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EVENT COVERAGE
マジック25周年記念プロツアー
往年の名プレイヤーたち
2018年8月4日
私たちの誰もが、「かつては今よりも熱心にマジックをプレイしていた」という人物をひとりは知っているだろう。しかし誰もが心の奥で、「マジックを完全に辞めることは決してない」と確信しているはずだ。完全には辞めない。いつか必ず、デッキをシャッフルして初手の7枚を引きたくなる衝動に駆られる。土地をタップしてマナを生み出したくなる。そして何よりも、誰かとふたりで対戦したくなる。マジックの対戦以上に楽しいことはないのだから。
「マジック25周年記念プロツアー」は、私たちマジック・プレイヤーにとって特別なイベントだ。かつてマジックで勇名を馳せたプレイヤーたちも、友人とともに再び戦いの舞台に姿を現している。
2000年代初頭に他を圧倒する活躍を見せ、2009年には殿堂顕彰も受けたアントワン・ルーエル/Antoine Ruel。インビテーショナル2006での優勝により《イーオスのレインジャー》を生み出し、その偉業を後世に残した彼だが、その後は多くのプレイヤーと同様に、最前線から姿を消した。
「マジックをやりすぎたんだと思う」と、ルーエルは認めた。「その後はすっかり燃え尽きて、オリジナル・デッキを作って楽しみたいと思うようになった。競技シーンに身を置くこととは正反対だし、マジックで負けることは受け入れがたかったけど、私にも生活があったから……」
その感傷は多くのプレイヤーから聞いてきた。そして私自身もそのひとりだ。
「でも私はこれからもこの大好きなゲームへの情熱を持ち続けるよ。今年はビルバオでのプロツアー(プロツアー『イクサランの相克』)に行った。会場の誰もがマジックへの情熱を大いに発揮していて、私たちはそれを共有した。何年も経つうちに、舞台に立つ人は大きく変わっていった。今この場にいる人たちも昔とは違うけれど、それでもマジックへの情熱は変わらない。同じ想いを共有できる」
1998年、当時の私はマジックに関わるものを何でも読み漁っていた。そのとき読んだアメリカ選手権1998のカバレージ――マット・リンデ/Matt Lindeがマイク・ロング/Mike Longを破った決勝戦の記事は、今でも鮮明に思い出せる。17歳のリンデが《浄火の鎧》入り白ウィニーでロングの《死体の花》コンボ・デッキを打ち倒すという、おとぎ話のような出来事だった。リンデはその後アメリカ代表チームを率い、その年の世界選手権で優勝、次の年でもトップ4入賞を果たした。チーム戦で行われたプロツアー・ボストン2003では、ウィリアム・ジェンセン/William Jensenとブロック・パーカー/Brock Parkerとともに優勝トロフィーを掲げた。しかしルーエルと同じく、リンデもまた……その後姿を消したのだった。
「仕事の関係で、6年ほどカリブ海地域の方へ行っていたんだ」とリンデは語る。その後は子どもも生まれ忙しい日々を送っているうちに、気づけばボストンのプロツアーで優勝してから10年もの歳月が経っていた。
リンデの話は、私自身の体験とよく似ている(もっとも、プロツアーでの勝利という経験は彼の方にしかないが)。私たちには同じ年頃の娘がいるため、ボードゲームなどで遊ぶ際にスポーツマンシップを教えることの難しさを共有して笑い合った。
「今大会の予選に挑戦しないかと友人に声をかけられた。チーム戦が一番やりやすいだろうということだったんだけど、それは間違いなかったよ。僕にとっては14年ぶり、誘ってくれた友人にとっては12年ぶり、もうひとりのチームメイトにとっては17年ぶりのマジックだ。予選に向けて練習を始めてみると、とても楽しかった」
マジックがこれほど長く人生に影響を与え続けるとは思わなかった、という人もいるはずだ。私がマジックのパックを初めて開封したのは16歳のときだった(レアは《シヴ山のドラゴン》だ! 大当たり!)が、「このゲームは世界中を旅するきっかけをくれて、他では決して体験できないことを数えきれないくらい体験できるよ」と当時の私に言っても信じてもらえないだろう。それは、今ここにいるプレイヤーたちにも当てはまることだ。マジックは、私たちが夢にも思わなかった扉を開いてくれた。これからも、次の25年に向かって進み続けよう!
(Tr. Tetsuya Yabuki)
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