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グランプリ・静岡2015

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準々決勝:山口 聡史(愛知) vs. 篠田 滉人(京都)

By 矢吹 哲也

 最後まで混迷を極めた予選ラウンドがようやく収束を見せ、2,205名が戦いを繰り広げた戦場には8人の戦士が残った。

 彼らはここから最後のドラフト・ラウンドに挑み、グランプリ覇者の頂きを目指す。接戦を切り抜けた彼らの試合4つから、山口 聡史と篠田 滉人の戦いをお伝えする。

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グランプリ・横浜2012にてトップ8入賞経験を持つ山口と、Magic Online予選を勝ち抜けて次回プロツアー『運命再編』の参加権も保持している篠田。ふたりの戦士は、「グランプリ優勝」の旗を掲げて世界に打って出ることができるか。

 篠田が決勝ドラフトで選択した戦略は、様々な「変異」クリーチャーや強力なレアを集めた5色グッドスタッフ。それに対し、山口のティムールは軽量クリーチャーで素早い攻めを見せる。

ゲーム展開

 篠田の2ターン目《射手の胸壁》からゲームがスタート。山口も2ターン目に《谷を駆ける者》を展開するが、当然、その攻撃は防がれる。

 《苦しめる声》で手札を整えた篠田は《遠射兵団》を繰り出し、序盤から軽量クリーチャーで戦線を作る山口の攻勢を阻んだ。さらに《スゥルタイのゴミあさり》が続くと、山口の軽量クリーチャーでは容易に突破できない厳しい陣容となる。

 そして、篠田の固い盾はただ守るだけではない。《イフリートの武器熟練者》が篠田の軍勢に矛も与え、山口のライフを一気に奪った。ドローを確認した山口は篠田の追撃をかわせないと悟り、カードを片付けた。

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緑から始まり、赤、黒、そして青、白。5色すべてを自在に使い、第1ゲームを取る篠田。

 山口は2ゲーム目も2ターン目《谷を駆ける者》からアグレッシブに攻め、今度は行く手を遮るものなく軽快にクロックを刻んでいく。盤面に「変異」クリーチャーも加えた山口はそのまま攻勢を続け、篠田の側の「変異」クリーチャーとの相討ちをものともせず突き進む。

 対する篠田は毎ターン「変異」クリーチャーを出し続けるものの、山口の放つ《龍鱗の加護》と《引き剥がし》を受け、防御がままならない。《悪寒》で時間を稼ぎ、突破口を見出したい篠田だが、その前にライフが尽きたのだった。

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コンバット・トリックと除去を活かして素早く攻める山口。

 篠田は自身のサイドボードを眺め、悩んでいた。第3ゲームに勝つための一手を探り、やがて2ゲーム目に一度抜いた《強大化》を再び入れた――そしてこれが、この試合を決める一撃になる。

 第3ゲーム、1枚ずつ初手を確認し、かすかに頷いて「やります」と宣言する篠田。一方、山口は渋い顔で初手を見つめ、マリガンを宣言。6枚の手札にも悩む素振りを見せた彼だったが、キープを宣言して最終ゲームが始まった。

 先手を打ったのは篠田。3ターン目に「変異」クリーチャーを展開すると、続けて2体目の「変異」。返しのターンに山口が繰り出した《山頂をうろつくもの》を《悪寒》で寝かせ、続けて送り込まれた《遠射兵団》にも2枚目の《悪寒》。「変異」クリーチャー2体で4点のダメージを通し続ける。

 守勢に回った山口は今度こそ「変異」クリーチャーでブロックするが、篠田は通った方の「変異」クリーチャーに先ほどサイド・インした《強大化》をかけ、山口のライフは危険域に。

 《悪寒》も解け、クリーチャーを追加し、なんとか盤面を立て直した山口。しかし篠田がターンを迎えた瞬間。

 山口の肩から力が抜ける。彼のライフ総量は、0を示していた。

篠田 2-1 山口

 試合後、悩んで決めた《強大化》のサイド・インについて篠田は語る。

「(後手番の)2ゲーム目は『受ける』展開になると考えて、一度抜きました。今度はああいう(《強大化》で押し込みライフを奪う)展開になるかなと。《アブザンの隆盛》よりは効くかなと。うまくいきましたね」

篠田 滉人が山口 聡史を下し、準決勝へ!
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