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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:スゥルタイ・ローグ~蘇りし最強1マナクリーチャー~(パイオニア)

岩SHOW

 寒い。もう12月です。クールを超えてコールド。いきなりカードをシャッフルすると、スリーブの固さに負けてあかぎれなどで弱った肌を切ってしまいそうなくらいである。冷えないように暖めて、クリームを塗るなど保湿しつつ、マジックをノーダメージで楽しめる健康状態を維持したいものだ。ビタミンをしっかり摂取するのもクール。

 てなわけで外は寒いが、幸いマジックはインドアでやる趣味。暖まりながらもクールなデッキで遊んでいこう! 今週もキーンとくるクールなヤツ、見つけてます!

TSPJendrek - 「スゥルタイ・ローグ」
Magic Online Pioneer League 5勝0敗 / パイオニア (2020年10月14日)[MO] [ARENA]
1 《
4 《湿った墓
4 《清水の小道
2 《花盛りの湿地
1 《繁殖池
4 《植物の聖域
2 《マナの合流点
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ
3 《変わり谷

-土地(22)-

4 《死儀礼のシャーマン
4 《マーフォークの風泥棒
4 《盗賊ギルドの処罰者
4 《空飛ぶ思考盗み

-クリーチャー(16)-
4 《致命的な一押し
4 《思考囲い
4 《航路の作成
4 《湖での水難
4 《物語への没入
2 《アガディームの覚醒

-呪文(22)-
1 《夢の巣のルールス

-相棒(1)-

1 《海門の嵐呼び
1 《魂標ランタン
1 《死の重み
2 《塵へのしがみつき
1 《血の長の渇き
1 《強迫
1 《否認
1 《古呪
3 《神秘の論争
2 《絶滅の契機

-サイドボード(15)-

 

このクールなデッキは?

 もうすっかりお馴染みになった、青黒の「ディミーア・ローグ」と呼ばれるデッキをベースとしている。スタンダードでは依然として有力デッキの1つであり、ならず者を出したり攻撃したりすることで対戦相手のライブラリーを切削し、その墓地が膨れあがることで強化される《盗賊ギルドの処罰者》および《空飛ぶ思考盗み》、そして同じく相手の墓地の枚数が多いことで効果が高まる《湖での水難》という中核カードは不動だが、細部を見れば複数のバリエーションが存在する。

 2マナ以下のならず者のみを採用することで全体的なクリーチャーの枚数は減ってしまうが、《夢の巣のルールス》を相棒として用いることで、それらを何度も唱え直して継戦能力をグッと高めることができるものがより通好みでクールなリストと言える。

 このリストもそれに倣ったものだが……実はフォーマットがスタンダードではない。パイオニアのものだ。大まかな部分はスタンダードと同じ仕様だが、パイオニアになることでまず土地が強くなる。《湿った墓》《マナの合流点》といった色マナ調達手段がアップグレードされるのはもちろん、《変わり谷》というクール極まる土地が使えるのはたまらないね。

 《変わり谷》もしっかりと「ならず者」なので、攻撃して切削したり思考盗みでパワーを上げられたりするのが偉すぎる。後は《思考囲い》で相手の除去なり殴り合いを挑んでくるクリーチャーなりを1マナで処理できるのもパイオニアならではの強さだ。

 構成しているカードが軽いから他のフォーマットに移しても十分に強い「ディミーア・ローグ」であるが、このリストはモダンやレガシーには真似のできないクールさを内包している。

どこがどうクールなのか?

クールポイントその1:死の儀式、再び

 パイオニアだからこそのローグデッキを成立させる1枚、それは《死儀礼のシャーマン》!

 かつてモダンおよびレガシーにおいて、黒か緑を採用しているデッキの看板的な存在として非常に多くのデッキに採用された、今となっては伝説的な1枚だ。

 1ターン目から戦場に出てきて、墓地の土地を追放して好きな色マナを得てマナ加速。相手の墓地からクリーチャーやその他の呪文を追放して再利用を禁じ、こちらの墓地のそれらも喰らってライフにしたり相手のライフを詰めたり。縦横無尽、一騎当千の活躍を見せるとんでもないクリーチャーだった。

 墓地から土地を追放するのは2ターン目から狙うのは難しそうに見えるが、《新緑の地下墓地》などの生け贄に捧げて他の土地を持ってくる、通称フェッチランドがあればお茶の子さいさい。相手もそれを使うのだからもう止まりっこない。

 そんなわけで、これらの土地が使えるモダンとレガシーでは禁止カードになってしまった。しかしパイオニアではそのフェッチランドがないので、問題なく使用可能というわけなのである。

 この古の最強クリーチャー、フェッチがなくてもならず者たちの切削で相手の墓地を無理矢理作ってしまえばその本領を発揮するというものである。1ターン目に死儀礼、2ターン目に《盗賊ギルドの処罰者》を出して切削、土地が落ちたらそれを死儀礼で追放してマナを得て《空飛ぶ思考盗み》を出して処罰者で切削、次のターンはならず者2体で攻撃してさらに切削。こうなるともう死儀礼でも使い切れないくらいの墓地だ。

 クールすぎるスタートダッシュで相手を置き去りにし、展開が十分済んだらクリーチャー・カード追放=ライフ回復か、非クリーチャー・カード追放=ライフ損失で相手との殴り合いを制するのだ。

クールポイントその2:とにかく尽きない手札

 前述のようにこのデッキは相棒にルールスを据えているので長期戦になってもリソース(手札などの資源)が切れてそのまま負けるということは起こりにくい。

 それに加えて、たくさんのドローカードも備えているので隙がない。《航路の作成》は攻撃さえできていれば2マナで2枚ドローと軽量コストで手札が増える。

 そしてその上をいく4枚ドローの《物語への没入》!

 相手の墓地をパンパンにしてやればコストが大幅ダウンで4マナ4枚ドローという破格のインスタントになる。お互いここからはトップデック勝負という時にこれを撃たれるともう勝負ありだね。

 ルールスで使い回すならず者の中でも《マーフォークの風泥棒》は唱えて生け贄に捧げてドローを進めることもできる。

 《物語への没入》や《アガディームの覚醒》といった効果の大きい呪文を引き込むためにガシガシ生け贄に捧げるのもクールだね。

さらなるクールのために

 スゥルタイ(青黒緑)で死儀礼を使ったならず者デッキ、という方向で伸ばすのであればルールスにこだわらないという手もある。《光袖会の収集者》《ならず者の精製屋》など、手札を満たすエネルギー系ならず者を採用してみるのも面白いし、これだけカードが引ければルールスがいなくても十分なリカバリーができるはずだ。

 《致命的な一押し》《湖での水難》に加えてさらに除去を足すのであれば《怪物の災厄、チェビル》でよりコントロールチックに立ち回るなんてのもクールかもしれない。チェビルの服装は最高にクールだからな。

クールなまとめ

 《死儀礼のシャーマン》は多くのプレイヤーにとって使っていて楽しく、大変に強力な1枚だった。死儀礼が恋しいというプレイヤーは、パイオニアにて相手のライブラリーを切削しながらそのマジック史に名を残す墓地利用能力を存分に味わってみてはどうかな。

 それじゃあ今週はこの辺で。Stay cool!! Don't get cold!!

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