最近のモダンでは、一見ファンデッキ(楽しさ・使いたいカード重視の構築がされたデッキ)なのだが、これが環境に存在するデッキに対して強く、気が付けば強力デッキとして認知されて地位を築く……というパターンが多い。

　《死の影》デッキだって最初はマニアが楽しむものだった。「５色人間」だってパンチの効いたリストが出てきたなぁと思ったら今や環境のトップである。これだからマジックは面白い！

　《ドラグスコルの隊長》《呪文捕らえ》などを《集合した中隊》で展開する「バント・スピリット」も、しばらくは根強い愛好家がいるデッキぐらいの認識だったが、元々除去への耐性が高いところに《至高の幻影》が加わり、全体強化能力持ち(通称ロード)が８枚体制になって攻撃性が大幅にアップし、今やモダン環境を語る上では外せないデッキの１つとして人気はうなぎ登りだ。

　《至高の幻影》参入により可能性が拡がったスピリットデッキ。以前に紹介した青白２色型も強化され、Magic Onlineモダン競技リーグ全勝デッキリストにも常連として名を連ね始めている。

　今日はそんなスピリットデッキの第３のバリエーションを紹介しよう。これがなかなか衝撃的なリストになっている、その全容を見てみよう！

　白青赤、まさかの「ジェスカイ・スピリット」！ 赤はどちらかといえば元素の精・エレメンタルを担当する色なのでスピリットと言われてもピンとこないが、実はモダンでバリバリ現役で活躍している赤いスピリットがいる。《大歓楽の幻霊》だ。

　２マナ２/２の殴れるサイズに、３マナ以下の呪文を唱えたプレイヤーには２点ダメージを与えるというペナルティ能力持ち。除去されてもカード１枚使わせながらプレイヤーにダメージを与えているので十分仕事を果たすとして、バーンデッキにはなくてはならない存在として重宝されている。

　コイツが実はスピリットで、だったらスピリット・シナジーの恩恵を受けさせてやればもっと活躍するんじゃないか？というアプローチをとったのがこのデッキだ。

　《大歓楽の幻霊》が戦場に出ると《霊廟の放浪者》の打点がアップ。これらに除去が飛んできたら《鎖鳴らし》で守ってやろう。相手は除去が空振った上に大歓楽によりダメージを受け、ムムム……という心境に。

　そこに追い打ちをかけるように８枚のロードが駆け付けて全体強化、ライフをゴリッと奪ってゲームエンド！ ２マナ圏がやや薄いスピリットデッキの隙間を、大歓楽はキッチリ埋めてくれるってわけだ。

　理論上は最強としても、まさか{R}{R}と青白のカードが同じデッキに採用されているとはね。普通の感覚ならプレイできないだろうとなるのだが、そこはモダンの強力２色土地と、部族デッキ御用達の《霊気の薬瓶》でどうとでもなるのだ。その気になれば《魂の洞窟》なんかも採用できるね。

　このリストでは洞窟などのマナの使い道が限定される土地は採用しないことにこだわっている。これにより、スピリットでない赤い呪文も唱えられるようになり……すなわち、火力が撃てるようになる！ 《稲妻のらせん》と《ボロスの魔除け》で、スピリットに殴られた相手のライフを一気に詰める戦略が取れる。ゲームが長引くと不利になるデッキなので、こうしたいち早くゲームエンドに持っていける飛び道具はありがたい。

　《稲妻のらせん》なら、相手の地上クリーチャーとこちらの飛行スピリットでの殴り合いをちょっと有利にすることだってできる。また、《ボロスの魔除け》は２マナ４点の効率の良さに加えて、自身のすべてのパーマネントに破壊不能を与えるモードも素晴らしい。呪禁を持っていても厳しい《至高の評決》などを、これと《差し戻し》で弾いて勝とうってわけだ。これは一度は決めてみたいかっこいいムーブ！

　バントとジェスカイのスピリットが揃うと、次に期待しちゃうのは「エスパー・スピリット」！《ディミーアの巾着切り》《オルゾヴァの幽霊議員》《冥府の麒麟》《名誉の御身》《希望の盗人》などなど、好きなカードはあるのだが、ちょっと重いか……誰かトライしてみて！(他人任せEND)