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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今週のCool Deck:Bomber Man 2020(レガシー)
今週のクーーールッ、デッッッック!! 私、岩SHOWが独断と偏見でクールだなと感じたデッキを紹介する当コーナー。今週はまずはデッキではなくクールなものについて、数字についての話をしよう。
0という数字はクールだと、そうは思わないかい? 0は何もないという状態を表す。僕らは小学生の時からこれを当たり前のように用いて算数をしてきたが、ちょっと考えれば「何もない状態」が「示されている」というのは実にクールである。
この数字は数学の歴史の中では比較的新しい発見だそうで、古代インドにおいて5世紀に制定されたとか、3~4世紀の書物に記されていたとか、いろいろ言われている。哲学が盛んになり、空虚というものについて深く考えられるようになったことが、何もないことを表す0の誕生に繋がったとかなんとか。なんともクールな話じゃないの。
今日、我々が用いるコンピュータ――僕がこれを書いているものや君がこれを読んでいるもの――も0を用いて計算を行っており、0がなくては成り立たないものである。人類は0を見つけたことで大きく進歩した。
この0という数字、何もない状態ではあるが偶数として扱う。何もないのにふたつに割れるとはどういうことかとなるが、まあ調べたらなんか難しいことが書いてあったね。クールすぎてわからなかったぜ。とにかく偶数なので、マジックのカードで偶数か奇数か参照する際には気をつけよう。
こんな前振りをしてるってことは、今日は0が偶数だからこそ組めるデッキを紹介するってことは……クールな皆ならもうお見通しだね。それじゃあリスト、いってみよう!
1 《平地》 1 《島》 1 《Tundra》 2 《溢れかえる岸辺》 1 《カラカス》 2 《教議会の座席》 4 《魂の洞窟》 4 《古えの墳墓》 4 《裏切り者の都》 -土地(20)- 4 《オーリオックの廃品回収者》 4 《最高工匠卿、ウルザ》 4 《石とぐろの海蛇》 3 《歩行バリスタ》 -クリーチャー(15)- |
4 《水蓮の花びら》 4 《オパールのモックス》 3 《ライオンの瞳のダイアモンド》 3 《ミシュラのガラクタ》 3 《ウルザのガラクタ》 4 《虚空の杯》 4 《大いなる創造者、カーン》 -呪文(25)- |
1 《深海の破滅、ジャイルーダ》 -相棒(1)- 2 《封じ込める僧侶》 1 《エーテル宣誓会の法学者》 1 《歩行バリスタ》 1 《ライオンの瞳のダイアモンド》 1 《トーモッドの墓所》 2 《浄化の印章》 1 《ガラスの棺》 1 《液鋼の塗膜》 1 《魔術遠眼鏡》 2 《罠の橋》 1 《マイコシンスの格子》 -サイドボード(14)- |
このクールなデッキは?
「Bomber Man」の名で知られる、歴史の長いデッキだ。レガシー環境においてマニアを惹きつける魅力を放つコンボデッキで、爆弾野郎の名の通りかつては本当に爆弾を投げまくって勝つデッキだった。
どういうことかというと、《ライオンの瞳のダイアモンド》で3マナ得て、そのマナで《オーリオックの廃品回収者》の能力を起動。ダイアモンドを戦場に戻し、また生け贄に捧げて3マナ。また戻して……と繰り返すと、差し引き1マナずつ増えていく。回数の制限などないので、好きなだけ行って1万でも10万でも100万でも、好きなだけのマナを得よう。
最初は廃品回収者の能力のために{W}を生産するが、後半は{R}に切り替えて《黄鉄の呪文爆弾》を回収しては投げつけて2点ダメージを刻んでいく爆撃ラッシュで勝利する。
キーカードの廃品回収者の英名から「サルベイジャー・コンボ」とも呼ばれる。いずれにせよクールな名前だ。
このコンボの最新型が今週のデッキ。冒頭の0に関する話は《ライオンの瞳のダイアモンド》のコストにかかってくるわけだが、それだけじゃない。
どこがどうクールなのか?
クールポイントその1:0は偶数である
0は偶数、すなわちコストが{0}のカードは点数で見たマナ・コスト(CMC)が偶数。《オーリオックの廃品回収者》も4マナと偶数だ。偶数で無限マナコンボが完結していることを活かして、このデッキが大胆に採用したのが《深海の破滅、ジャイルーダ》a.k.a《鎌爪の未来怪獣、ガイガン》!
う~ん、もうビジュアルがクールすぎるぜ。ジャイルーダの相棒条件である「CMC偶数のみで構築されたデッキ」というハードルを「Bomber Man」は無理なくクリア可能だ。
ジャイルーダはお互いのライブラリーを切削した後にその中のCMC偶数のクリーチャーを戦場に出す。自身のライブラリーから廃品回収者が飛び出して即コンボに突入することができるというわけだ。コンボの性質上、切削によりコンボパーツのダイアモンドが墓地に落ちても問題ないというのがクールだね。
ジャイルーダも廃品回収者も、レガシーの基準で見ると重めのカードなので、デッキ内にはマナを加速する要素がズラリ。デメリットがあるも2マナ生み出す土地はもちろん、《水蓮の花びら》《オパールのモックス》などを用いて序盤にコンボを決められるように動いていく。
《ライオンの瞳のダイアモンド》は手札にあるカードを唱えるためのマナ加速として用いることはできないが、相棒であるジャイルーダとの相性は○。複数枚ダイアモンドを引いた際などは、手札を捨ててでも一気に9マナ以上を得て、{3}支払ってサイドボードからジャイルーダを手に加えてから唱えるというクールすぎるプランも狙える。《思考囲い》などで廃品回収者が抜かれてもマナ加速さえ揃っていればコンボは決められるのだ。
ちなみにコンボの決まり手はあふれ出るマナを《歩行バリスタ》に注ぎ込んでの大ダメージとなっている。
クールポイントその2:カーンとウルザはCMC偶数である
アーティファクトをキーとしており、《古えの墳墓》《裏切り者の都》を採用しているデッキであれば自ずと選択肢に躍り出てくるのが《大いなる創造者、カーン》。
彼は4マナでジャイルーダ問題をクリアしているため、もちろんデッキに入る。ダイアモンドやバリスタといったコンボのために必要なカードから、自身の常在型能力と組み合わせて相手を封じる《マイコシンスの格子》《液鋼の塗膜》、特定のデッキに突き刺さる《エーテル宣誓会の法学者》や《トーモッドの墓所》など繋がる選択肢は無限大。
ジャイルーダと併せて、常に75枚のデッキで戦っているようなものだ。
このカーンの生みの親と言えばウルザ。《最高工匠卿、ウルザ》も4マナなので何の問題もなくデッキに入り、ジャイルーダでめくれて嬉しい当たり枠を増やしてくれる。
単体でもアーティファクトの数だけのパワー/タフネスを持つトークンを引き連れて高い打点で攻めていける1枚であり、アーティファクトからマナを出す能力で重いカードを唱えるのも熱烈にサポート。さらに無限マナからのフィニッシュとなる{5}能力と隙がない。ウルザとカーンの夢の共演をジャイルーダが仲介する、なんとも言えない絵面もクールだ。
クールテクニック!
多くの{0}を含むCMC偶数のカードばかりで作られたデッキだが、《罠の橋》は{3}とCMC奇数だ。
これは《大いなる創造者、カーン》を用いる際の裏技で、メインデッキさえ偶数のカードで構成されていればジャイルーダは文句を言わずに相棒となってくれる。《真髄の針》《墓掘りの檻》などのカードもサイドボードに用意できるので、自身の周囲の流行デッキに合わせてCMC奇数でも気にせずにベストでクールな陣容を揃えておこう。
さらなるクールのために
このコンボデッキの勝ち手段の1つとして《Lodestone Bauble》を使うのはかなりクールだ。
プレイヤーの墓地にある基本土地を最大4枚対象としてそのプレイヤーのライブラリーの上に置く、次のアップキープの開始時にそのプレイヤーはカードを1枚引くという能力を持っている。相手の墓地に基本土地が0枚だったとしても対象なしという形で能力を起動できるので、延々拾っては投げ続けて次のアップキープにライブラリーを引き切らせて勝利するってわけだ。ジャイルーダで落ちたものをそのまま拾って勝利できるのでスマートでありクールな選択肢だ。
クールなまとめ
何かひとつのテーマのもとにカードが結集しているデッキはクールだ。0は偶数であるという点に注目し、《ライオンの瞳のダイアモンド》などのマナ加速、デッキ圧縮用の《ウルザのガラクタ》《ミシュラのガラクタ》、レガシー定番の行動妨害《虚空の杯》と強力なカードで固めつつ、ジャイルーダを相棒にし、必殺コンボも備えているという。完成度がクールすぎてたまらないね。
こういうコンセプトの時点で惚れさせてくれるクールなデッキを今後とも世に送り出してほしいもんだねぇ。それじゃあまた来週。Stay cool!!
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