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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
アブザン・コントロール(スタンダード)
その昔、僕がマジックを初めて少し経った頃。一緒にやっていたグループの中で、お互い段々とカードが揃ってきてある程度コンセプトを固めたデッキが組めるようになったタイミングの話だ。
白をベースとしたコントロールデッキを組むプレイヤーってのがやっぱり出てくる。《神の怒り》を手に入れた者に許された特権的なものだったね。あと、その頃仲間内で憧れのカードの1つであったのが《浄化》。
全員が初心者という環境では、あらゆるデッキにクセの強いアーティファクトやエンチャントが採用されていた。それらをまとめて吹き飛ばす《浄化》は、スタンダードとかそういう概念のなかった僕らにはそれはそれは魅力的に映ったものである。《神の怒り》と《浄化》の両方を手に入れた友人は、もちろん盤面リセットに注力したコントロールデッキを組んでいた。
当時の僕らが、今のカードを見るとたまげると思う。特に《浄化の輝き》なんてね……憧れの二大ソーサリーの合体である。
モード切替でクリーチャーにも置物にも対応でき、「ここはラスゴ(《神の怒り》の通称)じゃなくて《浄化》が欲しいねんって!」なんて思わなくていいなんて……スタンダードでこのカードを用いているデッキは今のところ多くはない。
多くはないが、この利便性に目をつけて《燻蒸》《残骸の漂着》よりも優先して採用しているデッキもあるぞ。今日はそんな構築スタイルのデッキをご紹介!
3 《平地》 5 《沼》 1 《森》 4 《秘密の中庭》 4 《孤立した礼拝堂》 4 《まばらな木立ち》 2 《陽花弁の木立ち》 2 《森林の墓地》 1 《進化する未開地》 -土地(26)- -クリーチャー(0)- |
4 《致命的な一押し》 4 《封じ込め》 2 《不可解な終焉》 2 《宝物の地図》 3 《大災厄》 1 《飛行機械による拘束》 3 《イクサランの束縛》 3 《ヴラスカの侮辱》 3 《浄化の輝き》 4 《最古再誕》 3 《ウルザの後継、カーン》 2 《秘宝探究者、ヴラスカ》 -呪文(34)- |
3 《帆凧の掠め盗り》 4 《光袖会の収集者》 2 《遺跡の略奪者》 4 《強迫》 2 《魔術遠眼鏡》 -サイドボード(15)- |
除去!除去!除去! 白と黒の除去を総動員した「アブザン・コントロール」だ。アブザン(白黒緑)と言っても緑の要素は2枚の《秘宝探究者、ヴラスカ》のみなのでほぼ白黒デッキ。なのでヴラスカが用意できなかったり緑絡みの土地まで使用するのが難しければ、この枠に別のプレインズウォーカーなどのフィニッシャーを採用してもなんとかなるかもね。
クリーチャーデッキには絶対に、絶対に負けない! それぐらいの意気込みを感じる、20枚を超える除去呪文の数々が目を引く。特筆すべきは追放除去の多さか。《封じ込め》《イクサランの束縛》《ヴラスカの侮辱》とお馴染みの呪文に加えて《不可解な終焉》《飛行機械による拘束》まで採用し、徹底してクリーチャーを墓地に落とさずに処理する構えだ。
この手のコントロールデッキの天敵とも言える《屑鉄場のたかり屋》や《再燃するフェニックス》に対する、もはや怒りさえも感じられるレベルだ。さすがにこれだけの枚数とバリエーションを取り揃えば、除去が足りないというゲームは少なそうだ。
序盤からしっかりとクリーチャーに対処していける、すなわちライフの損失はさほどでもない……ということもあってか、全体除去枠は回復付きの《燻蒸》ではなく前述の通り《浄化の輝き》になっている。これであれば、置物破壊モードで《キランの真意号》《霊気圏の収集艇》などの機体を吹き飛ばすこともできる。また、対コントロール戦でプレインズウォーカーなどを追放した《排斥》やアドバンテージ源である《アズカンタの探索》などを破壊することができ、他の全体除去よりも腐りにくいという点も魅力的だ。今後このような除去コントロールを作る際にはそのあたりを意識しながらカードを選択してみてほしい。
クリーチャーやその他のパーマネントを除去して、《宝物の地図》《ウルザの後継、カーン》でアドバンテージを稼いで、プレインズウォーカーや《最古再誕》で勝ちにいく。道筋はわかりやすいので、初心者でも扱うことはできるだろう。
《浄化の輝き》のように使い道のあるカードを採用してはいるが、それでも対コントロールのメイン戦は除去カードが役に立たないのでやや厳しい。その代わり、サイド後はそれらをごっそり抜いてサイドボードのカードと入れ替えることで、手札破壊とクリーチャーで攻めるデッキに変形するプランが用意されている。というか、クリーチャーデッキ全般にはメインのままでカードが足りているので、サイドボード15枚をまるまるコントロールへの対抗手段として割いている!
このおかげで、初心者がデッキをコピーした時によくある「何を抜いて何を入れるのかわからない」という事態に陥りにくく、その点からも推したいデッキである。
派手さはないが着実に勝ちにいく、そういう玄人好みの要素も併せ持っているので、初心者でなくとも、もちろん使ってほしいね!
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