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市川ユウキの「プロツアー参戦記」
プレイヤーズツアー・名古屋2020 後編
こんにちは! 市川です!
今回は前回の続きとして、プレイヤーズツアー・名古屋2020の大会レポートを綴っていこうと思います。
0.ドラフト所感
後編はドラフトの所感からはじめましょう。
まず1つ目の方針は、「極力緑はやるな」です。
緑はアンコモン、レアのカードパワーが低いです。
アンコモンを例に出すと《フィーリーズ団の喧嘩屋》がギリギリ初手レベルですが、《ぬかるみの捕縛》や《イロアスの恩寵》などがあればそちらを取ると思うので、つまり他の色のトップコモンより緑のトップアンコモンは点数が低いと言うことになります。
パッと見凄そうなことをしそうな《狩りに喚ばれしレナータ》ですが、4マナのカードの後続となるとせいぜい2体くらいにカウンターを置けたら御の字。冷静に考えると《大食のテュポーン》の方が安定して強いです。
コモンも《大食のテュポーン》と《戦茨の恩恵》は他の色のコモンと比べても遜色のない強さを持っていますが、他のカードは緑らしからぬクリーチャーの質で緑というカラーリングの強みが全くありません。
特に気に入らないのはコモンファッティ2人。
《ナイレアの先駆け》はサイズが5/3と頼もしくなく、《ニクス生まれの巨人》は緑トリプルシンボルとリミテッドでは6ターン目に出るかかなり怪しい上にトランプルなどの回避能力もなし。
しかも両方クリーチャー・エンチャントなので、環境的にメインデッキに入っている《存在の破棄》や《自然への回帰》などのエンチャント破壊が直撃します。
6マナで出したクリーチャーが手札でダブついているエンチャント破壊で獲られてしまったら勝てるわけがありません。
色の弱さに反して、『武蔵』のドラフト合宿ではピックが終われば卓内で3人程度いることが多く、それも緑の勝率低下に拍車をかけました。
緑のトップコモンである《大食のテュポーン》と《戦茨の恩恵》は、3~6手目程度の他にめぼしいものは取りきられた後のパックに残っていることが多いです。
そのためそこまでに1色だけ決まっているプレイヤーだったり、序盤の数手で全く方針が定まらなかったプレイヤーの目に留まります。
「まだ何色になるかわからないから《大食のテュポーン》(《戦茨の恩恵》)拾っておくか」
というピックが卓内で同時に行われることが多く、その結果、卓内に複数緑が発生していたのです。
序盤の数手フラフラして、流れてくる、救いに見える《大食のテュポーン》に惑わされてはいけません。
2つ目の方針は「レアにデッキを寄せろ」です。
『テーロス還魂記』はアンコモン以下でゲームを決定付けられるカードが少なく、3-0を目指すのであればデッキをピックできたレアに寄せて構築する必要があります。
《キオーラ、海神を打ち倒す》は良い例です。
単体でゲームを決めてしまう《キオーラ、海神を打ち倒す》をドローするまでゲームを長引かせる、《キオーラ、海神を打ち倒す》を探しに行くがデッキのプランになりますから、相対的に他のプレイヤーより《激浪の亀》や《海の神のお告げ》が必要になってきます。
《エルズペス、死に打ち勝つ》であればそれを使いまわすことができる《運命のちらつき》や墓地から回収する《ラゴンナ団の語り部》などのカードをデッキに投入し、《エルズペス、死に打ち勝つ》を使いまわせるように構築するべきです。
もちろん、自分のオープンパックに良いレアがある確率の方が低いですし、2パック目、3パック目で自分のやっている色のゴッドレアが隣から流れて来ることもまれでしょう。
しかし、流れて来るゴッドレアによって自分のプレイする色を変えることは検討できます。
『テーロス還魂記』は信心というシステム上、単色気味にデッキを構築することが推奨されています。2パック目までを単色気味にピックさえしていれば、3パック目に流れてきた《キオーラ、海神を打ち倒す》で青に参入することだって可能というわけです。
1.構築/使用デッキ
使用デッキは「バント・スピリット」。
2 《平地》 2 《島》 4 《神聖なる泉》 4 《氷河の城砦》 4 《寺院の庭》 4 《繁殖池》 4 《植物の聖域》 -土地(24)- 4 《霊廟の放浪者》 2 《幽体の船乗り》 4 《鎖鳴らし》 4 《無私の霊魂》 4 《至高の幻影》 4 《天穹の鷲》 4 《ネベルガストの伝令》 4 《呪文捕らえ》 2 《厚かましい借り手》 -クリーチャー(32)- |
4 《集合した中隊》
-呪文(4)- |
2 《蔓延するもの》 4 《拘留代理人》 1 《大天使アヴァシン》 2 《安らかなる眠り》 1 《軽蔑的な一撃》 4 《神秘の論争》 1 《残骸の漂着》 -サイドボード(15)- |
なぜ直前になって「バント・スピリット」に立ち戻ったのか説明します。
7 《島》 4 《湿った墓》 4 《異臭の池》 4 《水没した地下墓地》 2 《欺瞞の神殿》 2 《ヴァントレス城》 4 《ニクスの祭殿、ニクソス》 -土地(27)- 4 《潮流の先駆け》 4 《マーフォークのペテン師》 4 《タッサの神託者》 4 《厚かましい借り手》 4 《真実を覆すもの》 4 《老いたる者、ガドウィック》 -クリーチャー(24)- |
2 《魔術師の反駁》 4 《予期の力線》 3 《神秘を操る者、ジェイス》 -呪文(9)- |
2 《思考囲い》 1 《無効》 1 《払拭》 2 《霊気の疾風》 2 《漸増爆弾》 4 《神秘の論争》 1 《漂流自我》 1 《幻惑の旋律》 1 《神秘を操る者、ジェイス》 -サイドボード(15)- |
もともとは、デッキリストの提出1日前までは石村さん考案の「青単信心《真実を覆すもの》コンボ」を使うつもりでした。
しかしそのタイミングのMagic Onlineでは「青黒《真実を覆すもの》コンボ」が大流行。
初期のころと比べてデッキリスト、プレイスキルともに仕上がって来ている様子で、対「青黒《真実を覆すもの》コンボ」との勝率は回を追うごとに下がっていきました。
八十岡さん操る「青黒《真実を覆すもの》コンボ」とスパーリングしてみたらその差は歴然。
「青単信心《真実を覆すもの》コンボ」がアグロに対して耐性を持たせているスロットは《真実を覆すもの》コンボミラーでは強いとは言い難く、《思考囲い》などの各種妨害から《時を越えた探索》の流れは必敗。
より多くの脅威を求めてサイドに 《神秘を操る者、ジェイス》の4枚目、黒マナ源を増やしたことによって安定して運用できる《思考囲い》などを採用して、ある程度マッチアップ相性を改善しようと試みますが、贔屓目に見ても「青黒《真実を覆すもの》コンボ」の方が有利に見えました。
Magic Onlineでの爆発的な「青黒《真実を覆すもの》コンボ」の増加。
しかもプレイヤーズツアー直前のタイミングでの増加はメタゲームを占う意味でもとても重要で、これまでのプロツアーの経験から少なくとも上位には「青黒《真実を覆すもの》コンボ」が最も多いメタゲームになることが予想されました。
4 《島》 2 《沼》 3 《湿った墓》 3 《異臭の池》 4 《水没した地下墓地》 2 《欺瞞の神殿》 1 《ヴァントレス城》 1 《ロークスワイン城》 2 《廃墟の地》 3 《寓話の小道》 -土地(25)- 2 《タッサの神託者》 4 《真実を覆すもの》 1 《スカラベの神》 -クリーチャー(7)- |
4 《致命的な一押し》 4 《思考囲い》 4 《選択》 3 《検閲》 1 《湖での水難》 1 《思考消去》 1 《英雄の破滅》 1 《神秘の論争》 1 《悪意ある妨害》 1 《衰滅》 3 《時を越えた探索》 3 《神秘を操る者、ジェイス》 1 《悪夢の詩神、アショク》 -呪文(28)- |
2 《ヴリンの神童、ジェイス》 2 《ゲトの裏切り者、カリタス》 1 《強迫》 2 《破滅の刃》 2 《否認》 2 《肉儀場の叫び》 2 《神秘の論争》 1 《夢を引き裂く者、アショク》 1 《最後の望み、リリアナ》 -サイドボード(15)- |
ともすればパイオニアのベストデッキたる「青黒《真実を覆すもの》コンボ」をプレイする、という選択になると考えていたのですが、「青黒《真実を覆すもの》コンボ」はとてもプレイスキルを要求されるデッキですので、なかなかに一朝一夕では完璧にプレイすることは不可能。
特に八十岡さんの使用したリストのようなミラーマッチを見越して《タッサの神託者》を減らした構成にすると、対アグロでの立ち回りにおいて繊細さが求められますし、コンボルートのみならず《真実を覆すもの》をプレイして相手のライフを詰め切るプランも大胆に選択する必要があります。
特に《真実を覆すもの》アグロプランの失敗は死と同義なので、その辺りの判断は経験がものを言う領域でした。
その他、一触即発でシビアなゲームが予想されるミラーマッチを赤子の移動がごとくハイハイで渡り切る自信がなく、「青黒《真実を覆すもの》コンボ」は断念します。
6 《平地》 1 《沼》 4 《神無き祭殿》 4 《秘密の中庭》 4 《コイロスの洞窟》 1 《マナの合流点》 -土地(20)- 4 《命の恵みのアルセイド》 4 《憎しみの幻霊》 2 《恩寵の重装歩兵》 4 《上級建設官、スラム》 3 《騒音のアフィミア》 -クリーチャー(17)- |
4 《ケイラメトラの恩恵》 4 《結束のカルトーシュ》 4 《天上の鎧》 4 《歩哨の目》 3 《グリフの加護》 4 《きらきらするすべて》 -呪文(23)- |
3 《浄光の使徒》 3 《脳蛆》 2 《死の重み》 2 《思考囲い》 1 《墓掘りの檻》 2 《不可解な終焉》 2 《試練に臨むギデオン》 -サイドボード(15)- |
次の候補は高尾さんと行弘さんが調整していた通称「タカオーラ」。
高尾さんらしいカードチョイスで、コンボアグロのような形をしていますが、《憎しみの幻霊》や《上級建設官、スラム》で粘り強さも兼ね備えています。
絆魂クリーチャーを多く有していて、それらをバックアップするオーラが大量に入っていますから、環境のアグロデッキすべてに対して有利が付きます。
ただ、ライフゲインが意味をなさず《致命的な一押し》や 《思考囲い》でこちらを減速させてくる「青黒《真実を覆すもの》コンボ」にはやはり相性が悪いです。
サイドに《浄光の使徒》と《試練に臨むギデオン》を採用してどれくらいマッチアップ相性が改善されるか、といったところだったのですが、もうすでにこのタイミングでデッキリスト提出3時間前程度。それの行く末を見守るほどの余裕が自分にはありません。
そこで手に取ったのは「バント・スピリット」。
消去法で選んだ感は否定できませんが、いくつか理由があります。
まずは赤単系の減少。
Magic Onlineでは「青黒《真実を覆すもの》コンボ」に追いやられてほとんど当たらないレベルにまでなってきていて、赤単系に絶望的なマッチアップ相性を誇る「バント・スピリット」としては良い知らせでしょう。
また、「バント・スピリット」は「青黒《真実を覆すもの》コンボ」に対して少し有利を取れています。
インスタントタイミングでクリーチャーを展開できる《集合した中隊》は各種コントロールデッキには無類の強さを誇ります。
除去を《致命的な一押し》に頼っている関係から《呪文捕らえ》も一定の除去耐性を持っていると考えられ、相手のコンボ阻害に役立ってくれます。
スピリットへのキラーカードとなり得る《衰滅》がメインサイド合わせて0枚のリストの方が多く見られ、「青黒《真実を覆すもの》コンボ」がスピリットに対してガードが下がっているように感じたのも、有利が取れていると判断した一因です。
また、一般的な「青黒《真実を覆すもの》コンボ」には《タッサの神託者》が4枚入っていることが多く、ここが「バント・スピリット」的には付け入る隙に感じました。
《タッサの神託者》はコンボパーツ兼地上アグロを止めるブロッカーとして活躍しますが、「バント・スピリット」のクリーチャーは全員飛行を持っていますから、ブロッカーとしての役割をなさず、対戦相手が《タッサの神託者》を複数枚引けば引くほどこちらが有利になっていきます。
赤単系が数を減らしていて、トップメタと予想される「青黒《真実を覆すもの》コンボ」に有利と、理論上は良さそうに見えた「バント・スピリット」。
それを信じてプレイヤーズツアーの運命をスピリットたちに託すことにしました。
2.初日
いよいよはじめてのプレイヤーズツアー。
プレイヤーズツアーはプロツアーと異なり、初日突破に求められるスコアは5勝3敗以上。プロツアーは4勝4敗。わずか1勝の差ですがその差は歴然です。
4勝4敗であれば65%程度のプレイヤーが初日を抜けることになる半面、5勝3敗をボーダーとしたときに突破するプレイヤーは35%程度。
わずか1勝で30%の開きがあり、大多数のプレイヤーが初日で敗退する茨の道です。
ドラフトラウンドで1-2、0-3してしまうと一気に初日抜けが厳しくなりますから、なんとしてもドラフトは成功させたいところ。
ドラフトラウンド
初手は《アゴナスの雄牛》。
自分でプレイした経験はありませんでしたが、対戦相手に出された時は非常に強力で手を焼いた記憶があったのでピックします。
その後は方針通り、ほぼ赤単ベースのピックをしつつ《モーギスの殺戮神官》や《悪戯なキマイラ》などの赤絡みのマルチカラーのアンコモンをピックして、1パック目は終了します。
2パック目の2手目で、赤を絞った甲斐もあり《地盤の巨人》が下家から流れてきました。
2色目ですが、《アゴナスの雄牛》とシナジーのある《毒の秘義司祭》が複数枚取れたこともあり黒に決定。
青は1パック目で全色の中でもトップアンコモンと名高い《瞬き翼のキマイラ》だったり、優良コモンである《海の神のお告げ》を複数枚下家に流していたので返しの流れは悪く、青赤ベースにはならない流れでした。
9 《山》 8 《沼》 -土地(17)- 2 《不協和音の笛吹き》 2 《山岳猛火のオリアード》 1 《血の野心家》 1 《死の夜番のランパード》 1 《モーギスの殺戮神官》 1 《死体あさりのハーピー》 1 《死の国の突撃馬》 2 《毒の秘義司祭》 1 《地盤の巨人》 2 《スコフォスの戦導者》 1 《アゴナスの雄牛》 -クリーチャー(15)- |
2 《死者の神のお告げ》 1 《モーギスの好意》 2 《鍛冶の神のお告げ》 1 《胸躍る可能性》 1 《マンティコアの様相》 1 《裏切りの先触れ》 -呪文(8)- |
《イロアスの恩寵》や《最後の死》といったような信頼性の高い除去が取れておらず、完成度としては微妙なところ。
具体的には《山岳猛火のオリアード》の2枚目、《マンティコアの様相》、《胸躍る可能性》あたりがそれらのカードだったら3-0も狙えるスペックでした。
ないので2-1寄り、運が悪いと1-2もあり得るなと言った評価。
- 第1回戦:赤緑 ○××
- 第2回戦:赤黒タッチ白 ○×○
- 第3回戦:青黒タッチ赤緑(松本友樹さん) ○×○
結果は順当に2勝1敗。最初の弱めの赤緑にマナフラッドマナスクリューが交互に押し寄せて来て負けてしまったのは心残りですが、初戦負けた甲斐もあってか第2・3回戦とどちらも対戦相手のデッキがそこまで強くなく、助かった可能性もあります。
第3回戦の松本友樹さんとのマッチアップは《万神殿の祭壇》、《幻惑する竪琴》が2枚と破壊する対象に困らない構成で、サイドに取った《不遜な歓楽者》が大活躍。
『テーロス還魂記』は非クリーチャーのパーマネントはエンチャントに寄っていて、アーティファクトは少なく、《不遜な歓楽者》をサイドインすることがなかったので、かなり珍しい展開でした。
構築
- 第4回戦:青黒《真実を覆すもの》コンボ ○×○
- 第5回戦:ロータス・コンボ ××
- 第6回戦:赤単アグロ ○××
- 第7回戦:セレズニアヘリオッド鱗 ×○×
ドラフト2勝1敗からの構築1勝3敗、トータル3勝4敗で初日落ち。
第6回戦の「赤単アグロ」との対戦。
対戦相手は《ゴブリンの熟練扇動者》を2体コントロールしていますが、こちらも《ネベルガストの伝令》の能力でタップし続け、思うようにはダメージを通していない展開。
相手も《呪文捕らえ》に掛からないように、終始カードを第2メイン・フェイズにカードをプレイしてきており、このターンの相手の戦闘は戦闘開始ステップに《呪文捕らえ》をプレイ→《ゴブリンの熟練扇動者》を1体タップ→攻撃してきた《ゴブリンの熟練扇動者》をブロックでこのターンの戦闘をこなす予定でした。
そんなことを考えていると、ここまで一貫して第2メインでカードをプレイして来ていた対戦相手ですが、おもむろに第1メインで速攻があるわけでもない《損魂魔道士》をプレイ。
こちらの予想を反した動きに面くらいましたが、まぁ獲れるものは獲っておくかとスタックで《呪文捕らえ》をプレイします。対象は《損魂魔道士》で。
戦闘に入り、ゴブリンが2体出てきて、《ゴブリンの熟練扇動者》が2体攻撃。
……してきたタイミングで忘れたことに気付きました。《ゴブリンの熟練扇動者》を1体タップすることを……。
この誘発忘れにより6点多くのダメージを受けました。
返しのドローは5枚目の土地。手札には《大天使アヴァシン》。
一気に盤面を取り返せますが、どうしても先ほどの6点が痛すぎてライフが残らず負けてしまいます。
ぜっかく相性の悪い「赤単アグロ」に勝ち得た展開だったのに、誘発忘れでそれを落としてしまう大チョンボ。
ツキが逃げていく気がしましたね。
こういうことが起きないように、1回は紙で本番で使用するデッキをプレイしておきたいところですが、デッキを決めたのがデッキ提出の1時間前と逼迫した状況でしたからそれも現実的ではなく。なかなか難しいものです。
3.2日目
念入りに準備をして来たものの、初日落ち。
マジックは甘くないなぁと感じつつも、2日目はプロツアーと同じく友人たちとドラフトを興じていると……。
7 《島》 4 《湿った墓》 4 《異臭の池》 4 《水没した地下墓地》 2 《欺瞞の神殿》 2 《ヴァントレス城》 4 《ニクスの祭殿、ニクソス》 -土地(27)- 4 《潮流の先駆け》 4 《マーフォークのペテン師》 4 《タッサの神託者》 4 《厚かましい借り手》 4 《真実を覆すもの》 4 《老いたる者、ガドウィック》 -クリーチャー(24)- |
2 《魔術師の反駁》 4 《予期の力線》 3 《神秘を操る者、ジェイス》 -呪文(9)- |
2 《思考囲い》 1 《無効》 1 《払拭》 2 《霊気の疾風》 2 《漸増爆弾》 4 《神秘の論争》 1 《漂流自我》 1 《幻惑の旋律》 1 《神秘を操る者、ジェイス》 -サイドボード(15)- |
6 《平地》 1 《沼》 4 《神無き祭殿》 4 《秘密の中庭》 4 《コイロスの洞窟》 1 《マナの合流点》 -土地(20)- 4 《命の恵みのアルセイド》 4 《憎しみの幻霊》 2 《恩寵の重装歩兵》 4 《上級建設官、スラム》 3 《騒音のアフィミア》 -クリーチャー(17)- |
4 《ケイラメトラの恩恵》 4 《結束のカルトーシュ》 4 《天上の鎧》 4 《歩哨の目》 3 《グリフの加護》 4 《きらきらするすべて》 -呪文(23)- |
3 《浄光の使徒》 3 《脳蛆》 2 《死の重み》 2 《思考囲い》 1 《墓掘りの檻》 2 《不可解な終焉》 2 《試練に臨むギデオン》 -サイドボード(15)- |
4 《島》 2 《沼》 3 《湿った墓》 3 《異臭の池》 4 《水没した地下墓地》 2 《欺瞞の神殿》 1 《ヴァントレス城》 1 《ロークスワイン城》 2 《廃墟の地》 3 《寓話の小道》 -土地(25)- 2 《タッサの神託者》 4 《真実を覆すもの》 1 《スカラベの神》 -クリーチャー(7)- |
4 《致命的な一押し》 4 《思考囲い》 4 《選択》 3 《検閲》 1 《湖での水難》 1 《思考消去》 1 《英雄の破滅》 1 《神秘の論争》 1 《悪意ある妨害》 1 《衰滅》 3 《時を越えた探索》 3 《神秘を操る者、ジェイス》 1 《悪夢の詩神、アショク》 -呪文(28)- |
2 《ヴリンの神童、ジェイス》 2 《ゲトの裏切り者、カリタス》 1 《強迫》 2 《破滅の刃》 2 《否認》 2 《肉儀場の叫び》 2 《神秘の論争》 1 《夢を引き裂く者、アショク》 1 《最後の望み、リリアナ》 -サイドボード(15)- |
2 《平地》 2 《島》 4 《神聖なる泉》 4 《氷河の城砦》 4 《寺院の庭》 4 《繁殖池》 4 《植物の聖域》 -土地(24)- 4 《霊廟の放浪者》 2 《幽体の船乗り》 4 《鎖鳴らし》 4 《無私の霊魂》 4 《至高の幻影》 4 《天穹の鷲》 4 《ネベルガストの伝令》 4 《呪文捕らえ》 2 《厚かましい借り手》 -クリーチャー(32)- |
4 《集合した中隊》
-呪文(4)- |
2 《蔓延するもの》 4 《拘留代理人》 1 《大天使アヴァシン》 2 《安らかなる眠り》 1 《軽蔑的な一撃》 4 《神秘の論争》 1 《残骸の漂着》 -サイドボード(15)- |
調整チーム『武蔵』から、トップ8に4人も入ってるー!!
しかも今回『武蔵』から発射した4つのデッキ、「青単信心《真実を覆すもの》コンボ」「タカオーラ」「バント・スピリット」「青黒《真実を覆すもの》コンボ」ですべて入賞の快挙。
このようにデッキがチーム内でバラけた時は経験上では1個成功デッキがあれば良いくらいなのですが、まさか全部のデッキがトップ8に食い込む結果になるとは予想していませんでした。
今回の調整の成功と、何より『武蔵』メンバーの個々の地力の高さを感じました。
そんなドキッ☆武蔵だらけのトップ8、優勝したのは原根健太さん!
原根さんは準々決勝で八十岡さん、準決勝で石村さん、決勝戦で行弘さんと、なんと『武蔵』3連戦を乗り越えての勝利。
同じ「バント・スピリット」をプレイした私としても喜ばしい限りです。
原根さん、優勝おめでとうございます!
4.デッキ解説
せっかく原根さんが優勝されたので、ざっくりと「バント・スピリット」の各カードを解説してみましょう。
前回の記事でも書いた通り、《幽体の船乗り》を複数枚ドローすることはカードパワーの低さから看過できません。
「アゾリウス・スピリット」は《幽体の船乗り》のような1マナのクリーチャーを用いてどこかでダブルアクションを取らないとテンポを返すことができませんが、「バント・スピリット」は《集合した中隊》1枚でテンポを取り返すことが可能なので、弱いカードを大量に採用する必要はありません。
その空いたスロットは《無私の霊魂》の3~4枚目にしました。
《無私の霊魂》は2ターン目のアクションの中でベストなアクションです。
3ターン目にプレイする《呪文捕らえ》や《天穹の鷲》をバックアップしてくれますし、貴重なダメージソースとしてもパワーが2あるので優秀です。
《厚かましい借り手》は《集合した中隊》との相性が悪く、他の3マナ域のクリーチャーと比較しても優先するカードではないので2枚に抑えてあります。
ただ、必要なタイミングもありますしリストに入っていないと相手のプレイがやりやすくなってしまうので、2枚くらいが適正に感じます。
マナベースは青18の白14、緑12。
《繁殖池》、《寺院の庭》、《神聖なる泉》とギルドランドを12枚採用。
もちろん「アゾリウス・スピリット」と比べるとギルドランドが8枚多く入っていて、土地によるライフ損失が平均して4点程度多くなります。
ですが、それでも「アゾリウス・スピリット」と比べてもアグロに対しての相性は良いです。
環境に存在する「赤単アグロ」は、《ボロスの魔除け》などをプレイしてこちらのライフを直接呪文で削るようなバーンデッキではありません。
火力呪文はクリーチャーにプレイ、盤面を開けて《僧院の速槍》などのクリーチャーでのダメージを通して来るスライに分類されます。
そのため土地によるライフ損失はゲームの敗因ではなく、テンポの悪さから盤面を圧倒されることが主になります。
そのため、テンポを返せるカードを有している「バント・スピリット」の方が「赤単アグロ」にまだやり合えるというわけです。
これは他のアグロ、「黒単アグロ」や「青赤《アーティファクトの魂込め》」に対しても同じことが言えます。
サイドボードについて、入っているカードは公開されますが、枚数は公開されないルールでした。
そのため《残骸の漂着》と《大天使アヴァシン》はサイドに1枚忍ばせる価値が高く、採用に至りました。
私たちは1枚ずつしか入っていないことがわかりますが、対戦相手からしたらこれらが何枚入っているかはわかりません。
サイドボード後に5マナ立ててこちらがターンを終えた場合に、何体のクリーチャーで攻撃に向かうか、正しくプレイするのは至難の業です。
ここまで何度も言ってきていますが、スピリットの対アグロでの敗着はテンポの悪さから来るものがほとんどです。
そしてなぜ「赤単アグロ」にテンポを取られてしまうかというと、相手の火力呪文よりこちらのクリーチャーの方が重く、クリーチャーを除去されるだけで相手がテンポを取っていくことになるからです。
それらでテンポを取られない、逆にテンポを取るには1マナでタフネス3、もしくは2マナでタフネスが4なければなりません。
もちろん、相手が除去を打たなくても問題ないカードでも意味がありません。《激浪の亀》では相手は除去をプレイしてきませんから、マナ比率の良いトレードが発生しません。
対「赤単アグロ」での要点を考慮した結果、《蔓延するもの》を採用するに至りました。
《蔓延するもの》は1マナでタフネス3。これがいると攻撃したクリーチャーが順々に《蔓延するもの》になってしまいますから、除去も必須。おまけにクリーチャー・タイプもなぜかスピリットなので、《至高の幻影》でサイズも上がります。
「黒単アグロ」も相手のクリーチャーは1マナ2/1サイズが多く、《蔓延するもの》を突破できません。
《漆黒軍の騎士》はパンプ能力を駆使すれば《蔓延するもの》を打ち倒すことができますが、3マナ使って《蔓延するもの》になるので、時間を十分に稼げます。
「青赤《アーティファクトの魂込め》」に対しても、《アーティファクトの魂込め》がついているクリーチャーをブロックした場合、《蔓延するもの》になってアーティファクトでなくなりますから、《アーティファクトの魂込め》が外れます。
5.おわりに
調整チーム『武蔵』としては大成功に終わったプレイヤーズツアー・名古屋2020ですが、私個人で見ると初日落ちと残念な結果に終わりました。
これもひとえに自分の実力不足から来ているものだと思います。
『武蔵』のメンバー4人が入賞していることからも調整過程や使用デッキに問題があるとは考えられず、ともすれば個人のスキルの問題と言えるでしょう。
幸い、調整チーム『武蔵』と国内トップの環境で大会に臨める立場にいますから、後は簡単です。自分を研鑽すれば良いのです。
もう私も30歳を越え、プレイヤーとしても若手ではなくなりました。
ですが、初心に帰り辛抱強く実力を付けていきたいと思います。
またも、次回のプレイヤーズツアーの権利がない状態でこの記事を終えることになりました。
しかし、是が非でも次のプレイヤーズツアーの権利を獲得し、市川ユウキの「マジックeスポーツ参戦記」に戻って来られるように頑張りたいと思います!
今回の記事はこれまで! また次回お会いしましょう!
市川
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