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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
Goodbye My Deck! コントロール編(スタンダード)
スタンダードを去り行くデッキを名残惜しく見送り、新しいカードの採用を検討するシリーズも今回で一区切り。今回は青を主軸とし、打ち消しやドローで戦うコントロール系のデッキを紹介だ。
『カラデシュ』~『破滅の刻』が使えたここまでのスタンダード環境はどんな印象があるか?と問うと、多くのプレイヤーは赤いデッキが隆盛を迎えた環境と答えるのではないだろうか。もちろんそうで、特に2017年夏以降は赤いデッキが常に環境の最前線にいたわけだが、個人的にはコントロールデッキも大活躍したように思う。
これぞコントロールが求めているもの、という能力を備えたスーパーカードが環境に複数存在し、序盤の猛攻をしのいだプレイヤーたちがそれらのカードで対戦相手に地獄を見せている光景が多々見られた。除去も《致命的な一押し》《燻蒸》と優秀なものがあったし、打ち消しも良いカードが揃ってたんだよな。
それじゃあ、まずは1つ目のデッキを。
青白コントロール
8 《平地》 6 《島》 4 《灌漑農地》 4 《氷河の城砦》 1 《天才の記念像》 2 《廃墟の地》 1 《オラーズカの拱門》 -土地(26)- 2 《奔流の機械巨人》 -クリーチャー(2)- |
4 《封じ込め》 3 《本質の散乱》 2 《アズカンタの探索》 1 《否認》 4 《不許可》 1 《俗物の放棄》 4 《残骸の漂着》 3 《排斥》 3 《天才の片鱗》 1 《暗記 // 記憶》 2 《中略》 4 《ドミナリアの英雄、テフェリー》 -呪文(32)- |
3 《遵法長、バラル》 2 《黎明をもたらす者ライラ》 1 《奔流の機械巨人》 2 《歩行バリスタ》 2 《否認》 1 《ジェイスの敗北》 1 《魔術遠眼鏡》 3 《ベナリア史》 -サイドボード(15)- |
《奔流の機械巨人》とは何か。ドローであり、打ち消しであり、除去であり、フィニッシャーである。
このカードがあったから、青いデッキはここまで戦ってこれたと言っても過言ではない。青いデッキが求めるすべてを兼ね備えた、スーパースターその1だ。
これで序盤に躊躇せず打ち消しやドローのインスタントが唱えられるようになり、またおもむろに繰り出した5/6によりスピーディーにゲームを終わらせることができた。使われると憎く、使うとかわいい、名カード中の名カード。
これを用いた青いデッキは大きく分けて2つで、青白か青黒。青白は《副陽の接近》というライフ回復兼、問答無用の勝利という武器を引っ提げて赤いデッキに満ちた環境で勝ち星を挙げていた。が、その本領を発揮したのはやはり『ドミナリア』発売後。《ドミナリアの英雄、テフェリー》というスーパースターその2を得て、青白は飛躍した。
毎ターン追加のドローをもたらし、青が嫌がる自身のターンでの土地タップを緩和するアンタップのおまけつき。この能力でリソースと行動回数の両方を同時に得られるカードが、なんと実質3マナ! 対コントロールデッキばかりを研究してきたブラッド・ネルソン/Brad Nelsonも、このカードと出会ってコントロール党に鞍替えしたとか。
中には勝ち手段を完全にテフェリーのみにしたリスト(自身の能力でライブラリーに戻してライブラリー切れを防ぐ)まで登場するほど。これほど「心を折る」プレインズウォーカーも久しぶりで、多くのプレイヤーが対処に苦しんだ。まあ1枚潰したところでいっぱい引いてるから2枚目3枚目があるんだけどね。
青白が失うのはざっと見て《不許可》《排斥》《天才の片鱗》など。《燻蒸》もさることになるが、このリストのように《残骸の漂着》のみ採用するという手法でカバーできるし、クリーチャー以外のパーマネントにも触れる《浄化の輝き》があるのでそれほど問題ではない。打ち消し枠も《悪意ある妨害》というかなり強力な新カードが登場するのでむしろ強化されると考えても良い。
やっぱり気になるのは《奔流の機械巨人》を失うことだが……元からこれをメインに採用しないリストもあるし、ここも思ったよりは問題ではないのかも? もちろん痛手だけれども、工夫すれば「青白コントロール」というデッキは消えずに残り続けるのではないか。テフェリーを信じよう。
青黒ミッドレンジ
5 《島》 7 《沼》 4 《異臭の池》 4 《水没した地下墓地》 4 《霊気拠点》 2 《廃墟の地》 -土地(26)- 4 《光袖会の収集者》 4 《機知の勇者》 1 《人質取り》 3 《スカラベの神》 2 《奔流の機械巨人》 -クリーチャー(14)- |
4 《致命的な一押し》 2 《アルゲールの断血》 2 《検閲》 2 《本質の散乱》 1 《喪心》 2 《大災厄》 1 《至高の意志》 4 《ヴラスカの侮辱》 1 《暗記 // 記憶》 1 《死の権威、リリアナ》 -呪文(20)- |
2 《歩行バリスタ》 3 《強迫》 1 《菌類感染》 1 《冥府の報い》 3 《否認》 1 《喪心》 1 《魔術遠眼鏡》 2 《本質の摘出》 1 《バントゥ最後の算段》 -サイドボード(15)- |
青白と対を成していた青黒。そちらは環境中期より、コントロール要素を色濃く持った中速デッキ、ミッドレンジへと進化した。自身のターンに土地をタップすることを嫌うコントロールとは違って、こちらは序盤の自身のターンからも積極的に動いていく戦略をとる。
《光袖会の収集者》で殴りながらドローし、対戦相手を妨害するというのが理想的な戦略。《機知の勇者》も併用し、手札の内容を整えながらゲームを進めていく。
除去につぐ除去の末に《スカラベの神》を降臨させる、これによる勝利を目指している。
スーパースターその3、《スカラベの神》。対戦相手の墓地にクリーチャーを貯めてからマナも十分ある状態でこれが戦場に出ると、それだけでゲームが終了する。コントロール能力に長け、ゾンビの数だけライフを失わせる能力で素早くゲームを終わらせられる。そして死亡してもターン終了時に手札に戻るという除去耐性を併せ持ったこの神に、お世話になったプレイヤーはさぞ多いことだろう。
この神をより強く使うのに役立つのが、このデッキが完成形に近づくにつれメインから採用されるようになった《アルゲールの断血》だ。
ライフをドローに変換し、1対1交換を繰り返しながらもじり貧にならないように手札を補充。ライフをうまく5点以下に調整して自身のターン迎えれば《アクロゾズの神殿》に変身。これと《スカラベの神》の相性が抜群だ。神を立たせて相手の攻撃を止めつつエンドに生け贄に捧げて5点回復、手札に戻ってまた出し直しで危険域に落ち込んだライフを上昇させることができ、また《ヴラスカの侮辱》や《大災厄》といった神対策になる追放除去も、生け贄にすることで回避が可能だ。
その《大災厄》《ヴラスカの侮辱》が使えるのも青黒の強み。特に侮辱を《奔流の機械巨人》で使いまわす動きは、《熱烈の神ハゾレト》《再燃するフェニックス》などの対処困難なクリーチャーを擁するデッキへの最高のアンサーだ。
このデッキはローテーションで《スカラベの神》をはじめとするクリーチャーのほとんどから《死の権威、リリアナ》や《致命的な一押し》《大災厄》といった脇を固めるカードがことごとくスタンダード落ちとなる。ただ『ラヴニカのギルド』ではディミーア関係のカードが多数登場するので、また違ったアプロ―チのデッキを1から構築することになるだろう。
《静める者、エトラータ》《正気泥棒》《夜帷の捕食者》などのテクニカルなクリーチャーに《思考消去》《漂流自我》など青黒らしい呪文がたっぷり! 皆にはぜひとも諜報活動に勤しんでいただきたい。
環境最初期はコントロールが勝ちにくいと言われている。対処すべき相手が定まり切っていない状況では、デッキ構築の完成度が少し落ちるからだ。
なので『ラヴニカのギルド』環境の開幕でコントロールが活躍しなくても、焦らずに各々の研究を進めてコントロールに磨きをかけてほしい。とりあえず、皆しこたま使ったであろう《奔流の機械巨人》《スカラベの神》に今一度感謝を!
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