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Patrick Dickmann(ドイツ) vs. Shaun McLaren(カナダ)
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プロツアー『神々の軍勢』
準決勝:マナをめぐる冒険
Patrick Dickmann(ドイツ) vs. Shaun McLaren(カナダ)
Blake Rasmussen / Tr. Tetsuya Yabuki
2014年2月23日
パトリック・ディックマン/Patrick Dickmann(青赤タッチ緑双子) vs. ショーン・マクラーレン/Shaun McLaren(白青赤コントロール)
すべての《蒸気孔》が並ぶ熱戦となった準々決勝を乗り越え、準決勝の舞台に立ったショーン・マクラーレン。彼の前に、またひとり打ち倒すべきイゼット使いが現れた。
その相手であるパトリック・ディックマンは、これまで手がけた「双子」アーキタイプの中でも一番うまくいったと思うものを使い、試合に臨む。凶悪な《欠片の双子》コンボに加えて、《タルモゴイフ》と《漁る軟泥》によるビートダウン・プランも可能な形だ。
だがマクラーレンは、《稲妻》がいくつも飛び交う戦いを熟知している。彼はティム・リヴェラ/Tim Riveraの「白青赤双子」デッキを3ゲームの激戦の末に下してきた。その試合の決め手となったのは《不忠の糸》であり、これでマクラーレンは《欠片の双子》がエンチャントされた《前兆の壁》を奪い取ったのだ。彼だけが《吠えたける鉱山》で脇を固めると、準決勝への切符が手に入るのは時間の問題となった。
一方ディックマンは、様々なアーキタイプを使い込んできた「双子の達人」だ。今回の《タルモゴイフ》入りのバージョンは、1年以上にわたって練られてきたアイデアだという。実を言うと彼は先月のグランプリでこのデッキをデビューさせようと考えていたのだが、今大会にサプライズをもたらすため秘密にしておくことを選んだ。
そのミッションは見事に果たされたのだ。
とはいえ、ディックマンは彼のデッキに対する解答を満載したマクラーレンのデッキを相手に油断するわけにはいかない。《稲妻》、《稲妻のらせん》、《流刑への道》、そして《電解》は、すべてディックマンの攻撃やコンボに対処する手段となり得る。マクラーレンはさらに、4枚の《地盤の際》と2枚の《復讐のアジャニ》で、マナ基盤にも攻め込んでくるのだ。
両者のうちいずれかは、先を譲らなければならない。勝つのは「双子殺し」か「タルモ双子の申し子」か。珍しく《蒸気孔》を持たないジェイコブ・ウィルソン/Jacob Wilsonと決勝で相見えるのは、どちらかひとりなのだ。
ゲーム展開
ゲームが動くのは決まって、両プレイヤーとも青マナの出る土地を置いてからだった。それぞれ序盤の数ターンは土地を置き、手札を構える。激しい打ち消し合戦が始まる前の静けさを感じた。
第1ゲーム最初の呪文は、ディックマンから繰り出された《瞬唱の魔道士》だった。必然、それは両プレイヤーが動く引き金となる。スタックがすべて処理されると、《瞬唱の魔道士》はディックマンの手札に戻り、マクラーレンは《呪文嵌め》を墓地に置いた。
実はこの小競り合いが、マクラーレン側の狙いだった。彼は《復讐のアジャニ》を通すチャンスを得て、ディックマンの赤マナ源を縛りにかかる。
これでマクラーレンもタップ・アウトし、ディックマンは自由に使えるターンを得た。彼は《血清の幻視》から《タルモゴイフ》に繋げる。《タルモゴイフ》には《流刑への道》が差し向けられ、マクラーレンが再び優位を奪った。
しかし、平穏も長くは続かない。《復讐のアジャニ》へ《稲妻》が撃ち込まれ、続けて《復讐のアジャニ》をめぐる《瞬唱の魔道士》の争いが起こった。《復讐のアジャニ》は忠誠度2を残して生き残り、仕留め切れなかったディックマンは再びタップ・アウトした。
この隙に、マクラーレンはゲームを決めにいった。《天界の列柱》を含めた攻撃でディックマンのライフを12まで落とすと、《復讐のアジャニ》の忠誠度を使い切りさらに3点を加える。《稲妻》で除去される前に《復讐のアジャニ》を使い切り、ゲームを長引かせない構えだ。
ところが勢いに乗じて押し切ることはできなかった。《復讐のアジャニ》が戦場からいなくなったことで、両者ともマナを残すことに注意し、再び脅威に解答を合わせるパターンが続いた。《瞬唱の魔道士》は《炎の斬りつけ》に焼かれ、《タルモゴイフ》が《流刑への道》でゲームから取り除かれる。《ヴェンディリオン三人衆》がスタックに置かれると、様々な選択肢が熟考されるのに5分を要した。それも仕方ないだろう。
ともあれその《ヴェンディリオン三人衆》は解決され、マクラーレンはディックマンの手札を見ることができた。公開されたのは《差し戻し》2枚に《瞬唱の魔道士》2枚、そして《やっかい児》が1枚、とあまりに選択肢の多いものであり、どちらのプレイヤーにも滑り落ちる危険があった。それはまるでゲーム・ブックのようだった――《ヴェンディリオン三人衆》で《差し戻し》を抜き去るなら87ページへ、《瞬唱の魔道士》なら19ページへ、そのまま残すなら27ページへ進め。
マクラーレンは2ページ、《やっかい児》を抜き去ることを選んだ。さらに《瞬唱の魔道士》を続かせるが、これも《差し戻し》を受けることはなかった。これでディックマンに《天界の列柱》から身を守る武器がないことを知ったマクラーレンは、再び4/4の土地で攻撃に向かう。ディックマンは《ヴェンディリオン三人衆》を《稲妻》で落とし、《漁る軟泥》を何度か起動し、「オーケー、かかって来い」とばかりに身構えた。彼のライフは6残った。
使えるマナが回復すると、今度はディックマンの番だった。《血清の幻視》から《瞬唱の魔道士》でもう一度《血清の幻視》を唱え、さらに《ギタクシア派の調査》も使ってデッキを掘り進め、《天界の列柱》への対処手段かライフ・レースの道を探る。その道を、《タルモゴイフ》が切り開いた。
マクラーレンが選択した道は佳境に入っていて、他に選択肢はなかった。彼は《天界の列柱》で攻撃を加え、ディックマンのライフを2まで追い詰める。
それでもまだライフは残っている。ディックマンはマクラーレンの《瞬唱の魔道士》を除去し、13点もの攻撃を与えた。これでマクラーレンのライフは残り1に。そして続くターンのマクラーレンの攻撃は、タイミング良く駆けつけた《やっかい児》が《差し戻し》に守られながら阻み、ディックマンが返しの攻撃で勝利を掴んだのだった。
興味深いことに、マクラーレンは《天界の列柱》での攻撃ではなく《稲妻のらせん》を撃つこともできた。とはいえ彼はすでにディックマンの手札に《差し戻し》が2枚あるのを確認しており、赤マナ源は2つしかなかった。3個目がなければ、打ち消しを掻い潜ることができないのだった。
こうして、この小さな冒険は第1章を終えた。第2章は真に強きもののために。対戦相手が放つ厳しい試練を耐えぬく根気と辛抱強さを持った者のためにある。
第2章は、サイドボード後に打ち消し呪文を増やした青いデッキ同士の戦いなのだ。179ページへ進め。
両プレイヤーとも、土地の少ない手札をキープした。マクラーレンは2枚目の土地が置けず、《大祖始の遺産》と《斑岩の節》を出すに留まった。《斑岩の節》が《漁る軟泥》を除去し、4ターン目にようやく2枚目の土地を引き込んだものの、彼は序盤に大きく出遅れてしまった。
これを受けて、《大祖始の遺産》を相手にしたディックマンは攻めの姿勢を貫く。《大祖始の遺産》があるため、彼はマクラーレンのターンの終わりに《瞬唱の魔道士》を《待ち伏せのバイパー》としてそのまま繰り出し、マクラーレンから《マナ漏出》を引き出した。
これでマクラーレンはタップ・アウトになり、ディックマンの動きに手を出せなくなった。ディックマンは自身のターンに《稲妻》、続けてそれを《瞬唱の魔道士》でフラッシュバック、とひと息で叩き込む。使えるときに手札を使い、マクラーレンがマナ・スクリューから抜け出す前に勝負を決めるつもりだ。マクラーレンはライフを9まで落としたが、続くターンでなんとか《瞬唱の魔道士》の除去に成功した。
しかしゲームはその後、不思議と小康状態に入る。ディックマンは《饗宴と飢餓の剣》を引き込んだが、それを装備するものがいない。勝利への光と脅威の色をたたえながらも、ただそこに設置されただけだった。
ディックマンのドローが極めて受け身であることも手伝い、マクラーレンはマナに抱えていた問題からゆっくりと抜け出した。対処すべき脅威に晒されることもなく、ついにマクラーレンは豊富なマナ基盤を手にした。ここへきて初めて、本当の戦いが始まったのだ。
ゲームが仕切り直しになってから初めてまともな争いが起きたのは、永遠とも思えるほど前、最初にディックマンが出していたクリーチャーをめぐるものだった――《漁る軟泥》だ。墓地に餌はなかったが、《饗宴と飢餓の剣》を装備できるというだけでも危険だった。マクラーレンが《瞬唱の魔道士》からの《稲妻のらせん》を《漁る軟泥》へ撃ち込み、それに《差し戻し》が合わせられ、そこへ《マナ漏出》が当てられ、さらに《差し戻し》が続いた。
その後は?
この結果、ディックマンは《漁る軟泥》を装備で固めたものの、タップ・アウトになった。マクラーレンはついに、このゲームで1度も許されていなかった邪魔の入らないターンを得る。彼は《不忠の糸》で《漁る軟泥》を奪い、《瞬唱の魔道士》で2点のダメージを与えてターンを渡した。
《漁る軟泥》の奪取は、ディックマンを大いに焦らせた。クリーチャーを追加できなければ、《饗宴と飢餓の剣》が《漁る軟泥》に装備されたままなのだ。1度でも攻撃を受けようものなら、大きな被害を受けることになる。ディックマンはその事態に陥ることを許さず、《詐欺師の総督》から反撃を始め、《謎めいた命令》で《漁る軟泥》を取り戻そうと試みた。
マクラーレンはこれに《差し戻し》で応答し、続けて《詐欺師の総督》へ《流刑への道》を差し向けた。再びカウンター合戦が起こり、ディックマンはこれに敗れた。タップ・アウトしブロッカーも失った彼に、マクラーレンは《稲妻のらせん》を見せライフを削り切れることを示した。この試合は、何ターンも前にマクラーレンが土地詰まりを起こしていた頃は想像もできなかった、第3ゲームに突入したのだった。
そこで、マクラーレンの言を借りれば、「真のテクが現れたんだ。」
「後手選びます」ディックマンはそう宣言したのだ。
ゲームが長引くこの試合では、その選択も悪くない。これを見越していたかのようにディックマンはマリガンを強いられ、さらにダブルマリガンを余儀なくされると、ここで後手を選んだのは彼のキャリアの中で最も大きな決断だったとわかった。
そして土地のない手札をキープしたディックマンは、《ギタクシア派の調査》と合わせて最初のターンに土地を2枚引き込んだ。この後手選択は、マジックの歴史上でも類を見ない英断だったのかもしれない。
その後マクラーレンは1度だけ土地が止まったが、ディックマンは2ターンにわたり土地を置けなかった。大きな動きができないのは両者とも同じだが、不利なのは明らかにディックマンだった。彼は捨てるくらいならと《瞬唱の魔道士》を繰り出したものの、それは《電解》の餌食となった。
「泣きっ面に蜂」とはよく言ったもので、マクラーレンは《謎めいた命令》でディックマンの土地をバウンスしつつドローを進め、反撃の芽を潰しにかかった。ディックマンはいまだ土地に苦しみながら《漁る軟泥》を繰り出したが、それも《瞬唱の魔道士》からの《電解》で除去された。
あえて言うなら、ディックマンの動きは悪くなかった。散々な目にあいながらも、彼は諦めなかったのだ。襲いかかる《天界の列柱》には《四肢切断》を放ち、繰り出される脅威は《マナ漏出》で止めた。しかしそれでも、ライフの損失は深刻だった。
4枚目の土地を手に入れ多くのマナを構えられるようになったディックマンに対し、マクラーレンは攻撃に慎重になり、《天界の列柱》を起動しなかった。マナを残したマクラーレンは、両者とも「ドロー、ゴー」でターンが進む中、《稲妻のらせん》を撃ち込んだ。
第2ゲームと同様、片方のプレイヤーがマナ・スクリューの憂き目にあいながら、ゲームは仕切り直しとなった。ただしディックマンは残り7点のライフで《天界の列柱》を相手にし、スタック上では《稲妻のらせん》が彼を狙っていた。それでも、ゲームはここからだ。
残りライフが4になり、ディックマンは《天界の列柱》に加えてインスタント・スピードで繰り出される脅威に気を配らなくてはならなくなった。そして、ターン終了時、脅威が群れを成して現れた。
始まりは《瞬唱の魔道士》からの《稲妻のらせん》。《差し戻し》が猶予を稼ぎにいき、続くマクラーレンの《謎めいた命令》にはディックマンも《謎めいた命令》を合わせた。有利な交換を取ったディックマンはこれでタップ・アウトしたものの、ここでのダメージを抑え、さらに《天界の列柱》のバウンスに成功した。
しかし、それは束の間のことに過ぎなかった。タップ・アウトの状態で自身を守るものもないディックマンは、マクラーレンに《瞬唱の魔道士》を奪われ、残りライフも1まで追い詰められた。もはや再び試行錯誤を行う余裕はなく、《電解》や《稲妻》、どんな火力でも倒れる状況だった。
ディックマンにとどめを刺したのは、火力ではなく《対抗変転》だった。2体の《瞬唱の魔道士》を相手に生き残るには、《詐欺師の総督》が最後の希望だった。《対抗変転》がその希望を完全に打ち砕くと、長い3ゲームの末、マクラーレンが決勝へと駒を進めたのだった。
勝利を得たマクラーレンだが、第2ゲーム序盤の時点では、まさか決勝に進むのが自分だとは思えなかったという。
「土地が1枚で止まったときは、自分が勝つとは想像もしませんでした」と、マクラーレン。
ならば勝利を思い描いたのはいつだったのか?
「2枚目の土地を引いたときですね」
ショーン・マクラーレンがパトリック・ディックマンに2-1で勝利し、決勝へ!
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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