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マジックフェスト・京都2019
準決勝:Bae, Daekyeung(韓国) vs. 徳山 善彦(兵庫) ~殴り合い上等!~
べ・デギョン(写真左) vs.徳山 善彦(写真右) |
20年近くのマジック歴を誇る徳山善彦。2度目のグランプリ2日目にして、トップ8進出を果たした彼が手にするデッキはひときわ目を引くものだった。
8 《森》 7 《山》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《根縛りの岩山》 -土地(23)- 4 《ラノワールのエルフ》 4 《成長室の守護者》 4 《クロールの銛撃ち》 4 《グルールの呪文砕き》 2 《打ち壊すブロントドン》 1 《貪る死肉あさり》 3 《再燃するフェニックス》 3 《レギサウルスの頭目》 1 《原初の飢え、ガルタ》 -クリーチャー(26)- |
2 《ショック》 4 《稲妻の一撃》 2 《野生の律動》 2 《争闘 // 壮大》 1 《混沌をもたらす者、ドムリ》 -呪文(11)- |
1 《凶兆艦隊の向こう見ず》 1 《貪る死肉あさり》 4 《溶岩コイル》 3 《燃えがら蔦》 2 《焦熱の連続砲撃》 1 《野生の律動》 1 《争闘 // 壮大》 2 《苦悩火》 -サイドボード(15)- |
恐竜。
メタゲーム分析上は「グルール・アグロ」に分類されたが、そのデッキは通常のそれとは異なる様相を呈している。
《貪る死肉あさり》《レギサウルスの頭目》、そして恐竜という種族を象徴するかのような、あまりに強大な「力」を持った《原初の飢え、ガルタ》。
トップ8プロフィールでは「押し付ける側になりたい」と答えていた徳山。彼が搭載した恐竜たち、特にべ・デギョンのデッキ、「グルール・アグロ」ではほぼ対処が不可能であろう《原初の飢え、ガルタ》をその望み通り押し付けることができれば、決勝戦へ押し通る道筋が明確に見えてくるはずだ。
その徳山と対照的に、最近マジックに復帰したというべ・デギョン。彼が手にするのは前述の通り「グルール・アグロ」だ。
9 《山》 1 《森》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《根縛りの岩山》 2 《グルールのギルド門》 4 《手付かずの領土》 -土地(24)- 4 《成長室の守護者》 4 《クロールの銛撃ち》 3 《凶兆艦隊の向こう見ず》 4 《ゴブリンの鎖回し》 4 《グルールの呪文砕き》 4 《再燃するフェニックス》 3 《スカルガンのヘルカイト》 -クリーチャー(26)- |
2 《ショック》 4 《稲妻の一撃》 2 《溶岩コイル》 2 《争闘 // 壮大》 -呪文(10)- |
2 《軍勢の戦親分》 2 《シヴの火》 4 《燃えがら蔦》 2 《溶岩コイル》 2 《席次 // 石像》 1 《混沌をもたらす者、ドムリ》 2 《ビビアン・リード》 -サイドボード(15)- |
キャリアの差は埋めようがない。しかし、この「グルール・アグロ」に関しては圧倒的な練習量を誇る。
2週間で300回。
ベがこのグランプリに向けてMTGアリーナでデッキを回した回数だ。これはMTGアリーナで主流と言えるBO1=1本先取の数ではない。BO3=
全く異なる道筋をたどってきたふたり。ここから始まるのはグルールを駆るものたちによる「殴り合い」だ。
ゲーム1
立ち上がりは徳山が《ラノワールのエルフ》。これに、ベが《ショック》を合わせ、序盤からがっぷり四つの展開になるか…と思われた矢先。ベが《凶兆艦隊の向こう見ず》、徳山が《成長室の守護者》を繰り出したところで、いったん両者の土地が2枚で止まってしまう展開となる。
先に仕掛けたのは、ベ。《成長室の守護者》を《稲妻の一撃》で除去し、さらに2枚目の《凶兆艦隊の向こう見ず》を追加し、徳山にクロックを押し付ける。そして、3枚目の土地を引いたところで、《ゴブリンの鎖回し》でダメージを与えつつクロックを増強し、盤面、ダメージの両方で殴りかかる。
しかし、徳山もまたこのタイミングで3枚目の土地を引き込み、ベのクリーチャーたちに対し、一方的に打ち取れるサイズの《打ち壊すブロントドン》を召喚する。これで、ベが足踏みしてくれればここから逆転の目はある――
――だが無情にも、ベはフルアタックを敢行する。徳山は半ば観念したように《打ち壊すブロントドン》で《ゴブリンの鎖回し》をブロックしたところで……そのまま解決!?
火力呪文は、飛んでこなかった。《ショック》でもなんでも持っていれば先制攻撃ダメージの解決に合わせ、《打ち壊すブロントドン》を討ち取れたはずだ。
徳山が顔を上げる。まさかブラフでのアタックだったのか? それとも追加のクリーチャーか?
徳山 善彦 |
いずれにせよ《打ち壊すブロントドン》が生き残れば、まだ目はある。
しかし、ベの手から繰り出されたのはそんな希望を断ち切る、《打ち壊すブロントドン》を戦場から薙ぎ払い、同時にクロックとなる1枚だった。
すなわち、2枚目の《ゴブリンの鎖回し》。
序盤に出遅れた徳山がこの状況を覆すことはできなかった。
ベ 1-0 徳山
ゲーム2
徳山が《成長室の守護者》、これにベが《シヴの火》で応じるスタート。
1ゲーム目と違い順調に展開する徳山は、《グルールの呪文砕き》を2連続で、さらに《再燃するフェニックス》を順々に送り込む。
ベは、今度は殴られる立場となった。1体目の《グルールの呪文砕き》を《溶岩コイル》で処理すると、《グルールの呪文砕き》《再燃するフェニックス》とまさに完全に鏡打ちとなる盤面を形成する。
徳山は、ベがフルタップとなったこの盤面で両クリーチャーによる攻撃宣言を行う。仮に《再燃するフェニックス》が相打ちになった場合、先に戦場に再降臨するのは相手の側だ。明らかにエレメンタル・トークンを処理するカードか、あるいは戦闘を一方的に優位にする《争闘 // 壮大》があるだろう。
何はともあれ、ベはそれぞれのクリーチャーをブロックする。徳山は《グルールの呪文砕き》に《壮大》を打ち込む。互いに納得ずくの交換……と思われたが、徳山が戦闘後に呼び出したクリーチャーは文字通り圧倒的なパワーを持っていた。
12/12。
ベは思わず確認する。徳山が余らせていたのは4マナ。そして戦場にはパワーが8となった《グルールの呪文砕き》。ピッタリだ。先に《再燃するフェニックス》が戻ってくるとはいえ、圧倒的な「力」を持つ《原初の飢え、ガルタ》を前に、まずは横に並べ相打ちを取れる戦力を構築するしかない。クリーチャーを展開するも、《原初の飢え、ガルタ》を討ち取るにはまだ足りない。ターンが返ってきた上でさらにブロッカーを追加するしかない――
だが、徳山はターンを渡すまでもないと《クロールの銛撃ち》で《再燃するフェニックス》を対象に取る。ベは攻撃宣言を聞き届けるまでもなく、サイドボードに手を伸ばした。
ベ 1-1 徳山
べ・デギョン |
ゲーム3
立ち上がりはマリガンした徳山の《クロールの銛撃ち》に対し、ベが《稲妻の一撃》を合わせ、ここからふたたびクリーチャーと火力呪文の応酬が続く展開となる。
ベの《グルールの呪文砕き》は、即座に徳山が《溶岩コイル》。徳山の《グルールの呪文砕き》は生き残るが、ベからは《スカルガンのヘルカイト》という脅威が繰り出される。
この荒れ狂うドラゴンに対し、徳山はこのデッキの代名詞とも言える恐竜――《レギサウルスの頭目》で対抗するが、ベはこの盤面を崩壊させるコンボ、《ゴブリンの鎖回し》の1点ダメージ能力解決前の《席次》――
――「接死」を持った《ゴブリンの鎖回し》を前に、徳山は思わず大きく息をつき、自らのクリーチャーたちを墓地へとやる。
しかし、結局のところこれは2対2交換でしかない。徳山は《ゴブリンの鎖回し》を《稲妻の一撃》で、《スカルガンのヘルカイト》を《争闘》で処理し、一度盤面をまっさらにする。
すると互いについにクリーチャーが尽き、数ターンの間ドローゴーが続く。徳山は力を込めてカードを引く。先にクリーチャーにたどり着いた方が「押し付ける」側に回ることができるのは明白なのだ。
しかし、先にその「押し付ける」側に回ったのは、ベだった。《稲妻の一撃》では除去できないサイズの《グルールの呪文砕き》。そして、これが徳山に殴りかかる。
徳山もライフが7まで落ち込んだところで《グルールの呪文砕き》を引き込むのだが、ベもまた《ゴブリンの鎖回し》《席次 // 石像》《凶兆艦隊の向こう見ず》と連続で有効牌を引き込んでおり、徳山はついに力尽きたのだった。
ベ 2-1 徳山
べ・デギョンが決勝戦進出!
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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