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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ザーダ・エルフ(モダン)

岩SHOW

 イコリア次元はマジックでは非常に珍しく、人間以外に文明を形成する種族が存在しない。巨獣と人間の対立構図、そして人間の中にも巨獣と心通わせるものがいることを描く際に、マーフォークやゴブリンなどの半分自然の中で生活している種族がいると、少し印象がぼやけてしまうということもあるのだろう。

 そのおかげで、このセットはよりドラマチックなものになったんじゃないかと個人的には捉えている。例えば非常に多くのセットで森林に生息し、木々や獣たちと心通わせて活きるエルフがいたんじゃあ、イコリアの歴史もまた違ったものになっていたことだろうね。

 逆にエルフのプレインズウォーカーがこの次元に来たら、巨獣たちの姿を見てテンションが上がったりするのだろうか。そういう妄想が進むのも、マジックの背景世界の良いところだなぁ。

 今日はイコリアの獣とエルフが出会ったらどうなるのか、それを体現したようなデッキを紹介しよう。

Leyline_of_the_Cat - 「ザーダ・エルフ」
Magic Online Modern League 5勝0敗 / モダン (2020年4月30日)[MO] [ARENA]
1 《冠雪の森
1 《冠雪の平地
3 《寺院の庭
4 《吹きさらしの荒野
4 《剃刀境の茂み
3 《地平線の梢
1 《魂の洞窟
-土地(17)-

4 《ラノワールのエルフ
4 《エルフの神秘家
4 《遺産のドルイド
4 《ジョラーガの樹語り
4 《献身のドルイド
4 《エルフの大ドルイド
3 《背教の主導者、エズーリ
2 《養育者、マーウィン
-クリーチャー(29)-
2 《大祖始の遺産
4 《集合した中隊
3 《豊穣の力線
1 《召喚の調べ
4 《暗黒のマントル
-呪文(14)-
1 《黎明起こし、ザーダ
-相棒(1)-

2 《ブレンタンの炉の世話人
1 《クァーサルの群れ魔道士
3 《夏の帳
2 《流刑への道
2 《外科的摘出
1 《人生は続く
1 《天界の粛清
2 《内にいる獣
-サイドボード(14)-
 

 一見、何の変哲もないエルフデッキに見える。フォーマットはモダンだ。モダンでエルフと言えばフォーマット設立から今日に至るまで、好きなプレイヤーがずっと使用し続けているイメージのあるデッキで、どちらかと言うと派手さはないが堅実に強いデッキ、そんな風に認知されているのではないかな。

 このリスト、メインには獣の姿はない。ということはサイドボードの1枚が相棒クリーチャーってことだ。あまりもったいぶってもしょうがないので、そのカードは《黎明起こし、ザーダ》!

 マナ能力でない起動型能力のコストを{2}軽くしてくれるこの狐、相棒にする条件としてデッキ内のパーマネント・カードがすべて起動型能力を持っている必要がある。その点エルフであれば、非常に多くのカードがタップすることでマナを生み出す能力を持っているから、組み合わせるのには無理がない。既存のエルフ・デッキをチョイといじればサクッと「ザーダ・エルフ」に変換可能だ。

 ……って、そもそもエルフデッキはマナを出すのが得意。そのマナを使うデッキにザーダを相棒に据えて、能力の起動コストが軽くなるとはいえ何か意味はあるのか?と疑問に思うのは自然なこと。このデッキは確かにザーダなしでもエルフを展開して《遺産のドルイド》などから多くのマナを得て、《背教の主導者、エズーリ》の能力を複数回起動してトランプルを持った巨大なエルフを創り出して圧殺するというフィニッシュまで持っていける。

 ここにザーダが加わることでどうなるのか? それはエルフが集団にならずとも大量のマナを生み出すことが可能になる、なんだったら無限に生み出せるという、さらなるエンジンの確保である。ザーダで起動コストを軽くしたいカードとはズバリ、《暗黒のマントル》だ。

 {3}と装備しているクリーチャーをアンタップするという珍しいコストを支払うことで、装備しているクリーチャーに+2/+2修整を与えるという、疑似的に警戒を与えつつサイズアップを狙える面白いカードである。このアンタップとともに支払う{3}が、ザーダがいれば{1}になる。つまり、《ラノワールのエルフ》に装備させれば……タップしてマナを出し、そのマナでマントルのコストを支払ってアンタップ、またタップして……という工程を望むだけ行える。無限パンプアップ! そのエルフが《エルフの大ドルイド》のように2マナ以上生み出せるものであれば無限マナ発生と相成るのだ。

 《献身のドルイド》でもタップしてマナ、自分の能力で-1/-1カウンターを置いてアンタップ、タップしてマナ、マントルの能力でアンタップ、タップしてマナ、自分の能力で……と繰り返すことで無限マナ。

 とにかく、無限にマナが得られるってわけだ。そりゃあ緑単色のエルフにザーダだけ足すという選択肢も生まれるってなもんだ。

 無限マナを達成したら、先にも触れた《背教の主導者、エズーリ》の能力を起動してフィニッシュだ。あるいは無限マナと同時に無限にサイズ上昇もするので、《暗黒のマントル》をどんどんとつけ替えていって自軍のマナを出すエルフ全員を超生物に育てて無理やりねじ込むってのも手だね。

 エルフから出せるマナを増やすことでコンボのサポートをする《豊穣の力線》も、大量に得たマナを注いで自軍全員を強化する立派なフィニッシャーでもある。相手の妨害もあってマナが有限であっても、ザーダの能力で起動コストが下がれば随分と使いやすくなることだろう。

 狐とエルフ、なんとなくファンタジー世界に生きるエルフたちは森の住人に囲まれていて、その中に狐もいる図が思い浮かびがちではないかな。《僻境生まれの保護者》《オークヘイムのレインジャー》など、まんま狐とともに行動しているエルフもいるくらいだし、この種族は相性が良いのも納得か? ザーダの能力もかなり可能性に満ちているものなので、各フォーマットで起動型能力を軸にしたコンボの探究を楽しんでほしいね!

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