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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:アブザン・ミッドレンジ(スタンダード)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:アブザン・ミッドレンジ(スタンダード)

by 岩SHOW

 スタンダードで何を使ったらいいのかわからない! そんな悩みをお持ちの方、少なくないのでは? プロツアー地域予選に参加する友人もえらく迷っていた。

 「マルドゥ機体」「4色コピーキャット」「黒緑巻きつき蛇」と、環境には3強と呼べるデッキが存在している。そのどれかが頭一つ抜けていれば、まだデッキ選択は楽だったかもしれない。それを使うか、それに対抗するかを考えるだけだ。ただ目の前にある現実はそうではなく、この3つのデッキ......黒緑がカードチョイスで少し姿を変えるので実質は4つくらい、3.5種類ってところか......はいずれもセールスポイントがあり、各種トーナメントの結果などを見ていても、割と拮抗しているイメージを受ける。最後にデッキ選択を決めるのは、好みの問題かもしれない。

 何度かこのコラムでも触れてきたが、黒はとにかく除去が強い。《致命的な一押し》が大活躍。ここに《闇の掌握》も加われば、「コピーキャット」にそう易々とコンボは決めさせない。

 この安心感は黒緑の売りなのだが......同時に現環境で最強と言い切ってしまって良い、1年以上休まず引っ張りだこの男《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》も使いたいという気持ちもある。《闇の掌握》は「マルドゥ機体」では運用が難しく、ギデオンは黒緑のデッキにもちろん入らない。うーんどっちのデッキにしようかなぁ~と悩むんだったら、もう新しいデッキを組んじゃえよ!と貪欲な探求心の結果、白黒緑の3色・アブザンデッキの構築にトライするプレイヤーは少なくない。

 今日はサンプルになりそうなリストを紹介しよう。ここから、各々に好きなアブザンの形を見つけ出してくれれば幸いだ。

Gavin Schober - 「アブザン・ミッドレンジ」
StarCityGames.com Team Constructed Open Baltimore 20位 / スタンダード (2017年2月18日)[MO] [ARENA]
5 《
4 《
1 《平地
4 《花盛りの湿地
4 《風切る泥沼
4 《秘密の中庭
2 《乱脈な気孔

-土地(24)-

4 《不屈の追跡者
2 《豪華の王、ゴンティ
2 《ゲトの裏切り者、カリタス
1 《墓後家蜘蛛、イシュカナ

-クリーチャー(9)-
4 《致命的な一押し
4 《ニッサの誓い
4 《ウルヴェンワルド横断
4 《闇の掌握
2 《苦い真理
1 《苦渋の破棄
1 《破滅の道
3 《燻蒸
3 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン
1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス

-呪文(27)-
3 《森の代言者
2 《精神背信
1 《自然廃退
2 《失われた遺産
1 《苦渋の破棄
1 《破滅の道
2 《ヤヘンニの巧技
2 《最後の望み、リリアナ

-サイドボード(14)-
StarCityGames.com より引用)

 アブザンの良いところは、3色なのに全く無理していないマナベースにある。黒を中心とするのであれば、《秘密の中庭》《花盛りの湿地》ら通称ファストランドと、《乱脈な気孔》《風切る泥沼》ら通称ミシュラランドと、2色土地が4種類使える。不安定な《霊気拠点》《産業の塔》などを用いなくてもデッキが組めるのは、「マルドゥ機体」にはない利点だ。これで《闇の掌握》が唱えられない、なんてことはまずないだろう。

 緑が使えるということは《ウルヴェンワルド横断》《ニッサの誓い》も用いることができる。横断は、序盤は基本土地をサーチして土地が止まるのを防ぎ、終盤ではフィニッシャーにつなげることのできる超便利カード。《ニッサの誓い》も同様に土地事故を防ぎ、フィニッシャーも探せてプレインズウォーカーを出しやすくしてくれる。これらは事故の緩和と、終盤のトップデッキ勝負を助ける2つの役割を併せ持つ、アブザン的には必須だと思われるカードだ。

 横断でクリーチャーを探せるということは、昂揚の条件を満たしているということ。なのでここからつなげて美味しい《墓後家蜘蛛、イシュカナ》が採用されているが、このデッキは特に昂揚を推進するカードも採用していないので、これはあくまでギミックの1つに留めてある。基本は除去の連打によるコントロールだ。黒の優秀な単体除去に加えて、《燻蒸》まで取ってある。これを相手に真面目にクリーチャーのみでライフを攻めるのは、なかなかにしんどそうだ。特に黒緑のデッキ相手に強そうだ。

 相手のクリーチャーは根絶やしにし、こちらはアドバンテージの取れる中量級のカードで勝つ。《不屈の追跡者》は息切れを防いでくれるし、これが生き延びてしまえば単騎でゲームを決するので相手からしてもプレッシャーがかかる。同じく息切れ防止となるカードが《豪華の王、ゴンティ》。2/3接死で地上に睨みを利かせつつ、対戦相手のデッキから何かしら頂戴する。《守護フェリダー》なんかを奪えると楽しいね。黒緑のデカい連中なんかも、接死の前ではもじもじしてくれることだろう。

 《ゲトの裏切り者、カリタス》もこの1年出ずっぱり、どれだけライフを減らされても、この1枚が状況を立て直してくれるゲームがある。奇跡の逆転ファイター枠として、黒い中速デッキから彼の姿が消えることはないだろう。

 今さら特に書くことないのギデオンももちろん、強力なフィニッシャー。《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》もゲームを長引かせることに特化したこのデッキならば、奥義までたどり着いてゴリンゴリンと相手のライフを削ってくれる。《燻蒸》との相性も最高に良いね!

 今回紹介したのはミッドレンジ、コントロール寄りの構成だったが、例えば《巻きつき蛇》を用いたアグロなデッキでも、《ニッサの誓い》の力を借りてギデオンを入れる価値はあるかもしれない。黒緑が全体除去に弱いのであれば、プレインズウォーカーでカバーするというアプローチは当然のことで、それならば遠慮せずにスタンダード最高の1枚で勝負しようよと。どういう形になるかは僕自身試せていないが、自信作があったら教えてね!

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