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高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」
第4回:やりこみレガシー・ビートダウン編
読み物
高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」
2011.02.04
第4回:やりこみレガシー・ビートダウン編
2010年のはじめから徐々に人気を増やし、グランプリや日本選手権のパブリックイベントとしても大盛況だったレガシー。
マイナーフォーマットだったのはもはや過去の話で、ウィザーズのアナウンスでも「プレイヤー数が一番多いのはレガシー」と言われるくらい、人気のあるフォーマットです。
自分もMagic Online内でよくレガシーをプレイしますし、MOでもレガシーはプレイ人口が増えていっています。
今回から二回に渡り、「やりこみレガシー」として主要デッキ、そしてその細かなカード選択を紹介していきます。
レガシー・使用可能カードセット
すべてのカードセット(すべての基本セット、特別セット、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社によってリリースされたプロモーションカードを含む)
レガシー・禁止カード一覧
アンティに関するカード: 《Amulet of Quoz》 《青銅のタブレット》 《Contract from Below》 《Darkpact》 《Demonic Attorney》 《宝石の鳥》 《再誕》 《嵐のイフリート》 《Timmerian Fiends》 《Ancestral Recall》 《天秤》 《Bazaar of Baghdad》 《Black Lotus》 《黒の万力》 《チャネル》 《Chaos Orb》 《Demonic Consultation》 《Demonic Tutor》 《大地の知識》 |
《Falling Star》 《Fastbond》 《閃光》 《大あわての捜索》 《ゴブリン徴募兵》 《噴出》 《隠遁ドルイド》 《伝国の玉璽》 《土地税》 《Library of Alexandria》 《Mana Crypt》 《Mana Drain》 《魔力の櫃》 《記憶の壺》 《精神錯乱》 《精神の願望》 《Mishra's Workshop》 《Mox Emerald》 《Mox Jet》 《Mox Pearl》 《Mox Ruby》 |
《Mox Sapphire》 《神秘の教示者》 《ネクロポーテンス》 《ドルイドの誓い》 《Shahrazad》 《頭蓋骨絞め》 《Sol Ring》 《露天鉱床》 《適者生存》 《Time Vault》 《Time Walk》 《Timetwister》 《修繕》 《トレイリアのアカデミー》 《吸血の教示者》 《Wheel of Fortune》 《意外な授かり物》 《世界喰らいのドラゴン》 《ヨーグモスの取り引き》 《ヨーグモスの意志》 |
Zoo
4 《乾燥台地》 4 《樹木茂る山麓》 4 《吹きさらしの荒野》 1 《地平線の梢》 1 《樹上の村》 1 《Karakas》 1 《Savannah》 2 《Taiga》 2 《Plateau》 1 《平地》 1 《山》 1 《森》 -土地(23)- 4 《野生のナカティル》 3 《渋面の溶岩使い》 4 《ステップのオオヤマネコ》 4 《タルモゴイフ》 4 《クァーサルの群れ魔道士》 4 《聖遺の騎士》 -クリーチャー(23)- |
4 《稲妻》 4 《Chain Lightning》 4 《流刑への道》 2 《遍歴の騎士、エルズペス》 -呪文(14)- |
2 《剣を鍬に》 1 《ボジューカの沼》 3 《トーモッドの墓所》 1 《赤霊破》 2 《紅蓮破》 3 《ガドック・ティーグ》 2 《クローサの掌握》 1 《無のロッド》 -サイドボード(15)- |
ここ数年間のエクステンデッドからレガシーまで、環境を変えクリーチャーを変え、それでも生き残ってきたビートダウン、ZOO。《野生のナカティル》 《クァーサルの群れ魔道士》 《聖遺の騎士》そして 《遍歴の騎士、エルズペス》と、レガシーでも通用するほどの低マナ高スペッククリーチャー達がアラーラブロックで輩出されたことで大幅に強化されました。大会に参加すると常に一定数いて、常にメタゲーム上に存在するデッキです。
クリーチャー・除去・土地という均等な構成のデッキなので、どんな7枚でも平均的な動きをしやすく、初手のキープ率が高い。また《野生のナカティル》 《タルモゴイフ》《聖遺の騎士》 など、クリーチャー単体の質でいえば他のどのビートダウンよりも優れており、除去も多いためマーフォーク・ゴブリンなどに有利です。
《貴族の教主》or《ステップのオオヤマネコ》?
Zooの1マナ域は《野生のナカティル》だけ確定しているのですが、この2つのどちらを使うかは悩むところ。2つの特徴を挙げると
《貴族の教主》
メリット
- マナ加速により、《聖遺の騎士》《遍歴の騎士、エルズペス》といった少し重いカードにつながりやすい。
- お互いに《タルモゴイフ》をプレイしたとき、賛美能力によって膠着せずに攻撃できる。
デメリット
- 自身の打点が低く、他にクリーチャーを引いていないとマナフラッドにつながる。
- 複数引いたとき弱い。
メリット
- 最序盤は 《野生のナカティル》よりもダメージ効率が良く、Zooが苦手なコンボデッキにスピード勝負を仕掛けることが出来る。
- 「緑でない」打点の高いクリーチャーなので、サイド後《非業の死》で巻き添えを食らわない。
- 序盤に2枚引くと強い。
デメリット
- 後半は《貴族の教主》よりも役に立たない。
この2つどちらを使うかで、デッキ構築も変わってきます。Zooに《不毛の大地》を入れるかどうかが、まさにそれです。
序盤が強いデッキは盤面を序盤に保つために《不毛の大地》を採用しますが、Zooは3色とも満遍なく使うデッキなので、23枚中の4枚を無色マナしかでない《不毛の大地》を入れると当然色事故が起こりやすくなります。レガシーでは相手に《不毛の大地》を使われることも考えなければいけないですからね。
《貴族の教主》タイプなら、《不毛の大地》採用はアリです。緑白2色を供給してくれるマナクリーチャーですし、2ターン目《聖遺の騎士》から《不毛の大地》をサーチしてくるハメパターンも出来るようになります。
しかし《ステップのオオヤマネコ》タイプならフェッチランドが多いデッキ構築になり、無色マナ4枚でマナベースに不安が出てくるので《不毛の大地》は入れない、と考えます。
自分は「座った瞬間に負け」みたいなデッキ相性は嫌なので、ANT・Sneak Showに当たってもスピード勝負で希望が持てるように《ステップのオオヤマネコ》推しですね。
Zooの弱点・コンボデッキ
《Force of Will》や《思考囲い》などが無く、相手の呪文に干渉できないデッキなのでコンボデッキは苦手です。ただZooは何もされなければ4ターンキルくらいはできるので、少し悪い回りのコンボデッキなら押し切ってしまうことも。
コンボデッキ対策は《ガドック・ティーグ》。ANTの《むかつき》《苦悶の触手》、発掘の《打開》《戦慄の復活》、Sneak Showの《騙し討ち》、ついでに《Force of Will》も唱えられなくなります。
Zooは基本パーツがしっかりしているので、サイドインしすぎてデッキが弱くならないように注意。
Zooへの対策
《ステップのオオヤマネコ》の項でも触れましたが、《水没》《非業の死》《自然の喪失》など、打点の高い緑クリーチャーへの対策が有効です。
マーフォーク
3 《島》 4 《Underground Sea》 2 《溢れかえる岸辺》 1 《汚染された三角州》 1 《沸騰する小湖》 2 《霧深い雨林》 4 《不毛の大地》 4 《変わり谷》 -土地(21)- 4 《呪い捕らえ》 4 《銀エラの達人》 4 《アトランティスの王》 4 《メロウの騎兵》 4 《珊瑚兜の司令官》 -クリーチャー(20)- |
2 《呪文貫き》 4 《行き詰まり》 4 《Force of Will》 4 《目くらまし》 4 《霊気の薬瓶》 1 《梅澤の十手》 -呪文(19)- |
3 《水没》 1 《梅澤の十手》 2 《非業の死》 2 《自然の喪失》 1 《青霊破》 2 《水流破》 1 《呪文貫き》 3 《トーモッドの墓所》 -サイドボード(15)- |
Zooが「クリーチャー除去は出来るが、呪文に対応できないデッキ」なのに対して、「クリーチャー除去ができないが、呪文に耐性のあるデッキ」、それがマーフォークです。
マーフォークが活躍する理由は、「レガシーで青が強い」ことが背景にあります。《渦まく知識》《思案》などの軽いドロースペル、《実物提示教育》《相殺》といったデッキの中心となるカード、そして《Force of Will》といったように、コンボデッキ・コントロールデッキは青が多い。そんな相手に対してはZooのように真っ向勝負するよりも、《呪い捕らえ》《目くらまし》《Force of Will》で妨害するのが効きます。
そして《アトランティスの王》の「島渡り」も、青の多いレガシーでは強い。《Tundra》《Underground Sea》《Volcanic Island》《Tropical Island》どれも「島」です。バント・チームアメリカといった青の中速デッキにも《アトランティスの王》がブロッカーを乗り越える働きをします。
《アトランティスの王》と合わせて《メロウの騎兵》《珊瑚兜の司令官》、どれもお互いがお互いを強化するクリーチャーなので、重なったときに爆発的な打点を持つのもマーフォークの利点。青いクリーチャーでありながら、ときにはZoo以上のクロックを作り上げることもあります。そしてロードが多いため、他の部族デッキ(ゴブリン・エルフ)などに比べてサイド後の《仕組まれた疫病》がそこまで苦になりません。最初からタフネス2も多いですからね。
Zooを克服しろ!
青くないビートダウン、Zooやゴブリンはマーフォークにとって苦手なマッチアップです。クリーチャーを並べてシナジーを生み出すデッキなので、単体除去でロードを1体ずつ破壊してくるのは相性が悪い。特にZooはクリーチャーの質で圧倒的に負けて、相手だけ1マナで除去呪文を撃ってくる、レガシーでも最も相性の悪いマッチアップ。1ターン目の《渋面の溶岩使い》はマーフォーク使いにとっては投了モノ。
この相性をサイドから克服するためにも、青単よりも黒をタッチした方がよいと、自分は考えます。レガシーで色を足すという行為は《もみ消し》《不毛の大地》に弱くなる欠点もありますが、それを差し引いても《非業の死》《自然の喪失》は強力であり、マッチの相性が変わるほど強いカード。《タルモゴイフ》《クァーサルの群れ魔道士》《聖遺の騎士》など、使用頻度の高い緑クリーチャーはZooだけでなくバント・白緑黒でも採用されるので、そちらにも利きます。
マーフォークの弱点は「呪文に対応できるがクリーチャーに対応できない」ことなので、苦手な部分を克服するのはサイドボードの意味として合っています。
タッチ黒の場合は《仕組まれた疫病》も考慮しますが、これをサイドインするのは「エルフ」「ゴブリン」など他の部族デッキ。
- 「エルフ」は《非業の死》《自然の喪失》で間に合っている。
- マーフォークVSゴブリンの焦点は「序盤《ゴブリンの従僕》を対処」「マーフォークがロードを複数並べる」ことであり、そこさえクリアできればZooほど苦手ではない。
以上の理由から、今回は《仕組まれた疫病》を採用していません。
逆に、相手が使ってくるマーフォーク対策として《仕組まれた疫病》は不十分なカード。これには異論があるかもしれませんが、マーフォークに対して3マナという重さが《呪文貫き》《目くらまし》に引っかかりやすく、もともとタフネス2とロードが多いことから、マナコストに見合った働きはしていないな、と感じました。マーフォークを使っているときは軽い除去連打の方がキツかったので、対策したいなら1マナ除去を多く入れるのが効果的です。
マーフォーク対策
Zooがそうであるように、《稲妻》《剣を鋤に》《流刑への道》《紅蓮破》など、軽い除去全般で対応します。
親和
4 《教議会の座席》 4 《大焼炉》 4 《囁きの大霊堂》 4 《ダークスティールの城塞》 1 《ちらつき蛾の生息地》 -土地(17)- 4 《メムナイト》 2 《羽ばたき飛行機械》 4 《電結の荒廃者》 4 《金属カエル》 4 《エーテリウムの達人》 4 《マイアの処罰者》 -クリーチャー(22)- |
3 《オパールのモックス》 4 《バネ葉の太鼓》 4 《感電破》 4 《頭蓋囲い》 4 《物読み》 2 《ボーラスの工作員、テゼレット》 -呪文(21)- |
4 《思考囲い》 2 《呪文貫き》 2 《エーテル宣誓会の法学者》 3 《トーモッドの墓所》 2 《非業の死》 2 《自然の喪失》 -サイドボード(15)- |
親和の長所はトップスピードに入るまでの速さ。《オパールのモックス》《バネ葉の太鼓》などのマナ加速を絡めて手札を全展開、もしくは2ターン目に《頭蓋囲い》でアタック等、大ダメージを与えるターンが他のビートダウンよりも早く、コンボデッキ並みの速度を持っています。
しかし長所と短所は表裏一体。シナジーが強いぶん、単体で引いたときや後半トップデッキする《メムナイト》《羽ばたき飛行機械》《バネ葉の太鼓》は弱く、他よりも長期戦が苦手なデッキですね。
そして親和は他のデッキよりも《タルモゴイフ》を強化させてしまう欠点も持っています。《不毛の大地》でアーティファクト・土地を割られるとサイズが2つ、クリーチャーを除去されてもサイズが2つ上がり、5/6、6/7になることも多いです。
序盤の《タルモゴイフ》除去、そして本体火力としても使える《感電破》は4枚推奨ですね。そしてZooのクリーチャー達は《タルモゴイフ》に限らず親和と同等のサイズを持つので、サイドからは《非業の死》《自然の喪失》が必要になってきます。
メインを構成しているカードの大半が無色のアーティファクトであり、呪文の色拘束も薄く、《オパールのモックス》《バネ葉の太鼓》が好きなマナを生み出すので青黒赤(サイドは白)でも色事故は起こりにくいデッキです。この《オパールのモックス》《バネ葉の太鼓》のおかげで各色のカードを使えるので、サイドボード選択の幅が広くなっています。《思考囲い》《呪文貫き》《エーテル宣誓会の法学者》は対コンボ、《トーモッドの墓所》は発掘、そして《非業の死》《自然の喪失》は対ビートダウンです。
今回のサイドボード以外にも、《古えの遺恨》《水流破》《紅蓮破》《陰謀団式療法》なんかは考慮に値します。
《ボーラスの工作員、テゼレット》
ニコルボーラスから送り込まれた悪のテゼレットは、求道者だった頃と違い攻撃的なプレインズウォーカーに生まれ変わりました。
アドバンテージ、5/5擬似速攻、どちらも強いですが、親和の場合は奥義発動を目指します。デッキの50枚がアーティファクトの親和なら、-4を起動=勝利といってもいい能力。《教議会の座席》などのアーティファクト・土地が使えるレガシーだからこそ、テゼレットの能力を最大限活かせますね。
親和対策
《破滅的な行為》《無垢への回帰》《戦争の報い、禍汰奇》《魔力流出》《火薬樽》など。レガシーにはアーティファクトをまとめて吹き飛ばすカードも存在するので、親和を使うのなら破壊され尽くす覚悟も必要です。
次回はレガシーのコンボ特集をお届けする予定です。
では、また来週。
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