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プロツアー『ラヴニカのギルド』

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プロツアー『ラヴニカのギルド』準々決勝:後半戦

Corbin Hosler
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2018年11月11日

 

(編訳注:埋め込み動画は英語実況のものとなります。)

 プロツアー『ラヴニカのギルド』決勝ラウンドの舞台は、ベテランと新人が同居する形になった。とりわけこれからお送りする後半戦ではその様相が顕著に表れている。「ベテラン」側にはルイス・スコット=ヴァーガス/Luis Scott-Vargasとジェレミー・デザーニ/Jérémy Dezaniというプロツアー優勝経験を持つプレイヤーが座った。そして彼らへ挑む形になったのは、比較的プロツアー・サンデーの舞台には馴染みがない選手たちだ。アメリカのマイケル・バーナット/Michael BernatはLSVへ、そしてデンマークのカスパー・ニールセン/Kasper Nielsenはプロツアー『テーロス』王者のジェレミーと対峙する。

 ここで競い合う4人はみな、同じ系統のデッキを手にしている――今大会で大活躍を見せた「白ウィニー」戦略だ。主な違いとしては、《ボロスの挑戦者》のような赤絡みのカードを多めに採用しているか、あるいはほとんど白単色にして《ベナリアの軍司令》を採用しているか、という点が挙げられるだろう。

 どのデッキも序盤から打点を増やして爆発的なスタートを切ることができ、さらに《ベナリアの軍司令》や《英雄的援軍》、《征服者の誇り》といった強力な全体強化呪文で小型クリーチャーの群れを強化することで、一瞬でゲームを終わらせる力を持っている。

 準決勝へ進めるのは勝者のみ。4人は、プロツアー・サンデーの開幕を飾る緊張の一戦を乗り越えなければならない。

ルイス・スコット=ヴァーガス vs. マイケル・バーナット

 序盤から1マナ域が入り乱れた第2ゲーム、LSVはそこへ《アジャニの群れ仲間》を追加すると、それは2体の《レオニンの先兵》によってまたたく間に成長を始めた。《軍団の上陸》の「変身」にも成功し、《アジャニの群れ仲間》は最強の脅威と化した。

 しかし幸運にも、バーナットは《議事会の裁き》で《アジャニの群れ仲間》を退場させることに成功し、《アダントの先兵》2体での攻撃を続けた。だが2体の《レオニンの先兵》による継続的なライフ回復のおかげで、LSVはダメージ・レースを有利に進めた。《ベナリア史》がⅢ章まで読まれるとバーナットの《アダントの先兵》は守勢に回らざるを得なくなり、大勢は間もなく決した。LSVが最初の2ゲームを連取したのだ。

 続く第3ゲーム(ここで勝てばLSVが準決勝進出を決める)、サイドボードのカードが加わったこのゲームは、それまでとまったく異なる展開になった。バーナットが再び攻撃的なスタートを切ったのに対し、LSVは何度かクリーチャー同士の交換を行ったのちに、《残骸の漂着》を構えて守りに入ったのだ。そしてこれを受けてバーナットも、戦線を整えることにした。

 バーナットが強烈な動きを見せたのはその直後のことだった。タップ・アウトで《暴君への敵対者、アジャニ》を繰り出すと、墓地の《癒し手の鷹》を戦場に戻し、さらに5体並んだクリーチャーによる「召集」で《敬慕されるロクソドン》を追加し、全軍を強化したのだ。こうして《残骸の漂着》をたやすく乗り越えられる盤面を築いたバーナットに対し、LSVは《残骸の漂着》を見せることなくカードを片付けたのだった。

 いまだ準決勝進出に王手をかけているLSVは、再び先攻で第4ゲームを迎え、大量の1マナ域と土地1枚という手札をキープした。その後2枚目の土地を引き込めず不利を強いられるかと思われたが、バーナットの方も土地1枚の手札をキープし、2ターンにわたって土地を引き込めなかったことが明らかになった。

 だがマナを増やす手段は土地を手札からプレイするだけではない。両者は互いに1マナ域を展開して攻撃を続け、《軍団の上陸》を「変身」させて2枚目の土地を得た。両者はその後も土地を求めたが、その姿は見えず。それでもLSVはバーナットのライフを少しずつ削り続けた。

 先に土地を引き込んだのは、バーナットだった。すると彼は《ベナリア史》を2枚続けてプレイし、ゲームの形勢を取り戻そうと試みた。しかしLSVもついに土地を引き込み、《ベナリアの軍司令》を繰り出して全軍での攻撃を敢行した。両軍ともに壊滅するほどの戦闘が起こったが、LSVは残りライフの点で27対5という大差をつけることができた。

 

 ここから、ゲームは一気に減速した。LSVが《癒し手の鷹》でバーナットをつつき、バーナットは《一番砦、アダント》から生み出されるトークンで残り少ないライフをなんとか維持した。しかしLSVが4枚目の土地を手にし《正義の模範、オレリア》を戦線へ加えると、バーナットは瀬戸際へ追い込まれた。そして次の攻撃でバーナットは立て直すチャンスを砕かれ、《議事会の裁き》で《正義の模範、オレリア》は退場させたものの、2枚目の《正義の模範、オレリア》が戦場に降り立つと、対戦相手の殿堂顕彰者を準決勝へ送り出すべく右手を差し出したのだった。

 
ルイス・スコット=ヴァーガスがマイケル・バーナットを3勝1敗で下し、準決勝へ!
 

カスパー・ニールセン vs. ジェレミー・デザーニ

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 こちらの試合では、デザーニとニールセンがクリーチャーの交換と殴り合いを繰り広げた。ニールセンが《空渡りの野心家》でデザーニの防御を飛び越え素早く第1ゲームを取ると、第2ゲームも同様に両者ともクリーチャーを広げていった。しかし今度はデザーニが意趣返しとばかりに飛行クリーチャーで勝利を掴み、ゲーム・カウントは1対1で並んだ。

 

 白ウィニー同士の戦いにふさわしく、両者は第3ゲームでも戦線を横に広げ、戦いは「どちらが先に決め手を引くか」という勝負になった。その勝負はニールセンに軍配が上がり、《英雄的援軍》で一挙20点の攻撃を繰り出すと、準決勝への道を一歩先んじた。

 だが、まだ終わりではない。第4ゲームではニールセンが土地を引き過ぎて思うような動きができない中、デザーニは繰り返し攻撃を加えて残りライフ8点まで追い込んだ。《正義の模範、オレリア》がニールセンに体勢を立て直すチャンスをもたらしたが、デザーニは攻撃後の《溶岩コイル》で《正義の模範、オレリア》を退場させた。これで彼の攻撃を阻むものはなくなり、決着は第5ゲームまで持ち越された。

 すべてを決する最終ゲームでニールセンはマリガンを喫した上、《断崖の避難所》2枚という極めて遅いスタートを強いられた。一方のデザーニは《軍団の上陸》から《ゴブリンの扇動者》、《空渡りの野心家》と展開すると、おまけに《溶岩コイル》も撃ち込んで、4ターン目には「都市の承認」を得るという凄まじいまでの動きを見せた。

 完璧なスタートを切ったデザーニに対し、出遅れたニールセンは強烈な攻撃をいなしながら反撃に出る必要に迫られた。しかしデザーニの攻撃は強烈すぎた。《英雄的援軍》をトップ・デッキした彼はまたたく間にゲームを終わらせ、ルイス・スコット=ヴァーガスが待つ準決勝への切符を手にしたのだった。

 
ジェレミー・デザーニがカスパー・ニールセンを3勝2敗で下し、準決勝へ!

(Tr. Tetsuya Yabuki)

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RESULTS

対戦結果 順位
最終
16 16
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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