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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今週のCool Deck:最高クール卿(モダン)
いや~2021年ですね。子どもの時に読んだ絵本で、2020年くらいにはもう車が空を飛んだり、皆全身タイツみたいな服を着ていたりと描いてあったのを思い出しますわ。
幸か不幸か、そんなことにはなっていないけども……日々の生活は確実に変わってきてはいますね。マジックも年月を重ねるごとに大きく変化してきているし、そこに垣間見るクールなものもまた同じく。2021年には2020年よりももっとクールなデッキに出会えるでしょう! 当コーナー的には昨年がクール元年、今年はそこからさらにステップアップ!……まあ無理せず楽しくやっていきたいね。
今年最初のクールなデッキを取り上げるにあたって、今一度マジックのクールさについて考えてみた。僕にとって最初のクールなマジック体験ってなんだったかなと。
その答えは『ウルザズ・サーガ』。僕がマジックを始めたその直後に発売された、最初に手にしたセットの1つである。このセットの主人公はウルザ。彼が機械生命体であるファイレクシアの軍勢と戦い、傷つき、復讐を誓い壮大な計画を指導する様を描いたセットは、カードを見ているだけでワクワクしたものだ。
構築済みデッキについてきた小さなブックレットに描かれた各次元におけるウルザの姿や、トーナメントデッキのパッケージを飾った《稲妻のドラゴン》など、とにかくすべてがクールで夢中になったものだ。今でも友人らと「サーガから『ウルザズ・レガシー』『ウルザズ・デスティニー』の頃のカードは最高。記憶にいつまでも残っている」と語り合うことがたびたびある。
皆にとってもそれぞれクールなセット、キャラクターがあることだろう。僕にとってはウルザと彼の戦いの物語こそが至高にして究極のクールなのである。
というわけでウルザに関係のあるデッキを取り上げることに決めた! そしてちょうど、おあつらえ向きのデッキをモダンで見つけたぞ!
4 《島》 1 《沼》 1 《湿った墓》 1 《蒸気孔》 4 《汚染された三角州》 1 《沸騰する小湖》 3 《闇滑りの岸》 1 《水辺の学舎、水面院》 2 《産業の塔》 1 《空僻地》 1 《アカデミーの廃墟》 -土地(20)- 3 《上位の空民、エラヨウ》 4 《湖に潜む者、エムリー》 2 《夢の巣のルールス》 4 《最高工匠卿、ウルザ》 -クリーチャー(13)- |
4 《モックス・アンバー》 4 《ミシュラのガラクタ》 1 《トーモッドの墓所》 3 《魔法の井戸》 2 《彩色の星》 4 《飛行機械の鋳造所》 3 《仕組まれた爆薬》 3 《撤廃》 3 《弱者の剣》 -呪文(27)- |
4 《致命的な一押し》 4 《思考囲い》 3 《霊気の疾風》 2 《夢を引き裂く者、アショク》 2 《ボーラスの工作員、テゼレット》 -サイドボード(15)- |
このクールなデッキは?
クールすぎるプレインズウォーカーであるウルザ。彼の在りし日の姿をカード化した《最高工匠卿、ウルザ》。
アートの時点でもうクール極まる。そしてアーティファクトに関する能力と、彼が生み出した時間逆行に関する最初の発明《束の間の開口》と同様の能力を併せ持ったそのハイスペックっぷりときたら、もうなんと形容して良いかわからないね。
この青いウルザを用いて、アーティファクトをタップすることでマナを得る能力で莫大なマナを得て暴れようというデッキはいろいろと作られている。このリストは青単に黒をタッチしており、カラーリングも究極の知識から狂気へと墜ちていったウルザらしくてなおクールだ。「ソプター・ウルザ」の全容を見ていこう。
どこがどうクールなのか?
クールポイントその1:絶対的強者が振るう弱者の剣
現在のプレインズウォーカーと、ウルザらの時代のそれとは根本的に大きく異なる部分がある。かつてのプレインズウォーカーらはその強大な魔力によって不老不死の肉体を持っていたし、姿形も念ずるまま自由自在。次元を生み出すなどというとんでもない魔術も用いる、多元宇宙における最強の存在であったのだ。
《最高工匠卿、ウルザ》と相性が良いカードは、最強の存在には不釣り合いにも見えるカード名。《弱者の剣》だ。
この装備品が墓地にある時に1/1のクリーチャーが戦場に出ると、これは墓地から戦場に戻りそれに装備された状態になる。これを活かしたのが通称「ソプター・ソード」と呼ばれるコンボ。
《飛行機械の鋳造所》で《弱者の剣》を生け贄に捧げてライフを回復しつつ飛行機械・トークンを生成。これは1/1なので生け贄に捧げられた《弱者の剣》が戦場に戻る。ということでマナを支払えば好きなだけこの工程を繰り返せる。毎ターンマナを全力で注ぎ続ければライフを削って勝つデッキは投了せざるを得ないというもの。
これだけでも十分強いが、そこにウルザが絡むことでより致命的に。戦場に戻った剣を、ウルザの能力でタップして{U}を得る。それを使って剣を生け贄に、戻った剣をまたタップ……つまりこの工程を無限に繰り返せるということである。無限ライフ、かつ無限トークン。
これだけでももう勝負ありのクールさだが、さらに飛行機械もタップすれば余剰の青マナが1つ生まれる。無限マナだ。そうやって作り出した尽きぬマナを《束の間の開口》よろしくライブラリーの一番上を唱える能力に注ぎ込み、ライブラリー内のカードをすべてプレイしてしまう! こんな勝ち方、誰がなんと言おうと絶対にクールだよな。
クールポイントその2:黒の価値
黒はウルザの時代のファイレクシアのメインカラーなので、彼と組み合わせるのは禁忌を犯しているようにも見えるが……まあ、彼もファイレクシア次元の深奥へと進むうちにだんだんとその世界に魅せられていったし、問題ないだろう。ある意味史実通りでクールだ。
黒は《飛行機械の鋳造所》を唱えるために必要なので、そのマナが得られるようにデッキが作られている。そして、ついでだからとサイドボードには《思考囲い》と《致命的な一押し》を。
さらにメインデッキには《夢の巣のルールス》を搭載。
ルールスも2020年を代表するクールなヤツだ。一時期はすべてのフォーマットでこれを相棒にしたデッキが君臨していたくらいのパワーカードである。このデッキではウルザを使う関係で相棒にはできず、メインに2枚忍ばせる形に。
消耗戦にもつれ込んでも、不意に出てきたルールスが、墓地から《ミシュラのガラクタ》(ウルザがこれからマナを出している姿もやはりクールだ)や《彩色の星》を拾ってグルグル回しているだけで手札が潤う。
捨てさせられたり打ち消されたりした《飛行機械の鋳造所》でコンボを唱え直すなど、リカバリーならこの猫・ナイトメアにお任せ。2021年もいろんなデッキでクールに活躍することだろう。
黒を加えたことでウルザ以外のプレインズウォーカーも使えるのが嬉しい。《夢を引き裂く者、アショク》はまあ青単色でも使えるが、《ボーラスの工作員、テゼレット》は青黒のアーティファクトデッキならではのクールカード。そういえば彼、今頃どうしてるんだろうね……。
クールテクニック!
《上位の空民、エラヨウ》はアーティファクトに関係はないが採用されている。
1ターン中に4つ呪文を唱えることで反転し、《エラヨウの本質》となって各ターンの相手の最初の呪文を自動で打ち消してくれる。
決まれば恐ろしいロック状態に持ち込むこのエンチャントを得るために、ルールスや《湖に潜む者、エムリー》を活用しよう。
《ミシュラのガラクタ》《彩色の星》など生け贄に捧げる低コストアーティファクトを再利用すれば、4回呪文を唱えるというハードルの高そうなアクションも問題なし。安全な盤面を作り上げてウルザ御大にご登場願おうじゃないか。
ウルザはコンボだけでなく、構築物・トークンで殴り勝つという手段も提供してくれる。このトークンは基本のパワー/タフネスは0/0。そこに自身のアーティファクトの数だけ+1/+1修整が乗るという形だ。
この構築物を対象に《ボーラスの工作員、テゼレット》の[-1]能力を起動すると……5/5+アーティファクトの数だけの修整で、かなり大きいクリーチャーが得られる。殴り合いの一点突破を狙うときには、地味だけれどもクールに輝く小技になるだろう。ウルザの構築物にテゼレットが細工をするという光景もクールだ。
さらなるクールのために
完全なる蛇足なことは承知で、無限コンボが決まったらターンを返さずに即勝利する手段として《橋の主、テゼレット》を1枚忍ばせたい。
無限に並ぶ飛行機械、その数だけ対戦相手にダメージ!……実用性とかではなく、クールのための改良だからね。ただこのカードが好きなだけというのは、あるよね。
クールなまとめ
2021年も週に1回、このスタイルでやらせてもらうのでヨロシクゥ! 『カルドハイム』より始まる新セットたちがどんなクールをもたらすのか、1年後一体どうなっているのか。今から実に楽しみだ。それじゃあ、今週はここまで。今年も……Stay cool!!
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