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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ノーレッド・ホガークヴァイン(モダン)
強いカードってやつは、デッキを生み出し続けるものだ。かなり完成度が高いデッキが誕生し活躍しても、それだけに留まらず派生形をどんどん生み出し続けるもの。それこそが真の強者だ。デッキに色を足して複雑化させていくのも良いが、よりシンプルにまとまっていく様を見ると、カードパワーが本物なのだということをより思い知らされる。素材が良いから塩焼きにするだけで十分に美味しいとか、そういう感じ。
最近話題のパワーカードといえば《甦る死滅都市、ホガーク》。
このコラムでも週1くらいのペースでホガークデッキを紹介している。墓地から唱えられ、マナを支払わずに戦場に出てくる8/8トランプル。早ければ2ターン目には初期ライフの三分の一を持っていく大怪物って、何度テキストにしてみてもヤバさを感じるよね。
こいつを使うにはとにかく墓地にカードを落とす必要がある。
《縫い師への供給者》《サテュロスの道探し》など、戦場に出た際にライブラリーから墓地にカードを落とす能力持ち(これらは召集のタネにもなる)に加えて、ライブラリー削りに特化した《面晶体のカニ》、手札からカードを捨てるのにはベストな《信仰無き物あさり》……このあたりを使ってホガークや《復讐蔦》を墓地に落として2~3ターン目に戦場を修羅の領域に変えてしまう「ホガーク・ヴァイン」は、すっかりモダンの最有力デッキの一つになっている。
このデッキは上述のカードを使うのが当たり前、特に《信仰無き物あさり》は手札に来てしまったホガークや蔦を捨てられるのでマストな1枚だと、そう考えていたのだが……カニも物あさりも不採用、よりシンプルに黒緑の2色でホガーク高速召喚&蔦復活を成し遂げる構成のリストが姿を現したのだから驚いた。
その構成は、その目で確かめてほしい。
1 《沼》 2 《草むした墓》 2 《神無き祭殿》 4 《新緑の地下墓地》 4 《血染めのぬかるみ》 4 《花盛りの湿地》 1 《育成泥炭地》 -土地(18)- 4 《極楽鳥》 4 《屍肉喰らい》 4 《墓所這い》 4 《縫い師への供給者》 4 《ロッテスのトロール》 4 《サテュロスの道探し》 3 《恐血鬼》 3 《光胞子のシャーマン》 2 《秋の騎士》 4 《復讐蔦》 4 《甦る死滅都市、ホガーク》 -クリーチャー(40)- |
2 《悪戦 // 苦闘》 -呪文(2)- |
2 《秋の騎士》 2 《疫病を仕組むもの》 3 《致命的な一押し》 3 《思考囲い》 1 《ドロモカの命令》 4 《虚空の力線》 -サイドボード(15)- |
クリーチャー、40枚! ここまで寄せた構成はなかなかお目にかかれない。《縫い師への供給者》《サテュロスの道探し》に加えてカードを墓地に落とす役目は《光胞子のシャーマン》と《ロッテスのトロール》が担う。
光胞子はサテュロスに近い役割で、土地をライブラリーの上に置くことで次のターンに確実にマナが伸びるようにしてくれる。《極楽鳥》も加わることで、土地の総数自体は削りながらも1マナで詰まってしまって負けるという状況を回避できる構築がなされている。いずれもクリーチャーだから最低限、蔦を戻すためのカウントを進める仕事をしてくれる。
そしてロッテス! 懐かしいなぁ、ビジュアルも能力も大好きなカードだった。手札からホガーク&蔦、それに《墓所這い》&《恐血鬼》の墓地から帰還組を捨てることがこいつのお仕事。ついでにサイズがどんどん上がって、トランプルも持っているので殴りに行ける点が嬉しい。ゾンビなので《墓所這い》を唱える状況も満たすことができ、ロッテスと《屍肉喰らい》をこれらで育てれば蔦もホガークもいなくてもビートダウンを決めて勝つことだって可能だ。《信仰無き物あさり》を抜いても捨てるカードは減らさず、それどころか勝ち手段が増えてデッキも2色+αに収まって、良いことづくめ!
このデッキの非クリーチャー呪文は《悪戦 // 苦闘》が2枚のみ。
この《苦闘》が良い仕事をしてくれることだろう。各種ライブラリー削りで墓地に落ちたらラッキー、クリーチャー2~3体に威迫をつけて攻撃を通し、その数だけ手札を捨てさせるという奇襲が早いターンの内に狙えるのだ。もちろん《悪戦》で唱えて手札を補充することが強力なケースもあるので、うまく使い分けて対戦相手に苦しい思いをさせたいところだ。
黒緑2色にまとまっていると言うものの、一応《秋の騎士》だけは入っている。
メインから《虚空の力線》を置いてくる相手へのアンサーとして用意されており、かつクリーチャーカードなので不要な時にはロッテスで捨てられるのが便利。ライフ回復が役に立つこともあるだろう。《極楽鳥》もいるし土地を探す能力にも長けたデッキなので、見た目以上に唱えやすいことだろう。サイド後は《安らかなる眠り》なども含めて墓地対策パーマネントに絶対に対処しなければならないので、増量できるようになっている。大事なのは、白いカードをほんのり足しつつも黒緑2色だけで勝てる構成になっているということ。安定感こそ何よりも重視すべきという設計思想だ。
《信仰無き物あさり》を使うべきか、こういった構築で使わずとも勝てるようにすべきか。どちらが正解とは言い切れないが、それぞれに良さがありその長所が活きるマッチアップは多数ある。「ホガーク・ヴァイン」を組もうとしているプレイヤーには、ついでにこちらのクリーチャーてんこ盛り型も試してみてほしい。派生形を生むカードは強い、ホガークのパワーを信じて自分にとってベストな形を模索すべし!
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