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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
青単信心、再臨(パイオニア)
2019年もあっという間に最終月に突入し、残すところわずか。もう年内にマジックの新商品が発売されることはない。今年もいろいろと濃いセットが出ましたなぁ……来年も今年に負けず劣らず楽しく新しいマジック体験を提供してくれるセットに期待!
そのトップバッターとなるのは『テーロス還魂記』、かつての『テーロス』ブロックの舞台が再び取り上げられる。最近マジックをやり始めたプレイヤーからするとどういう世界観なのかあまりわからないことだろう。なのでちょっと触れておこう。
テーロスとは神々が住まう次元である!……と大げさに言ったところで、もうアモンケットにもいるしラヴニカにも猪の神様いるしなぁとプレミア感はあまりないな。でも『テーロス』で初めて神というクリーチャータイプと、各色の5柱の神が公開された時にはビックリしたもんだ。ついに神なるものが出てきたかぁとね。
これらの神カードは使用する者の信心を試してくるデザインになっている。信心=自分がコントロールしているパーマネントのコストに書かれている有色マナ・シンボルの数であり、最初の5柱の神はそれぞれの色への信心が5以上なければクリーチャーとして働かず、ただのエンチャントになってしまうという能力を持つ。すなわち、単色のデッキで有色マナ・シンボルを多く含むパーマネントを扱ってクリーチャー化させろということだ。
その中でもコストが最も軽かったのは《海の神、タッサ》。
たった3マナで5/5破壊不能という破格のボディの持ち主だ。タッサの強いところはクリーチャー化していなくても十分強いという点で、毎ターンのドローを占術で調整しつつ、2マナ支払えばクリーチャーがブロックされなくなるという起動型能力で、これだけでも十分に戦っていける。もちろんクリーチャー化して自分自身に能力を起動すれば、あっという間にゲームエンドだ。
タッサは《凍結燃焼の奇魔》《夜帷の死霊》と脇を固めるシンボルの濃いクリーチャーに恵まれたことで「青単信心」というデッキを成立させ、競技シーンでも大活躍だった。
そしてこのデッキにはタッサだけではなく、もう1つデッキの顔とも言える決定力の高いカードがあった。《波使い》である。
一見平凡な名前であるが、青への信心の数だけエレメンタル・トークンを生成する能力は超強力。これで一気に戦場を分厚くして、次のターンの総攻撃でゲームエンドを狙う豪快さったらなかったなぁ。
昔を懐かしむように言ってみたが、この《波使い》とタッサは舞台がテーロスに戻るのに一足先にまた活躍し始めている。そう、パイオニアだ。
新しくなった「青単信心」のリストを見てみよう!
21 《島》 1 《ヴァントレス城》 -土地(22)- 4 《雲ヒレの猛禽》 4 《セイレーンの嵐鎮め》 4 《潮流の先駆け》 4 《マーフォークのペテン師》 2 《厚かましい借り手》 4 《大嵐のジン》 2 《海の神、タッサ》 4 《波使い》 2 《老いたる者、ガドウィック》 -クリーチャー(30)- |
4 《執着的探訪》 4 《魔術師の反駁》 -呪文(8)- |
2 《呪文貫き》 4 《霊気の疾風》 3 《否認》 3 《幻惑の旋律》 2 《夢を引き裂く者、アショク》 1 《記憶の熟達者、ジェイス》 -サイドボード(15)- |
《海の神、タッサ》をクリーチャーとして顕現させるため、そして《波使い》のバリューを最大限に引き出すため、パイオニア環境のありとあらゆる青マナ・シンボルの濃いクリーチャーが大集合だ。
ちょっと懐かしの《大嵐のジン》や、スタンダード現役バリバリの《老いたる者、ガドウィック》などは、まさしく信心デッキで使えと言わんばかりのシンボル持ちだ。これらのクリーチャーは単発でも十分戦えるので、信心カードのためだけに歪んだ構築になっていないのが素晴らしい。
1ターン目の理想は、スタンダード時と同じく《雲ヒレの猛禽》スタート!
これ自身はパワーが0ながら飛行持ち、そしてこの後にクリーチャーが出てくれば+1/+1カウンターを得て強くなる。そのクリーチャーが自分よりもパワーかタフネスが高くなければいけないのだが、《海の神、タッサ》《大嵐のジン》たちの方がまずデカいのでそこの心配は無用だ。
2ターン目のアクションとしてはマーフォークが2種類。《マーフォークのペテン師》《潮流の先駆け》、どちらも相手のクリーチャーに接触する能力を持っている2/2という点で共通している。
ペテン師は相手のクリーチャーをタップし、先駆けはタップ状態のクリーチャーをオーナーの手札に戻す。ということは、これらのクリーチャー2体は組み合わせることで相手のクリーチャーをしばらく封じることが可能ってことだ。時間を稼ぎつつこれらが並び、信心が溜まる。う~ん、理想的ッ。
これらのタップ&バウンス能力は、このデッキのアドバンテージ源である《執着的探訪》を付けたクリーチャーの攻撃をねじ込むためにも使っていきたいところだ。
もちろんタッサの「ブロック不可」能力で通すのも強いぞ。なんだかこのオーラもすっかり懐かしいなぁ。
懐かしいと言えば《魔術師の反駁》。
先に触れたマーフォークたちにガドウィックに《波使い》、それにこれまた懐かしい《セイレーンの嵐鎮め》と、計18枚ものウィザードを擁しているので実質《対抗呪文》として運用することができるだろう。相手の致命的な呪文に焦点を絞って、これと嵐鎮めで相手のアクションを打ち消して有利なゲームをひっくり返されないように立ち回ろう。
《海の神、タッサ》と《波使い》は使っていて楽しく強い、実にバランスの良いカードなので、ぜひとも一度は使ってみてほしい。『テーロス還魂記』では再び信心に関する能力や、新しいデザインを与えられた神たちがカード化されるのだろうか? 今から実に楽しみである。こんな話をしているうちに年が明けてプレビューが始まるんだろうなぁ。
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