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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

グルール・アンシーリング(ヒストリック)

岩SHOW

 最近の赤と緑を見ていて、気付くことはないだろうか。

 セットを越えて、この2色には与えられた1つのテーマがある。「パワー4」だ。発端は『タルキール覇王譚』の緑青赤の3色氏族、ティムールの「獰猛」。パワー4以上のクリーチャーをコントロールしていると効果が増す、あるいはボーナスが得られるといった獰猛カード、その系譜に名を連ねるような「パワー4以上を参照するカード」が、ここ数年の赤と緑にはチラホラと見受けられるのである。

 各々テーマと新能力があるエキスパンション・セットではもちろんのこと、それらが原則ない基本セットでは「赤と緑の組み合わせと言えばパワー4」と言わんばかりのプッシュぶりだ。

 さかのぼること2年前、『基本セット2019』では《サルカンの封印破り》というレアが登場。ドラゴンを信奉するサルカンらしく、高パワーの多いドラゴンに合わせたパワー4以上を参照する能力を持つエンチャントだ。

 そして、4の先のパワー7以上ではさらなる追加効果を得られるようになっている。巨大なドラゴンを叩きつけろというわけだが……実はパワー7以上のドラゴンってのは、そんなにいるものでもない。むしろ緑の非ドラゴン、恐竜などによく見られるサイズだ。少々サルカンの理想とは異なるかもしれないが、生態系の頂点に立つ野蛮で美しい生き物であることには違いない。

 今日はこの《サルカンの封印破り》を用いたヒストリックのデッキを紹介しよう。スタンダード現役のころよりも選択肢が増えて、より強力に運用できるようになった「グルール・アンシーリング(赤緑封印破り)」だ!

COUGARMEAT - 「グルール・アンシーリング」
MTG Arena Zone Historic Open #6・16位 / ヒストリック (2020年7月26日)[MO] [ARENA]
8 《
2 《
4 《踏み鳴らされる地
4 《根縛りの岩山
4 《ギャレンブリグ城
1 《眷者の居留地

-土地(23)-

4 《ラノワールのエルフ
4 《イリーシアの女像樹
4 《砕骨の巨人
4 《鉄葉のチャンピオン
2 《ガラクの先触れ
3 《探索する獣
3 《再燃するフェニックス
3 《峰の恐怖
2 《力の具現、ジローサ
4 《殺戮の暴君

-クリーチャー(33)-
4 《サルカンの封印破り

-呪文(4)-
3 《運命の神、クローティス
1 《ゴブリンの廃墟飛ばし
1 《暴れ回るフェロキドン
2 《変容するケラトプス
1 《水晶壊し
1 《墓掘りの檻
1 《燃えがら蔦
1 《漸増爆弾
4 《嵐の怒り

-サイドボード(15)-
MTG Arena Zone より引用)

 

 《サルカンの封印破り》はパワー4・5・6のクリーチャー呪文を唱えた際、任意の対象に4点ダメージを与える。対戦相手本体に与えればそのクリーチャーに速攻がついたようなもので、プレインズウォーカーやクリーチャーにダメージを与えれば除去になり、カード1枚分以上の仕事を果たす。

 そして唱えたクリーチャーのパワーが7以上だった場合、その時には対戦相手とそれがコントロールするすべてのクリーチャー&プレインズウォーカーに4点ダメージと、その射程が大きく広がる。パワー7の怪物を唱えて、相手の盤面をグシャグシャに崩壊させライフも大きく詰める。それがこのエンチャントを使うデッキが目指すべきゴールだ。そんなわけで赤と緑のパワー4以上の優秀なクリーチャーを詰め込んだのがこのデッキ。

 採用されているものは実に33枚ものクリーチャーと4枚の封印破り。わかりやすい! ぶれない動きでハイパワーなクリーチャーを展開だ。

 パワー4未満のクリーチャーは《ラノワールのエルフ》《イリーシアの女像樹》。

 いずれもマナを生み出してパワー4overズをいち早く戦場に出す助けをするものだ。これらはまた、封印破りの設置も早くしてくれるのがありがたい。封印破り自身を唱えたターンにこれを誘発させるには相当なマナが必要なので難しい。なので素早く3ターン目に置いてしまって、あとはクリーチャー連打で失った1ターンを取り戻すのが理想的な運用だ。ラノワール経由の2ターン目に3マナパワー4展開、というのも先手後手をひっくり返すだけの強さはある展開だ。《鉄葉のチャンピオン》はブロックするのも簡単ではないので、これだけで押し切れる可能性も。

 パワー4以上の打撃力で攻めるのを後押しするのは封印破りのみでなく、《峰の恐怖》も強烈なプレッシャーをかけることだろう。

 これ自身がパワー5の飛行と無視できないパンチ力があり、後続のクリーチャーのパワー分のダメージを任意の対象に与える強烈な火力を誇る。封印破りと組み合わされば、攻撃することなくライフを焼き切れるレベルだろう。

 封印破りか《峰の恐怖》と組み合わせたいパワー7の枠は《力の具現、ジローサ》こと《怪獣王、ゴジラ》、そして《殺戮の暴君》!

 どちらも怪獣の頂点に君臨する、パワフルな恐竜だ。このデッキのクリーチャーはパワー重視なのでタフネスよりもパワーの方が高いものばかりなので、ゴジラの能力で生存率が少し上がるのは嬉しい。封印破りからのゴジラor暴君で盤面を跡形もなく焼き尽くし、ライフを一気に追い込んでやろう!

 やることがシンプルなデッキなので、初心者にも扱いやすく「強い」とはどういうことかを実感しやすいデッキだろう。このデッキはオンラインの参加者100名レベルのヒストリックのトーナメントで、2大会連続でトップ16以上の成績を収めている。《鉄葉のチャンピオン》と《探索する獣》のおかげで、《死者の原野》の出すゾンビトークンやゴブリン・デッキの小さき者たちを無視して殴り勝てるのが最大のセールスポイントのようだ。

 《霊気の疾風》を使うデッキには分が悪いが、それ以外の相手は薙ぎ倒し、踏み潰し、喰らい尽くしてやろう! 戦場ではパワー4以上からが真の捕食者である、その事実に直面させてやるのだ!

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