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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
祭殿スペシャル(スタンダード)
先日『Commander Collection: Green』なる発売したばかりの新製品を購入した。統率者戦のためのデッキを組むのに必要なカードをコツコツと集めているところなので、こいつはまさに渡りに船。《森の知恵》という強力な1枚はもちろんのこと、《太陽の指輪》や《統率の塔》、必須といっていい基本的なカードなどなど……すべて再録ではあるが新規アートを与えられたカードたちがたっぷり8枚収録されている。
中でも大きく見た目が変わったのは《種子生まれの詩神》。
元々は人間の女性のような姿をしていたのだが、スピリットというタイプをフォーカスして神河次元の神のひとつとしてシンボリックな姿へと変貌していた。神河次元のことを推してくれているようで、同次元への再訪を待っている身としてはなんだか嬉しいものだ。
これに限らず、最新の基本セット『基本セット2021』も神河要素がかなり濃かった。中でも注目されたのは久方ぶりに登場した伝説のエンチャント「祭殿」サイクルで、それぞれがコントロールする祭殿の数に応じた能力を持っている。
今回の祭殿はすべて名称が「○○の聖域」で統一されており、これまた個性的な面々が揃った。とりわけ5色である《万物の聖域》は祭殿デッキを組めと言わんばかりの1枚で、これを活かしたデッキにチャレンジしたプレイヤーも少なくないはず。
今日はそんな祭殿デッキの最新リストをご紹介しよう!
1 《平地》 2 《島》 1 《沼》 1 《山》 2 《森》 3 《啓蒙の神殿》 4 《豊潤の神殿》 3 《神秘の神殿》 2 《ラウグリンのトライオーム》 2 《ゼイゴスのトライオーム》 2 《ケトリアのトライオーム》 4 《寓話の小道》 -土地(27)- 2 《封じ込める僧侶》 1 《軍団の天使》 -クリーチャー(3)- |
2 《穏やかな光の聖域》 4 《石の牙の聖域》 4 《廃れた高地の聖域》 2 《静かな水の聖域》 2 《万物の聖域》 4 《意味の渇望》 3 《払拭の光》 1 《牧歌的な教示者》 4 《空の粉砕》 2 《運命の手、ケイリクス》 2 《精霊龍、ウギン》 -呪文(30)- |
3 《軍団の天使》 4 《平和な心》 1 《払拭の光》 -サイドボード(8)- |
このリストは例によって、MTGアリーナのランク戦にてプラチナあるいはミシック帯で6連勝以上の記録を残したものの1つだ。以前紹介した「ファンガス」といい、なぜかこの手のパンチの効いたリストはサイドボードがなかったり少なかったりするものだ(笑)。
それはさておき、祭殿デッキ。《万物の聖域》から各種祭殿を持ってきて、それの誘発型能力を2倍にしてゲームを有利にする5色デッキになっている。
祭殿の中でも最も勝利に貢献するのは《石の牙の聖域》。
これで相手のライフを祭殿の数だけ吸い取り、《万物の聖域》でその速度を加速させてゲームを終わらせるのだ。
《廃れた高地の聖域》で手札にダブついた祭殿や土地を投げて除去、《穏やかな光の聖域》で大物をタップして時間稼ぎ、《静かな水の聖域》でドローして長期戦もバッチリ。
そして《豊かな実りの聖域》でマナを……出しはしない。
ここが肝心で、この後にもうひとつリストを紹介するのだが、そちらでもこの緑の祭殿は不採用なのである。なぜか?
結論から言うと、この聖域はマナを生み出すだけで勝利や敗北回避に直接的に貢献するわけではない。確かに好きな色マナが得られるのは《万物の聖域》はじめ祭殿を並べることを大きくバックアップしてくれるのだが、機能させるにはある程度の祭殿が並ぶ必要があり、すなわち単体だとマナ加速としての効果は薄い。これ自体が3マナと決して軽いわけではなく、《万物の聖域》から持ってくるころにはもう役目が終わっている……といった理由から不採用になっているのだろう。緑を基調としたランプ寄りの祭殿デッキを組む場合はお声がかかりそうだが、コントロールにシフトしたリストでは無理に採用しなくとも良いということだ。
白をメインカラーとして《空の粉砕》で盤面を掃除し、《牧歌的な教示者》《運命の手、ケイリクス》で祭殿を確保。エンチャントが多めなので《意味の渇望》が強く使える点もナイスだ。
このドローで多色土地を引き込み、最終的に祭殿WINルートにたどり着ければよし。《軍団の天使》を採用し、サイドボードから軍団を引き連れて普通に殴り勝つというプランも用意されているのが面白いね。
1 《平地》 1 《島》 1 《沼》 1 《山》 1 《森》 4 《陽光昇りの小道》 3 《清水の小道》 4 《河川滑りの小道》 1 《インダサのトライオーム》 4 《ゼイゴスのトライオーム》 2 《ケトリアのトライオーム》 4 《寓話の小道》 -土地(27)- 1 《鎖を解かれしもの、ポルクラノス》 -クリーチャー(1)- |
1 《穏やかな光の聖域》 1 《石の牙の聖域》 1 《廃れた高地の聖域》 1 《静かな水の聖域》 4 《万物の聖域》 3 《血の長の渇き》 4 《海の神のお告げ》 3 《無情な行動》 1 《取り除き》 3 《エルズペスの悪夢》 3 《ネスロイの神話》 2 《意味の渇望》 2 《絶滅の契機》 1 《影の評決》 2 《サメ台風》 -呪文(32)- |
1 《鎖を解かれしもの、ポルクラノス》 1 《帰還した王、ケンリス》 1 《アゴナスの雄牛》 4 《強迫》 1 《塵へのしがみつき》 3 《否認》 3 《神秘の論争》 1 《サメ台風》 -サイドボード(15)- |
こちらも同じく祭殿デッキだが、使用者はあのプロツアー殿堂顕彰者であり皆のヒーロー、MPL所属の八十岡翔太選手だ。日本選手権2020秋・本戦という大舞台でまさかの祭殿デッキ使用ということで、大いに注目を集めた。
こちらは《万物の聖域》を4枚、他の緑以外の聖域は1枚ずつという構成。どちらかといえば黒を重視した作りで《血の長の渇き》《無情な行動》といった単体除去に《絶滅の契機》《影の評決》などの全体除去、さらには何でも破壊できる《ネスロイの神話》と徹底した除去祭りで相手の勝ち手を潰して、聖域で攻守交代のスイッチを入れるという構成だ。
八十岡選手と言えば昔からコントロールデッキを使い、ブランドにまで仕上げているコントロールマスター。ただのコントロールでは終わらせずに祭殿という派手なフィニッシャーを採用し、ビジュアルでも優れたデッキをチョイスしているあたりは、流石MPLの一言に尽きる。
《鎖を解かれしもの、ポルクラノス》に代表されるように、カードを1枚ずつ採用しているのも特徴的なリストだ。まさしく専用機といった趣。サイドボードの《アゴナスの雄牛》のように、一体どんな相手と戦った時にどのカードがどう機能するのか考えると面白い。
5色デッキであることを活かして、こうしたカードを散らして用いて、相手に対策しづらくさせるというのもこの手の主流でないデッキたちの特権だ。「グルール・アグロ」「ディミーア・ローグ」のような流行のデッキ相手には一方的に有効なカードをサイドインして惑わそう。
祭殿はファンデッキを愛するプレイヤーには響くものだろう。ヒストリックであれば初代祭殿サイクルも再録されているので、11種類すべて揃い踏みのデッキを組むことだってできる。
僕は《集めるもの、ウモーリ》を相棒にしたエンチャントのみの祭殿デッキを組んでみたことがある。これはむっちゃ弱かったので相当なマニア以外にはオススメしないでおこう……《生網の本殿》が機能し出すと強かったんだけどもなぁ……。
スタンダードでもヒストリックでも組める祭殿型5色コントロールデッキ。この冬、家にこもって遊ぶには良いチョイスかも。
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