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マジックフェスト・名古屋2019

戦略記事

デッキテク:磯 俊治の「エスパー・永遠衆」 ~エンチャント戦略で切り抜けろ!~

Moriyasu Genki

 今環境のスタンダードでほぼ見かけることのない、非常に珍しいカードを採用しているデッキを作成したプレイヤーがいた。

 《天上の赦免》。彼我のクリーチャー・サイズに差をつける、決定的なパワーを持つエンチャント。トークン生成の能力も有していてある程度自己完結しているが、プレイのコスト、能力のコストともに軽くはなく、活用するためにはデッキ構築にひねりが必要だ。

「今、エンチャントがさわられなくて強いんじゃないかなと思って。クリーチャーとアーティファクトはさわられるので、《天上の赦免》と《戦慄衆の侵略》からデッキ構築を始めました。結果、《永遠神の投入》も強いので、エスパーになりました」

磯 俊治 - 「エスパー・永遠衆」
グランプリ・名古屋2019 / スタンダード (2019年11月2~3日)[MO] [ARENA]
1 《平地
1 《
1 《
4 《神聖なる泉
4 《神無き祭殿
3 《静寂の神殿
4 《湿った墓
2 《陰鬱な僻地
2 《ロークスワイン城
2 《ヴァントレス城
3 《寓話の小道
-土地(27)-

4 《残忍な騎士
-クリーチャー(4)-
4 《戦慄衆の侵略
3 《害悪な掌握
3 《思考消去
2 《否認
4 《ケイヤの誓い
2 《牢獄領域
3 《薬術師の眼識
2 《ケイヤの怒り
4 《永遠神の投入
2 《天上の赦免
-呪文(29)-
3 《夜帷の捕食者
2 《灯の燼滅
2 《ドビンの拒否権
1 《害悪な掌握
4 《時を解す者、テフェリー
3 《オルゾフの簒奪者、ケイヤ
-サイドボード(15)-
decktech_iso.jpg

 磯 俊治は、スタンダードの中核を担う「2人のプレインズウォーカー」、《王冠泥棒、オーコ》そして《世界を揺るがす者、ニッサ》が作る「3/3」軍団に対抗するため、《天上の赦免》と《戦慄衆の侵略》を軸にしたデッキを構築することにした。

 磯は普段からメタゲームを踏まえた上で自作のデッキを使うことも多く、友人たちからはそのオリジナルデッキたちは「磯・スペシャル」と呼ばれて評価されているようだ。

「《戦慄衆の侵略》は除去・コントロールに対してブロッカーになってくれたり、地上ビートダウンにも強く、フィニッシャーにもなってくれますね。《永遠神の投入》や《ケイヤの誓い》でライフ回復しつつ、それをリソースにすぐ戦線を立て直せます」

 エスパーカラーの動員・ミッドレンジ。《ケイヤの誓い》と《牢獄領域》も採用していて、「エンチャント戦法」がデッキ全体を通して統一されている。

「正直(青白のような)コントロールを踏んでしまうと全然勝てないというところなんですが、緑デッキを踏んでいければと思います。その上でプレインズウォーカーを倒せないと話にならないので、《残忍な騎士》も4枚です。」

 クリーチャー除去を中心に動く除去・コントロールの側面も強い「エスパー・永遠衆」が、ほとんどクリーチャーを採用していない「アゾリウス・コントロール」や「ティムール・荒野の再生」のようなデッキに弱いのは構造上仕方ないことだと話しながら、それ以上に緑主体の「シミック・食物」や「スゥルタイ・食物」、「ゴルガリ・アドベンチャー」といったデッキには有利に振る舞うことができるメリットを採択していた。

「《天上の赦免》は、《魔女のかまど》を中心にしたサクリファイス・デッキに対して、《大釜の使い魔》を完封できて強かったですね。サイズ修整の面で《残忍な騎士》も3/4になってくれれば、ライフに余裕が見られるようになりますね」

 「かまど」デッキ(《魔女のかまど》+《大釜の使い魔》)も「クリーチャーデッキに強い」とされるデッキの1つだが、《天上の赦免》はサイズ修整と墓地追放の両面から、1枚で多くのカードを機能不全に陥れることが可能だ。

「《薬術師の眼識》は最初は採用していなかったんですが、流石に引かないとカード足りなくなるかなというところで最後に入れたところです。強く使えてるので3枚で良かったですね」

 最初は白黒として組み始めながらも、《思考消去》と《永遠神の投入》からデッキを白青黒で組んだ磯は、より長期戦にも対応しやすいよう《薬術師の眼識》も3枚採用した。

 「再活」によって、相手次第で完全に「無駄牌」となりえる《害悪な掌握》なども「有効牌」に入れ替えることが可能なカードとして、頼もしく使えたと話した。

「ドロー呪文が少なく重たい呪文も多いので、6マナまでしっかり到着したいので土地は27枚です。《時を解す者、テフェリー》もコントロール戦以外では不要かなと判断して、メインではなくサイドに4枚です。サイド後カウンターが増えてくることも想定してます。《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》は《魔女のかまど》と墓地の《大釜の使い魔》に直接さわるためのカードとして、ほぼ『かまどデッキ』の専用サイドとして採用しています」

 話はサイドの構成に及び、「《害悪な掌握》の4枚目」以外はメインデッキにない役割を担えるカードが多い。

「《夜帷の捕食者》は苦手なコントロールに対して、さわられないカードとしてこじ開けていくクロックとして採用していますね。《灯の燼滅》2枚は、ちょっと変えたいところですね。いま組み直すとすると1枚で良いかなと思いますね。《意地悪な狼》の破壊不能は乗り越えたいんですが、結局《王冠泥棒、オーコ》はすり抜けてしまうので噛み合いになってしまいます。他の、《夜帷の捕食者》などのサイドを厚く取った方が良かったです」

 《天上の赦免》から始まり、《戦慄衆の侵略》を軸にエンチャントを多用するデッキを見事に練り上げた磯。「緑」が中心のメタゲームの中、相手の対策をかわしつつ自らは相手を封殺するように動けるようにしている。自分のデッキを言語化する機会はあまりないと笑いながらも、しっかりと今のメタゲームを踏まえた上で75枚を解説してくれた。

 磯 俊治の「エスパー・永遠衆」。スタンダードにまたひとつ新しい風穴が開いた。

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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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