてのミラディン、現在は新ファイレクシアに支配された次元にいるはずである。次元を渡る能力は持っていないはずなのだが、どうやってカルドハイムにやってきたのか? そしてその目的は? こんなサプライズ、そりゃあ驚くよね。
背景世界的なインパクトだけでなく、カードとしてもかなり強そうだ。6マナ6/6速攻・トランプル。攻めっ気にあふれた素晴らしいアタッカーである。
そしてその能力。5色の「法務官」の初出時の能力は、片方はこちらにとって有益で、もう片方は相手に損害を与える、対になるものが設定されていた。《飢餓の声、ヴォリンクレックス》はこちらのマナを爆発的に増やし、相手のマナは自由に使わせないというものだった。
今回のヴォリンクレックスはパーマネントやプレイヤーに乗せるカウンターを、自分のものは倍増・相手のものは半減させるという能力だ。こりゃあ強いッ! 自分のが増えるだけでもかなり強いのに、オマケまでいただいて良いんですかい?
こりゃあデッキを作るしかないでしょう、というわけで今回はヴォリンクレックスを用いたデッキについて考えてみよう!
6 《森》 4 《平地》 4 《枝重なる小道》 1 《アーデンベイル城》 1 《這い回るやせ地》 -土地(16)- 4 《群れのシャンブラー》 4 《議事会の導師》 4 《光輝王の野心家》 4 《漁る軟泥》 4 《オラン=リーフの軟泥》 1 《誇り猫》 4 《バスリの副官》 4 《石とぐろの海蛇》 -クリーチャー(29)- |
1 《オゾリス》 3 《第1回イロアス競技会》 4 《エメリアの呼び声》 4 《変わり樹の共生》 3 《グレートヘンジ》 -呪文(15)- |
3 《鎖巣網のアラクニル》 4 《ガラクの先触れ》 1 《オゾリス》 3 《豊穣の碑文》 2 《解き放たれた者、ガラク》 2 《怪物の代言者、ビビアン》 -サイドボード(15)- |
こちらは現行スタンダードのデッキリスト。この環境には+1/+1カウンターに関するカードがたっぷりとあり、白と緑のメインテーマの1つにもなっている。《議事会の導師》で乗せる個数を1つ増やし、マナ効率に優れたクリーチャーを生み出して戦場を支配しようというスタイルだ。
これにカウンターを倍加させるヴォリンクレックスが合流しないわけがない! デッキとしては一線級というわけではなかった「セレズニア・カウンター」がついに獰猛さを増す時が来たのかもしれない! このリストをベースに構築してみよう。
6 《冠雪の森》※ 6 《冠雪の平地》※ 2 《枝重なる小道》 4 《寓話の小道》 4 《極北の並木》※ 2 《ブレタガルドの要塞》※ -土地(24)- 4 《群れのシャンブラー》 4 《議事会の導師》 4 《光輝王の野心家》 2 《漁る軟泥》 3 《オラン=リーフの軟泥》 4 《バスリの副官》 4 《石とぐろの海蛇》 3 《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス》※ -クリーチャー(28)- |
1 《オゾリス》 1 《第1回イロアス競技会》 3 《霜の祝福》※ 3 《騙し屋の崩落》※ -呪文(8)- |
※:『カルドハイム』収録カード
ヴォリンクレックス以外に使いたい新カードに《霜の祝福》がある。
支払われた氷雪マナの数だけ+1/+1カウンターを好きなように割り振って置けるという、広範囲への強化ソーサリーだ。ヴォリンクレックスおよび《議事会の導師》との組み合わせは強力で、これらがいる状態でコストをすべて氷雪マナで支払ってカウンターをばらまくと、とんでもない破壊力に跳ね上がる。これを決めてみたいので土地はほぼ氷雪で構成してある。
《霜の祝福》はドローもできるのが頼もしく、このデッキではパワーが大きいクリーチャーを作ったその後から機能する《グレートヘンジ》よりも運用しやすいアドバンテージ源になるのではないか(ヘンジとヴォリンクレックスの組み合わせも捨てがたいが)。
デッキとしてはもとのものと大きく差はない。低コストでカウンターを置く能力を持ったクリーチャーを序盤から展開し、効率よく攻撃 or 成長させて盤面を作っていく。そこに《議事会の導師》を絡めて全体の動きを分厚くしていく。
そのしんがりに新たに速攻で追い打ちをかけにいくヴォリンクレックスが加わった。彼の登場で価値が高まったのは《オゾリス》。
うまく序盤の展開の中で設置できれば、他のクリーチャーが死亡した際にカウンターをこれに乗せて保存していける。《空の粉砕》などで盤面が崩壊してもこれの上にカウンターがセーブされ、返しで駆けつけたヴォリンクレックスがそれらを倍にして受け取り、速攻パンチ。二桁ダメージは余裕で狙えるだろうね。
土地の枠に+1/+1カウンターばらまき能力を持った《ブレタガルドの要塞》が加わったのも白緑にとっては大きな追い風だ。
ゲームが長引く展開になっても、干渉されにくい土地という形で切り札が残されているのは安心できるね。警戒と絆魂を与えるというオマケも強烈で、他のビートダウンとガンガンぶつかる殴り合いになっても、これの存在で1ターンの遅れくらいは取り返せてしまうだろう。
ちなみにヴォリンクレックスの能力は英雄譚にも影響する。
《第1回イロアス競技会》は戦場に出た際に伝承カウンターが2個置かれ、次にドロー・ステップの後にもカウンターが2個置かれる。英雄譚は同時に伝承カウンターが複数個置かれた場合、その値の間のすべての章能力がちゃんと誘発する。人間・トークンを生成して+1/+1カウンターを3個好きなところに置くところまで一気にいける。もちろん、その3個のカウンターはヴォリンクレックスのおかげで6個に化けるぞ。このとてつもない破壊力の前には、次のターンに来る2枚ドローと金・トークンを受け取らずじまいになるかもしれないね。
そして新たなる英雄譚として《騙し屋の崩落》が参入。
これもヴォリンクレックスがいれば一気にⅡ章能力まで解決され、次のターンにはⅢ章を迎える。Ⅰ、Ⅱ章でヴォリンクレックスなどを大きく強化し、Ⅲ章で相手のクリーチャーを除去してダメ押しだ。ヴォリンクレックス抜きにしても良いカードで、2ターン目《議事会の導師》から流れるようにプレイできればまさしく鬼神。カウンターを置く呪文の枠を潰さずにクリーチャー除去が採用できるのは本当に偉い。
悪夢を与える捕食者ながら、プレイヤーには夢を与えるヴォリンクレックス。彼の信条は? そう、弱肉強食・適者生存。マジックは強いパーマネントをコントロールしているものが勝つ、そんなヴォリンクレックス寄りの思考のプレイヤーはぜひとも彼をデッキの主役にして、戦場に解き放ってほしいね。
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