以前まで、グランプリで開催されていたプロツアー予選(以下PTQと記載)。これは、基本的にはグランプリの最終日である日曜日に１度だけ開催されていました。

　今回の京都は、マジックフェストになったということで、開催期間中毎日、それに代わるイベントが開催されました。

　その名は、ミシックチャンピオンシップ予選(以下MCQと記載)。

　以前のプロツアーに代わるのが、ミシックチャンピオンシップにあたりますので、このMCQは、以前のPTQに代わるイベントです。

　どういったイベントなのかを紹介すると、MCQに優勝するとマジックの最高峰の舞台であるミシックチャンピオンシップに参加する権利が得られるのです。

　ちなみに、ミシックチャンピオンシップは、完全招待制の賞金制大会で、世界に名だたるマジックの強豪たちと肩を並べて同じ土俵で戦える夢の舞台なのです。

　ですが、このMCQを抜けられるのは各イベントの優勝者１名のみ。

　今回の参加者は、

• 金曜日　304名
• 土曜日　175名(ただし、今回は決勝ラウンドのみ日曜日開催)
• 日曜日　392名

　ラウンド数は、参加者に応じて変化しますが、スイスラウンド(勝つと３ポイント、引き分けで１ポイントのマッチ・ポイントを競い合うトーナメント)５～６回戦でトップ８のプレイヤーを確定します。

日曜日のスイスラウンド終了時のトップ８プレイヤー

　その後トップ８によるシングルエリミネーション(勝ち抜きトーナメント)をおこない、優勝者を選出します。

　もちろん、サイドボードありのマッチ戦ですべてのラウンドはおこなわれます。

　この狭き門を潜り抜け、見事MCQ優勝に輝いたプレイヤーたちにインタビューをおこないましたので、開催日順に紹介していきましょう。

金曜日の優勝者：マ・ノア/Ma Noah

お住まい：韓国

年齢：26歳

マジック歴：『テーロス』のころから

よく行くお店：Hong Dae Rollimg-Dice

――優勝おめでとうございます。さっそくですが、今回使用したデッキについてお聞かせください。

マ「今回は『スゥルタイ・ミッドレンジ』を使用しました。理由は、この直前のミシックチャンピオンシップをこのデッキを使用して9-1したからです。調子も良いし、もっともセーフティーなデッキだと思っています」

――ミシックチャンピオンシップ9-1ッ!? めっちゃ、好成績じゃないですか！ ドラフトの成績はどうだったんですか？

• ミシックチャンピオンシップ・クリーブランド2019 デッキリスト・マッチポイント24～30点（スタンダード）

マ「ドラフトが2-4だったのでトップ８には残れずでした」

※直前にあったミシックチャンピオンシップ・クリーブランド2019は、ブースタードラフトとスタンダード構築の複合フォーマットで開催されました。

――それは、残念でした。でも、マジックの最高峰の舞台の構築戦で１本しかマッチを落としていないのはすごいことですよ！

マ「ありがとうございます。前大会のおかげで、次のミシックチャンピオンシップにも出られる権利をもらえたので、今回のイベントでその次の権利も得ました」

――連続３回出場できるわけですね。

マ「ですね。あと、プロポイントが結構あるので、今回のグランプリ本戦で１ポイント獲得できれば、４連続出場も可能なので頑張りたいです」

――すごい！！ 今はマジックにかなり力を入れている感じですか？

マ「最近、かなり勝てるようになってきたので、マジックに全力投球で頑張っています」

　そう語ってくれたマさん。すでにミシックチャンピオンシップで成績を出している彼ですが、これからの彼の成績にも注目ですね。

土曜日の優勝者：ユ・チャンチェン/Yu, Chang Cheng

お住まい：台湾

年齢：30歳

マジック歴：６年ぐらい

よく行くお店：Fantasy card shop

――優勝おめでとうございます。最後はなかなか白熱したマッチでしたね？

決勝戦の様子、対戦相手はスゥルタイ・ミッドレンジ

ユ「ありがとうございます。エスパーのデッキでなんとか勝つことができました」

――ちなみに、なぜ数あるデッキの中からエスパー・コントロールを選んだんですが？

ユ「MTGアリーナでよく使っていて、このデッキが一番経験値が高かったからです。《ドミナリアの英雄、テフェリー》が強いですね」

――グランプリ本戦初日並みの長丁場を戦うには経験値も確かに重要ですね。MTGアリーナはどれぐらいプレイされているのですか？

ユ「もともとはMagic Onlineをしていたのですが、２月中頃からMTGアリーナを始めて、それからは毎日２～３時間ぐらいはプレイしています」

――かなり精力的にマジックをプレイしている印象です。いつごろから競技マジックに参加するようになったのですか？

ユ「２年ぐらい前からですね。モニター越しに見ていたプロツアーの舞台に立ちたくて、それを目標にやってきました」

――夢が叶ったわけですね！ 今のお気持ちは？

　めっちゃくちゃ嬉しそうでした！

　夢の舞台ミシックチャンピオンシップへの切符を手に入れたユさん。ひとつの夢が叶い、彼はミシックチャンピオンシップをどう戦うのか？ 今から楽しみです。

日曜日の優勝者：二俣 洋次郎

お住まい：東京

年齢：35歳

マジック歴：『タルキール覇王譚』から復帰

よく行くお店：アメニティードリーム新宿店

――優勝おめでとうございます。日曜日のMCQは参加者が392名あり、ほぼマッチ全勝でしか優勝できないと聞きました。素晴らしい成績です！

二俣「ありがとうございます。今日はデッキが応えてくれました。《殺戮の暴君》《殺戮の暴君》《殺戮の暴君》って感じで今日はすごく活躍してくれました。」

決勝に勝利した瞬間の二俣さん

――確かに、決勝戦でも《殺戮の暴君》がめちゃくちゃ強かったですね。「スゥルタイ・ミッドレンジ」を使用されていましたが、このデッキを選んだ理由は何かありますか？

二俣「実は特に無くて……。と言うのも、今回は練習する時間があまり取れなくて、前環境で『ゴルガリ・ミッドレンジ』を結構使用していたので、それと同じような感覚で使えるこのデッキを選んだ感じですね。(デッキ)パーツも流用できますので」

――このデッキは、前デッキのパワーアップ版って感じですよね。MTGアリーナでの調整はされなかったのですか？

二俣「そっちでは、空き時間を利用して同じデッキを回して少し調整していましたね。今回できた練習や調整はここぐらいですね」

――今までの積み重ねがあってこその優勝ですね！ ちなみに、競技マジックは、いつごろからするようになったのでしょうか？

二俣「２年ぐらい前ですね。一時期ヨーロッパで暮らしている期間がありまして、そっちではマジックをやろうにもなかなか店舗が無くてやる機会がなかったんですよ。それで、ヨーロッパは幸いグランプリが多いので、マジックをやるためにグランプリにでるようになって、やっぱグランプリに出ると競技志向になるって感じですね。あと、あっちに居るときに、Magic Onlineを結構やっていたので地力はそのとき付いたのかなって感じはありますが」

――なるほど。マジックをする環境を海外で求めているうちに、いつの間にか競技マジックにって感じですね。やはり、競技マジックをする上で、ミシックチャンピオンシップは一つの目標だったんでしょうか？

二俣「一応目標ではあったんですが、それよりもミシックチャンピオンシップに行くようなことは遥か彼方のことだと思っていたので、今回のことはびっくりです」

――でも、それを手にしたのは実力あってのことですよ。どんなところにミシックチャンピオンシップの魅力を感じますか？

二俣「う～ん、強い人と対戦できることですかね。やっぱり、放送を見ていて楽しいので、自分もやってみたい、こんな強い人たちと対戦したいって思いを叶えてくれるのがミシックチャンピオンシップの魅力ですね」

決勝戦開始直前の様子

――ちなみに、ひとつの目標を叶えられましたが、今は何か新たな目標はありますか？

二俣「正直なところ、それがちょっとわからないのです。競技マジックに時間をとることが難しく感じることもあって、今回のミシックチャンピオンシップに出てみて、その先でどうなるかって感じですね」

――今回のMCQ優勝は、二俣さんにとってのひとつのターニングポイントになりそうですね。

　家庭もあり、仕事もあり、そんな中での競技マジックに疑問を覚えながらも、強いプレイヤーと戦いたいと願う二俣さん。彼は、バルセロナでどんな答えを出すのだろうか？

　会場から立ち去る彼の背中を見ながら、私はそんなことを考えずにはいられませんでした。

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　今回のマジックフェストでは、MCQでミシックチャンピオンシップへの切符を手に入れたのは３名でした。

　三者三様の思いを抱いて彼らは、マジックの最高峰に挑みます。そこには多くのドラマが彼らを待ち受けているでしょう。

　多くのプレイヤーが望む舞台、ミシックチャンピオンシップ。

　憧れの舞台への切符は、４月のマジックフェスト・横浜2019で開催されるMCQでも得ることができます。

　あなたも、最高峰の戦場を目指してみませんか？