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プロツアー『サンダー・ジャンクション』
プロツアー『サンダー・ジャンクション』初日の注目の出来事
2024年4月26日
(編訳注:埋め込み動画は英語実況のものです。)
舞台は再びシアトルへ。
この週末に、プロツアーがマジック生誕の地へ帰ってきた。30年前にリチャード・ガーフィールド/Richard Garfieldの手によって生まれた 「Deckmaster」の夢、そのすべての始まりの地に、世界中から200人を超えるプレイヤーが集まったのだ。
この街にプロツアーが帰ってきたのは、ブライアン・ブラウン=デュイン/Brian Braun-Duinが制した「世界選手権2016」以来となる。新旧さまざまな顔ぶれが集う今大会には、プロツアーの舞台においても特に名高いプレイヤーも多く姿を見せている。彼らが繰り広げるのは、『サンダー・ジャンクションの無法者』を迎えた新たなスタンダード環境と、マジックの豊かな歴史の中でも記録に残るであろうドラフト環境による決戦である。
賞金総額500,000ドルと世界選手権への参加権利、そして「プロツアー王者」の栄光を懸けたマジック最高峰の戦いに、200名以上のプレイヤーが挑む。「プロツアー『サンダー・ジャンクション』」の開幕だ。
歴史あるこの地にて、歴史に残る物語が展開されようとしている。昨シーズンにプレイヤー・オブ・ザ・イヤーを獲得したサイモン・ニールセン/Simon Nielsenは、「プロツアー『カルロフ邸殺人事件』」にて4回連続のトップ8入賞を果たした。この1年にわたり最も安定して好成績を残しているプレイヤーが快走を続けるのか、世界が注目している。また、その「プロツアー『カルロフ邸殺人事件』」を制した殿堂顕彰者のセス・マンフィールド/Seth Manfieldも、「ラクドス吸血鬼(ソリン・テル)」でパイオニアを破壊したチーム「ChannelFireball」の面々とともに、再びプロツアーの舞台に上がっている。
そして『サンダー・ジャンクションの無法者』の導入で再び動いたスタンダード環境はどうなるのか? 環境を占う今大会の初日は、《偉大なる統一者、アトラクサ》を戦場に繰り出すことに長けた「ドメイン・ランプ」を見事に操った井川 良彦が全勝を果たし、頭ひとつ抜け出した。
井川 良彦
『サンダー・ジャンクションの無法者』ドラフトで「ローグ」を演じる
シアトルへ向かうアダム・エデルソン/Adam Edelsonには、1つの目標があった。
「目標はプロツアーのドラフトで3-0することです」と、「プロツアー『カルロフ邸殺人事件』」トップ8入賞者は言う。「それから、前回より良い成績を狙いたいですね」
ここシアトルでの大会に出場している多くの選手と同様に、エデルソンはリミテッドの名手である。シカゴでも2度のドラフト・ラウンドを全勝し、トップ8の扉を開ける鍵となった。今大会のリミテッドでは、『サンダー・ジャンクションの無法者』が使われる。プレイ・ブースターに収録される「速報」カード(OTP)や「ビッグスコア」のカード(BIG)の存在により、この新セットから出現し得るカードは極めて多彩だ。マジックの歴史の中でも特に謎多きリミテッド環境と目されていたが、蓋を開けてプロツアー出場選手たちが環境解明に乗り出すと、激賞の声が上がった。
「最高の環境ですね。ボムレア環境と評されていましたが、どの色の組み合わせもすごくバランスが取れています。2マナか3マナのカードを除去しなくても勝てる環境は久しぶりじゃないかな」と、エデルソン。「ゲームは長引きがちですが楽しく、マナ基盤も強固でタッチも難しくありません、使えるカードの種類もデッキの種類も多いため、他のセットに比べてコモンの重要性は低いですね」
今大会第1ドラフトのデータにも、それを裏付ける数字が出ている。
26 players went 3-0 in #PTThunder Draft—and there was a lot of splash! Their archetypes:
— PlayMTG (@PlayMTG) April 26, 2024
WB 3
WR 1
WG 1
UB 3
UR 1
UG 1
BR 3
RG 1
BRG 1
WUR 1
WBR 1
WBG 1
WRG 2
UBR 1
URG 3
WURG1
WBRG1
#PTThunder初日のドラフトでは、26名のプレイヤーが3-0を達成しました。さまざまなタッチ戦略が成功しています! 全勝アーキタイプは以下の通りです。
白黒 3
白赤 1
白緑 1
青黒 3
青赤 1
青緑 1
黒赤 3
赤緑 1
黒赤緑 1
白青赤 1
白黒赤 1
白黒緑 1
白赤緑 2
青黒赤 1
青赤緑 3
白青赤緑 1
白黒赤緑 1
これは単に、色の組み合わせの幅が広いというだけのことではない。『サンダー・ジャンクションの無法者』リミテッドで勝利したデッキには、もう1つ共通点がある。プレイヤーが「迷いなく」それを選択していることだ。
「可能な限り単色のまま引っ張りたいですね。ボムが見えたらその色へ向かったりタッチしたりできるようにしておくんです」とエデルソンが語る。「この環境で優先されるものは3つあります。第1にボム、第2にマナ基盤、第3に除去です」
シカゴでの6連勝に続き、エデルソンは今大会でも手早く2勝を挙げ、プロツアーでのドラフト・ラウンド8連勝を記録した。その後井川 良彦との接戦に敗れ3ドラフト連続全勝の夢は叶わなかったものの、エデルソンの環境評価は的を射ていると言えるだろう。サンダー・ジャンクションでは、どんなことでも起こり得るのだ。
そのことを証明するなら、ジェイソン・イェ/Jason Yeほどの適任は他にいないだろう。イェはプロツアーのドラフト・デッキ史上最も刺激的なデッキを作り上げ、わずか1ゲーム落とした以外すべてライブラリー・アウトで3-0の成績を成し遂げたのだ。
ジェイソン・イェ
「チーム内でのテストで《書庫の罠》1枚入りのデッキはやりましたが、もちろん2枚は経験ありませんよ」と、ライブラリー・アウトでの勝利を重ね完璧な成績を収めたイェが言う。「このカードに特化したデッキは組んでいませんが、色々なことができる環境だと思います」
:)
— JasonILTG, Slime Against Humanity (@JasonILTG) April 26, 2024
P1P3 Archive Trap
P1P4 Slickshot Lockpicker
P3P1 Archive Trap
P3P9 Jace
Milled 3 times with Jace -6 into Archive Trap
Milled once with hardcast two Traps
Milled once with Trap after Primal Command, hardcast Trap
Milled once with double Archive Trap after a Dance ;) https://t.co/aISGbPpCuH pic.twitter.com/90TMaf1f0G
:)
第1パック3ピック目に《書庫の罠》
第1パック4ピック目に《精鋭射手団の鍵開け》
第3パック1ピック目に《書庫の罠》
第3パック9ピック目に《再覚醒したジェイス》ジェイスの[-6]で《書庫の罠》コピーで3勝
《書庫の罠》2枚ハードキャストで1勝
《原初の命令》に《書庫の罠》からの《書庫の罠》ハードキャストで1勝
《タンブルウィードの踊り》に《書庫の罠》2発で1勝 ;)
ドラフト・ラウンド3-0プレイヤーには他にも、八十岡 翔太や中村 修平、デイヴィッド・イングリス/David Inglis、アルネ・ハッシェンビス/Arne Huschenbeth、ジム・デイヴィス/Jim Davis、アレクサンダー・ヘイン/Alexander Hayneなどが名を連ねる。リミテッドでのチーム成績は各チームの誇りであり、今大会の第1ドラフト全勝者26名にもビッグ・チームのメンバーや小規模チームのドラフトの名手の名が見受けられた。
3-0 #PTOTJ pic.twitter.com/wZxsZyLWh7
— Arne Huschenbeth (@Huschenmtg) April 26, 2024
3-0 #PTOTJ
こうして、戦いはスタンダード・ラウンドへ。『サンダー・ジャンクションの無法者』はそこでも大きく波紋を広げていた。
スタンダードのスーパースター
『サンダー・ジャンクションの無法者』で登場した数多くのカードは、ドラフト好きにここ数年で最も面白い難題を投げかけただけではなかった。活発なスタンダード環境をさらに盛り上げたのだ。詳しくはフランク・カーステン/Frank Karstenによるメタゲームブレイクダウン記事やデッキリスト一覧をご覧いただきたい。
スタンダードの変動(と今大会における環境のルーツ)は、シカゴで開催された「Chicago 75k Standard Open」から始まった。そのイベントで「cftsoc」ことジャン・レイ/Rei Zhangが、《事件現場の分析者》を使った予想外のデッキリストで環境を一変させたのだ。この墓地加速/土地加速デッキは、スタンダード・デッキ構築の達人たちが現行スタンダード環境を解明するための鍵、すなわちこの環境で生み出せるマナの量を把握するための最高のサンプルとなり、すべてはそこから始まった。
このデッキは「プロツアー『サンダー・ジャンクション』」でも健在だった(ユウ・ムーハン/Muhan Yuが「ティムール世界魂」で7勝1敗の好成績を残している)が、最新セットで強力な対抗手段である《安らかなる眠り》が環境に加わり、《喝破》や《最後の決戦》、《三歩先》を得た「アゾリウス・コントロール」など他のアーキタイプも一気に強化された。また《策謀の予見者、ラフィーン》擁する「エスパー・ミッドレンジ」も安定の選択肢であり続けており、短い時間で環境を解明するべく取り組んだ選手たちの中で最も人気を集めた。
多くのチームがこの限られた時間では大きな有利を取れないと判断し、好みのプレイスタイルに最も近いアーキタイプに戻っていった。
How many times do you think @ReidDuke has cast this specific copy of Liliana of the Veil? pic.twitter.com/b6yAISx9IY
— PlayMTG (@PlayMTG) April 27, 2024
@ReidDuke選手はこの《ヴェールのリリアナ》をこれまで何回唱えたと思います?
初日全勝者を輩出したのは「ドメイン・ランプ」だった。そこへ「エスパー・ミッドレンジ」2人と「ティムール世界魂」、「4色レジェンズ」が7勝1敗で続く。
シアトルより
Seat Upgraded pic.twitter.com/KWxe3OCeAl
— shuhei nakamura (@Nakashu_) April 26, 2024
席がアップグレードした
昨年テーブルトップにプロツアーが戻ってきたことは「Gathering」を大いに記念する出来事の第一歩となったが、マジックの故郷に再びプレイヤーが集まったことも特別な瞬間だろう。この記念すべき大会ではプレイヤーだけでなく、キャスターも最善を尽くした。このゲームの歴史に目を向け、『サンダー・ジャンクションの無法者』で開いた新たな領界路に飛び込んだのだ。
please tell Mani "yeehaw" pic.twitter.com/fqTjlnOZ2z
— PlayMTG (@PlayMTG) April 27, 2024
マニに「イヤッホウ!」と言ってあげてください。
領界路はどこへ通じているのか? ある道では《再活性》のようなマジックの古典カードがごくまれに現れ、実に強力な動きを見せてくれた。この環境にはあの《王冠泥棒、オーコ》すらもいるのだ。特別なカードが姿を現すたびに、忘れられない瞬間が演出された。
love to see some hat action from @InsayneHayne while 3-0ing his pod!
— Luis Salvatto (@LuisSalvatto) April 26, 2024
GL in standard buddy!
@InsayneHayneが華麗な帽子さばきを見せながらドラフト3-0するのを見れてよかった! スタンダードもがんばれ!
「プロツアー『サンダー・ジャンクション』」はそういった思い出に残る瞬間がたくさんあり、また「Holy Cow!」な(驚きの)瞬間もたくさんあった。
さらなる戦いへ
初日を終えてポール・ポジションに立ったのは、井川 良彦。彼を先頭に、4勝4敗以上の成績を残した128名が2日目へ進出し、『サンダー・ジャンクションの無法者』ドラフト3回戦とスタンダード5回戦のトップ8レースに挑む。
井川のすぐ後ろには、ルーカス・ドゥーコフ/Lucas Duchowやジャン・レイ、ハビエル・ドミンゲス/Javier Dominguez、ユウ・ムーハンなど恐るべき挑戦者たちが7勝1敗で追っている。今大会は出場選手がやや少ないため、2日目にゆくえが決まるトップ8への道はいつもより広くなっている。ぜひTwitch.tv/Magicで最後まで見届けてほしい!
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