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グランプリ・静岡2017春
第7回戦:黒田 正城(大阪) vs. 八十岡 翔太(東京)
By 矢吹 哲也
会場を移動する選手たちの波に飲まれながら筆者がフィーチャーマッチエリアへたどり着くと、黒田 正城と八十岡 翔太の両名はすでに着席し、各々の武器を研ぎながら和やかな雰囲気で言葉を交わしていた。
「いやー、黒田さんならドラゴンデッキなんだろうなー!」
と、軽口を飛ばす八十岡だが、黒田が選択したのは「4色サヒーリ」だ。いわく「普通にクリーチャーで殴るデッキに『超必殺技』が入ってるデッキは性に合う」とのことだが、果たして超必殺を決める黒田の姿は見られるだろうか。
対する八十岡は「マルドゥ機体」。彼が生み出し使用したことで話題になった「ティムール・タワー」については「もう過去のデッキ」と一蹴し、今大会では一番人気のデッキを手に取ったようだ。
ゲーム展開
ダイスロールに負けた八十岡は「今日ダイス全然勝てないんだけど。(2個振っているのに)最大6」と漏らすと、マリガンを喫した黒田も6枚の手札を見て首を傾げながら「うまいなあ」とつぶやく。一体何が「うまい」のか。
第1ゲームは八十岡が猛烈な速度を見せた。1ターン目《模範的な造り手》から《屑鉄場のたかり屋》を2枚続けて展開。3ターン目の《ならず者の精製屋》からゲームを始めることになった黒田に対し、《無許可の分解》で早くもこのゲームに蓋をした。
八十岡の「機体」デッキが「blazing speed」で彼に応じる。 |
あっという間の決着にも黒田は動じず、サイドボーディングを行いながら八十岡と雑談を交わす。
しかし第2ゲームも満足のいく初手が来ず、マリガンを選択する黒田。2ターン目《導路の召使い》と3ターン目《ニッサの誓い》でマナ基盤を強化すると、もう1枚《導路の召使い》を盤面に加えた。
一方の八十岡は黒田が続けて繰り出した《守護フェリダー》に《無許可の分解》を当て、迎えたターンに《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を繰り出したものの、《チャンドラの誓い》で同盟者・トークンを除去されると《導路の召使い》2体の攻撃でギデオンを失った。
2枚目の《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》が八十岡の戦場へ降り立ち、黒田は再び《蓄霊稲妻》からの攻撃でこれを退場させる。さらに《大天使アヴァシン》を繰り出した八十岡だったが、黒田はここにも《蓄霊稲妻》を撃ち込み、今度は八十岡のライフを脅かす。
《苦い真理》でドローを進める八十岡に対し、黒田は《新緑の機械巨人》で打点を上げて襲いかかった。さらにX=3の《歩行バリスタ》が盤面に加わったが、八十岡は《大天使アヴァシン》と《苦渋の破棄》でなんとか黒田の攻勢をしのぎ、こちらもX=3で《歩行バリスタ》を展開する。
この時点で八十岡の残りライフは5点。黒田は《歩行バリスタ》による砲撃を行い、これで残り2点。彼は戦場に唯一残った《導路の召使い》(《新緑の機械巨人》によって5/5)で攻撃し、ダブルブロックで応じた八十岡の《大天使アヴァシン》を相討ちに取った。続けて《ならず者の精製屋》を盤面に加えてターンを渡す。八十岡は《乱脈な気孔》2体で反撃し、ライフを取り戻した。
黒田は《ならず者の精製屋》で攻撃を行い、八十岡は《スレイベンの検査官》でチャンプブロック。《歩行バリスタ》へ《自然のままに》が差し向けられると、先ほどの戦闘でダメージを負っていた《ならず者の精製屋》へ1点のダメージを飛ばし、これを除去した。
しかし黒田の寄せが途切れない。彼は《新緑の機械巨人》を繰り出し、八十岡は《苦い真理》で解答を探しにいく。
そして黒田の攻撃。八十岡の対応は――《乱脈な気孔》を起動してチャンプブロック。除去手段はなかった。戦場に残った《屑鉄場のたかり屋》にも《グレムリン解放》を受けると、八十岡は次のドローを確認して土地を片付けた。
八十岡の正確な受けに手を焼いたものの、押し切った黒田。 |
そして迎えた第3ゲーム。いつからだろうか。両者を包んでいた緩やかな空気は今や引き締まり、両者ともに鋭い視線を手札へ向けている......八十岡は、ダブルマリガンを喫した。黒田は容赦しない。
八十岡が2ターン目に繰り出した《屑鉄場のたかり屋》には《自然のままに》。
3ターン目には《ならず者の精製屋》を追加しアドバンテージ差を広げる。
八十岡も《苦い真理》で手札を補充するが、続けて黒田が繰り出した2体の《不屈の追跡者》がさらなるアドバンテージと攻撃力を黒田へもたらした。
八十岡は《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を呼び出したが、防戦を余儀なくされた。《領事の旗艦、スカイソブリン》が黒田の猛攻を後押しし、八十岡が繰り出した《大天使アヴァシン》にも《蓄霊稲妻》が撃ち込まれると、決着までに時間はかからなかった。
黒田 2-1 八十岡
熱戦を終えた両者には、再び和やかさが戻ってきた。
「何でもいいから来てくれよ」と、最終ゲームに土地ばかり引き込んだ八十岡は嘆き。
「エルダーの底力見せつけられたな」と、黒田は胸を張るのだった。
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