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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

セレズニア・ヒューマン・ナイト(パイオニア)

岩SHOW

 始まったばかりのフォーマット。可能性に満ちたその大海原に眠る、前人未到のパワーカードを見つけた時の喜び。筆舌に尽くしがたいものだろう。それを用いた新たなるデッキで勝利する、発見者だけの特権である。

 この冬、パイオニアという未開の大地を舞台に、プレイヤーズツアーへの参加権利を懸けた予選が多数開催されている。それらの上位デッキリストの中には「こんなカードそういえばあったな」「え、これが強いのか」と驚かされるものが毎回のように存在し、見ているだけのこちらまでワクワクさせてくれるのだ。

 中でも、11月30日のMagic Online予選を通過したものは格別だった。あったあった懐かしいなぁという気持ちにさせてくれる、あるカードが最終兵器だ。それじゃあリストを見てみよう!

Phill_Hellmuth - 「セレズニア・ヒューマン・ナイト」
Magic Online Pioneer PTQ #12033250 優勝 / パイオニア (2019年11月30日)[MO] [ARENA]
7 《平地
4 《寺院の庭
4 《陽花弁の木立ち
1 《梢の眺望
1 《アーデンベイル城
3 《変わり谷

-土地(20)-

4 《不屈の護衛
4 《尊い騎士
4 《白蘭の騎士
4 《サリアの副官
4 《立派な騎士
3 《善意の騎士
4 《評判高い挑戦者
4 《優雅な鷺の勇者

-クリーチャー(31)-
4 《むかしむかし
4 《ベナリア史
1 《忠誠の円環

-呪文(9)-
1 《平地
1 《変わり谷
2 《鬼斬の聖騎士
3 《石の宣告
3 《霊気のほころび
2 《ドロモカの命令
3 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン

-サイドボード(15)-

 

 白メインに緑を足した、ザックリまとめるならば「セレズニア・アグロ」とでもなろうデッキ。このデッキのその最終兵器というのが《優雅な鷺の勇者》! ほぼこれだけのために緑が足されているのだ。

 『異界月』にてエルドラージ化する者たちに対抗する天使や人間側を代表するレアとして登場。3/3飛行に瞬速・絆魂というスペックに加えて、戦場に出た際に人間を強化する能力を有している。というわけで人間デッキで使うべきカードである。

 同時に、自身は騎士でもある。人間であり騎士でもあるカードは『エルドレインの王権』でも見られるようにかなり多い。それらの中から選りすぐりを集め、騎士シナジーとこの懐かしのレアの一押しで勝とうとするデッキなのである。「セレズニア・ヒューマン・ナイト」? 長くなっちゃうね。「緑白人間騎士」の方がまとまりが良いか。

 デッキとしてはいたってシンプル、1ターン目から騎士たちを並べていって殴る殴る殴る! ローテーションの関係でかなわなかった《不屈の護衛》と《尊い騎士》の1マナ2/1コンビ8枚体制で、1ターン目からガツガツと攻めていけるぞ。

 軽い騎士が多ければ《立派な騎士》も活きてくるってなもんだ。

 戦場に騎士と人間が揃ったら、そこで繰り出すのが《サリアの副官》!

 すべての人間に+1/+1カウンターを置き、後続の人間はこれ自身を大きくする。タイプは騎士ではなく兵士なので《ベナリア史》《評判高い挑戦者》などの恩恵は受けないが、《立派な騎士》から出てくる人間・トークンとシナジーを形成するのは無駄がなくて偉い。

 上記のカードで盤面を作り上げたら、クライマックスは《優雅な鷺の勇者》を滑り込ませたり《ベナリア史》のⅢ章能力で強化したりして一気にガツン! 《優雅な鷺の勇者》は絆魂も与えるので、対クリーチャーデッキの殴り合い時にはうまく使ってライフレースをまくってやろう。ブロック指定後に投げつけるのが効果的だ。

 この手の部族系のデッキの常として、戦場を作り上げてナンボという構成が時として弱点になる。《至高の評決》《絶滅の星》といったカードで盤面崩壊、そこから立て直せなくて形勢逆転……これだけは避けたい。《不屈の護衛》で破壊不能を与える、《ベナリア史》や《忠誠の円環》を出しておく、軽い騎士とセットで《評判高い挑戦者》をしっかりと手札に持っておく、そもそも過剰なまでに展開をしない……などなど、プレイングで最悪の事態は避けられるし、逆に全体除去1枚で完敗ということにはならないはずなので、上手く立ち回っていきたいところだ。

 このリストの問題は、パイオニアがまだ混沌としている時期に作られたものなので、現在そのまま使えないという点。12月2日の禁止告知により、《むかしむかし》が使用不可になってしまったのだ。

 そんなわけで、4マナのカードを用いながらも土地は20枚まで切り詰めた構築というのは、少し厳しいものがあるかもしれない。土地の枚数を増やしつつ《優雅な鷺の勇者》の枚数も調整した方が良いかもしれない。一応、《白蘭の騎士》を効果的に用いることができれば土地2枚の手札をキープしつつ3マナ以上のカードを唱えることも難しくはない。いっそのこと白単にして《ベナリアの軍司令》と入れ替えるという堅実なプランもある。

 いろいろと悩みながら理想のリストを見つけてくれればと思うね、その悩みこそがマジックの楽しさのひとつなのだから。

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