EVENT COVERAGE

マジックフェスト・千葉2019

観戦記事

第4回戦:宮本 寛弥(千葉) vs. 八十岡 翔太(東京) ~チャンドラ vs. チャンドラチャンドラ!?~

伊藤 敦

 基本セットのシールドデッキ戦は、どちらかと言えばカードプール間の格差が大きくなってしまいがちである。そしてそれは、久しぶりに発売された基本セットである『基本セット2020』環境もまた例外ではない。

 騎兵やプレインズウォーカーといった高レアリティのカードたちに対しては、《殺害》や《チャンドラの憤慨》といった通常の除去ではいかんともしがたい。しかもそういったカードが出るはずの枠は、人によっては力線や占術土地で埋まってしまうかもしれないからだ。

 だが、不戦勝があるとはいえプロプレイヤーたちは、そのような環境でも普通のプレイヤーより切り抜ける確率が高いだろうと思われる。

 では、はたしてその秘訣はどこにあるのか?

 それを知るのにうってつけのフィーチャーマッチが、3Bye明けの第4回戦で場内にコールされた。

 MPLプレイヤー、八十岡 翔太が登場だ。

 対する対戦相手はグランプリ・横浜2012でトップ8経験のある宮本 寛弥

 奇しくもこの対戦カードは3年前のグランプリ・東京2016でもフィーチャーマッチに呼ばれており、そのときは宮本が勝利している。

 はたして八十岡は格差が大きい基本セットのシールドデッキ戦で、リベンジを果たすことができるのか。


宮本 寛弥 vs. 八十岡 翔太
ゲーム1

 ダイスロールに勝利し、迷わず先攻を選んだのは八十岡。対し、宮本はマリガンを選択する。

 《神秘の神殿》の「占術」から2ターン目に《菅草の蠍》を送り出し、3ターン目には《翼ある言葉》と間断なく動く八十岡に対し、宮本も《鋼の監視者》からの《大胆な盗人》と、もし八十岡が後手を選んでいたらそのままゲームセットになりかねなかったほどの好発進だ。

 返す八十岡は《枝葉族のドルイド》からセット《進化する未開地》でタップインを処理しつつ、いったん小休止。一方、宮本は《大胆な盗人》で攻撃、これは《菅草の蠍》と相打ちとなるがマリガン分の手札を取り戻すと、そのまま《》《》《》《》の4マナオープンでターンを返す。

 すると八十岡がターンエンド前に《進化する未開地》を起動。すでに《神秘の神殿》《》《》と置いているところにサーチされたのは4色目となる《平地》で、八十岡ワールドの気配が漂ってくる。

 が、ひとまずこのターンの続く動きはマナが足りず《チャンドラの憤慨》が当たらない《北方の精霊》。そして返す宮本が《ケルドの略奪者》を送り出しつつ手札を整えると、空からの攻撃に加えて《大襞海蛇》を展開して詰めにかかる。

 しかし、6マナに到達した宮本がプレイしたのは目覚めた猛火、チャンドラ》!

 [-X]能力で《北方の精霊》を落とされた八十岡は、やむなく7マナを支払った《大襞海蛇》の攻撃でこれを落とすしかないが、なおも宮本は《隕石ゴーレム》で《大襞海蛇》を除去すると、5/5にまで育った《鋼の監視者》と《ケルドの略奪者》とで9点もの痛撃を八十岡に与える。

 それでも八十岡は落ち着いて《楽園の贈り物》でライフ水準を保ちつつ《鋼の監視者》を《殺害》、さらに《土覆いのシャーマン》で使い終わった有用なカードをライブラリーへと戻してドローの密度を上げにいくのだが、この《土覆いのシャーマン》にも宮本の《見栄え損ない》が飛び、7点アタックで八十岡の残りライフは7点


宮本 寛弥

 とはいえ宮本も決して余裕があるわけではない。土地ばかり引いてしまっており、この局面で追加となるクリーチャーを用意できなかったからだ。

 そしてそれが、八十岡ワールドの開幕を許してしまう決定的な隙となった。

 タッチされた《絞首された処刑人》が《隕石ゴーレム》をブロックしながらの能力起動で《ケルドの略奪者》を追放すると、さらに続くターンに八十岡がプレイしたのは炎の侍祭、チャンドラ》!

 《土覆いのシャーマン》が墓地の呪文を戻してしまっていたためすぐには効果を発揮しなかったものの、続く八十岡のドローが《翼ある言葉》だったことで形勢が逆転。[-2]能力と合わせて一気に4枚もの手札を補充した八十岡は、《菅草の蠍》《小走り犬》と展開して守りを固める。

 宮本も虎の子の《チャンドラの憤慨》を《菅草の蠍》に当てて八十岡のライフを2点まで追い詰めつつ、唯一残されたクロックである《隕石ゴーレム》での攻撃を継続するのだが、《枝葉族のドルイド》によるチャンプブロックでしのがれると、《炎の侍祭、チャンドラ》の能力と合わせた《狂気の一咬み》の連打によって、そのクロックすらも失ってしまう。

 やがて《炎の侍祭、チャンドラ》が維持された状態で《北方の精霊》までもが戦線に追加されると、そのまま土地を引き続けた宮本は投了を余儀なくされたのだった。

宮本 0-1 八十岡


八十岡「ずっと土地だった感じか」

宮本「土地しか引かなかったw」

 互角レベルのパワーカードの応酬の末、宮本がフラッドして紙一重で八十岡が1ゲーム目を先取……ゲーム展開だけを見ればそんな感じではあるのだが、宮本は赤黒の2色だけでデッキを組んでいるのに対し、八十岡は《菅草の蠍》《北方の精霊》《殺害》《絞首された処刑人》《炎の侍祭、チャンドラ》と、{W}{U}{B}{B}{R}{R}{G}という奇跡のマナベースで対抗していたのである。

 よもや八十岡はこのイベントをお祭りと割り切って無茶をしているのか、それとも優勝一点狙いの末に「9-0か0-3ドロップ」という制約と誓約によってデッキを無理矢理ブン回しているのだろうか?

 その答えは、2ゲーム目に明らかとなる。


ゲーム2

 先手の宮本が再びマリガン。3ターン目に宮本が《ゴブリンの密輸人》を走らせた返し、八十岡が前のターンまでにセットしておいた2枚の土地に手をかける

 投了? いやまさか。

 セット睡蓮の原野》! そう、これが八十岡ワールドを支える屋台骨だったのだ。

 さらに返しで《ダイアモンドの騎士》を指定「黒」で送り出す宮本に対し、八十岡はまたしてもタッチの《秘本綴じのリッチ》で対抗する。

 だが、ここで宮本がプレイしたのは炎の侍祭、チャンドラ》!

 ん? さっきこれを出したのは八十岡の側だったはず……?

 そう、宮本はレアと神話レアのダブルチャンドラデッキだったのである。

 なんとかチャンドラを落とすべく《北方の精霊》を送り出した八十岡だが、[0]能力で生み出したエレメンタル・トークンを生け贄に《骨の粉砕》でこれを処理されると、残りライフは9点。

 「X=4」の《大食のハイドラ》で《ゴブリンの密輸人》を処理して切り返しを目論むも、《ケルドの略奪者》から《炎の侍祭、チャンドラ》の[-2]能力で宮本に墓地の《骨の粉砕》を再利用され、3/3となった《ダイアモンドの騎士》の攻撃で残りライフ6点まで追い詰められる。

 だが八十岡は冷静に《枝葉族のドルイド》《秘本綴じのリッチ》と立たせると、宮本に《貪る禿鷹》を出されたターンエンド前に《ダイアモンドの騎士》を《殺害》、さらに《貪る禿鷹》は《灰と化す》で処理しつつ、こちらも炎の侍祭、チャンドラで除去の再利用を予告する。


八十岡 翔太

 とりあえず能力を使わせないと話にならないため《残忍な異形》を送り出す宮本だったが、なおも八十岡が[-2]能力で墓地の《殺害》を使用しつつ、《魂回収》で《北方の精霊》と《大食のハイドラ》を墓地から回収すると、途切れる気配のないリソースに思わず悲鳴が漏れる。

宮本「ひー!」

 《復讐に燃えた戦長》も見えている《大食のハイドラ》で処理され、さらに《楽園の贈り物》から《北方の精霊》が再び送り出される。

 ようやく《隕石ゴーレム》を引き込んだ宮本だったが、《炎の侍祭、チャンドラ》《秘本綴じのリッチ》《大食のハイドラ》《北方の精霊》と4つ並んだ脅威をそれ1枚のみで対処できるはずもなく、ほどなくして投了を宣言するのだった。

宮本 0-2 八十岡


八十岡「《睡蓮の原野》《楽園の贈り物》《小走り犬》とあったから、プール中の強いカードをかき集めちゃったよ」

 《大食のハイドラ》も合わせると、{W}{U}{B}{B}{R}{R}{G}{G}……これが八十岡ワールド。格差が大きいなら、強いカードを全部入れればいい。

 もちろんそれに耐えうるマナベースを引き当てた幸運あればこそだが、レアなシチュエーションにも対応できるこの応用性こそ、八十岡が日本に3名しかいないMPLプレイヤーたる所以と言えるだろう。

  • この記事をシェアする