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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ドレッジの可能性(モダン、スタンダード)

岩SHOW

 『基本セット2021』で新たに増えたマジック用語、切削。ライブラリーを墓地に置くというアクションをこれからは「切削する」と言うようになる。

 これまでも「ここでライブラリー削って」とかそういう風な表現をすることが多かったので、違和感なく受け入れられる変更だ。個人的にカードを引いてから捨てたり切削したりして、ライブラリーをドサドサと墓地に落としていくことを「掘削するぞ~」なんて表現していたものだが、今後はそれも的外れなフレーズじゃなくなるってわけだ。切削の削と……発掘の掘でね。

SodekMTG - 「ドレッジ」
モダン (2020年7月8日)[MO] [ARENA]
1 《
2 《血の墓所
2 《踏み鳴らされる地
1 《聖なる鋳造所
3 《沸騰する小湖
2 《血染めのぬかるみ
2 《樹木茂る山麓
1 《乾燥台地
2 《銅線の地溝
1 《真鍮の都
1 《忘れられた洞窟
1 《宝石鉱山
-土地(19)-

3 《ゴルガリの凶漢
3 《ナルコメーバ
4 《秘蔵の縫合体
4 《銀打ちのグール
4 《臭い草のインプ
2 《谷の商人
3 《アゴナスの雄牛
-クリーチャー(23)-
4 《叫び角笛
4 《安堵の再会
3 《壌土からの生命
4 《這い寄る恐怖
2 《強打のらせん
1 《燃焼
-呪文(18)-
1 《爆発域
3 《耳の痛い静寂
3 《稲妻の斧
3 《自然の要求
3 《思考囲い
1 《古えの遺恨
1 《虚空の力線
-サイドボード(15)-
SodekMTG氏のTwitter より引用)
 

 「発掘」とはカードを引くたびに、ライブラリーから引くのではなく墓地にある発掘カードを手札に戻すことに置き換えてもよいというメカニズムだ。

 そのためには規定枚数を切削する必要がある。この発掘をデッキの主軸にしたのが、発掘の英名がそのままデッキ名となっている「ドレッジ」だ。

 発掘カードを墓地に落とした上でドローをする……《安堵の再会》のようなカードを用いてそれを行い、発掘でもりもりと墓地を肥やす。そうすることで《ナルコメーバ》が飛び出し、《這い寄る恐怖》も誘発する。

 《ナルコメーバ》が戦場に出たことで、遅れて《秘蔵の縫合体》ものっそりとやってくる。

 これらの自動的に出てくるクリーチャーや《這い寄る恐怖》でライフを攻め、《アゴナスの雄牛》を脱出させたり、《壌土からの生命》で回収した土地を《燃焼》のフラッシュバック・コストに充てたりしてとどめを刺す。

 これらのアクションを大したマナを支払うことなくやってのけ、またクリーチャー除去などされても簡単に盤面を立て直せるのが「ドレッジ」の強み。特にメインでは対策を持たない相手に一方的なゲーム展開を強いることでも有名だ(その分サイド後は大変だったりする)。

 この「ドレッジ」が最近得た新戦力が《銀打ちのグール》。新たな自動的に戦場に帰還するクリーチャーだ。

 自分のターン終了時、ライフを3点以上得ていた場合に墓地から這い出てくる。マナ不要で戻ってくるのはかなり優秀だ。これもナルコ同様、《秘蔵の縫合体》の能力を誘発させる。で、このグールを戻すための3点回復というのを担ってくれるのが《這い寄る恐怖》。発掘なり切削なりで墓地に落ちたら相手のライフを3点吸い取るこのカードのおかげで、全自動で盤面が形成されるのである。

 もちろん4枚の《這い寄る恐怖》に頼るのは少々枚数が少ないので、《強打のらせん》のフラッシュバックも狙う。

 グールは本人がパワー3あり打点になるのも偉いし、生け贄に捧げてドロー→発掘に置換というテクニックも備えていて隙が無い。今後の「ドレッジ」を支えるパーツとなることだろう。

 この《銀打ちのグール》は何とも使ってみたくなるスペックで、そそられる1枚である。コイツをスタンダードでも墓地から戻して楽しくやれないか?そう考えるプレイヤーは少なくない。《這い寄る恐怖》もスタンダードにあるのだから、決して無茶なお願いでもない。発掘はないが、切削は多数あり! そんなわけでスタンダードに「ドレッジ」ブームの予感!

はまさん@はま屋 - 「ドレッジ」
スタンダード(BO1) (2020年8月4日)[MO] [ARENA]
2 《
2 《
4 《繁殖池
4 《草むした墓
4 《湿った墓
4 《ゼイゴスのトライオーム
4 《寓話の小道
-土地(24)-

4 《マーフォークの秘守り
4 《光胞子のシャーマン
4 《ぬかるみのトリトン
4 《銀打ちのグール
4 《自然の怒りのタイタン、ウーロ
1 《永遠の頂点、ブロコス
-クリーチャー(21)-
4 《無情な行動
4 《ティマレット、死者を呼び出す
3 《悪魔の抱擁
4 《這い寄る恐怖
-呪文(15)-
 

 《マーフォークの秘守り》《光胞子のシャーマン》《ぬかるみのトリトン》《ティマレット、死者を呼び出す》、これらで自分のライブラリーを削りまくる。

 そうすれば《這い寄る恐怖》と《銀打ちのグール》が揃って墓地に落ちるだろう。これらのカードはただ切削するだけでなく、クリーチャーとして主にブロック役としての仕事をこなしてくれる。

 あるいは恐怖グールのコンボでなくても落ちて嬉しいカードとして《悪魔の抱擁》《永遠の頂点、ブロコス》を採用し、これらをつけて殴りに行く役目もこなす。

 6/6トランプルや飛行持ちになれば打点は十分だ。もちろん、グールにこれらのカードを貼り付けて勝ちに行くのも最高だし、除去されてもまたやり直せるしぶとさはまさしく「ドレッジ」のそれだ。

 このデッキでも大暴れするのは《自然の怒りのタイタン、ウーロ》だ。

 序盤はマナ加速役として使っても良いし、その際に3点回復するのがグールの生還を促してなんとも噛み合っている。切削カードから脱出させれば、打点でもアドバンテージでも両面でゲームを支配する強さを見せつけてくれる。切削カードの連打で4ターン目にスッと出てくるのがなかなかにデンジャラス。攻撃する度に3点回復できるので、グールを生け贄に捧げてドローして殴って戻して……と手札が尽きることはもうなくなる。

 このウーロに繋げるために《万面相、ラザーヴ》を用いるリストも見かけた。最速3ターン目から動き出すのは恐怖でしかない。

 回していて楽しいデッキの典型である「ドレッジ」。墓地対策には弱いが、それをどう乗り越えるかというサイドボーディングもまた腕の見せ所である。各自でいろいろとアイディアを練ってほしいね。

 新しくなったスタンダード環境において、とにかく楽しいデッキを!というのであればまずはこれをオススメしよう!

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