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高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」

第23回:「統率者」特集 ?「天空の業火」デッキ紹介

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高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」

2011.06.17

第23回:「統率者」特集 ~「天空の業火」デッキ紹介


統率者戦とは?

 この連載でも何度も紹介してきた統率者戦/Commander。

 もともとカジュアルマジックのひとつとして発表されたものでしたが、「集めるカードが1枚で済む手軽さ」「仲間同士でワイワイやる楽しさ」から年々どんどん人気が高まってきているフォーマットです。
 僕の友人にも「スタンダードは引退したけれど統率者戦はやる」というプレイヤーもいるくらいでし、。マジックウィークエンド・名古屋のサイドイベントも、1日で10卓以上が成立するほど大盛況だった統率者戦。

 今週は、その統率者戦と、本日発売された構築済みデッキ「天空の業火」を紹介していきます。


基本的なルール

・初期ライフは40。
・ゲーム開始時に「伝説のクリーチャー」1体を指定し、統率領域に置く。この「伝説のクリーチャー」を統率者と呼ぶ。
・デッキは統率者を含めて100枚。基本地形を除き、同名のカードをデッキに入れることはできない。
・統率者と同じマナ・シンボルを持つカード、または無色のカードのみデッキに入れることができる。
・統率者が統率領域にある場合、オーナーはそれをプレイすることができる。統率者が墓地に置かれた場合、オーナーは代わりにそれを統率領域に戻すことができる。

 詳しいルールや禁止カード(使うべきではないカード)の一覧については、こちらのページを参照してください。

 統率者戦(旧エルダードラゴン・ハイランダー) 公式ルール


禁止カード変更(2011年6月17日付)とそれを使ったデッキ

 世界喰らいのドラゴン》解禁(リストより除外)

 このカードが墓地にあるときに《動く死体》《ネクロマンシー》《Dance of the Dead》でリアニメイトすると、

 1) 《世界喰らいのドラゴン》が戦場に出る
 2) 《動く死体》or《ネクロマンシー》ごとすべて追放
 3) エンチャントが外れることによりエンチャントの「戦場を離れたとき」の能力が誘発、《世界喰らいのドラゴン》を生け贄に捧げる
 4) 《世界喰らいのドラゴン》の「戦場を離れたとき」の能力が誘発、エンチャントが戻ってくる
 5) →1)に戻り、以下無限ループ。

 となり、インスタントタイミングで使える無限マナが出ます。あとは《天才のひらめき》でライブラリーを全部引くのもよし、《彗星の嵐》をX=100で撃つのも良し。《熟考漂い》《街頭筋の強盗》などの「戦場に出たとき○○」の効果も無限に使うのも良し。墓地に他にクリーチャーがいれば、途中で無限ループを止めることもできますね。

 統率者戦のルールとして、デッキに1枚しか入れられない欠点こそあるものの、《納墓》《生き埋め》《直観》といった墓地に落とす呪文もありますし、瞬殺コンボとしては簡単な部類ではないでしょうか。ドローやサーチの多い青、そして上記の《納墓》《動く死体》を考えると、青黒赤を使うことになりそうです。その場合の統率者は、

 といったところ。

 ただし《納墓》などで落とした後、他のプレイヤーからインスタントタイミングで《ネクロマンシー》で割り込まれると逆に無限マナコンボを決められてしまうので、そこは注意が必要ですね。


「天空の業火」

「天空の業火」
マジック:ザ・ギャザリング―統率者 [MO] [ARENA]
8 《平地
8 《
8 《
1 《アクームの隠れ家
1 《やせた原野
1 《ボジューカの沼
1 《ボロスの駐屯地
1 《統率の塔
1 《進化する未開地
1 《忘れられた洞窟
1 《溶鉄の金屑場
1 《オルゾフの聖堂
1 《ラクドスの肉儀場
1 《断ち割る尖塔
1 《隔離されたステップ
1 《鮮烈な草地
1 《生けるものの洞窟

-土地(38)-

1 《巨大なるカーリア

-統率者(1)-

1 《ルーンの母
1 《オルゾフのギルド魔道士
1 《ボロスのギルド魔道士
1 《グウィリオンの垣魔道士
1 《デュルガーの垣魔道士
1 《エメリアの光守り
1 《剃刀顎の鬼
1 《憤怒
1 《万物の声
1 《チビ・ドラゴン
1 《焼炉の仔
1 《セラの天使
1 《砕けた天使
1 《堕天使
1 《戦いの熾天使、バサンドラ
1 《野蛮な地の鬼
1 《マナ蓄積のドラゴン
1 《報復するものオロス
1 《マルフェゴール
1 《天使の調停者
1 《敵対の大天使
1 《魂を数える者、タリエル
1 《絶望の天使
1 《帰ってきた刃の翼
1 《殺戮の化身
1 《憤怒の天使アクローマ
1 《強奪する悪魔
1 《戦慄の憑依魔

-クリーチャー(28)-
1 《太陽の指輪
1 《天球儀
1 《ボロスの印鑑
1 《稲妻のすね当て
1 《オルゾフの印鑑
1 《ラクドスの印鑑
1 《ダークスティールの鋳塊
1 《魂の捕獲
1 《義務の誓約
1 《敵意の誓約
1 《稲妻の誓約
1 《締め付け
1 《紅蓮炎血
1 《正義の理由
1 《流刑への道
1 《照らす光
1 《終止
1 《オアリムのいかづち
1 《屈辱
1 《集い
1 《塵への帰結
1 《硫黄破
1 《破壊の宴
1 《手練れの戦術
1 《浄化の光線
1 《彗星の嵐
1 《吸心
1 《魔性の教示者
1 《エヴィンカーの正義
1 《吸肉
1 《アクローマの復讐
1 《ドラゴンによる死
1 《地震

-呪文(33)-

 天使とドラゴン。僕の周りでもその種族のカードを全部Foilで集めている「天使コレクター」「ドラゴンコレクター」というプレイヤーもいるくらい、コレクションの2大巨頭というべきクリーチャー達です。今回の「天空の業火」はそこにデーモンを加えて、ファンタジー世界のボス級クリーチャーが揃い踏みになっています。

 このデッキの中心となるクリーチャーはもちろん、《巨大なるカーリア》。彼女の天使・ドラゴン・デーモンに対する崇拝からかは知りませんが、攻撃するだけで「無料で」呼べてしまう、マナコストを踏み倒せるクリーチャー。《稲妻のすね当て》と組み合わせれば4ターン目に《絶望の天使》アタックなんてこともできます。

 このデッキには入っていませんが、《巨大なるカーリア》+《鋼のヘルカイト》でいきなりパーマネント大量破壊もできますし、除去性能を求めるなら《忠告の天使》《ボガーダンのヘルカイト》《魂の汚染者》なんかも候補に上がりそうですね。


 今回の構築済みデッキは複数の「伝説のクリーチャー」が入っており、これまで種類の少なかった「敵対色の伝説のクリーチャー」の種類が一気に増えたので、自分のデッキに合わせて統率者を選べるようになりました。

 《巨大なるカーリア》以外にも《魂を数えるもの、タリエル》《報復するものオロス》のように「伝説のクリーチャー」が複数入っているため、統率者が固定されているのではなくいつでも変更可能なのが、今回の特徴的な部分。赤白のデッキに変更したいなら《戦いの織天使、バサンドラ》に統率者を変更して組み替えることもできますし、デッキの自由度は高いですね。


 また今回の構築済みには、新規のカードも封入されています。

魂の捕獲

 置き《流刑》。他のプレイヤーを攻撃しているクリーチャーは除去できないので、このカードを場に置くことで「こっち攻撃してきたら除去するよ」といった駆け引きも生まれそうなカードです。
 軽いエンチャントなので、レガシーのエンチャントレスデッキに入るかもしれませんね。


吸肉

 《吸心》はたとえば4人で統率者戦をやっているときは4マナで相手はそれぞれ手札-1、自分手札+3であり、対戦相手が多ければ多いほど強く、多人数戦向きのカードです。
 《吸肉》はその《吸心》のクリーチャー版と言えるカード。しかし一風変わった名前にそぐわず、3体除去しながら2/2が3体と強力な効果。シングルシンボルと言う使いやすさもあり、これからはよく見かけるカードになりそうです。


締め付け

「統率者戦で最も強い色は?」
 という質問をされたら、僕は間違いなくこう答えるでしょう。「青」と。

 《渦まく知識》《思案》などデッキの潤滑油になるドロースペル、《直観》《神秘の教示者》のようなサーチカード、《時間のねじれ》など追加ターンを得るカード、《不実》のようにコントロールを奪う呪文。どれも強力なカードですし、実際多くのコンボデッキが青を含んでいます。

 しかし青やコンボデッキばかりが統率者戦じゃない! そう考えるプレイヤーも少なくないはず。
 《締め付け》はそんなプレイヤーにおススメのカード。これさえあれば多くのコンボデッキや、「追加ターンを得る」カードを無効化することができます。コンボではなく、大技同士のぶつかり合いを楽しみたいなら《締め付け》をどうぞ。
血染めの月》や《冬の宝珠》など、相手の妨害に重点を置いたデッキを組んでも面白そうです。


義務の誓約
敵意の誓約
稲妻の誓約

 各色にそれぞれ存在する「誓約」シリーズ。要は「強化してあげるからこっち殴ってこないでね」というもので、相手のクリーチャーにつける事が多そうなカードです。
 とは言え、統率者戦では《剣を鍬に》などのように軽い単体除去もありますし、デッキを練り上げていくに連れて抜けるカードかも知れません・・・


 それに加えて、今回の構築済み全てのデッキに、統率者戦の必須パーツとも言える3種類のカードが入っています。


稲妻のすね当て

 速攻+被覆+装備0マナと使いやすく、タップ能力や「攻撃したとき○○」の能力を持つ統率者の能力を使うのにも最適。デッキを選ばない強さ。


太陽の指輪

 《Mana Crypt》と並んで、統率者戦のゲームスピードを上げている1枚。これもアーティファクトなので、全てのデッキに入ります。今まで日本語版が存在しなかったカードなので、日本語コレクターにとっては嬉しい採録ですね。


統率の塔

 これこそまさに、統率者戦のために作られたカード。好きな色のマナが出て、しかもアンタップ状態で戦場に出る! デュアルランドの上位互換が出る日が来るとは・・・
 多色のデッキなら必ず入る1枚ですね。ただ単色デッキの場合は《血染めの月》《基本に帰れ》などを考慮して、基本土地を入れるべきでしょう。
 他のフォーマットの場合、ただの置物になってしまうので注意(笑)


 次回は他の統率者デッキを紹介していく予定です。
 では、また来週。

マジック:ザ・ギャザリング―統率者


2011年日本選手権予選

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