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日本選手権2019
第8回戦:伊藤 大明(神奈川) vs. 岡村 亮馬(新潟) ~最後のカウントダウン~
スタンダードとドラフトの混合フォーマットは国内イベントでは珍しい。2種類のフォーマットをプレイする大会は、いわずもがな1種類のフォーマットのそれよりもプレイ難易度で勝ることになる。
スタンダードで4勝、5勝を記録したプレイヤーであっても、その後のドラフトラウンドで調子を崩してしまった、という声は、すでにそこかしこから聞こえてきていた。
そんな中、どちらのラウンドも順調に勝ち星を重ねるプレイヤーには、フォーマットを問わない確固とした実力があるのだろう。
フィーチャーテーブルに座った伊藤 大明と岡村 亮馬は、お互いに7勝の成績を打ち立てている。
彼らが望むのは第8回戦。すなわち、両者ともにこれまで負けなしであるということだ。
新潟から日本選手権に参加している岡村に対するは、第2回BIG MAGIC OPEN Legacy 優勝や、グランプリ・静岡2017春 トップ8入賞と、フォーマットを選ばず結果を残す伊藤。
日本選手権初日最終ラウンド。これまで勝ち上がってきた彼らのどちらかに、ついに土がつくのだろうか。
伊藤 大明 vs. 岡村 亮馬 |
夜も21時を回った。会場のクロックが、最後の50分間のカウントを開始する。
ゲーム1
両者不満げなく手札をキープ。伊藤が《森》《沼》《沼》と3枚の土地を並べる間、岡村が《山》《沼》から《供犠の仮面》《破壊的穴掘り》と攻めの姿勢を整えた。
岡村のデッキは赤黒。『基本セット2020』環境の赤黒系デッキといえば、《反逆の行動》で奪ったクリーチャーを《骨の粉砕》のコストに充てるデッキが有名である。
もともとの赤と黒の色の組み合わせから、比較的速度のあるビートダウンを得意とするデッキとなることも多い。岡村のデッキはどうだろうか。
一方の伊藤は、《破壊的穴掘り》の追加の返し、《島》を置くと《ヤロクの波壊し》で応戦した。
4マナ4/4。『基本セット2020』の環境ではこのマナレシオは強力である。5マナのクリーチャーであっても一方的に打ち取れるものは少なく、当然3マナ3/2程度の《破壊的穴掘り》が敵う相手ではない。
岡村は一瞬その手を止めた。
《森》《沼》《島》と動いた伊藤のデッキは緑多色を匂わせている。《楽園の贈り物》をはじめとしたマナ・サポートカードを多数取り込み、4色以上を使って組み上げられるデッキだ。マナ・サポートカードに枠を割く代わり、色の縛りをある程度無視した、カードパワーを重視したドラフトが可能となる。
問題となるのは序盤だ。重く、あるいは色拘束の厳しい強いカードを唱えられないうちは真価を発揮することができない。
……すなわち、岡村にとっては、ゲームが後半になるほどに不利になる。そう判断したのか、《ヤロクの波壊し》を取り除きにかかった。
《苦しめる吸引》で3点のダメージを与えると、《供犠の仮面》を装備したエレメンタル・トークンを生け贄に、合計4点のダメージを叩き込む。
これで《破壊的穴掘り》の攻撃が通り、ひとまず伊藤に傷をつける姿勢は崩さぬままキープできた。
だが、4マナに加えてクリーチャーまで失った岡村の攻め手はもはや薄い。《小走り犬》を唱えた伊藤は、《狂気の一咬み》で最後の攻め手を排除した。早く攻めたい岡村の急所を狙うプレイと言えるだろう。
……一方で、伊藤の様子からは不安感も感じ取れる。そのプレイに至るまでに数十秒を費やしたところを見ると、やはり貴重な除去呪文は温存しておきたかったというのが本音だろう。除去呪文が重宝される『基本セット2020』環境。デッキにもう1枚《狂気の一咬み》が残っているとはいえ、なるべくなら、平凡な3マナ3/2などには使いたくなかったはずだ。
ここで攻め手が止まれば、虎の子の《狂気の一咬み》を使った甲斐あるというものだが、岡村の手札から現れたのは《骨まといの屍術師》。
一気に盤面が回復した。……とはいえ、攻めっ気の強いカードをあまり見ないところから察するに、岡村のデッキは赤黒でもあまりアグロに傾倒していないタイプのようだ。
そう考えると、後半戦に勝負を回したい伊藤としては与しやすい相手と言える。伊藤は《小走り犬》からマナを出して《吠える巨人》をプレイした。
岡村は《殺害》で伊藤の《吠える巨人》を排除すると、《骨まといの屍術師》とそれが生んだゾンビ・トークンで攻撃に向かった。
ブロックに入る前に伊藤は「ハンド何枚ですか?」と尋ねる。4枚のカードがあることをチェックすると、2/2の狼トークン1体で2/2のゾンビ・トークンをブロック。狼・トークン2体を使用して《骨まといの屍術師》を打ち取ることもできた盤面だが、岡村が残した2マナとまだ見ぬ4枚の手札を警戒した結果、カードカウントで損をしないトレードを選んだのだ。
岡村は使用せずに残った2マナで《供犠の仮面》を《骨まといの屍術師》に装備してターンを終える。
岡村の度重なる除去呪文により、盤面を抑えきれない伊藤。すでに手札は2枚にまで絞られていた。
しかし、ここで彼のデッキでも屈指のレアカードが呼び出される。
《冒涜されたもの、ヤロク》。『基本セット2020』に5種類しかいない3色の神話レアカードだ。5マナながら絆魂・接死に加え、戦場に出た時に誘発する能力を倍加させる能力を持つハイスペックな1枚である。
『基本セット2020』環境は2色のデッキが主であり、《冒涜されたもの、ヤロク》のような3色のカードは強力であってもお呼びがかかりづらい。このような「使いにくくとも強力なカード」を思う存分に使用できるのが緑多色というアーキタイプの強みだ。
さて、そんな「切り札」とも言えるようなカードを突き付けられた岡村は、苦い顔をしながら《オーガの包囲破り》をプレイ。優秀な赤黒のカードだが、《冒涜されたもの、ヤロク》と比べては見劣りしてしまう。
とはいえ、ここに彼のデッキのコンボが成立したことに注目したい。《供犠の仮面》を利用すれば、《オーガの包囲破り》の能力を自在に使用することができるのだ。すでに《骨まといの屍術師》が《供犠の仮面》を装備しており、あらゆる伊藤のクリーチャーを打ち破る準備は整っている。
岡村 亮馬 |
さすがの《冒涜されたもの、ヤロク》も除去耐性は持っていない。伊藤が《冒涜されたもの、ヤロク》で攻撃をしたターンを凌ぐと、岡村は勢いよく《骨まといの屍術師》でアタック宣言。
《小走り犬》+狼・トークンでブロックされたのを見てから《供犠の仮面》の能力を《冒涜されたもの、ヤロク》へ向けて起動! そのまま《オーガの包囲破り》の能力で破壊――
――なんてことは見え透いていると言わんばかりに、伊藤の《神々の思し召し》が岡村の目論見を打ち砕いた!
岡村が肩をすくめるのも無理はない。《平地》は一度も置かれておらず、《小走り犬》から生み出した白マナからプレイされたのだから。その上、《小走り犬》は数秒前に《骨まといの屍術師》へのブロックに差し出され、死亡一歩手前のところまで進んでいた。緑・黒・青の3色デッキだと勘違いしたとしても、まったくおかしくはないだろう。
岡村は2枚目の《破壊的穴掘り》をプレイ。仕方がない、という声が聞こえてくるようだ。
ターンを得た伊藤。力強く狼・トークンとともに《冒涜されたもの、ヤロク》で戦闘へ。狼と《破壊的穴掘り》が相打ちになる。
2枚目の《骨まといの屍術師》で頭数を揃えるも、岡村には《オーガの包囲破り》を起動するだけのマナが足りない。
伊藤は《貪る禿鷹》《シルバーバックの巫師》を追加。攻撃。続くターンも攻撃。そのまた次のターンも攻撃。
ようやく自由に使えるマナを得た岡村の決死の抵抗も、《成長周期》のバックアップで暴れまわる《シルバーバックの巫師》には通じなかった。
伊藤 1-0 岡村
伊藤のデッキは緑・黒・青・白を使用する緑多色である。白マナは特に薄く、《神々の思し召し》が見えるのみ。
特徴的なのは(《貪る禿鷹》で墓地に落ちたことで判明した)2枚の《ヤロクの波壊し》だ。4マナ4/4という優秀なサイズに加え、《吠える巨人》のような誘発型能力を持つクリーチャーとも非常に相性が良い。
一方、岡村のデッキは赤・黒ではあるものの、速度感は中速~コントロールの範囲にあるようだ。《ゴブリンの鳥掴み》のような軽量で攻撃に向いたクリーチャーは比較的少なめで、《骨まといの屍術師》のような中盤に力を発揮するクリーチャーが多い。
デッキの速度で言えば、見たところほぼ同じ程度に見えるマッチアップである。
同速のデッキであれば、基本的には使用するカードが強い方、すなわち色がたくさん入っているほうが有利な傾向にある。要するに伊藤にとって有利なマッチアップに思えるわけだが、岡村のデッキに化け物が眠っていることに、私たちはこの時点で気づいていなかった。
ゲーム2
岡村の《牙の魔術師》がゲームスタートを告げた。対する伊藤は《磨かれたやせ地》を置きつつ2ターン目に《エルフの開墾者》。2ターン目にして色マナの不安からほとんど解き放たれている。
岡村の3ターン目の《大胆な盗人》を見た伊藤は、自身の3ターン目を土地を置くのみで返す。そして、岡村が土地をフルオープンにしながら攻撃に向かわせた《大胆な盗人》を《エルフの開墾者》+《成長周期》で打ち取った。
リミテッドにおいて、土地をオープンにしたまま攻撃してきたクリーチャーはそのままスルーするのが定石である。なぜなら《成長周期》のようなカードで自分のクリーチャーを強化して打ち取ろうとしても、相手の《立腹》のようなカードで結果を上書きされてしまう可能性が高いからだ。
岡村は唇を尖らせた。彼もその定石を踏まえて《大胆な盗人》で攻撃したのだろうが、伊藤は岡村からの妨害はないと踏んで《成長周期》によりアタッカーの首を取りに行ったのだ。もしも伊藤が判断を誤っていたのならば、いまごろ結果は真逆になっていたことだろう。《殺害》や《ショック》のようなインスタントの除去呪文を岡村が引いていた場合も、この結果は変わっている。
ゲームは巻き戻せない。岡村は2枚目の《大胆な盗人》をプレイ。伊藤は4ターン目も土地を置いてパス。
「もう《成長周期》のようなコンバット・トリックはないだろう?」とばかりに《大胆な盗人》が攻撃。「その通り」と伊藤はライフメモにボールペンを走らせる。
岡村は《オーガの包囲破り》で攻め手を強化していく。伊藤は《シルバーバックの巫師》で《オーガの包囲破り》に睨みを利かせた。
一方の岡村、もう役目は終えたとばかりに《大胆な盗人》で攻撃。《シルバーバックの巫師》に打ち取られるものの、ドローを進めることを選んだ。
そうこうしているうちに、伊藤が手札を整えた。
再びの《冒涜されたもの、ヤロク》だ! ……しかも、手札には《神々の思し召し》と《狂気の一咬み》が見えている!
岡村のどんな除去呪文にもどんなクリーチャーにも対応できる、完璧に近い布陣だ。
伊藤 大明 |
勝負あったか、と思った瞬間、岡村のデッキが長い眠りから目を覚ました。
《炎の大口、ドラクセス》。攻撃と同時にあらゆる方向に爆炎をまき散らす。並みのクリーチャーでは生き残ることすらできないその凶暴性は、まさしく化け物とでも形容するべき伝説のドラゴンだ。
単純なクリーチャーの性能としては、紛れもなく『基本セット2020』最強のカード。これこそ岡村の切り札だ。
こんなものに居座られてはさすがの伊藤も生き残れない。……しかし、伊藤の手札は完璧に近い布陣とは先ほどお話しした通りだ。
冷静に《狂気の一咬み》をプレイ。《冒涜されたもの、ヤロク》の接死ダメージを《炎の大口、ドラクセス》に投げ込んだ――
――なんてことは見え透いている、と言わんばかりに、岡村の《グレイブディガー》が伊藤の目論見をあざ笑う!
少々の時間をかけ、再び戦場に降り立った「化け物」、《炎の大口、ドラクセス》。
《オーガの包囲破り》と合わせ、《吠える巨人》をはじめとした伊藤のクリーチャーたちが丸焼きにされていく。
デッキに残った2枚目の《狂気の一咬み》を引きたい伊藤。しかし、ドローフェイズを終えても頭を抱えた手は離れない。
爆炎を振りまくドラゴンを止められないまま、伊藤は火に包まれた。
伊藤 1-1 岡村
ゲーム3
初動は両者1マナのクリーチャーから。伊藤は《エルフの開墾者》。岡村は《凶月の吸血鬼》と《療養所の骸骨》と繋ぐ。
3ターン目の伊藤は《貪る禿鷹》。土地が落ちれば《エルフの開墾者》の強化が近づくものの、残念ながら1枚も含まれない。加えて《神々の思し召し》が落ちてしまったことも、伊藤としては残念だろう。
《凶月の吸血鬼》と《貪る禿鷹》が相打ちをすると、岡村から《破壊的穴掘り》、伊藤から《匪賊の斧》が現れる。
《グレイブディガー》で《凶月の吸血鬼》を手札に戻した岡村。取り立ててていますぐ回収する必要があるようには思えないこの行動の裏には、2枚目の《グレイブディガー》がちらついてならない。
伊藤は自身がプレイした《シルバーバックの巫師》が《骨を灰に》で跡形もなく消え去るのを見ると、《吠える巨人》で一気に盤面を取りに行った。岡村は《骨まといの屍術師》で応戦。かたや3/3+2/2、かたや5/5+2/2+2/2だ。その差のつき方は明白である。
さらにターンを得ると、伊藤は《ヤロクの波壊し》で《吠える巨人》を手札に戻し、次のターンで狼・トークンの生成を完了する。
一方の岡村は、2枚目の《骨まといの屍術師》で応戦。やはり5/5の《吠える巨人》のサイズは少々目立つものの、現時点で数の上では互角である。伊藤のパワープレイに岡村はなんとか喰らいついていた。
《エルフの開墾者》アタック。《骨まといの屍術師》2体でブロック。《エルフの開墾者》を対象に《成長周期》。それに被せて《殺害》。
こうした細かいカードのトレードに痺れを切らしたのは伊藤のデッキだった。
3ゲームを通して岡村に立ちはだかる《冒涜されたもの、ヤロク》!
しかし、岡村のデッキも呼応するように化け物を呼び起こす。《炎の大口、ドラクセス》!
ほとんど同じタイミング。
初日全勝のため、そして対戦相手に黒星を叩きつけるため、両者の切り札が声をあげた。
勝敗が決するまで、あとわずか15分。
長い激闘も終わりの時間が近づいてきている。
まずは岡村の《炎の大口、ドラクセス》が火を噴いた。《吠える巨人》に傷をつけると、《オーガの包囲破り》がそれを打ち破る。
しかし、次は伊藤のターンだ。《狂気の一咬み》+《冒涜されたもの、ヤロク》で《炎の大口、ドラクセス》を撃墜!
だが、伊藤の渾身の除去呪文すら、岡村の手札から現れた2枚目の《グレイブディガー》がなかったことにしてしまう。再度現れた《炎の大口、ドラクセス》。
伊藤は《吠える巨人》2枚目をプレイ。《匪賊の斧》を装備して《炎の大口、ドラクセス》へのブロッカーとするものの、《オーガの包囲破り》+《炎の大口、ドラクセス》のコンボの前には無力感すら感じさせる……!
……と、ここで時計が鳴った。
試合時間終了のコールだ。
マジックの大会では、試合時間が終了した場合、延長時間が5ターン与えられる。現在のターンを0ターン目とし、両者で合計5ターンを追加で行い、決着をつけるのだ。
岡村に許されたのはあとわずかに3ターン。しかし、彼が従えているのは最強のドラゴンだ。1ターンに最大11点分のライフを奪い去れる化け物ならば、2ターンあれば伊藤の命を焼き尽くすのに十分である。
結局のところ、試合時間終了のコールは伊藤を助けるものでもなんでもない。ただ、ドラゴンの炎が、彼の命を焼き尽くすまでのカウントダウンなのだ。
延長1ターン目、《炎の大口、ドラクセス》に岡村の右手がかかった。
伊藤を焼き払う宣告、すなわち「戦闘入ります」という宣言と共に、伊藤の《吠える巨人》《冒涜されたもの、ヤロク》《ヤロクの波壊し》に火の手が向かった――
――その瞬間、《送還》が《オーガの包囲破り》を手札に返したのだ。
ダメージが入る前では、《オーガの包囲破り》は何もできない。《吠える巨人》の包囲は破れないまま、《炎の大口、ドラクセス》は相打ち。
傍若無人の化け物も、ついにその命を終えた。
とはいえ、盤面は依然岡村有利である。《オーガの包囲破り》を再度唱えると、その能力で《冒涜されたもの、ヤロク》を破壊。伊藤のピンチはまだ去っていない!
しかし、岡村がターンの終了を宣言した瞬間、そばにいたジャッジが「1ターン目です」とカウントを始めた。
延長1ターン目が終わったのだ。残されたのは4ターン。最後のカウントダウンが始まった。
伊藤は《グレイブディガー》で《ヤロクの波壊し》を回収。そのまま《ヤロクの波壊し》をプレイすると、再び《グレイブディガー》は手札に帰った。
通常ならばこれほど頼もしい組み合わせもないものだが……ジャッジがカウントダウンを進めた。
あと、3ターン。
時間がない。岡村が勝つには、ここから伊藤のライフを14点も削らなければならないのだ。
《オーガの包囲破り》と《牙の魔術師》を除くすべてのクリーチャーで攻撃宣言。しかし、《吠える巨人》の忘れ形見、狼の群れが岡村の必死の攻撃の手を防ぐ。伊藤のライフは残り12。
あと、2ターン。
一方の伊藤も、勝ち筋が見つからない。《グレイブディガー》でひたすらカードを増やす戦法は、わずかなターンでの勝利にはほとんど貢献しない。《貪る禿鷹》でライフを14に引き上げる。
あと、1ターン。
最後のカウントダウンを前にした岡村は、自分の手札を一瞥すると、「ないですね」と言った。
延長ターン、終了だ。
伊藤 1-1 岡村(引き分け)
あくまで筆者の主観だが、基本的なデッキ同士の相性ではやはり伊藤のデッキに分があるように思える。
先述の通り、岡村のデッキと伊藤のデッキは同一の速度感を持ちながらも、伊藤のほうが基本的なカードの強さで上を行くからだ。
しかし、伊藤のデッキに不満を挙げるとするならば除去呪文が少ないことだろう。岡村の《炎の大口、ドラクセス》を対処する方法は、ほとんど《狂気の一咬み》と接死クリーチャーの合わせ技くらいしかない。
伊藤にとってさらに厳しいことに、岡村のデッキには《グレイブディガー》が2枚も入っている。単純な話、《炎の大口、ドラクセス》を2回破壊されたところで《グレイブディガー》を2回唱えてしまえば帳消しなのだ。
まあ、そんなデッキ構造の話は置いておいて、このゲームの肝はゲーム後に伊藤が発した言葉だろう。
「ドラゴン、強すぎ!」
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