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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:三強、最後の姿(スタンダードまとめ)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:三強、最後の姿(スタンダードまとめ)
by 岩SHOW
グランプリ・静岡2017春を経て、現環境のスタンダードの大型トーナメントは終了。このコラムが掲載されるころには、もう『アモンケット』のカードもすべて公開され、世界中のプレイヤーが英雄へと至る道・プレリリースに向けて気持ちを高めていることだろう。毎回言ってる気がするけど、早いなぁ~。ついこないだ『霊気紛争』が発売されたってのにね......。
この環境とはなんだったのか? 振り返ってみると......3つのデッキ「三強」が開幕から最後まで争った三国時代。1つがやや落ちるあたりも三国志感がある、とか話し出すと長くなるのでカット。『霊気紛争』がもたらした《守護フェリダー》《キランの真意号》《巻きつき蛇》の3枚が生み出したデッキについては、過去にも取り上げてきたので初見の方はそちらも参照いただいて......今回は、3つのデッキの最終型を見てみよう。
それぞれがたどった進化の道筋を学ぶことで、新たな環境への備えになれば幸いだ。それじゃあ早速見ていこう!
4色コピーキャット
5 《森》 1 《島》 1 《山》 1 《平地》 4 《植物の聖域》 2 《獲物道》 3 《尖塔断の運河》 4 《霊気拠点》 -土地(21)- 4 《導路の召使い》 4 《ならず者の精製屋》 3 《つむじ風の巨匠》 1 《不屈の追跡者》 4 《守護フェリダー》 3 《新緑の機械巨人》 -クリーチャー(19)- |
4 《ニッサの誓い》 3 《霊気との調和》 4 《蓄霊稲妻》 2 《チャンドラの誓い》 4 《サヒーリ・ライ》 3 《反逆の先導者、チャンドラ》 -呪文(20)- |
2 《不屈の追跡者》 3 《歩行バリスタ》 2 《払拭》 2 《自然のままに》 2 《否認》 1 《バラルの巧技》 2 《グレムリン解放》 1 《領事の旗艦、スカイソブリン》 -サイドボード(15)- |
『霊気紛争』環境の花形と言えば「コピーキャット」。黒以外の4色で組まれた、《守護フェリダー》と《サヒーリ・ライ》による無限トークン生成コンボを中心としたデッキである。
環境初期はこの4色型と、もっとクリーチャーが少なくコントロールデッキとして振る舞うジェスカイ型とで分かれていたが、ジェスカイ型のデッキパワーは低く自然と淘汰されていった。《守護フェリダー》をただのコンボパーツとしてでなく、デッキを構成するほぼすべてのカードとシナジーを形成させて活用する4色型が生き残ったのは必然と言えるか。
《ならず者の精製屋》でドローとエネルギーを稼ぎ、《ニッサの誓い》を出し入れしてサヒーリを探しに行く。《つむじ風の巨匠》からの飛行機械量産という手堅い勝ち筋もあり、《新緑の機械巨人》によりダメージレースをまくり返すことも可能。その上で、隙があれば無限コンボで即勝利。一撃必殺を持った中速ビートダウンといった具合だ。《反逆の先導者、チャンドラ》を強く使えるのもセールスポイント、安定感が素晴らしい。
使ってみると、驚くほどコンボで勝たない。コンボ以外で勝てる、が正しいか。防御はガッチリ、その上で見た目よりもパンチ力がある。これは横綱ですわ。
5 《森》 1 《島》 1 《山》 2 《平地》 4 《植物の聖域》 2 《尖塔断の運河》 4 《霊気拠点》 2 《進化する未開地》 -土地(21)- 4 《導路の召使い》 4 《ならず者の精製屋》 3 《つむじ風の巨匠》 4 《守護フェリダー》 2 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》 -クリーチャー(17)- |
4 《霊気との調和》 4 《蓄霊稲妻》 4 《織木師の組細工》 4 《霊気池の驚異》 1 《燻蒸》 1 《ニッサの復興》 4 《サヒーリ・ライ》 -呪文(22)- |
2 《不屈の追跡者》 2 《領事の権限》 1 《払拭》 2 《否認》 1 《霊気溶融》 2 《コジレックの帰還》 2 《慮外な押収》 2 《グレムリン解放》 1 《反逆の先導者、チャンドラ》 -サイドボード(15)- |
ついでに......そういった現環境の定番とはやや異なる形だが、そういえばこのテクニックはまだ触れてなかったなぁということで、《霊気池の驚異》をアドバンテージエンジンとした形も紹介しておこう。
普通に回していてもエネルギーがガンガン貯まる「コピーキャット」。これの有効な使い道として《霊気池の驚異》を採用しているというわけだ。お約束の《絶え間ない飢餓、ウラモグ》によるちゃぶ台返しも狙えるし、コンボパーツが揃えば万々歳だ。「コピーキャット」は核となるパーツさえ固定しておけば他は割と応用が利く、ということがここからうかがい知れる。
マルドゥ機体(マルドゥ・バリスタ)
3 《山》 3 《平地》 1 《沼》 4 《感動的な眺望所》 2 《鋭い突端》 1 《燻る湿地》 4 《秘密の中庭》 1 《乱脈な気孔》 4 《産業の塔》 2 《霊気拠点》 -土地(25)- 4 《スレイベンの検査官》 4 《模範的な造り手》 4 《屑鉄場のたかり屋》 3 《歩行バリスタ》 3 《異端聖戦士、サリア》 2 《大天使アヴァシン》 -クリーチャー(20)- |
3 《致命的な一押し》 4 《無許可の分解》 4 《キランの真意号》 4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文(15)- |
1 《大天使アヴァシン》 1 《保護者、リンヴァーラ》 1 《致命的な一押し》 1 《石の宣告》 2 《苦渋の破棄》 2 《リリアナの誓い》 1 《苦い真理》 2 《グレムリン解放》 2 《反逆の先導者、チャンドラ》 1 《先駆ける者、ナヒリ》 1 《死の宿敵、ソリン》 -サイドボード(15)- |
続いては「マルドゥ機体」。《密輸人の回転翼機》を失ったが《キランの真意号》という最強クラスの機体カードを手に入れたことにより、相対的にパワーアップ。プロツアー『霊気紛争』ではTOP8のうち6名がこのデッキを使用するなど、『霊気紛争』環境を赤黒白の3色に染め上げ、駆け抜けてきた。
2ターン目に占術でドロー操作して事故のリスクを抑える《経験豊富な操縦者》を採用するか、あるいは小型クリーチャーおよび《サヒーリ・ライ》へのキラーカード《歩行バリスタ》を選択するか。プロツアー以後それぞれのアプローチがぶつかり合ってきた結果......環境が終わるころに主流となっていたのは後者だった。小型のクリーチャーを極力抑えて、初速にかけたビートダウンというよりは中速で盤面をどんどん有利にしていくデッキとなった(それでいて、《模範的な作り手》→《キランの真意号》というロケットスタートでライフを詰めることができるのが強いね)。
サイドボード後は軽いクリーチャーを減らし、除去とプレインズウォーカーでコントロールチックに、というサイドボーディングもすっかり定番になった。その結果、対プレインズウォーカー最終兵器《死の宿敵、ソリン》のような重いカードも採用されるように。これを使うために土地の枚数が増え、マナが詰まることがなくなったのであれば操縦者よりもバリスタが強いというのは当然か。
サイド後の《リリアナの誓い》がこれまた強い。誓い→ギデオンと動けばいきなりトークンが2体並んで盤面もがっちり。《キランの真意号》を最も強く使っているデッキがこの「マルドゥ機体」改め「マルドゥ・バリスタ」であることは疑いようのない事実だ。
黒緑巻きつき蛇
9 《沼》 7 《森》 4 《花盛りの湿地》 4 《風切る泥沼》 -土地(24)- 4 《屑鉄場のたかり屋》 4 《巻きつき蛇》 2 《光袖会の収集者》 4 《地下墓地の選別者》 4 《ピーマの改革派、リシュカー》 2 《新緑の機械巨人》 4 《歩行バリスタ》 -クリーチャー(24)- |
4 《致命的な一押し》 4 《闇の掌握》 4 《領事の旗艦、スカイソブリン》 -呪文(12)- |
1 《新緑の機械巨人》 3 《害悪の機械巨人》 3 《膨らんだ意識曲げ》 3 《集団的蛮行》 3 《自然廃退》 2 《精神背信》 -サイドボード(15)- |
最後に「黒緑巻きつき蛇」。環境最序盤に存在感を示したが、その時点でデッキが完成してしまっており、他2つがメキメキと進化していくのについていけない、という結果に。されど、「コピーキャット」「マルドゥ・バリスタ」を倒すために作られた他のデッキを一蹴してしまう力を持っており、蛇のようなしぶとさで環境を生き延び続けている。
このデッキを調整し続けているプレイヤーといえばローリーさん(日本人初の殿堂顕彰者・藤田剛史)。プロツアーからずっと蛇一筋なのは以前にも紹介した通り。occhanアカウントで日々Magic Onlineにて調整を繰り返しているうちに、ついに《領事の旗艦、スカイソブリン》が4枚という思いきった構成に。
《巻きつき蛇》により+1/+1カウンターを置く能力を強く使おうというコンセプトのビートダウンで、このデッキもブン回りを有しながらも重めのカードでどっしりと戦えるように作られている。ひとえに、《ピーマの改革派、リシュカー》のおかげである。
4ターン目に6マナまで生み出せるこのクリーチャーを活用して、先述のスカイソブリンや各種機械巨人、バリスタを叩き付けて盤面を一気に優勢にもっていこうというわけ。スカイソブリンは戦場に出てしまうとほとんどのデッキがこれに対処できず、その圧倒的なカードパワーに圧殺されることになる。これを最も強く使えるデッキだからこそ、絶対に戦場に出すために4枚。鉄の意志が宿る構築、黒緑ユーザーは殿堂を信じて試してみよう!
相性、というものもプレイヤーや構築によって異なるため一口に言えない、現環境の三強たち。『アモンケット』ではさらなる進化を遂げるのか、あるいは全く別のデッキに生まれ変わるか。英雄の傍らにあるデッキがどのようなものになるのか、今から楽しみでしょうがないってぇ!
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