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戦略記事

高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」

第5回:やりこみレガシー・コンボデッキ編

読み物

高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」

2011.02.11

第5回:やりこみレガシー・コンボデッキ編

 前回からお送りしている「やりこみレガシー」。

 今回はレガシー環境のもうひとつの華、エターナルのスピード感とスリルを存分に味わえるコンボデッキを、代表格である「ANT」と「発掘」の2つを例に紹介していきます。


ANT


ANT[MO] [ARENA]
1 《
4 《Underground Sea
1 《Tropical Island
4 《霧深い雨林
2 《溢れかえる岸辺
2 《沸騰する小湖
1 《汚染された三角州
2 《裏切り者の都

-土地(17)-


-クリーチャー(0)-
4 《ライオンの瞳のダイアモンド
2 《モックス・ダイアモンド
4 《水蓮の花びら
4 《強迫
2 《思考囲い
4 《暗黒の儀式
4 《陰謀団の儀式
4 《渦まく知識
4 《思案
2 《定業
2 《師範の占い独楽
4 《冥府の教示者
1 《苦悶の触手
2 《むかつき

-呪文(43)-
3 《闇の腹心
3 《蒸気の連鎖
3 《クローサの掌握
2 《ハーキルの召還術
2 《呪文貫き
1 《自然に帰れ
1 《不正利得

-サイドボード(15)-

 Ad Nauseam Tendrilsこと「ANT」。《むかつき》をキーカードにした、ストーム型のコンボデッキです。
 去年の連載でも何度か紹介しているので、参照してください。

 デッキ構築の段階で相手の除去やクリーチャーをある程度無視できる、というのがコンボデッキの利点ですね。《剣を鋤に》はANT相手には完全な無駄カードで、《タルモゴイフ》もただの3/4で脅威とは言えない。

 ただ逆に「特定のカード1枚で負けてしまう」ことは他のデッキにはない、コンボデッキだけの短所です。ANTの場合、妨害無しの2キルを仕掛けても《Force of Will》されて、そのまま投了になることもあります。

妨害スロットを何にするか

 ANTの宿敵・・・上でも述べたように、それは《Force of Will》。レガシーで最も使われているカードの1つですが、やはり0マナのカウンターというのはコンボデッキに強く、2キルを仕掛けたけど《Force of Will》持たれていて負けなんてのもよくあります。

 この《Force of Will》を克服するためにも、《オアリムの詠唱》や《呪文貫き》、さらにはやりすぎ感漂うメイン《紅蓮破》まで、今まで様々なカードを試してきました。
 《オアリムの詠唱》と手札破壊の比較をすると、


オアリムの詠唱

メリット

デメリット

  • 白マナであること。色を増やさなければいけなくなるので《不毛の大地》に弱くなる。
  • ストーム型でないコンボデッキには使いにくい。例えばSneak Showの《実物提示教育》発掘の《打開》など、相手の必殺技を対処するためにはアップキープに撃つ必要があり、その点では手札破壊に劣る。
  • むかつき》を仕掛けるためには計6マナ必要になり、手札破壊と違ってマナを分割できない。


強迫》《思考囲い

メリット

  • ANTのメインカラーが黒なので、土地に負担がかからない。《暗黒の儀式》→《強迫》といったように、黒マナを増やした後に繋げられる。
  • 相手がコンボデッキだったときや《相殺》など、キーカードを対処してゲームのスピードを自分に合わせられる。
  • 前もって手札を確認できるので、1ターン目に《強迫》、2ターン目に《むかつき》、といったように、《オアリムの詠唱》と違ってマナを分割することが出来る。

デメリット

  • ビートダウン相手だと、《強迫》は《稲妻》《流刑への道》を抜くだけになってしまうことが多く、《思考囲い》の2点ルーズも痛い。
  • 手札破壊に対応して《渦まく知識》で隠されてしまうと、キーカードに対処できない。


 自分が青黒2色バージョン(緑はサイドのみ)を使う理由は、《不毛の大地》の存在が大きいですね。

 《地盤の際》と比較するとその壊れっぷりが良くわかる、0マナの土地破壊。デュアルランドへのアンチカードであり、複数引いたときは簡単に相手を事故らせて勝ってしまう。《不毛の大地》の存在があるからこそ、ほとんどのデッキは基本地形を数枚入れますし、環境に存在するだけでデッキ構築にまで影響を与える強力なカードです。今回《》が入っているのも、やはり《不毛の大地》を考慮しているからです。

 例えばANTで《不毛の大地》をケアして、1ターン目に《》をプレイした場合。

・《強迫》の場合

 1ターン目《》をフェッチしてドロースペル、2ターン目に《》《Underground Sea》から《暗黒の儀式》《陰謀団の儀式》→《強迫》そして《むかつき》とつなげることは出来ます。

・《オアリムの詠唱》の場合

 1ターン目《》、2ターン目《Scrubland》だと色マナが足りず、追加で《睡蓮の花びら》が必要になります。《》《Tundra》からだと、今度は1ターン目のドロースペルが撃てなくなり、必要なカードを集めるのにターンを消費することになります。

 色を増やすと、コンボ中に必要なカードもどんどん増えていきます。そうそう毎回都合の良い回りをするわけもないので、デッキの安定性を考えると2色バージョンの方が良いと、自分は考えますね。


 自分のプレイスタイルとして「どうせ《Force of Will》持ってないだろ!」と《ゴブリンの放火砲》を出すよりも、可能な限り相手の手札をケアした上でプレイしたい。ANTは妨害手段を持ちつつ、その上で平均2~3キルのスピードも併せ持つ、大好きなデッキです。


発掘


発掘[MO] [ARENA]
4 《宝石鉱山
4 《真鍮の都
2 《知られざる楽園
4 《セファリッドの円形競技場

-土地(14)-

4 《朽ちゆくインプ
2 《不屈の部族
4 《ゴルガリの墓トロール
4 《臭い草のインプ
3 《ゴルガリの凶漢
4 《イチョリッド
4 《ナルコメーバ
1 《エメリアの盾、イオナ
1 《絶望の天使

-クリーチャー(27)-
4 《入念な研究
4 《打開
4 《陰謀団式療法
4 《黄泉からの橋
3 《戦慄の復活

-呪文(19)-
1 《鋼の風のスフィンクス
3 《蒸気の連鎖
3 《炎の嵐
3 《古えの遺恨
1 《天啓の光
4 《虚空の力線

-サイドボード(15)-

 このデッキのたった1つの目的に特化していています。
 その目的とは「墓地を増やす」こと。
 墓地にあると効果を発揮するカードでデッキを構成し、墓地を繰り返すことでリソースを増やす。このデッキにとって墓地は第二の手札であり、「発掘」は手札を増やすような働きをします。


長所、短所

 平均的な回りをしたときの発掘のキルターンは3~4。これは他のコンボデッキよりも1ターン遅い数字で、遅い原因は「発掘」のランダム性にあります。

 コンボに必要なのは《戦慄の復活》、2枚以上の《黄泉からの橋》、《ナルコメーバ》、そして釣る先の《エメリアの盾、イオナ》《炎の血族の盲信者》ですが、ライブラリーから墓地に落ちるカードはランダムであり、落ち方が悪いときはそのまま遅れが出てしまうのが発掘の短所。

 しかしそのぶん、発掘は他のコンボデッキと違って部分的な妨害に強いです。《Force of Will》1枚で負けず、カウンターが多いデッキは《黄泉からの橋》に対処できず、《戦慄の復活》を打ち消されてもゾンビと《イチョリッド》はカウンターできないので押し切れる。《陰謀団式療法》連発で手札破壊もできるので、青いコントロールは有利です。

 「ディスカードが効きにくい」というのも、他のデッキにはないメリットです。例えばANTで《Hymn to Tourach》を撃たれたらハズれるよう祈るだけですが、発掘の場合はカードを捨てたおかげで次のターン決まった、なんてこともあります。


ライオンの瞳のダイヤモンド》を入れるか?

メリット

デメリット

 《ライオンの瞳のダイアモンド》を入れると爆発力は上がるのですが、どうしても安定性に欠けるようになります。
 土地12枚にしてしまうと当然マリガンも増えますし、《不毛の大地》を考えると14~16枚は欲しい。そもそも《セファリッドの円形競技場》はスペルみたいなものですからね。

 自分は《ライオンの瞳のダイアモンド》なし、土地を少し多めの構築を推します。


キープ基準

 このデッキの初手キープ基準は「手札を捨てられる」「発掘カードがある」の二点。

 前者は《朽ちゆくインプ》《不屈の部族》《入念な研究》、後者は《ゴルガリの墓トロール》《臭い草のインプ》《ゴルガリの凶漢》ですね。

 もともと《黄泉からの橋》《戦慄の復活》など初手にきても意味のないカードが多く、キーカードが限られているデッキなので、2ターン目に発掘が開始できないような初手は積極的にマリガンすべきです。

 他のデッキに比べてマリガンに耐性があり、たとえトリプルマリガンでも《入念な研究》《打開》《ゴルガリの墓トロール》《セファリッドの円形競技場》でブン回ります。マリガンを恐れてはいけない。


墓地対策に対策する

 《トーモッドの墓所》《大祖始の遺産》《太陽と月の輪》《虚空の力線》など墓地対策は種類が多く、2戦目が始まるまでは相手が何をサイドインしてきたかはわかりません。

 《蒸気の連鎖》はどのカードも一時的ではあるものの対処することができる、「丸い」墓地対策対策。ただ1回戻すだけでは次のターンに出しなおされてしまうので、一気に大量のゾンビトークンを揃えてそのターン中に決めるか、もしくは戻したカードを《陰謀団式療法》で指定する、などなんらかのアクションを起こす必要があります。

 バウンスは他のカードがなければその場しのぎにしかならないので、なるべくなら 《古えの遺恨》《天啓の光》で相手のサイドカードを破壊したいところ。

 これはANTにも共通して言えることなんですが、コンボデッキは対策のされていないメイン戦が特に強いので、メインを取った上で2本目で相手のサイドカードを確認して、3本目に相手のサイドカードを対策してきっちり取り返す、というのが多いですね。


 今回はレガシーのコンボデッキをお送りしました。

 どちらのデッキも、キーカードこそ《むかつき》(アラーラの断片)と発掘カード(ラヴニカ:ギルドの都)と比較的新しいものですが、やはりコンボデッキではレガシーならではの強力な昔の呪文カードを使えるのが大きいですね。

 何度か書いてきていることではありますが、好きなカードを使える・好きなデッキを使えるというのが、レガシーの魅力ですね。

 では、また来週。

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