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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

イゼット・ウィザード(スタンダード)

岩SHOW

 今日は先日お伝えした通り、《戦慄衆の秘儀術師》を使用した赤白以外のデッキを紹介しよう(赤白のものはコチラでチェック!)。

 まずは《戦慄衆の秘儀術師》の特性を再確認。

  • 攻撃することで墓地からインスタント or ソーサリーを再利用できる→攻めのデッキでの使用が前提
  • 攻めのデッキと言ってもクリーチャーばかりの構築では能力が活きてこず、インスタントとソーサリーの枚数がある程度必要
  • またインスタントとソーサリーを唱えられると言っても、秘儀術師のパワー以下のものに限られる。1マナのものばかりで揃えるか、パワーを上昇させるなど構築の工夫は必須

 こうまとめると雑にデッキを組んで強い類のカードでないことがよくわかる。既存のデッキを強くするためのカード、というよりはこれのためにデッキを組んでやるくらいの心意気が必要な1枚だろう。これぐらいのカードの方が構築のし甲斐があるってなもんだ。

 ハマる人は大いにハマる、そんな《戦慄衆の秘儀術師》に魅入られたのか、これをフィーチャーしたデッキを愛用しているプロプレイヤーもいる。マジック・プロリーグにおいてアンドリュー・クネオ/Andrew Cuneoは2週連続でこのデッキを用いたぞ、「イゼット・ウィザード」!

Andrew Cuneo - 「イゼット・ウィザード」
マジック・プロリーグ Spark Split Week 5 / スタンダード (2019年6月1日)[MO] [ARENA]
8 《
6 《
4 《蒸気孔
4 《硫黄の滝
-土地(22)-

4 《ボーラスの占い師
4 《戦慄衆の秘儀術師
3 《ゴブリンの電術師
4 《燃えがらの風、エイデリズ
2 《練達の魔術師、ナル・メハ
-クリーチャー(17)-
4 《選択
4 《ショック
1 《無謀な怒り
4 《航路の作成
4 《魔術師の稲妻
4 《魔術師の反駁
-呪文(21)-
1 《無謀な怒り
1 《シヴの火
4 《否認
1 《溶岩コイル
2 《幻惑の旋律
2 《焦熱の連続砲撃
3 《弾けるドレイク
1 《永遠神ケフネト
-サイドボード(15)-
 

 インスタントとソーサリーの色と言えば青と赤、秘儀術師の能力を活かしたければイゼット団の色になるのは自然な流れだ。そしてこのデッキでは秘儀術師のクリーチャー・タイプにも注目。ウィザードはこれまた青と赤に多数存在する部族であり、シナジーも多数有している。スタンダードで最も秘儀術師のポテンシャルを発揮できるデッキと言って差し支えないだろう。

 ウィザードでデッキをまとめるとどのような利点があるか。まずは《魔術師の稲妻》と《魔術師の反駁》のコストダウンを狙えるという点。

 1マナ3点に2マナでなんでも確定打ち消し、マジック黎明期の強力呪文をスタンダードに蘇らせる。相手のクリーチャーは1マナで処理して、とりあえず{U}{U}を用意していれば相手は迂闊に行動できない。押し切る時は本体に火力投げ!

 もう1つの利点はウィザードのサイズアップを狙えること。《燃えがらの風、エイデリズ》と《練達の魔術師、ナル・メハ》、2体の伝説のウィザードが同じ魔術の使い手たちを強化する。

 打点が上がり勝つために必要なターンが縮まると同時に、《戦慄衆の秘儀術師》のパワーを上げて1マナよりも重いコストの呪文を唱えるのも狙っていける! パワー3まで上げれば《魔術師の稲妻》! 2でも《航路の作成》が唱えられて十分に強力だ(攻撃してから唱えているので純粋な2枚ドロー!)。《ボーラスの占い師》《ゴブリンの電術師》と軽量ウィザードを展開して強化し、一気に殴り抜く! 小粒だと侮っていると一気にライフが掻っさらわれるので要注意だ。

 序盤はウィザードたちを展開しつつ、火力と打ち消しで相手の自由な行動を可能な限り阻止。そして秘儀術師で殴る。理想的な展開は《ショック》で《ラノワールのエルフ》などを除去して殴っておかわりでもう1体、あるいは《選択》で土地などその時に必要なものを探し続けてデッキを円滑に動かし続けるという流れ。そこから伝説のウィザードに繋げて、相手の隙に乗じて爆発力を活かして押し切りたい。

 カード1枚あたりの強さはさほどでもなく、ウィザードとインスタント&ソーサリーが手を取り合ってようやくその力を発揮するタイプのデッキなので、その点を意識しながらカード1枚1枚を丁寧に扱っていこう。このデッキの最大の敵は「雑なプレイ」である。

 このデッキで勝ちを重ねることは簡単なことではない。集中力を維持し、バランスの良いドローに恵まれなければならない。なので万人にオススメできるデッキではないのだが、こういったいわゆる「線の細い」デッキが好きなプレイヤーは少なからず存在する。この手の細い勝ち筋を見つけ出してたどっていくデッキを使ったことがないプレイヤーは、一度手に取ってみると新しいマジック観が拓けるかもしれない。秘儀術師とエイデリズの爆発的なダメージを体感すべし!

 ただ、《時を解す者、テフェリー》だけはこのデッキの天敵である(戦闘中に呪文が唱えられなくなるので秘儀術師がただのパワー1になる)ので注意!

 ところで……繊細に用いてナンボな秘儀術師で、とりあえず殴ってしまえば雑に勝ててしまうという世界線も存在する。明日はフォーマットの深みに挑む戦慄衆の姿をお届けしよう……。

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