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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:グリクシス・デルバー feat. Potent(レガシー)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:グリクシス・デルバー feat. Potent(レガシー)
by 岩SHOW
スッキリとしていながらも隠し味の風味がほのかに広がる、ビシッとスーツで決めながらネクタイは密かにキャラクターもの......しっかりとした土台に遊び心を忍ばせるというのは良いものだ。昔の人たちだって、着物の裏地なんかに凝った刺繡を施していたりしたもので、おそらくは日本の伝統的な美意識のひとつの形なのだろう。
マジックにだってこれは当てはめることができるはず、というのが僕の持論で、真面目なデッキに自分の好きなカードをこっそり忍ばせるのは相手の意表が突けて楽しいものである......が、実際にそれを機能させて勝利するとなると簡単ではなく、趣味の部分が裏目って負けることは多々ある。勝負の世界は厳しいのだ。
ただ、土台となるデッキがしっかりと強いものであれば、時にはなんとかなったりするもので、そういううまくハマった時の喜びは筆舌に尽くしがたい。世界中の傾奇者たちが、今日も地元のトーナメントで・オンラインで、流行りのデッキに強烈な自己アピールカードを仕込んでどうにか結果を残そうと躍起になっている。
今日のデッキは、そんな中でもなかなかにバランスのとれた、傾奇者でありながらリアリストでもある、レガシーのグッときたリストだ。
3 《Underground Sea》 3 《Volcanic Island》 4 《汚染された三角州》 4 《血染めのぬかるみ》 4 《不毛の大地》 -土地(18)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《秘密を掘り下げる者》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 2 《墓忍び》 -クリーチャー(12)- |
4 《渦まく知識》 4 《もみ消し》 4 《稲妻》 4 《思案》 2 《先触れ》 4 《目くらまし》 4 《意志の力》 2 《轟く怒り》 2 《火 // 氷》 -呪文(30)- |
2 《トーモッドの墓所》 2 《紅蓮破》 2 《呪文貫き》 2 《古えの遺恨》 2 《悪魔の布告》 2 《湿地での被災》 1 《相殺》 1 《冬の宝珠》 1 《Bayou》 -サイドボード(15)- |
ザッと見てもらったところで、このデッキリストの奇麗さに気付いてもらえただろうか。まず、土地の構成。フェッチが2種8枚にデュアルランドが2種6枚、妥協のない《不毛の大地》4枚の合計5種18枚。
レガシーはカードプールが広く、土地の選択肢はそれこそ無数にある。それを活かしてフェッチを細かく散らしたりするリストがとても多いのだが、このデッキではそんなまどろっこしいことはしない。リストを簡潔にまとめて美しく、というわけでもないのだろうが、結果的にここだけでもグッとくるものになっている。この感覚、わかってもらえるだろうか。『ゼンディカー』発売以前のレガシーを思い出すんだよね、こういうの。
続いてはクリーチャー。こちらも最低限の12枚。《死儀礼のシャーマン》&《秘密を掘り下げる者》のゴールデンコンビ、これは「グリクシス・デルバー」というデッキで度々目にするもので、このデッキもまさしくグリクシス(青黒赤)のデルバー(《秘密を掘り下げる者》の通称)デッキである。この2体をゲーム開幕時に戦場に投下し、対戦相手の妨害をしながらいち早くライフを削り切ってしまおうというのがこのデッキの狙いだ。
対コンボに滅法強い《ヴェンディリオン三人衆》に、最近活躍の場が再び増えつつある《墓忍び》を2枚ずつ。どちらも軽くて打点のある飛行クリーチャーで、《死儀礼のシャーマン》のバックアップを受けつつサッサと展開して殴り切りたいものだ。忍ばせている、と冒頭に何度か言っているので《墓忍び》が遊び心ポジションに思えるが、実はそうではない。まあ《グルマグのアンコウ》全盛期にあえてこちらを使う、というのはこだわりを感じる部分ではあるが。
呪文は30枚。この数字もまた奇麗だね。4枚挿しが6種類、2枚挿しが3種類。《目くらまし》《意志の力》のマナ不要=ピッチ打ち消し8枚が、対戦相手の動きをとにかく妨害する。
そして《もみ消し》。対戦相手のフェッチランドの起動を打ち消して、実質1マナの土地破壊として用いる、唱えられた方はたまったもんじゃない恐ろしい呪文だ。これと《不毛の大地》で対戦相手はマナを伸ばすことが難しく、結果として《目くらまし》が確定打ち消し呪文のように機能する。
レガシーではここ最近、このマナ否定戦略は取られることが少なくなっていた。ゆえにガードを下げた対戦相手には、《もみ消し》がぶっ刺さることがある。みんなも気をつけてね。
これらのカードをしっかりと引き込むための1マナドロー呪文、クリーチャーでは削り切れなかったライフを燃やし、除去にもなる軽量火力がデッキの残りの部分だが......ここに遊び心の正体が。
2枚の《先触れ》に2枚の《轟く怒り》。なるほど......《先触れ》は最近になってレガシーで注目されだした、タイムラグのある《思案》といった1枚だが......このカードのそのタイムラグ、「次のターンのアップキープの開始時にカードを1枚引く」という、本来ならばすぐに手に入らないことが弱みになる部分を《轟く怒り》が長所に変えるのだ。
自分のターンのメイン・フェイズで《思案》を唱えて《轟く怒り》を引いても、それはそのターンの最初のドローではないため何も起きないが......《先触れ》でトップに置いて、相手のターンのアップキープにこれをドローした場合、奇跡能力が誘発し1マナ5点火力として用いることができる! 1マナ5点はレガシーと言えどもこのカードくらいしか、この組み合わせぐらいでしか狙えない!
元々がレガシーでも最強クラスのデッキに、4枚枠を作ってこのハチャメチャ砲を仕込む......スーツとグレネードランチャーの組み合わせのような、得も言われぬ美しさが......ないかな? こんなに高揚してるのは僕だけ? ......気を取り直して。このデッキのこの4枚以外の部分を固定して、残り4枚でどこまで個性を出せるか・強いデッキを組めるか、そういうことを考えてみるのも面白そうだ。何か良い案が思いついたら、こっそり教えてちょうだい!
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