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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
美味しいところをいただく青白コントロール(スタンダード)
5月中旬。まだまだ顔を向かい合わせてのテーブルトップのトーナメントを開催するには難しい状況ではあるが、オンラインで複数のトーナメントが開催されることで、マジックプレイヤー、特に競技プレイヤーはアツい週末を過ごしたことだろう。
大小さまざまなトーナメントが開催されていたようだが、とりわけハイレベルな戦いが繰り広げられたのは2つ。ミシックインビテーショナルの参加権利を懸けたミシック予選と、賞金制トーナメントである「Red Bull Untapped 2020」(リンク先は英語)の国際予選1だ。
「Untapped 国際予選1」は2日間かけての負けられない戦い、ミシック予選は2敗すると終了でそれまでの間に10勝することで権利獲得と、どちらも並大抵のことでは勝ち抜けないハードな舞台。競技マジックを楽しむにあたってはこの上ないこの2つのトーナメントは、意外なデッキが好成績を収めるという興味深い結果となった。「Untapped」の国際予選1優勝デッキと、ミシック予選の権利獲得デッキに、青白2色のコントロールデッキが見られたのである。
青白2色、2020年初頭であれば違和感はないが、ここしばらくは鳴りを潜めていたデッキだ。青白と言えば《空を放浪するもの、ヨーリオン》。
ヨーリオンの能力と相性の良い構築を突き詰めた結果、《創案の火》や《銅纏いののけ者、ルーカ》を加えた青白赤の3色デッキだったり、あるいは緑を加えたものだったりと、そのカラーバリエーションは豊富ではあるが、青白2色にシンプルにまとめているものがそれらを押しのけて勝利するとは。思えば青白コントロールって、環境の強いデッキが出そろったところでそれらに打ち勝てるように組まれ、こういう大舞台で花を咲かせるというのが昔からの定番ではあるな。
そんなわけで今日は2つの青白のリストを見ていただこう、その違いからも学ぶことはあるはずだ。
9 《島》 6 《平地》 4 《神聖なる泉》 4 《啓蒙の神殿》 2 《ヴァントレス城》 3 《アーデンベイル城》 1 《廃墟の地》 4 《寓話の小道》 -土地(33)- 4 《厚かましい借り手》 2 《夢さらい》 -クリーチャー(6)- |
4 《海の神のお告げ》 3 《メレティス誕生》 2 《ガラスの棺》 2 《ドビンの拒否権》 4 《吸収》 4 《神秘の論争》 1 《払拭の光》 4 《空の粉砕》 3 《薬術師の眼識》 3 《エルズペス、死に打ち勝つ》 4 《サメ台風》 4 《時を解す者、テフェリー》 3 《覆いを割く者、ナーセット》 -呪文(41)- |
1 《空を放浪するもの、ヨーリオン》
-相棒(1)- 3 《太陽の恵みの執政官》 3 《霊気の疾風》 2 《ドビンの拒否権》 2 《物語の終わり》 1 《ガラスの棺》 3 《太陽の神のお告げ》 -サイドボード(14)- |
まずは「Red Bull Untapped 2020 International Qualifier I」優勝デッキから。
青と白の2色からなるコントロールデッキではテンプレとも呼べるような、オーソドックスなスタイル。脅威を未然に防ぐ打ち消し呪文、全体クリーチャー破壊と万能パーマネント除去、それらを引き込んで常に相手の行動に対処できるようにするドロー、そして攻勢に回り勝利を手にするためのフィニッシャー……古よりマジックを楽しんでいるプレイヤーであれば、《対抗呪文》と《神の怒り》で遊んでいた頃を思い出しそうなリストだ。
《海の神のお告げ》《エルズペス、死に打ち勝つ》、そしてプレインズウォーカーたちをヨーリオンで追放し戻して再利用することで、大きく相手とのカード枚数の差をつけて勝負を決める。
メインから4枚の《空の粉砕》や回復付きの打ち消しである《吸収》を採用するなど、どちらかといえば対アグロデッキにおいて本領を発揮するように調整されているようだ。
9 《島》 6 《平地》 4 《神聖なる泉》 4 《啓蒙の神殿》 4 《ラウグリンのトライオーム》 2 《ヴァントレス城》 2 《アーデンベイル城》 2 《爆発域》 3 《寓話の小道》 -土地(36)- 4 《厚かましい借り手》 -クリーチャー(4)- |
4 《海の神のお告げ》 2 《メレティス誕生》 4 《ドビンの拒否権》 2 《本質の散乱》 2 《否認》 1 《物語の終わり》 4 《神秘の論争》 2 《悪意ある妨害》 1 《中和》 3 《太陽の神のお告げ》 2 《空の粉砕》 1 《エルズペス、死に打ち勝つ》 4 《サメ台風》 4 《覆いを割く者、ナーセット》 4 《時を解す者、テフェリー》 -呪文(40)- |
1 《空を放浪するもの、ヨーリオン》
-相棒(1)- 3 《魂標ランタン》 2 《霊気の疾風》 2 《神秘の制圧》 2 《否認》 1 《ガラスの棺》 1 《ヘリオッドの神罰》 2 《空の粉砕》 1 《時の一掃》 -サイドボード(14)- |
対してミシックインビテーショナル権利獲得デッキは、同じ青白でも構成は大きく異なる。多種多様な軽量の打ち消し呪文を採用し、より構えて動くことを意識した作りになっている。唱えること自体が隙の大きい《エルズペス、死に打ち勝つ》の枚数を1枚に抑えていることが象徴的だ。
ついついヨーリオンデッキとなると《エルズペス、死に打ち勝つ》のような使いまわして美味しいパワーカードを入れたくなってしまうが、そこまでやらなくてもプレインズウォーカーを使いまわすだけで十分勝利できるということだろう。
そのプレインズウォーカーの中でも大きく勝敗に関わってくる《時を解す者、テフェリー》。対戦相手にこれを通されるだけで無駄になるカードが多数出てくるので、それだけは許すまいと《ドビンの拒否権》などで身を固めており、どちらかというとヨーリオンや《創案の火》を用いるデッキに対抗することを意識している形だ。
どちらのデッキにもフィニッシャー兼除去として採用されている《サメ台風》。
サイクリングでトークンを生成する能力をより活かし、打ち消しを構えながら相手の終了時にサメや《太陽の神のお告げ》でトークン生成、あるいは《厚かましい借り手》を展開し、これらでライフを着実に詰めながら相手の反撃を打ち消し続けるのが黄金の勝利パターン。
言うのは簡単だが、これを実行するのは難しい。より上級者向けのリストと言えるね。
他にも土地とドロー呪文の枚数など、これらのリストには違いがあるのでそのあたりを眺めながら熟考することも構築の楽しい瞬間だ。青白2色にまとめたシンプルなヨーリオンデッキの登場で、今後のスタンダードはどのような様相を呈していくのか。いや~まだまだ新デッキが登場しそうで、ワクワクするね。
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