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グランプリ・静岡2014

戦略記事

Deck Tech:高尾 翔太の「エスパー人間」

by Masami Kaneko

 このグランプリからたった一週間前。とあるデッキがMagic OnlineのDaily Eventで勝利し話題となった。

 こちらの戦略記事でも最初に掲載している「エスパーミッドレンジ」と呼ばれたデッキ。入っているカードも動きもわからない、しかし4-0したデッキの強さはきっと本物なはずだ。きっと。

 それから一週間。時は来た。

 グランプリ静岡。

 13連勝(記事執筆時点)。

 この会場にたった1人のその男の名は。


高尾 翔太

 高尾 翔太(東京)。

 関東の「晴れる屋」で普段マジックをするいわゆる「若手」プレイヤーで今後の活躍が期待される1人だ。次回プロツアー「神々の軍勢」の権利も名古屋の予選に遠征し獲得しており、このグランプリという大舞台で13連勝。ブレイク目前、いや、もうブレイク間違いなしの注目選手といえるだろう。

 そんな彼が今回持ってきたデッキに会場がどよめいた。あの殿堂入りプレイヤー・中村修平をして「このデッキはわからん!」と言わしめたデッキ。今回はそのデッキの謎に迫っていこう。

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高尾 翔太
グランプリ・静岡2014 / スタンダード[MO]
3 《平地
1 《
4 《神無き祭殿
4 《静寂の神殿
4 《神聖なる泉
4 《湿った墓
3 《欺瞞の神殿
2 《変わり谷

-土地(25)-

4 《万神殿の兵士
3 《果敢なスカイジェク
2 《威圧する君主
1 《カルテルの貴種
4 《リーヴの空騎士
4 《ザスリッドの屍術師
3 《冒涜の悪魔
3 《幽霊議員オブゼダート

-クリーチャー(24)-
1 《破滅の刃
1 《究極の価格
4 《拘留の宝球
2 《至高の評決
2 《エレボスの鞭
1 《遠隔+不在

-呪文(11)-
1 《ヴィズコーパの血男爵
3 《思考囲い
1 《無視
3 《破滅の刃
2 《否認
1 《異端の輝き
2 《地下世界の人脈
1 《至高の評決
1 《遠隔+不在

-サイドボード(15)-

――このデッキの構想は何処からスタートしたのですか?

高尾「スタートはポール・リーツェル/Paul Rietzlの白黒ですね。これに《ザスリッドの屍術師》をはじめとした人間パーツを入れたのがスタートです。で、それだと《群れネズミ》とかに負けることが多くて。それに対応しようと思った時に《拘留の宝球》を入れてみたら綺麗に回ったので3色になりましたね。青を足すことで採用できた《リーヴの空騎士》も非常に強力でした。」

――ところで、一週間程前にMagic Onlineで似ているデッキが勝っていましたが......。

高尾「あ、私です。あの時と少し構成は変わりましたが、大枠は変わってません。」

 少しはにかんだ笑顔で話をしてくれた高尾。

 なんとあの話題のデッキもまた本人だった。オンラインの世界で世界を驚かせ、そしてこの会場を現在進行形で支配しているこのデッキ。日本中が、いや、世界中が注目していると言って良いだろう。

――実際のところ3色になってもうまく回るものなんですか?

高尾「2色の時と比較しても、安定性は遜色ありません。結局3色にした時に入ってくる土地が《神聖なる泉》と《湿った墓》、それと《欺瞞の神殿》なんですよね。色マナの数は減らないし、むしろ《欺瞞の神殿》もあるので安定性は十分です。」

 なんと2色と3色で安定度が変わらないというのだから驚きだ。なるほど、それならカードパワーが高い3色のほうが良いのは間違いない。

高尾「あとは入ってるカードが入れ替わったのも大きいですね。コストが{1}{B}{B}である《英雄の破滅》が{1}{W}{U}の《拘留の宝球》に入れ替わったのですが、これが意外と《拘留の宝球》のほうがプレイしやすい。3ターン目に{B}{B}を出すの、結構厳しかったんですよ。」

 ダブルシンボルのカードよりも、マルチカラーでもシングルシンボルのカード。2色土地が強い環境ならではの発想だ。

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――得意なデッキ、苦手なデッキについて教えて下さい。

高尾「青単信心、黒単信心、青白系コントロール全てに有利です。相手のデッキと手札によって動きが変わるので難しくはありますが、ほとんどの場合ちゃんと勝ち筋がありますね。逆に苦手なのは赤単信心系です。土地からダメージを受けやすくなってしまったので、白黒の時より苦手になってしまいました。《幽霊議員オブゼダート》と《エレボスの鞭》を両方引くくらいしないとキツいですね。」

 環境に存在するデッキのうち大半の相手に勝てるというのだから驚きだ。この話してくれた相性が本当ならばこのデッキを選択しない理由が無いといっても過言ではないだろう。

 しかしそれが現状ローグデッキの一つだというのだから驚きだ。デッキの強さはこの13連勝という結果が証明している。環境も末期で研究され尽くしたと思われたスタンダードでも、まだまだこのようなデッキが介入する余地があるのだ。

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――デッキ構築で悩んだ点を教えてください。

高尾「2マナ域の構成ですね。《威圧する君主》が能力だけなら一番強いんですが、複数引くと悲しい。《果敢なスカイジェク》と《カルテルの貴種》なら《果敢なスカイジェク》のほうが強いのですが、《家畜化》や《拘留の宝球》を考えると《カルテルの貴種》も取りたい。最終的に色々検討したうえでこのバランスになりました。」

どちらが優秀?

高尾「他にもデッキ全体に2枚や1枚のカードが多いですが、細かい調整の結果です。何を選択するかは練習と調整の結果そうなった、という感じですね。」

 デッキ全体に2枚や1枚のカードが多く、しっかり練りこまれたデッキであることが伺える。同じ「除去」という役割を《破滅の刃》《究極の価格》《遠隔+不在》と分けたり細かい調整が行われている。

 2マナ域も《果敢なスカイジェク》が3枚、《威圧する君主》が2枚、《カルテルの貴種》が1枚というこのバランス感覚が素晴らしい。

――デッキのイチオシカードはなんですか?

高尾「間違いなく《幽霊議員オブゼダート》ですね。このカードは本当に強いです。《ヴィズコーパの血男爵》が弱いわけじゃないんですが、《幽霊議員オブゼダート》の強さは圧倒的です。これをプレイできるデッキなら是非プレイするべきだと思いますよ。」

 この2日目、多くの活躍が見られた《幽霊議員オブゼダート》。高尾のイチオシもこのカードだ。『ギルド門侵犯』発売当初「強力だ」と言われ続けたこのカードだが、ここのところ見ないでいた。しかし、このグランプリでは完全に復権したようだ。

――このグランプリと、次のプロツアーに向けての意気込みを聞かせて下さい。

高尾「とりあえずこのグランプリはトップ8入って、できれば優勝したいですね。プロツアーは......とりあえずマネーフィニッシュを目標にします。」

 少し控えめな口調ながら、しっかりと目標を語ってくれた高尾。

 トップ8も目前、優勝もはっきり見える位置に来た高尾。これからこのグランプリで、そしてプロツアーでしっかり結果を残すことに期待しよう。

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