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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
忘れられたダレッティ(レガシー)
『灯争大戦』というプレインズウォーカー集結イベントに、招かれなかった者もいる。命や灯を失う可能性を考えると、一概に不幸とは言えないのかもしれないが……もし彼ら自身が「出番が欲しい!」と思っていれば残念ではあるし、熱烈なファンからしてもその雄姿が見たかった!という思いがあるだろう。僕も大好きなガラクが出てこなくてムムムとなっているが、彼には『灯争大戦』後の世界で主役となる可能性があると考えれば、それはそれで夢があって良い。
他にはダレッティなんかもそうだね。え? ダレッティって誰ってィ? おいおい、知らなかったのならこの機会に覚えていって! 貴重なゴブリンのプレインズウォーカーだよ!
ほとんどがアホなゴブリンではあるが、次元フィオーラ出身の彼は知性と才能に溢れている。高層都市パリアノにおける工匠たちのアカデミーで、彼はその腕を振るっていた。ある日、彼の作品が爆発する事故が発生。これに巻き込まれたダレッティは跡形もなく吹き飛んだ……と思いきや、他の次元へとプレインズウォークしていた。両足を失ったが、持ち前の工匠としての才能で歯車式の乗り物を作ってカバー、次元を移動可能となったことで、あらゆる世界を渡り歩いて工芸に関する知識や技術を深めている。もじゃもじゃの髭面というのがゴブリンの中では珍しく、見た目でもキャラが立っているおっちゃんだ。
彼をカード化したものは2種類で、いずれもアーティファクトに関する能力持ち。特に《巧妙な偶像破壊者、ダレッティ》は2色ではあるもの3マナと軽く、プラス能力でトークンを生成するというなかなかに高性能。
彼の作る構築物は防衛持ちなので攻め攻めなデッキには向かないが、アーティファクト or クリーチャーを継続して戦場に並べていくことでコンボ的な動きを狙うというデッキにはピッタリだ。
今日はレガシーでこのダレッティを主役としたデッキを見つけたので紹介しちゃうぞ!
2 《沼》 2 《平地》 1 《山》 3 《Scrubland》 2 《Badlands》 1 《Plateau》 4 《湿地の干潟》 4 《血染めのぬかるみ》 2 《カラカス》 1 《ファイレクシアの塔》 -土地(22)- 2 《二の足踏みのノリン》 4 《恐血鬼》 4 《忘れられた神々の僧侶》 2 《リックス・マーディの歓楽者》 -クリーチャー(12)- |
4 《陰謀団式療法》 2 《思考囲い》 3 《信仰無き物あさり》 4 《秘密の備蓄品》 3 《起源室》 4 《未練ある魂》 2 《謙虚》 1 《墓穴までの契約》 3 《巧妙な偶像破壊者、ダレッティ》 -呪文(26)- |
1 《フェアリーの忌み者》 3 《流刑への道》 2 《強迫》 2 《虚無の呪文爆弾》 1 《真髄の針》 2 《盲信的迫害》 3 《摩耗 // 損耗》 1 《カラカス》 -サイドボード(15)- |
一見すると一体どういうデッキかわからないかもしれない。この難解な工芸品、パーツごとに見ていくことでその仕組みを解き明かしていこう。
まずはスタンダード環境にも存在する《忘れられた神々の僧侶》。4枚入っていることから、このデッキの核となるカードであることが分かる。
そのイラストがDJのように見えることでネタ的にも人気な1枚だが、それを抜きにしてもマニアにとってはたまらないカードだ。こちらのクリーチャー2体をコストに、相手はライフ2点を失いクリーチャー1体を生け贄、こちらは{B}{B}と1枚ドローを得る、と妨害とブーストを同時に行える。
何とも使ってみたくなる性能ながら、クリーチャー2体の生け贄を用意し続けるのは普通のデッキでは簡単ではない。でもダレッティがいれば、とりあえず1体分はノーコストで継続して用意できる。この2枚と他のカードを組み合わせ、相手のクリーチャーの生存を許さず、ライフも追い詰めていこうというデッキの狙いは見えた。
《恐血鬼》は土地を置くだけで墓地から帰ってくるので、この手のデッキでは定番とも言える生け贄のエキスパートだ。
この不死の吸血鬼と相性が良いのがこれまたスタンダードの人気カード《リックス・マーディの歓楽者》。
能力で《恐血鬼》を捨ててカードを引き土地を置いて、という動きで2マナで2体の生け贄を準備できる点は○。《未練ある魂》を捨ててもイイね。この手の仕事は《信仰無き物あさり》が担うことが多いが、クリーチャーである歓楽者と散らすことでデッキの動きに柔軟さをもたらしているのだろう。仕事をした後に《陰謀団式療法》の餌にしてもよしと、クリーチャーであることは大きくプラスに働くのだ。
これらのクリーチャーが生け贄に捧げられてターンを終えると、《秘密の備蓄品》の紛争能力が誘発して霊気装置・トークンが補充される。
これで切れ目なくクリーチャーで戦場を満たせておける。さらに《秘密の備蓄品》自身がクリーチャーを生け贄に捧げて占術を行う能力を持っているので、コンボパーツを探したり《忘れられた神々の僧侶》不在の状況での生け贄エンジンを担って《墓穴までの契約》で盤面をコントロールしたりと、いろいろできる点が素晴らしい。
他にもトークンを得る手段として、モダンでもマニアに愛されている《二の足踏みのノリン》と《起源室》のコンボも搭載。
呪文を唱えてノリンが逃げて、攻撃の度にまた逃げて、帰ってくるときにマイア・トークンのお友達を連れてくる。トークンの数で圧倒してやろう。
面白いデッキだけれども、ダレッティの出すトークンで攻撃できれば言うことないのに……って? 実は、殴れるよ! このデッキの生け贄ハメ以外の勝ち手段は《謙虚》。
これですべてのクリーチャーを能力なしの1/1にして、戦力を大幅ダウンさせてやると同時に、ダレッティの出すトークンは防衛を失い攻撃に行けるようになるという寸法だ。
本来ならこちらのクリーチャーにもデメリットをもたらす能力を逆手に取ってやろうという発想、こういうのがマジックの最高に楽しい部分だ。デメリットをメリットに変えるにはどうすればいいか? 逆転の発想を形にしたものは、ダレッティの作り上げる工芸品にも勝るとも劣らない美しいデッキとなるだろうね。
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