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プロツアー『神々の軍勢』
プロツアー『神々の軍勢』メタゲーム分析
Mike Rosenberg and Nate Price / Tr. Tetsuya Yabuki
2014年2月23日
金曜日には44のアーキタイプが姿を現した。それらは土曜日が終わる頃には、多くの試合を経て収束を見せた。私たちはそのデータを分析し、今週末の平均勝率トップのデッキを算出した。以下のリストに掲載されているのは、ゲーム数の多かったデッキから平均勝率上位8つを抜き出したものだが、これはサンプルが少ないと正確なデータが取れないためである。したがって、ここに掲載されたデッキは今大会での活躍の程をはっきりと表していると言えるだろう。
それでは、全体で最も試合数の多かったアーキタイプの活躍を見てみよう。
デッキ・アーキタイプ | 平均勝率 | 試合数 |
ストーム | 59.70% | 110 |
死せる生 | 55.25% | 108 |
呪禁オーラ | 52.66% | 207 |
親和 | 50.30% | 167 |
風景の変容 | 50.13% | 131 |
双子 | 48.88% | 343 |
バーン | 48.67% | 100 |
白青赤フラッシュ | 46.47% | 236 |
最終的に平均勝率でトップに立ったのは、「ストーム」だった。《死儀礼のシャーマン》がモダンから退場したことで多くの恩恵を受けたのが、コンボ戦略だ。ひと月前なら、この悪名高い1マナ・クリーチャーによって、「ストーム」デッキのキー・カードでありコンボを成就するための莫大な燃料となる《紅蓮術士の昇天》に頼り切ることは危険だと考えられていた。《紅蓮術士の昇天》による勝利が不可能なわけではなかったが、対戦相手が1ターン目に《死儀礼のシャーマン》を繰り出すと苦戦必至だった。
そして今、苦しい日々は終わった。《紅蓮術士の昇天》を徹底的に痛めつけていた《死儀礼のシャーマン》はモダンから弾き出され、《紅蓮術士の昇天》を使うのに最高の環境が整ったのだ。こうして「ストーム」の鍵を握るこのエンチャントは、コンボ戦略に新たな命を吹き込んだ。「ストーム」はモダンでは貴重な「クリーチャーに頼らずゲームを決められる」コンボ・デッキであり、恐ろしい脅威のひとつとなっている(正確に言えば、クリーチャーに頼らないこのデッキでも、《ゴブリンの電術師》が1体戦場にあれば大きな役割を果たす)。
《死儀礼のシャーマン》の退場はまた、「ジャンド」にも深刻な影響を与えた。このデッキは様々な形の手札破壊手段を有しており、「ストーム」のコンボ達成速度を遅らせることができた。《死儀礼のシャーマン》禁止に伴い、モダンでよく見られた《思考囲い》と《コジレックの審問》のセットをメインから使うデッキは、今週末は数を減らした。その結果、「ストーム」に追い風が吹いた大会となったのだ。こうして、「ストーム」を選択したプレイヤーの平均勝率が今大会1位を記録したのだった。
「ストーム」に続き、もうひとつ《死儀礼のシャーマン》禁止の恩恵を受けたデッキがある。「死せる生」だ。これは「サイクリング」を持つクリーチャーを次々と「サイクリング」し、その後「続唱」で《死せる生》を唱える、という完全に墓地に依存したデッキだが、《死せる生》が通った後はおよそ2ターンで決着がつく。「死せる生」は墓地への対策とこのデッキへの警戒が緩んだ今大会でうまく波に乗り、55.25%の平均勝率を叩き出すと第2位の位置につけた。今後このデッキが安定して使用者を集めるかどうかは、時間だけが教えてくれるだろう。
試合数が多くあったデッキの中で第3位の活躍を見せたのは、「呪禁オーラ」だった。呪禁を持つクリーチャーに大量のオーラをまとわせ、除去の盲点を突くデッキだ。このデッキは除去を《稲妻》に頼り切ったデッキや、通常の戦闘によって勝利を狙うデッキに対して極めて強い。それらが持つ唯一の干渉手段とは別の軸で戦えるからだ。今大会において、このデッキは《野生のナカティル》を備えたデッキを食い荒らしていた。また、4ターンか5ターンで20点のライフを削り切ることを真っ直ぐに目指したデッキからも、勝利をかすめ取っていった。
奇妙なことに、大きな勢力を誇りトップ8にも3人を送り込んだ「双子」は、その試合数と比較して平均勝率では48%台に留まった。今週末「双子」を使用したプレイヤーたちの成績に大きなばらつきがあり、この結果となったのだろう。
上記のリストには、今大会のトップ8にその名を残したデッキがふたつ含まれていない。「白青赤コントロール(《スフィンクスの啓示》を採用せず《聖トラフトの霊》でアグレッシブな戦略もとる『白青赤フラッシュ』とは、別のアーキタイプ)」と「ブルー・ムーン(チーム『MTG Mint』謹製の、《広がりゆく海》入り青コントロールに赤をタッチし《稲妻》と《血染めの月》を採用したデッキ)」だ。これらふたつの平均勝率は以下の通り。
デッキ・アーキタイプ | 平均勝率 | 試合数 |
白青赤コントロール | 54.43% | 79 |
ブルー・ムーン | 52.97% | 73 |
最初に挙げたリストに載っているデッキと比べると試合数が少ないものの、両デッキとも50%を超える比較的安定した勝率を記録した。「白青赤コントロール」はまた、最初に挙げたリストに当てはめても第3位の位置につく。それから、両デッキは打ち消し呪文の豊富さから、今大会一番の活躍を見せたデッキ(「ストーム」)との相性が良いことも付け加えておこう。
注目すべきは、上位のリストに載らなかったアーキタイプだ。それらは以下の通りになっている。
デッキ・アーキタイプ | 平均勝率 | 試合数 |
メリーラ・ポッド | 45.88% | 263 |
Zoo | 43.23% | 505 |
ジャンド | 39.62% | 175 |
「メリーラ・ポッド」は今大会最も警戒され、狙われたデッキだ。会場全体の敵となっていたこのデッキだが、平均勝率は「Zoo」を上回った(「Zoo」は505試合のうち43%をわずかに超えるくらいの成績だった)。「メリーラ・ポッド」がモダン環境で最も強力で柔軟性の高いコンボ・デッキのひとつであることは間違いない。しかしクリーチャーに頼った構成であるため、《神々の憤怒》のようなカードの餌食となったのだ。ちなみに全体除去は「Zoo」のゲーム・プランを妨害するのにも効果的で、「呪禁オーラ」の流行と合わせて《野生のナカティル》好きを駆逐する結果となった。
プロツアー『ラヴニカへの回帰』であれほど恐れられていた「ジャンド」は、今大会では39.62%、と完全に勝率を落とした。この環境の支配者がついに陥落したのだ。次にこの座を射止めるのはどのデッキだろうか。来るべきときに備えておくといいだろう。
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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