EVENT COVERAGE

プロツアー「テーロス」

観戦記事

第2回戦:理解の試練
Reid Duke(アメリカ) vs. Jimmy Hartman(アメリカ)

Tobi Henke
authorpic_tobihenke.jpg

Tobi Henke / Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru

2013年10月11日


レイド・デューク/Reid Duke(世界ランキング5位) vs. ジミー・ハートマン/Jimmy Hartman(ドラフト)

 この大会の開始時点で、レイド・デュークは2013年世界選手権準優勝その他数々の実績に基づき、プロプレイヤー・ランキングの第5位に名を連ねていた。このラウンド、彼の前に立ちはだかったのは、シーズン初期のプロツアー予選を抜けてこのプロツアーにやってきたジミー・ハートマン。この対戦はダビデとゴリアテの対戦のような趣ながら、どちらのプレイヤーもドラフトの最初のラウンドに勝利し、そして連勝を伸ばそうとしている。


この週末の第2回戦に、プロツアー予選優勝者のジミー・ハートマンは
世界第5位にして2013年世界選手権準優勝者のレイド・デュークと対戦する

 デュークは《エレボスの試練》で大量のダメージを素早く与え、《アスフォデルの灰色商人》や3枚の《エイスリオスの学者》を使って手早くゲームを終わらせてしまうという可能性を秘めた、全体として防御寄りの白黒デッキをドラフトした。ハートマンは、《雨雲のナイアード》や《不機嫌なサイクロプス》といった安定したクリーチャーを詰め込み、あわよくば《タッサの二叉槍》と回避能力を組み合わせようという青赤のデッキとなっている。

ゲーム展開

 第1ゲーム、火ぶたを切ったのはデュークの《セテッサの戦神官》《エイスリオスの学者》《ヘリオッドの選抜》で、充分なタフネスはあるものの攻撃力は高いとは言えない軍勢だった。一方のハートマンは《雨雲のナイアード》と2枚の《不機嫌なサイクロプス》と強力な攻撃クリーチャーを並べ、デュークが序盤に稼いだ有利を一気に取り返す。さらに《鞭の一振り》《アスフォデルの灰色商人》を使って流れを止めようとするものの、《不機嫌なサイクロプス》の1体に《液態化》がつき、さらに+1/+1カウンターが3個載せられると、デュークの《エイスリオスの学者》では太刀打ちできない。《エイスリオスの学者》の能力を毎ターン2回起動してハートマンのライフは8点になっていたが、とても届かず、第1ゲームはハートマンがものにした。

 第2ゲーム、デュークは《苛まれし英雄》や《エレボスの試練》を使ってアグレッシブな立ち上がりを見せた。これらの攻撃でハートマンのライフが16点、12点へと削られるのを、ハートマンの《はじけるトリトン》では止めきれない。《運命の三人組》が続き、ハートマンの運命はここで終わるかと思われた。体勢を立て直すべく、ハートマンは《裏切りの先触れ》を《苛まれし英雄》に唱え、攻撃。《エレボスの試練》が誘発し――「2枚捨て......?」 デュークはカードを読み返し、そしてジャッジに質問した。「エンチャントのコントローラーは変わっていないはずですよね?」 ハートマンはカードの相互作用を間違っていたが、すぐに理解した。「つまり俺が2枚捨てるのか、なんてこった......」


デュークのクリーチャーを奪ったハートマンは地雷原に踏み込んでいた

 もう一度攻撃して、デュークの《アスフォデルの灰色商人》がゲームを決めた。「誤解してたのは残念ですね」 デュークが言うと、ハートマンはそれほど堪えていない様子だったた。「どっちにしてもこのゲームは負けだったしね」

 第3ゲーム、序盤はハートマンが優位に進めながらも、すぐに接戦にもつれ込む。一方にはハートマンの《前兆語り》《雨雲のナイアード》、それに《液態化》のついた《パーフォロスの使者》。反対側にはデュークの2枚の《エレボスの試練》のついた《目ざといアルセイド》。そこでハートマンは《タッサの二叉槍》を出す。不利になりかけたデュークは、逆転のために《アスフォデルの灰色商人》を出してから《目ざといアルセイド》を6/6にし、《エレボスの試練》でハートマンの手札を空にさせた。


デュークは第3ゲームで一気にいくつもりだった、が。

 しかし計画通りには進まなかった。ハートマンは《トリトンの戦術》を持っており、全クリーチャーでブロックしてきたのだ。《目ざといアルセイド》と《パーフォロスの使者》が相打ちになるが、ハートマンにはまだ《雨雲のナイアード》がいた。これと《タッサの二叉槍》だけでも充分に局面を立て直せるのだ。カードを充分に引いて2体目の《雨雲のナイアード》、さらに《不機嫌なサイクロプス》を出してゲーム終了、マッチ終了となった。

 試合後に、ハートマンはデュークに最終ゲームでの3体ブロックについて意見を求めた。「こちらの視点からだと評価はしにくいですが、《前兆語り》でチャンプブロックするだけにして、《目ざといアルセイド》は《トリトンの戦術》でタップしたと思いますよ。アンタップされるときには《パーフォロスの使者》に、さらに《タッサの二叉槍》も絡めて充分なアドバンテージが稼げていたでしょう」とデュークは答えた。

 マッチの鍵となったプレイについて尋ねたときに、デュークは《タッサの二叉槍》についても触れていた。「《タッサの二叉槍》が《エレボスの試練》で対処できるようになる直前に出されたのは残念でした。《タッサの二叉槍》は素早く手札を稼げるので、あらゆることが台無しにされました」

(5)レイド・デューク 1 − 2 ジミー・ハートマン
  • この記事をシェアする

サイト内検索