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ニューカペナ・チャンピオンシップ

トピック

「ニューカペナ・チャンピオンシップ」で激化するポイントレース

Rich Hagon

2022年5月9日

 

 さぁ、席にお座りください。

 視聴者の皆さんも、そして5月20~22日の3日間に渡って開催される「ニューカペナ・チャンピオンシップ」に参加する選手の皆さんもですよ。本イベントは、今シーズンにおいて世界選手権予選ポイントが取得可能な最後のトーナメントです。つまり、新たなチャンピオンの誕生とともに「第28回世界選手権」の全出場者が遂に決定するのです。

すでに出場が決定している13名

 「第28回世界選手権」出場選手32名のうち、13名はすでに決定しています。

 まず1人目は日本から、ディフェンディング・チャンピオン高橋優太。この時点ですでに素晴らしい物語を描いている日本は、「イニストラード・チャンピオンシップ」で新たな章を紡ぎました。見事王者に輝いた市川ユウキを筆頭に、熊谷陸、斉藤徹、そして赤池庸という精鋭揃いの4名が高橋の後に続いたのです。同イベントからは、プロツアー優勝経験もあるドイツのサイモン・ゴーツェン/Simon Görtzen、そしてアメリカ勢1人目の出場者となるザカリー・キューネ/Zachary Kiihneも世界選手権へと駒を進めました。

 お次は「神河チャンピオンシップ」。昨シーズンのライバルズ・リーグで圧倒的成績を収めたイーライ・カシス/Eli Kassisがその非凡さを再び発揮し、ザック・ダン/Zach Dunnとのアメリカ人対決となる決勝戦を制しました。日本からは6人目の出場者となる宮野雄大が後に続き、そしてフランス(ジャン=エマニュエル・ドゥプラ/Jean-Emmanuel Depraz)、カナダ(ジョニー・グットマン/Jonny Guttman)、中国(ヂィ・イーミン/Zhi, Yimin)の3国はそれぞれ初となる世界選手権出場者を輩出しました。

ニューカペナで新たに加わる6名

 イニストラードと神河と同様、「ニューカペナ・チャンピオンシップ」でもトップ6に入賞したプレイヤーが世界選手権への出場権を手にします。1日目となる金曜日、228名による激闘は3回戦のスタンダードにより開幕。その後、第4~7回戦はヒストリックに舞台が移ります。1日目の第一目標は4つ以上の勝ち星を挙げることです。これが達成できなかったプレイヤーは、残念ながらこの時点でトーナメントから敗退となります。見事達成した場合は、8回戦の死闘が待ち受ける2日目へ。土曜日も開幕はスタンダードから(第8~11回戦)。その後、トップ8争いが激化する第12~15回戦はヒストリックです。

 12勝を達成したプレイヤーはその時点でトップ8、つまり3日目のプレイオフへと駒を進めます。今シーズンこれまでのチャンピオンシップの結果を鑑みると、最高潮にヒートアップするスイス最終ラウンドを戦わずに、この過酷な山を登り切れるプレイヤーは1名か2名といったところでしょう。また、熾烈なトップ8争いに身を投じるプレイヤーの多くにとって、タイブレークは頼みの綱となるはずです。11勝4敗でスイスラウンドを終えたプレイヤーは歓喜に身を震わせるか、涙を飲むことになります。

 そして3日目、激闘を勝ち抜いた8名の精鋭がスタンダードをダブルエリミネーションで戦います。ここで1勝を挙げることができればその時点で「第28回世界選手権」への出場権を獲得します。そしてその偉業のあと、さらなるタイトルを懸けた戦いへと繋がるのです――新たなる王者。不運にもトップ8で勝ちをもぎ取ることができなかった2名、つまり、勝者側ブラケット準々決勝で敗れ、敗者側ブラケット1回戦でも敗れた選手は「世界選手権予選ポイント」(情報ページ:英語)における順位で、上位に入ることに望みを繋ぎます。

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 放送席にはエイリー・ロニー/Eilidh Lonieとコーリー・バウマイスター/Corey Baumeisterが再びタッグを組み、マーシャル・サトクリフ/Marshall Sutcliffeとポール・チェオン/Paul Cheonの今や鉄板となった実況解説ペアも登板。この4名の素晴らしいキャスターたちが各フィーチャーマッチでどのような引きが行われているのか、あるいは盤面ではどのような展開が見られるのかを皆さんにお届けしますよ。そして、ヴァーチャルなニュースデスクで番組全体を進行するのはマリア・バーソルディ/Maria Bartholdi。あらゆるドラマが期待される本イベントで一体何が起こっているのか、皆さんにわかりやすくお伝えします。今崖っぷちに立たされているのは誰? まだ希望が残っているのは? 誰がトップ8に残りそうなの? 大丈夫です。マリアがすべてカバーしますよ。

(編訳注:日本語での放送予定・出演予定者はこの記事最下部をご覧ください。)

リーグ所属選手の5枠

 マリアのすぐ隣には、セドリック・フィリップス/Cedric Phillipsが解説としてニュースデスクに席を構えます。スタンダード・ヒストリック両フォーマットのデッキ解説のみならず、マジック・プロリーグ(MPL)やライバルズ・リーグでどのようなドラマが展開されているのかも網羅します。本イベント終了時、リーグに所属する72名のうち世界選手権予選ポイントで上位5名の成績を収めたプレイヤーが世界選手権での席を確保します。どのような展開になるでしょう? 現時点での上位5名、つまりイベント中に順位を落としたくないのはどのプレイヤーでしょうか?

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八十岡翔太(写真1)、石村信太朗(写真2)

 

 日本:すでに「第28回世界選手権」で圧倒的存在感を発揮しているこの国からは、殿堂顕彰者・八十岡翔太、そして「プロツアー・パリ2011」においてかの有名な「カウ・ブレード/Caw-Blade」でトップ8入りを果たした石村信太朗が名を連ねます。

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リード・デューク(写真1)、ローガン・ネトルズ(写真2)

 

 従兄弟:殿堂顕彰プレイヤーであるリード・デューク/Reid Dukeは、マジック界で最も人気のあるプレイヤーの1人です。そんな彼はMagic Onlineで頂点に立ったこともあります――そう、彼の従兄弟であるローガン・ネトルズ/Logan Nettlesが最強プレイヤーの1人としてその名を馳せた主戦場です。彼ら2人が「従兄弟」同士であること、これはただの偶然にすぎないでしょう。しかしながら、彼らに共通する思慮深さ、情報収集に対する熱意、卓越したメタ読み、そしてゲームに対する情熱、これらを単なる偶然と片づけることはできません。そう考えれば、両名が世界選手権予選ポイントレースにおいて絶好の位置につけていることは、いささか驚きではありません。

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オンドレイ・ストラスキー

 

 名誉挽回:オンドレイ・ストラスキー/Ondřej Stráskýほど才気あふれるプレイヤーに関して、「名誉挽回」などと真顔で語るのは厳しいものがあります。何しろ、ここ10年間ほぼ途切れることなく成功を収め続けているプレイヤーです。世界最高峰の大会では5度もトップ8入賞を果たし、そのうち1回はトロフィーを手にしています。しかしながら、「第27回世界選手権」は惜しくも「逃がした魚」となってしまったのです。スイスラウンドを10勝0敗という驚異的なスコアで突破するも、世界の頂点を決める日曜の戦いでは2連敗に喫し、4位という結果に終わりました。「名誉挽回」と呼ぶか、あるいは単に「やり残したこと」と言うべきか、いずれにせよ、ストラスキーが切望するタイトルです。

 リーグ所属選手に用意された席は5つ。現時点で八十岡が66ポイント、これは世界選手権出場できるか否かの分かれ目となるスコアを6ポイント(2勝分)上回っています。その後ろにはネトルズが63ポイント、そしてデュークと石村がそれぞれ60ポイントで並びます。イベント開始時点で、この60ポイントというスコアが世界選手権出場ラインの数値となるでしょう。

 さて、今名前を挙げた5名の順位を脅かすのはどのプレイヤーになるのでしょうか? 早速見ていきましょう。

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パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ(写真1)、カイ・ブッディ(写真2)

 

 歴代三強と名高いプレイヤーのうちの2人、パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor Damo da Rosaとカイ・ブッディ/Kai Buddeはともに57ポイントと、出場ラインまでわずか3ポイントの位置につけています。殿堂顕彰者であり、世界王者の座を手にした経験もある両名。いずれも世界選手権出場選手として連なれば素晴らしい名に違いありません。

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アルネ・ハッシェンビス(写真1)、ルイス・スコット=ヴァーガス(写真2)

 

 混戦を極めるポイントレース (6名が57ポイント、5名が54ポイント)。現在51ポイントと後れを取っているアルネ・ハッシェンビス/Arne Huschenbethとルイス・スコット=ヴァ―ガス/Luis Scott-Vargasは、「ニューカペナ・チャンピオンシップ」で大きくスコアを伸ばす必要があります。両者とも強豪ですよ。ハッシェンビスはグランプリ・トップ8に始まり、「2020プレイヤーズツアー・オンライン」でトップ8入賞、そして遂には「カルドハイム・チャンピオンシップ」で優勝と、年々着実に成績を上げている若手プレイヤーです。一方、スコット=ヴァーガスはまるで機械のような抜群の安定感トップ8入賞を連発し、15年間トップに君臨し続けています。そして彼は今でも、「アメリカ選手権2007」や「プロツアー・ベルリン2008」で優勝したときと変わらぬ抜け目のなさを持ち合わせています。

 皆さんご存知の通り、リーグ所属プレイヤーは全員が「ニューカペナ・チャンピオンシップ」に出場しますから、どのような入れ替えが発生してもおかしくありません。実際のところ、理論上は全てのリーグプレイヤーに世界選手権出場の座を勝ち取る可能性があります。これに関しては、また別の記事で深掘りする予定です。(これはつまり、「リッチ・ハーゴンが今年一番オタクじみてて、統計と数学まみれの記事を出すぞ」ってことの言い換えですね。警告はしましたよ!)

チャレンジャーの8枠

 チャレンジャーたちが繰り広げる世界選手権予選ポイントレースに関しては、ニュースデスクからレポーターのライリー・ナイト/Riley Knightが最新情報をお届けします。予選ポイントによって世界選手権へと出場できるチャレンジャーの枠はリーグ所属プレイヤー(5枠)よりも多い8枠。つまり、リーグプレイヤーたちのポイントレースよりも予測が困難になっています。まずは現時点での情報を確認しましょう。

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小泉祐真(写真1)、グレッグ・オレンジ(写真2)

 

 リーダーボードをトップで飾っているのは小泉祐真とグレッグ・オレンジ/Greg Orange。ともに60ポイント取得し、絶好の位置につけています。もちろん、彼らにも勝ち星は必要ですが、それほど多くなくとも問題ないでしょう。彼らを3ポイント差で追うサイモン・ニールセン/Simon Nielsenとトリスタン・ワイルドラルー/Tristan Wylde-LaRueも世界選手権出場に向けて好発進が切れそうです。

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サイモン・ニールセン(写真1)、トリスタン・ワイルドラルー(写真2)

 

 8つ用意された椅子のうち4つに手をかけている彼らが、「ニューカペナ・チャンピオンシップ」閉幕時にそのまま席についている可能性は大いにあるでしょう。

 では、残る4席を巡る争いはどうでしょう? 状況はあまり芳しくありません。

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アレクサンダー・ロスダール(写真1)、カミーロ・ルケシュ(写真2)
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アンドレイ・ジーリン(写真1)、オスカル・フランコ(写真2)

 

 カミーロ・ルケシュ/Camillo Lukesch(57ポイント:以下同)、アレクサンダー・ロスダ―ル/Alexander Rosdahl(54)、オスカル・フランコ/Oscar Franco(54)そしてアンドレイ・ジーリン/Andrey Zhilin(51)は「ニューカペナ・チャンピオンシップ」出場を惜しくも逃しています。つまり、シーズン終了時のスコアはすでに確定しているのです。ロスダ―ル、フランコ、ジーリンのスコアを越えるプレイヤーはおおよそ現れるでしょう。一方で、ルケシュにとってはとにかく汗をかきっぱなしのイベントとなりそうです。最大4人までには追い抜かれても世界選手権への出場は手中にあるままですからね。彼の夢が潰えるとすれば2日目。スイスラウンドの最終数ラウンドは、世界中の誰よりも強い思いを乗せて見守ることになりそうです。

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ジム・デイヴィス(写真1)、ネイサン・シュトイア(写真2)

 

 激化する残り4席の争奪戦、先頭に立つのはジム・デイヴィス/Jim Davisです。「神河チャンピオンシップ」ではスイスラウンドを驚異の全勝で突破し、1回のチャンピオンシップで取得可能な最大スコアである49ポイントを獲得。その後は世界選手権でのストラスキーをなぞるように、プレイオフで2連敗してトーナメントからは敗退となりました。お次の2人は今回のスタートラインに立つために戦い抜かなければならなかったプレイヤー。ネイサン・シュトイア/Nathan Steuerはジム・デイヴィスを1ポイント差で猛追、世界選手権チーム戦王者であるニコ・ボーニー/Nico Bohnyはそこから3ポイント離れて45ポイント。

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ニコ・ボーニー

 

 ボーニーより下には6ポイント以上の差がついたプレイヤーのみ。彼らは「ニューカペナ・チャンピオンシップ」で最低でも2日目に進出し、好成績を収めなければ世界選手権出場の目はありません。中村修平、津村健志、そしてマット・ナス/Matt Nassの3人は、キャリアを鑑みても大いに可能性があるでしょう。日本人2人は両者ともに殿堂顕彰者であり、現在33ポイントで並んでいます。議論の余地はありますが、彼らが達成したトップ8入賞の数を考慮すれば、2000年代中盤において最強の2人と言えるでしょう。

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マット・ナス(写真1)、津村健志(写真2)、中村修平(写真3)

 

 グランプリを5度も制した強豪マット・ナスは、一風変わった会場でトーナメントに参戦します。そう、「自宅」です。これと言って特別感はないかもしれませんが、この会場にいるのはナスだけではないのです。彼はルームメイトとともに住んでいますからね。まずはMPL所属のサム・パーディー/Sam Pardee。そして「Venus and Mercury League(VML)」の第7シーズンで優勝を果たしたことで「ニューカペナ・チャンピオンシップ」への出場権を射止めたキャロライン・カバナー/Carolyn Kavanagh。カバナーにとって、これは3度目となるVMLでの戴冠。つまり、あらゆるタイトルを持った凄まじい「一家」が本イベントへと参戦するわけです。私はとにかく、彼らのインターネット回線が負荷に耐えられることを祈るばかりです……。

 惜しくも世界選手権出場を逃したチャレンジャー上位16名に関しては、次シーズンの大きなイベントで再度お目にかかることになるでしょう――つまり、見応えのある2フォーマットでお送りするこの3日間は、非常に多くのものが懸かった戦いとなるのです。皆さんのインターネット回線も負荷に耐え抜けるようお祈りしなければいけませんね。何しろ、世界中から集まった強豪たちが身を投じる激闘の模様を、30時間近くお送りしますから。

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 「ニューカペナ・チャンピオンシップ」で繰り広げられるドラマはすべてニュースデスクのマリアがお伝えしますので、皆さんぜひ放送をご覧くださいね。さぁ、席にお座りください。そして見届けましょう。誰がこの街角を走り抜けるのかを。


「ニューカペナ・チャンピオンシップ」日本語放送情報
日程 放送日・放送時間 放送ページ
1日目 5月20日(金) 25:00~ Twitch」「YouTube
2日目 5月21日(土) 25:00~
3日目 5月22日(日) 25:00~

日本語版放送出演者

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