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日本選手権2019
日本王者、森山 真秀のドラフトピック ~赤緑ビビアン完成に至る道のり~
前回大会の「日本選手権2018」王者として華々しく競技シーンに登場した森山 真秀。
3年目という短いマジック歴ながら他タイトルの経験なども活かし、瞬く間に強豪プレイヤーの1人として数えられるようになった。テーブルトップ・マジック、そしてMagic Onlineの大会にも精力的に参戦を続け、MCQ(ミシックチャンピオンシップ予選)や大型の大会で上位入賞を続けている。
だがしかし、優勝までが遠いことを嘆いてもいた。この数か月でMCQのトップ8入賞(決勝トーナメント進出)を5回決め、しかしながら5回とも1戦目で敗れているという。
MCQ同様、「ミシックチャンピオンシップの参加権利」がかかっているという意味であれば、この日本選手権2019もその1つであり、正念場だ。一昨年、昨年と日本選手権におけるスタンダード・ラウンドでは「無敗」の戦績を誇る森山の今年ここまでの成績は、スタンダード・ラウンド5戦全勝。
実に「3年でスタンダード21連勝」という破竹の勢いに乗って、『基本セット2020』で行われるドラフト・ラウンドに突入した。
1パック目
- 1-1:《夜群れの伏兵》 (他候補:《灰と化す》《小走り犬》《大胆な盗人》)
- 1-2:《枝葉族のドルイド》 (他候補:《苦しめる吸引》《稲妻の嵐族》《金縛り》)
- 1-3:《炎の一掃》 (他候補:《平和な心》《全てを見通す者、アテムシス》《短剣帆の飛空士》)
- 1-4:《森林の勇者》 (他候補:《貪爪》《グリフィンの歩哨》《溶岩族の喧嘩屋》)
- 1-5:《送還》 (他候補:《破壊的穴掘り》《グリフィンの歩哨》《楽園の贈り物》)
- 1-6:《燃えさし運び》 (他候補:《駆け回る物焦がし》《焼印刃》)
- 1-7:《残忍な発動》 (他候補:《予言ダコ》《成長周期》)
- 1-8:《貪爪》 (他候補:《ジャングルのうろ穴》《否認》)
- 1-9:《灰と化す》 (他候補:《チャンドラの火炎猫》《匪賊の斧》)
- 1-10:《龍火の薬瓶》 (他候補:《無謀な空襲》)
- 1-11:《破壊的穴掘り》 (他候補:《兵団の隊長》)
- 1-12:《狼族の絆》 (他候補: - )
- 1-13:《要塞ガニ》 (他候補: - )
- 1-14:《狼族の絆》 (他候補: - )
- 1-15:《山》 (他候補: - )
1パック目ピックまとめ
1-1で登場したのは『基本セット2020』きっての軽量級ボムカード、《夜群れの伏兵》。緑を嫌った場合に対抗となりそうカードはコモンであり、これはストレートな選択といった形だ。1-2でも《枝葉族のドルイド》を獲得できて「緑」軸の気配が濃厚になったが、1-4《森林の勇者》、1-8《貪爪》以外はなかなかデッキのキーになるような緑のカード(《シルバーバックの巫師》など)にたどり着けない。
代わりに1-3《炎の一掃》からの1-6《燃えさし運び》で赤の火力呪文への渡りをつけたところで1-9《灰と化す》が戻ってきて、「赤緑ミッドレンジ」というアーキタイプの輪郭が強まった。
2パック目
- 2-1:《超克》 (他候補:《チャンドラの憤慨》《グレイブディガー》《腐れ蔦の再生》)
- 2-2:《菅草の蠍》 (他候補:《心臓貫きの弓》)
- 2-3:《破壊的穴掘り》 (他候補:《平和な心》《成長周期》《殺害》《神々の思し召し》)
- 2-4:《灰と化す》 (他候補:《貪爪》《霜のオオヤマネコ》)
- 2-5:《光り角の海賊》 (他候補:《菅草の蠍》《楽園の贈り物》)
- 2-6:《大群の力》 (他候補:《鱗剥ぎの捕食者》《送還》《骨を灰に》)
- 2-7:《害悪な掌握》 (他候補:《チャンドラの火炎猫》《匪賊の斧》)
- 2-8:《灰と化す》 (他候補:《獰猛な仔狼》)
- 2-9:《自然な最期》 (他候補:《自然な最期》《腐れ蔦の再生》)
- 2-10:《心臓貫きの弓》 (他候補:《ゴブリンの鳥掴み》)
- 2-11:《反逆の行動》 (他候補:《狼族の絆》)
- 2-12:《地盤の裂け目》 (他候補:《狂った怒り》)
- 2-13:《菅草の蠍》 (他候補:《ゴブリンの鳥掴み》)
- 2-14:《血溜まりの洞窟》 (他候補: - )
- 2-15:《島》 (他候補: - )
2パック目ピックまとめ
2パック目の2-1も《超克》から入ったことで攻撃を仕掛けるクリーチャーを主体にしたミッドレンジ色が強まっていく。ただし2-2が本当にプレイアブルと言えるカードが少ないパックであり、唯一の緑のカードである《菅草の蠍》をピックする。
2-3では明確に「黒」のシグナルである《殺害》が流れてきたが、「赤緑」の道を突き進むことに決めている。《超克》というゴールを得たことでクリーチャーを主体的にピックしていく。2-5に使いやすいレア・クリーチャーである《光り角の海賊》が流れてきたことで、「赤」側の席も空いていることが見えてきた。この「赤緑」路線が凶とでるか吉と出るかの結果は、3パック目で示される。
3パック目
- 3-1:《アーク弓のレインジャー、ビビアン》(他候補:《北方の精霊》《茂み壊し》)
- 3-2:《垂直落下》 (他候補:《庇護のグリフィン》《立腹》)
- 3-3:《残忍な発動》 (他候補:《鱗剥ぎの捕食者》《夜明けの天使》《グレイブディガー》)
- 3-4:《短剣帆の飛空士》 (他候補:《溶岩族の喧嘩屋》)
- 3-5:《炎の一掃》 (他候補:《獰猛な仔狼》《チャンドラの憤慨》)
- 3-6:《溶岩族の喧嘩屋》 (他候補:《オーガの包囲破り》)
- 3-7:《解き放たれた狂戦士》 (他候補:《匪賊の斧》《チャンドラの火炎猫》)
- 3-8:《鱗剥ぎの捕食者》 (他候補:《石のゴーレム》《残忍な発動》)
- 3-9:《ケルドの略奪者》 (他候補: - )
- 3-10:《石のゴーレム》 (他候補:《立腹》)
- 3-11:《鱗剥ぎの捕食者》 (他候補: - )
- 3-12:《光の篭手》 (他候補: - )
- 3-13:《鋤引きの雄牛》 (他候補: - )
- 3-14:《男爵領の吸血鬼》 (他候補: - )
- 3-15:《狂った怒り》 (他候補: - )
3パック目ピックまとめ
3-1、森山のもとに訪れたのは《アーク弓のレインジャー、ビビアン》!
神話レアの風格に恥じない、れっきとした強カードの1枚であり、「緑」へのアプローチを続けてきた森山にとってはご褒美となる1枚だ。ここから一気にデッキを引き締めていきたい……が、3-2で早速、緑も赤もクリーチャーがいないパックに当たってしまう。それでも持ち直して3-4からは赤いクリーチャーを主体的にピックしていく。特に3-9で《ケルドの略奪者》が戻ってきたことで中盤も補強できたところが大きいだろうか。
デッキリスト
10 《森》 8 《山》 -土地(18)- 2 《菅草の蠍》 1 《燃えさし運び》 1 《枝葉族のドルイド》 1 《解き放たれた狂戦士》 1 《森林の勇者》 2 《破壊的穴掘り》 1 《光り角の海賊》 1 《輝き森の追跡者》 1 《短剣帆の飛空士》 1 《夜群れの伏兵》 1 《鱗剥ぎの捕食者》 1 《貪爪》 -クリーチャー(14)- |
2 《残忍な発動》 2 《炎の一掃》 3 《灰と化す》 1 《アーク弓のレインジャー、ビビアン》 -呪文(8)- |
1 《島》 1 《山》 1 《大群の力》 1 《送還》 1 《鋤引きの雄牛》 1 《心臓貫きの弓》 1 《狂った怒り》 1 《害悪な掌握》 1 《垂直落下》 1 《龍火の薬瓶》 1 《反逆の行動》 1 《男爵領の吸血鬼》 1 《光の篭手》 1 《自然な最期》 1 《網投げ蜘蛛》 1 《要塞ガニ》 1 《ケルドの略奪者》 1 《地盤の裂け目》 2 《狼族の絆》 1 《超克》 1 《石のゴーレム》 1 《鱗剥ぎの捕食者》 -サイドボード(23)- |
森山「3パック目のビビアンの後に緑のクリーチャーが続かなかったのは、厳しかったですね。失敗寄りだと思います」
ピックを振り返り、森山が反省を口にする。《光り角の海賊》、《夜群れの伏兵》、《アーク弓のレインジャー、ビビアン》。「勝てる」カードが入っていないわけでは決してない中で、森山はより良い選択があったのでは、と考えている。
実際、「これしか取るものがない」といったような偏ったパックはほとんどなかった。3パックの大半のピックを通して「同じ程度のパワーバランスの中で選択に迫られ続けた」ようにも見える。その中で自らのピックに「間違いはなかった」と断ずるのは難しいことだろう。
自信のなさが必ずしもデッキの弱さにつながるわけではない。「失敗寄り」と語った森山だが、デッキのポテンシャルを引き出すためのゲーム展開に繋げられれば決して3戦全勝も遠くないだろう。
日本選手権連覇、そして再びのミシックチャンピオンシップ参加に向けて、森山は次の一歩を踏み出した。構築時間が終わりを告げ、スイスラウンド第6回戦となるドラフト・ラウンド1戦目が、いよいよ始まる。
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