READING

戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

カーン・ペインター(レガシー)

岩SHOW

 コンボデッキの何が良いって、突然相手がブッ飛んでいくことだね。

 それまでライフも20の満タンでライブラリーにもたっぷりカードがあったはずの相手が、いきなりライフ0になったりカードが引けなくて負けたり、スイッチひとつでとんでもないことになるのが気持ち良いんだよな。

 複雑怪奇なパズルのようなコンボも良いが、勝つことを考えるとシンプルであればあるほど素晴らしい。時折耳にするであろう「2枚コンボ」はシンプルさにおいては最上級のものだ。読んで字のごとく、AとB、2つのカードを揃えると決まるコンボでサクッと勝つ。スタンダードやモダンではこれがなるべく発生しないような調整がなされているが、レガシーでは環境を定義するパワフルなものからマニア御用達のものまで、多種多様な2枚コンボを見ることが出来る。

 古くから人気のある2枚コンボは「ペインター・ストーン」。《絵描きの召使い》の能力でパーマネント、戦場にないカード、スタック上の呪文はすべて指定した色を得る。これでライブラリーの中のカードをすべて同じ色にして、《丸砥石》を対戦相手に起動すると……

 2枚墓地に落として、同じ色なのでもう1回。また2枚落として…とノンストップでライブラリーが0枚になるまで削り落としてくれる。2枚揃えて3マナ払って起動まで行ければ勝利!(例外もあり)わかりやすく強力で魅力にあふれたデッキで、単に「ペインター」と呼ばれコンボ好きの間で親しまれている。

 「ペインター」デッキは後述する理由もあって赤単色で組まれることが多い。赤の呪文のみではコンボパーツである2枚を墓地から戦場に戻すなどのことはできるのだが、探してくる・ドローするというのはそれほど得意ではない。しかし『灯争大戦』で特定のアーティファクトを運用したいデッキにとっての救世主とも呼ぶべきカードが登場して事態は一転。《絵描きの召使い》と《丸砥石》? サイドボードから持ってくりゃいいのさ!

repia1152 - 「カーン・ペインター」
Magic Online Competitive Legacy Constructed League 5勝0敗 / レガシー (2019年5月24日)[MO] [ARENA]
12 《
4 《古えの墳墓
4 《裏切り者の都

-土地(20)-

2 《ゴブリンの溶接工
3 《絵描きの召使い
1 《ゴブリンのクレーター掘り
4 《猿人の指導霊
2 《帝国の徴募兵
1 《月の大魔術師

-クリーチャー(13)-
2 《水蓮の花びら
4 《紅蓮破
2 《赤霊破
3 《丸砥石
1 《厳かなモノリス
4 《血染めの月
2 《罠の橋
2 《舞台照らし
4 《大いなる創造者、カーン
1 《ウルザの後継、カーン
2 《反逆の先導者、チャンドラ

-呪文(27)-
1 《絵描きの召使い
1 《トーモッドの墓所
1 《丸砥石
1 《赤霊破
1 《大祖始の遺産
2 《突然のショック
1 《液鋼の塗膜
1 《魔術遠眼鏡
2 《三なる宝球
1 《罠の橋
1 《焦熱の合流点
1 《槌のコス
1 《マイコシンスの格子

-サイドボード(15)-

 メインデッキにはコンボパーツをそれぞれ3枚ずつ搭載し、4枚目はサイドボードへ。それを《大いなる創造者、カーン》の[-2]能力で手札に加えるという形にすることで、コンボパーツの水増しに成功している!

 なるほどアーティファクト主体のコンボデッキは今後こういうアプローチでやっていけるということか。同時にこのリストはペインターの守りの柱でもある《罠の橋》もサイドに置いておくことで、いざという時に備えている。さらに《大祖始の遺産》《トーモッドの墓所》で墓地対策、《三なる宝球》で軽量呪文を連打するデッキへの対策もメインから狙っていけるようになっている。こういう理論上最強構築って楽しいんだよな。

 もちろん、カーンの常在型能力で相手のパーマネントを封殺するための《マイコシンスの格子》も備えてある。これはもはや嗜みだね。《剣を鍬に》で追放された《絵描きの召使い》も持ってこれるのも嬉しい。

 《古えの墳墓》《裏切り者の都》がこのデッキのキーカード。

 これらに加えて《猿人の指導霊》《水蓮の花びら》《厳かなモノリス》でマナ加速し、いち早くコンボパーツが戦場に揃った状態で《丸砥石》の起動のための3マナを得ることを目指す。

 これらは同時に《血染めの月》《月の大魔術師》を1~2ターン目に出すことも後押しする。

 基本でない土地に頼った相手が行動を阻害されている間に、悠々とコンボを決めてやろうというわけだ。《月の大魔術師》は《絵描きの召使い》とともに《帝国の徴募兵》でサーチできるのが魅力だ。

 ついでに《ゴブリンのクレーター掘り》も採用し、各種アーティファクトから《引き裂かれし永劫、エムラクール》にカーンまで睨みを利かせられるようにしてある。

 《ゴブリンの溶接工》も手札破棄や打ち消しで墓地送りになったアーティファクトを《水蓮の花びら》なんかと交換で戦場に出せる偉いヤツ。《液鋼の塗膜》と組み合わさるといろいろとトリッキーな動きができることも覚えておこう。

 コンボが決まるまでのタイムラグは打ち消し呪文 or 破壊でしのぐのがこのデッキの流儀。《絵描きの召使い》は100%「青」を指定する。こうすることで《紅蓮破》《赤霊破》がなんでも打ち消せるし何でも壊せる超万能1マナインスタントに大変身。これでゲームをコントロールだ。

 フルタップの状態で《猿人の指導霊》を追放して得た赤マナでこれらを唱えて呪文を打ち消すのは、さながら赤い《意志の力》! 《血染めの月》といい、スピードと妨害力を兼ね備えたコンボというのは、これ即ち強いってことだ。

 カーンのおかげでデッキの引き出しが格段に増えた「ペインター」。無理して色を足してやれることを増やす必要もなくなり、より安定感を持ったデッキとして流行する……かもしれないね。2枚コンボでサクッと勝てるこのデッキのスピード感、味わってほしいね!

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索