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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:グリクシス変容(スタンダード)

岩SHOW

 今週のCool Deck!! いや~始まりましたね新企画。こういうその場のノリで思いついたシリーズが続いた試しがないデイリー・デッキ。今回こそ本気で継続していくのか? それは自分自身でもわからない! とりあえず「今週の」と言ったは良いが毎週やるかも不明! まあ、気楽に読めるコラムを目指してるんで、脱力してやっていけたらなという精神には変わりないです。今後ともよろしくね。

 さて、Cool Deckのコーナー。これはデイリー・デッキを書くために日々世界中のデッキリストを読み漁っている私、岩SHOWが「これはクールなデッキだな!」と思ったものをピックアップし、何がどうクールなのかを説明していく。ただそれだけです。

 通常回とやっていることはあまり変わらないようには思うけれども、It’s so cool!!と思わず叫びたくなってしまいそうなデッキを特別に取り上げる、強さとか実績とかも大事だけども何よりもクールさを重視して選んだデッキを紹介したいと考えている。うだるように暑い日々が続く日本の夏、残暑。これを吹き飛ばしてくれそうなクールなデッキはないかという個人的な想いがコーナー誕生のきっかけだ。

 あんまり説明しすぎること自体、クールじゃない気もする。野暮ですよ無粋ですよってね、それじゃあ早速クールなデッキを見てもらおう!

Tyler D - 「グリクシス変容」
Red Bull Untapped International Qualifier VI / スタンダード (2020年8月22日)[MO] [ARENA]
3 《
3 《
3 《
4 《湿った墓
4 《血の墓所
4 《蒸気孔
1 《ゼイゴスのトライオーム
2 《寓話の小道
-土地(24)-

4 《漆黒軍の騎士
4 《無法の猛竜
4 《両生共生体
4 《海駆けダコ
4 《永遠羽のフェニックス
4 《強欲な血喰い
3 《ヤマオウム
1 《哀歌コウモリ
4 《飛びかかる岸鮫
4 《石とぐろの海蛇
-クリーチャー(36)-

-呪文(0)-
1 《集めるもの、ウモーリ
-相棒(1)-

3 《紺碧のドレイク
2 《エンバレスの盾割り
2 《哀歌コウモリ
4 《唱え損ね
3 《炎の一掃
-サイドボード(14)-
mtgmelee より引用)
 
このクールなデッキは?

 「グリクシス変容」、よりクールに呼ぶのであれば「グリクシス・ミューテート」。

 グリクシスとは青黒赤の3色。3色のマナごとに5つの断片に分かれたアラーラ次元、その同色の断片名がその由来だ。

 変容はそのまま変容能力を指す。『イコリア:巨獣の棲処』が初出のクリーチャーが持つ能力だね。変容コストを支払って唱えることで、そのクリーチャーカードを人間でないクリーチャーの上か下に重ねて、能力を共有した1つのクリーチャーにすることができるという、マジック史でも類を見ない特殊な能力だ。このメカニズム自体がもうクールだよな。

 グリクシスカラーのクリーチャーで変容しまくる! さまざまな怪物の特性を併せ持った自分だけの大怪獣を作ろう!

どこがどうクールなのか?

クールポイントその1:グリクシスなのに……

 先にも触れた通りグリクシスカラーのデッキである。この3色で構成された歴代のデッキと言うと、その多くがコントロールデッキだ。クリーチャーの数は極力少なく、赤と黒が得意とするクリーチャー除去に青の打ち消し、そして青と黒のドローに各色の爆発力を併せ持ったフィニッシャー……

 しかし、リストを見てもらえばわかる通り、このデッキはそんなグリクシスのテンプレから大きく逸脱した、クリーチャー主体の……というかメインデッキは土地以外にクリーチャーしか入っていない! 《集めるもの、ウモーリ》を相棒にして、クリーチャーを変容させて勝つことしか考えていない! その姿勢たるやクール!

 ウモーリもそうだが、このデッキは《無法の猛竜》《両生共生体》とクリーチャーのコストを軽減する面々が揃っている。

 これらの能力は変容コストも軽減するので、早いターンからガシガシ変容させることを後押ししてくれるぞ!

クールポイントその2:変容、変容

 変容すると、クリーチャーは一番上にあるカードにその下のカードが持つ能力がすべて与えられる。これによりトランプル・飛行・接死などのキーワード能力から、《漆黒軍の騎士》が持つ起動型&誘発型能力などを併せ持ったクールなクリーチャーを生み出すことが可能だ。

 それで戦闘を有利に進めて勝つのが狙いだが、変容持ちには他にも「このクリーチャーが変容した時○○する」という能力を持ったものが多い。《飛びかかる岸鮫》《哀歌コウモリ》は変容するたびに相手のクリーチャーを除去し、《永遠羽のフェニックス》は羽根・トークンを生成し戦場に戻ってくる手段を確保する。

 そして《強欲な血喰い》は変容する度に相手のライフを失わせ、こちらはそれに等しいライフを得る。その値はそのクリーチャーが変容した回数分。つまり血喰いをベースにしたクリーチャーに変容させまくれば、攻撃せずとも相手のライフを吸い尽くして勝利することも可能だ!

 変容回数を参照するカードとしては《ヤマオウム》も。

 バシバシにダメージを与えて相手のクリーチャーを根絶やしにしようとするこのオウム、そもそも《強欲な血喰い》と変容すれば接死を持ってダメージの値に関係なく問答無用で破壊しまくる虐殺者(ジェノサイダー)が誕生するッ! アメージングなクールさだ!

クールポイントその3:怪獣王の好敵手たち

 変容カードは、そのすべてが通常版と異なる別のイラスト版が存在する。アメコミ風のイラストのもの、そしてあの東宝の怪獣映画「ゴジラ」シリーズに登場する怪獣たちの姿が描かれたものだ! アメコミ風のクールさはもちろんのこと、ゴジラ版は……超絶Coooolだッッ!!

 このデッキであれば《永遠羽のフェニックス》が《完全生命体、デストロイア》、《哀歌コウモリ》が《暗黒破壊獣、バトラ》としてプレイすることが可能だ。

 どちらも平成のシリーズでゴジラの敵として登場し死闘を繰り広げた名怪獣、好敵手! そしてそんな怪獣たちと、愛らしい《新たなる災厄、ベビーゴジラ》も共存しているのがこれまたクール。カードをプレイするだけでワクワクする、クールなデッキの条件を一つ完全に満たしているね。

クールテクニック!

 変容はどれだけ重ねてもクリーチャーのパワーとタフネスが合計されることはない。あくまで能力の共有であり、サイズは一番上のカードに準拠する。

 しかしながら例外として、基本のスタッツが0/0で+1/+1カウンターが置かれて出るクリーチャーに変容した場合、カウンター自体は継承されるので上になったクリーチャーのサイズ分デカくなるという現象が起こる。このリストで言うなら《石とぐろの海蛇》だ。

 適当なサイズの海蛇で攻撃しブロックされたり、あるいはブロックした後に瞬速を持った変容クリーチャーを変容させると……美味しくクールに返り討ち!

 逆にクールじゃないのでなるべく避けたい状況は《無法の猛竜》に《強欲な血喰い》を変容すること。接死を得るので、猛竜の持つ後続のクリーチャーに2点ダメージを与える能力が致命傷となってしまう。気を付けろ!

さらなるクールのために

 かなりクールなリストであるが、より貪欲にクールさを追求するのであれば……伝説の変容クリーチャーも採用してみよう。《願いの頂点、イルーナ》だ。

 変容した際にライブラリーの上から土地以外がめくれるまで公開し、それを戦場に出すか手札に加えられる。運の要素はからむが、いきなりわけのわからない盤面に持ち込んで勝ちに持っていける爆発力はクールそのもの!

 {G}が必要そうに見えるが、変容する場合は{1}{R}{U}{U}さえあればOKなのも隠れクール! もちろん《ゼイゴスのトライオーム》に加えて《ケトリアのトライオーム》も採用して、素出しもできるように備えておけば隙のないクールなデッキに仕上がるぞ。

クールなまとめ

 初回から実にクールなデッキが紹介できて満足である。今回はスタンダードの「グリクシス変容」を紹介した。今後もスタンダードに限らず、あらゆるフォーマットで「これはクールだな」と思えるリストと出会えたら取り上げていくのでよろしくゥ!……よっぽど不評じゃない限り、続くと思うよ。うん。クールな反応、待ってるぜ!

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