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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

赤黒=ド安定(スタンダード)

岩SHOW

 《ゴブリンの鎖回し》は強い。これは2018年の常識だ。

 恵まれたスペックにタフネス1を許さぬ能力。このカードを3ターン目に唱えてアタッカーを得ながら《ラノワールのエルフ》《光袖会の収集者》を除去する動きが、もう強いのなんのって。というわけで『ドミナリア』発売からその1か月後のプロツアー、そして『基本セット2019』の発売で環境が変わるまで……春から夏にかけて、ゴブリンは鎖をブン回し続けた。

 赤単でももちろん強いが、デッキとして最も暴れ回ったのは赤黒だ。ほぼ赤単のメインデッキに《屑鉄場のたかり屋》を足し、粘り強い2マナ圏を得つつ、サイドボードでは《強迫》《アルゲールの断血》《ヴラスカの侮辱》などの強力なカードが使い放題。超速攻というよりは、やや中速寄り、盤面を捌きながら殴るという赤黒のアグロデッキにおいても、鎖回しは絶対的なエースだった。

 環境が変わって、ではこのデッキの立ち位置はどうかというと……発売直後は、同じような除去って殴る中速寄りのデッキをプレイするのであれば《破滅の龍、ニコル・ボーラス》の入ったグリクシス(青黒赤)カラーのデッキを使用するプレイヤーが圧倒的に多かった。せっかくだから強そうでカッコイイ新カードを使いたい、というのはマジックプレイヤーの本能だ。なので、前環境のように大半のプレイヤーが赤黒をプレイしている、そこまでの使用率には至らなかった。

 ただそれでも、トーナメントの上位には変わらず赤黒の姿があった。以前とほとんど形を変えていないが、それだけ完成度が高いという証拠でもある。一通り新デッキを触ったプレイヤー達も「安定感なら赤黒だな」と戻ってきたようで、これを書いている7月下旬現在では環境での使用率の高さは、堂々の一番人気のようである。

 僕もようやくMTG Arenaでこのデッキを安定デッキたらしめている《泥濘の峡谷》《竜髑髏の山頂》が4枚ずつ揃ったのでこのデッキを組んでみたのだが……1ターン目から5ターン目まで、とにかくアクションがいちいち全部強く、そのデッキパワーの高さにすっかり魅了されてしまった。

 この環境でとりあえずトーナメントに出てそこそこの成績を残したい、というのであれば「赤黒アグロ」がベストチョイスじゃないかな?

Matthew Cotrupe - 「赤黒アグロ」
StarCityGames.com Team Open Worcester 優勝 / スタンダード (3人チーム構築戦) (2018年7月14~15日)[MO] [ARENA]
13 《
1 《
4 《泥濘の峡谷
4 《竜髑髏の山頂
2 《産業の塔

-土地(24)-

4 《ボーマットの急使
3 《損魂魔道士
4 《屑鉄場のたかり屋
2 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ
4 《ゴブリンの鎖回し
2 《ピア・ナラー
2 《再燃するフェニックス
1 《熱烈の神ハゾレト
2 《栄光をもたらすもの

-クリーチャー(24)-
3 《削剥
2 《キランの真意号
2 《稲妻の一撃
2 《無許可の分解
1 《木端 // 微塵
2 《反逆の先導者、チャンドラ

-呪文(12)-
4 《強迫
2 《チャンドラの敗北
2 《マグマのしぶき
1 《アルゲールの断血
1 《大災厄
1 《ヴラスカの侮辱
1 《苦悩火
1 《霊気圏の収集艇
1 《ウルザの後継、カーン
1 《屍肉あさりの地

-サイドボード(15)-
StarCityGames.com より引用)

 理想の1ターン目は《ボーマットの急使》で、これでゲーム後半手札が尽きたタイミングで補充できるカードをストックしておきたい。殴ったり殴らなかったり、あえて相討ちに行ったりはその時々で。

 ボーマット以外の1ターン目は《損魂魔道士》も良いが、僕個人は相手が1ターン目に《》を置いてエンドしてきた時などは出さないようにしている。赤単相手に《ショック》なんかでスコーンとやられるともったいないからね。《》2枚並べて2ターン目にプレイし、「ショックで果敢させてそっちのショックじゃ落ちないぞ」みたいなブラフをかけるのが好みである。

 また、1ターン目は《泥濘の峡谷》タップインでも全然OK。なるべく3ターン目に鎖回しを出せるようにしておきたいから、そのあたりを心掛けながら1~2ターン目にタップイン土地を置いてしまおう。

 2ターン目は、たかり屋か《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》《キランの真意号》が選択肢。

 真意号とたかり屋両方が手札にある場合は迷わず真意号を先に出すが、カーリ・ゼヴとたかり屋の場合はどっちがいいか。個人的には相手が赤ければカーリ・ゼヴかなと。ボーマットが殴ってこれなくなるし、これをどかそうにも相手は《稲妻の一撃》or《削剥》に割くことで2~3ターン目の展開が阻害される。

 逆に相手が先手2マナ立ててエンドしてきた場合はこれらが飛んできそうなので、たかり屋の方が良いんじゃないかな。相手が先手で青いデッキの場合は、《中略》でたかり屋が追放されるのは嬉しくないのでカーリ・ゼヴから。逆に相手が緑の場合はたかり屋から入って、返しで《鉄葉のチャンピオン》を出されても殴りにいってブロックしてくれたら鎖回しとの合わせ技で除去できる(ほぼブロックされることはないが、万に一つということも……)。

 3ターン目はもちろん鎖を回したい。《ピア・ナラー》でも良いね。

 彼女は返しに鎖を回されない限りは同型相手にカード1枚でクリーチャー2体分の働きをしてくれる、無茶苦茶頼りになるカードだ。攻防自在なのが素晴らしい。

 4ターン目以降は……まあ引き込んだパワーカードをプレイしておくれや(笑)。プレイしていて思ったのは、《再燃するフェニックス》が輝くマッチアップが多く感じたので、サイドと併せたりして枚数を増やしても良いんじゃないかというところ。

 新カードはほとんど採用されていないが、サイドの《苦悩火》は枚数を増やしても良いかもしれない。

 というのも、依然として一定数存在し続ける青白系のコントロール相手に残りライフ5点くらいまで追い込んでからどうにも削り切れず負け、という展開が何度かあったからだ。初手に来ても嬉しくないカードなので、まあ2枚ぐらいが限度だろうが……打ち消されず問答無用でゲームオーバーというのは魅力的。わざと多くのクリーチャーを《残骸の漂着》に突っ込ませて、Xを特大で払える状況まで持っていきたいね。

 とにかくデッキに無駄がなく、安定したゲーム運びができるのが赤黒の最大の魅力。プロツアーでもこのデッキを選択するチームが一番多いかもしれないね!

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