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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
グルール・ウォリアーズとジャンド・デス・ウォリアーズ(スタンダード)
世の中にはスペシャリストな方々がいるもので。マジックにおいても各分野のスペシャリストがいるのだが、このコラムで取り上げるスペシャリストとなるとやはりデッキビルダー。環境に新たなデッキを投下する、たぐいまれなる構築センスを持ったビルダーはいつの時代もプレイヤーの憧れだ。
ビルダーの中でもそれぞれの得意ジャンルがあるのだが、本日取り上げるのは赤いデッキを構築・調整することに長けた2名だ。
まずは最初の1人が『ラヴニカの献身』環境で作ったデッキを紹介しよう。
9 《山》 1 《森》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《根縛りの岩山》 2 《グルールのギルド門》 4 《手付かずの領土》 -土地(24)- 4 《成長室の守護者》 4 《ザル=ターのゴブリン》 3 《凶兆艦隊の向こう見ず》 4 《ゴブリンの鎖回し》 4 《グルールの呪文砕き》 4 《再燃するフェニックス》 3 《包囲攻撃の司令官》 -クリーチャー(26)- |
4 《ショック》 2 《溶岩コイル》 2 《稲妻の一撃》 2 《争闘 // 壮大》 -呪文(10)- |
2 《クロールの銛撃ち》 3 《軍勢の戦親分》 3 《燃えがら蔦》 1 《溶岩コイル》 2 《焦熱の連続砲撃》 1 《不滅の太陽》 1 《争闘 // 壮大》 2 《ウルザの後継、カーン》 -サイドボード(15)- |
グルール(赤緑)のミッドレンジ(中速)ビートダウンだ。作成・使用者は日本の高尾翔太。赤が絡んだミッドレンジで結果を残し続けている彼が、この環境で赤の相方に選んだのは緑だ。
《ザル=ターのゴブリン》《グルールの呪文砕き》と、グルールの多色のクリーチャーは優秀なものが揃っている。これらを効率よく展開して殴り倒すデッキ、なのだが……3マナ域には《ゴブリンの鎖回し》も採用されている。
相手本体と盤面にダメージを叩き込み、本人もパワー3の先制攻撃でガツガツ殴ることができる、そりゃあ扱えれば最高の3マナ域。ただ、赤マナを3つ要求する、マナ拘束の厳しさが多色デッキでの運用を難しくしている。
これら多色のカードと鎖回しを同居させたグルールはすでに幾人ものプレイヤーが試していたが、この無茶を成し遂げるために《グルールのギルド門》を複数枚採用するという形になっており……ゆえにタップ状態で戦場に出てしまう土地が増え、結果として3ターン目に鎖回しを出せない、という矛盾が生じていた。
このリストが革新的なのは《手付かずの領土》を採用している点だ。
《グルールの呪文砕き》は戦士、鎖回しも戦士。《成長室の守護者》もこれまた戦士。というわけで、領土で戦士を指定すると無理なく2ターン目に守護者→3ターン目鎖回しという動きが可能なのだ。
《ザル=ターのゴブリン》《ゴブリンの鎖回し》はゴブリンという共通点があり、《包囲攻撃の司令官》もいるのでゴブリンを指定することもあるだろう。最後は司令官でこれらのゴブリンを投げまくって勝つという、どっしり安定感のあるデッキだ。
デッキを構成するクリーチャーの多くが戦士ということに注目したこのデッキは、「グルール・ウォリアーズ」とでも呼びたくなる。
「グルール・ウォリアーズ」がマジックフェスト・メンフィス2019内のグランプリでトップ8に入賞し、その構築が注目を浴びた。ミシックチャンピオンシップの1週間前だ。この結果に注目したのがオランダのフランク・カーステン/Frank Karsten。殿堂顕彰者であり、デッキへの嗅覚が優れ、強いビートダウンデッキを自分仕様に調整するのが得意な印象を受ける。彼はこの高尾のリストから得たインスピレーション……戦士と《手付かずの領土》を軸とした構築を推し進めたデッキを生み出して、ミシックチャンピオンシップに臨んだのだ。
2 《山》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《根縛りの岩山》 4 《血の墓所》 4 《竜髑髏の山頂》 3 《草むした墓》 4 《手付かずの領土》 -土地(25)- 4 《生皮収集家》 3 《どぶ骨》 4 《成長室の守護者》 3 《リックス・マーディの歓楽者》 2 《クロールの銛撃ち》 4 《ゴブリンの鎖回し》 4 《グルールの呪文砕き》 4 《再燃するフェニックス》 -クリーチャー(28)- |
2 《稲妻の一撃》 3 《席次 // 石像》 1 《争闘 // 壮大》 1 《採取 // 最終》 -呪文(7)- |
1 《クロールの銛撃ち》 2 《強迫》 1 《シヴの火》 4 《溶岩コイル》 2 《燃えがら蔦》 1 《焦熱の連続砲撃》 1 《争闘 // 壮大》 1 《採取 // 最終》 2 《炎鎖のアングラス》 -サイドボード(15)- |
赤緑に黒まで足して、ジャンドとなったウォリアーズ。黒を足すことで得られる利点は、鎖回しのさらなる強化。このゴブリンの能力が誘発したら、解決する前に《席次 // 石像》の《席次》で接死を与えて、ダメージを与えたクリーチャーを全て粉砕しようというやんちゃなジャンドだ。
これ自体は2色でもできるのだが、どうせならこのカードのもう片方《石像》も使いたいということで3色になっている。これぞ「ジャンド・デス・ウォリアーズ」。
1マナパワー2と打点があり、墓地から回収できるしぶとさも良し。これもまた戦士なので、領土から無理なく唱えられる。《リックス・マーディの歓楽者》でとりあえず捨てて良し、黒マナはこのカードの絢爛コストの支払いにも用いる……と、カーステンらしいパーツ同士が噛み合った、ワイルドでありながらもスタイリッシュなデッキだ。《生皮収集家》や《クロールの銛撃ち》といった戦士たちも良い仕事をしてくれるぞ。
新しいアプローチを生み出す者、それをさらに推し進める者。今日紹介した2名がそうであれば、これらのデッキを経て構築に臨む君は3段階目の担当だ。プロのアイディアをそっくりいただきつつ、そこに自分なりの要素を添えて、これぞというデッキを生み出そう! マジックフェスト・京都2019で注目の的となるのは、君のデッキだ!
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