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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ジャンド・コントロール(スタンダード)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ジャンド・コントロール(スタンダード)

by 岩SHOW

 スタンダードのデッキ、3色ぐらいは当たり前!という風潮になりだしたのはどの辺りからだろうか。振り返ってみれば、やはり『アラーラの断片』にて強力な3色のカードと、それを運用するための3色土地が登場したのが契機か。

 当時の3色デッキと言えばやはり「ジャンド」。あの頃は「ジャンドという時代」の一言でまとめることができる。赤・黒・緑という攻撃的な3色が1つになると、思いもしなかったほどに全局面対応可能な器用なデッキとなったのである。殴ってよし、手札を攻めてよし、盤面をコントロールしてよしと3拍子揃った「ジャンド」は、これを明確に倒そうというコンセプトを持っていないデッキに市民権を与えないほどの強烈なデッキパワーを誇ったものである。

 あれから......6年か。たった6年か......体感ではもっと長い年月が経っていると思ったんだが......まあそれは置いといて、6年経った現在のスタンダードでも「ジャンド」は健在だ。最新の攻撃的な3色コントロールデッキの姿を見てみよう。

Pedro Soares - 「ジャンド・コントロール」
Vila Celta Standard League トップ8 / スタンダード (2016年11月5日)[MO] [ARENA]
2 《
2 《
1 《
4 《燻る湿地
1 《凶兆の廃墟
3 《燃えがらの林間地
1 《獲物道
3 《花盛りの湿地
2 《風切る泥沼
3 《霊気拠点
4 《進化する未開地

-土地(26)-

4 《導路の召使い
2 《不屈の追跡者
2 《ゲトの裏切り者、カリタス
2 《ゴブリンの闇住まい
1 《墓後家蜘蛛、イシュカナ
2 《害悪の機械巨人

-クリーチャー(13)-
4 《流電砲撃
4 《蓄霊稲妻
2 《精神背信
2 《放埒
2 《破滅の道
2 《無許可の分解
2 《最後の望み、リリアナ
2 《反逆の先導者、チャンドラ
1 《生命の力、ニッサ

-呪文(21)-
2 《逆毛ハイドラ
1 《ゴブリンの闇住まい
1 《膨らんだ意識曲げ
3 《過酷な精査
2 《人工物への興味
2 《本質の摘出
2 《光輝の炎
1 《失われた遺産
1 《ムラーサの胎動

-サイドボード(15)-
mtgtop8.com より引用)

 ここ最近のジャンドカラーのデッキといえば「ジャンド昂揚」。「黒緑昂揚」に小回りの利く赤い除去を足して軽量クリーチャーを複数展開してくるビートダウンデッキへの耐性を上げたもので、これが一般的だが......今日のデッキは《墓後家蜘蛛、イシュカナ》こそ採用しているものの、昂揚シナジーを活かす作りではない。昂揚とは全く違った、どちらかと言えば昔の「ジャンド」っぽい、質の高いクリーチャーと多数の除去で戦うミッドレンジ・コントロールデッキである。

 昂揚達成を助ける《残忍な剥ぎ取り》や《過去との取り組み》《発生の器》は不採用、もちろん昂揚してナンボな《ウルヴェンワルド横断》も不採用。その枠には赤を中心とした除去呪文が詰め込まれている。生殺与奪は我にありと言わんばかりの軽量・良質な除去で、目障りなクリーチャーを潰していこう。ただ、1枚で複数のクリーチャーを除去できるカードは採用されていないので、なんでもかんでも片っ端から潰しているといざという時に手が尽きてしまうことも。

 そこをカバーできるのがこのデッキのクリーチャーたちだ。《ゴブリンの闇住まい》で除去を使いまわし、《害悪の機械巨人》でもゴリッと直接破壊、《不屈の追跡者》はそれらの除去やクリーチャーを引き込むアドバンテージの塊であり、速やかにライフを削り取る。いずれもカードパワーが高く、これに「カードパワーの化身」ともいえる《ゲトの裏切り者、カリタス》まで加わるというのだから恐ろしい。この採用されているカードパワーの高さこそ、「ジャンド」というデッキの武器である。相手のクリーチャーは除去って自分は強いカードを使う、この野蛮なまでの分かりやすさこそ「ジャンド」だ。

 さらにカードパワーと言えば、忘れてはならないのがプレインズウォーカー。クリーチャー除去に長けているということは、プレインズウォーカーの旨味も存分に味わえるデッキということ。このデッキにはゲートウォッチの女性陣が集結している。《反逆の先導者、チャンドラ》もその[+1]能力でパワーカードを公開し続けてくれることだろう。それを唱えるのに必要なマナも用意してくれるのもありがたい。《最後の望み、リリアナ》は破壊不能付与が厄介な《無私の霊魂》をプチプチと潰し、墓地に落ちた強力クリーチャーを回収可能というアドバンテージの塊。《生命の力、ニッサ》も『カラデシュ』発売前から期待されていた1枚で、これがジャンドカラーのデッキに採用されているのは《世界を目覚めさせる者、ニッサ》が暴れまわっていたころを思い出す。このニッサも土地をクリーチャー化し、自身を護ったり相手のライフを攻めることができる上に、リリアナ同様パワーカードも回収可能。紋章を得れば、《不屈の追跡者》と合わさってドローが止まらない!......という夢のような状況を味わうために作られたデッキなんだろうな。

 このデッキでシブい活躍をする1枚は《放埓》。前環境で黒いコントロールが愛用した《骨読み》に代わって登場した、黒の2枚ドローソーサリーの新型だ。2点のライフを失うが、このカードはオマケでエネルギーを2つ与えてくれる。このデッキではエネルギーを有効活用する手段が用意されている。《霊気拠点》《導路の召使い》《蓄霊稲妻》、そしてサイド後の《逆毛ハイドラ》はそれだ。いずれも、エネルギーが多ければ多いほどその力を発揮してくれるカードである。

 《衰滅》のような1対多交換が行える除去を失った今、《放埓》で手札を1枚増やしつつ、エネルギー関連カードをフルに生かしてアドバンテージを取る、というのが黒い(そして青くない)コントロールの目指すべき形なのかもしれない。『霊気紛争』発売が迫ったタイミングで、果たしてどんなコントロールデッキが地位を確立しているのか。この「ジャンド・コントロール」も含めて見ものだね。

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