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グランプリ・名古屋2018
第7回戦:チーム 松本/木原/河浜 vs. チーム 小野/横沢/桐戸
プレイヤー紹介、デッキ紹介
左から桐戸、横沢、小野 |
チーム 小野/横沢/桐戸のA席プレイヤー、小野 光太郎はコミュニティ「Onogames」の総帥(代表)だ。「Onogames」は8月のRPTQ(プロツアー地域予選)では2人のプロツアー権利プレイヤー(小林 友哉、棚橋 雅康)を輩出しており、にわかに注目を集めているなかの、代表自身の快進撃のようだ。
そしてその「Onogames」に籍を置く、名の知れ渡るプレイヤーもいた。チーム 松本/木原/河浜側のB席プレイヤー、木原 惇希だ。前々回にあたるプロツアー『ドミナリア』19位、前回のマジック25周年記念プロツアーでは佐藤 レイ、村栄 龍司と組んだチームで15位の好成績を続けている。
木原がコミュニティに属している証として、普段競技大会の際に着ている「Onogamesシャツ」に見慣れたプレイヤーもいるだろう。今回は小野と木原がチーム分かれての「Onogames」対決となった。
左から松本、木原、河浜 |
木原の両脇も優れた競技プレイヤーだ。A席に座るのはリミテッド・グランプリ常勝の男、松本 郁弥。グランプリ・静岡2015(『タルキール覇王譚』シールド)、グランプリ・千葉2015(『モダンマスターズ 2015年版』シールド)では2連続リミテッド・グランプリ初日全勝を記録している。
C席側のプレイヤー、河浜 貴和も関東・東京で「ドラキチ」と称したコミュニティを管理・主催し、日々リミテッドにいそしむ競技プレイヤーだ。松本、河浜はともにこの『ラヴニカのギルド』リミテッドについて記事を執筆しており、発売からわずかな期間しかないなか、人に先んじて理解を深めているプレイヤーとも言えそうだ。
チーム小野/横沢/桐戸のB席、横沢 直哉もグランプリ・名古屋2012にてグランプリ初日全勝を経験する競技プレイヤーだ。記録上、グランプリ参加自体が数年ぶりのようだが、準備の手つきにブランクは感じさせない。C席、桐戸も継続的にグランプリに参加するプレイヤーのようだ。
互いに見知った顔も多いようで明るい雰囲気のなか挨拶と握手をすませ、マッチが開始した。
試合展開
A席:松本(緑白黒) vs. 小野(青黒) ゲーム1
ゲーム1は松本が的確な展開で地力を示した。2ターン目《ギルド門通りの公有地》から《庁舎の歩哨》3/3と続け、《光を遮るもの》に《席次 // 石像》の《石像》を当てつつ、自らはより強大な《包囲ワーム》をプレイ。サイズで圧倒し続け、まず最初にゲームを取った。
松本 1-0 小野
B席:木原(赤青白) vs. 横沢(赤白) ゲーム1
《気難しいゴブリン》、《突撃するロック鳥》、《正義の模範、オレリア》、《空騎士の軍団兵》。およそ「ぶんまわり」と呼ぶにふさわしい勢いで、横沢が展開を続けた。
対する木原は《ボロスのロケット》から《奇矯なサイクロプス》をプレイするが、ブロックするタイミングでは相手は全て飛んでいてブロックできない。戦闘前に《突撃するロック鳥》へ《高熱仮説》を撃ち込むも、《完全 // 間隙》の《完全》を合わせられて打ち落とせない上に2打点も上がって、木原のライフは2まで落ち込んだ。
盤面もライフもほぼ絶体絶命……のようにも見えたのは、その一瞬のことだけであった。
木原は《轟音のクラリオン》を両方のモードでプレイ。《正義の模範、オレリア》以外を打ち落とし、さらに《標の稲妻》との合わせ技で《正義の模範、オレリア》も退場させる。それだけではない、+6/+0の修整と絆魂を得た《奇矯なサイクロプス》がアタックに向かい、ライフをも一気に取り返す。
手札と盤面の戦力を一気に枯らした横沢は、残るゲームを木原にコントロールされきった。
木原「《完全 // 間隙》あると思ってて、あそこで使わせたかった。」
《突撃するロック鳥》へ《高熱仮説》を合わせたタイミング。横沢がこの《突撃するロック鳥》を諦めて打ち落とされることを選び、《完全 // 間隙》を温存していれば、木原は《正義の模範、オレリア》を合わせ技でも打ち落とすことができなかった。木原が横沢の思考と動きを読み切っての、ダメージ・レース勝利だ。
木原 1-0 横沢
A席:松本(緑白黒) vs. 小野(青黒) ゲーム2
小野は《概念の雨》から《夜帷の捕食者》、《霧から見張るもの》、《街見張りのスフィンクス》と優秀な飛行クリーチャーを順次展開してゆく。サイズ負けする《薔薇たてがみのケンタウルス》を《夜帷の捕食者》で相打ちをとって盤面は小野に有利に傾くはずであったが、松本の手札にあった呪文はこの両者に対する回答をしっかり持っていた。
《霧から見張るもの》には《光明の縛め》を、《街見張りのスフィンクス》には《議事会の裁き》を当てる。「両方あるんだ」小野の一言は、嘆きでもあり、松本が展開した小粒のクリーチャーたちに攻め切られることとなった。
松本 2-0 小野
チーム 松本/木原/河浜が1本を取る。横沢、桐戸にも小野の口から敗戦が伝えられた。
C席:河浜(青黒) vs. 桐戸(緑白) ゲーム1
桐戸「河浜さんの記事しか読んでないんですよ、手の内全部分かられてる(笑)」
ゲーム開始にあたって、最初に声をかけたのは桐戸だ。先々週開催されたプレリリースにあたって、河浜は『ラヴニカのギルド』について事前所感をふれた記事を執筆している。
河浜「あれはプレイしてない段階のだから(笑)」
プレリリース開催から発売、そして今日に至るまでおよそ2週間。その間練習を重ねた河浜は、記事とは大分異なる印象を抱いている部分もあるだろう。もちろん河浜の記事しか見てないと語る桐戸も、チームメンバーの小野・横沢とは相談して構築・プレイを進めているはずだ。
河浜が《夜の子》でダメージ・レースを先んじる。桐戸の《議事会の騎兵》には《捕獲球》を合わせて対処する。
桐戸はセレズニアのガッチリしたボディのクリーチャー展開を続け、河浜の《夜の子》を牽制するが、河浜は《夜帷の捕食者》で空から桐戸のライフを削ってゆく。
桐戸が展開したのは《敬慕されるロクソドン》、《薔薇たてがみのケンタウルス》、《協約の魂、イマーラ》、《デヴカリンの造反者》。いずれも速やかに相手のライフを削り切れるサイズや能力を持つクリーチャーだったが、河浜は青黒が得意とする豊富な除去呪文を連打して、これらの猛攻を全て捌ききった。
河浜 1-0 桐戸
B席:木原(赤青白) vs. 横沢(赤白) ゲーム2
横沢のデッキの真価が発揮された、ボロス(赤白)らしい展開となった。《刃の教官》、《パルヘリオンの巡視兵》といった教導クリーチャーが《速太刀の擁護者》をサポートしてゆき、ゲーム1の二の舞にならないよう《議事会の裁き》で《奇矯なサイクロプス》を封印。速攻と教導の合わせ技で、すみやかに木原に20点を与え切った。
木原 1-1 横沢
C席:河浜(青黒) vs. 桐戸(緑白) ゲーム2
《議事会の騎兵》、《敬慕されるロクソドン》、《包囲ワーム》、《活胞子ワーム》。桐戸はひたすらヘヴィ・クリーチャーを連打するサイドボーディングを行い、実際にその通りの展開となっていた。河浜は基本的にはこれら全てを確定除去で対応しなければならないが、1枚を《悪賢い隠蔽》で打ち消した後には、重い一撃をいなすカードをその目にすることはなかった。
河浜 1-1 桐戸
C席:河浜(青黒) vs. 桐戸(緑白) ゲーム3
1マリガン同士の立ち上がりで、ゆっくりな展開となったゲーム3だったが、いきなりゲームが終盤を迎えたのは6ターン目のことだ。《鋼胴の甲虫》、《敬慕されるロクソドン》、《議事会のギルド魔道士》3体でアタックを仕掛けた桐戸。《夜帷の捕食者》で《敬慕されるロクソドン》を止める河浜に対し、桐戸が仕掛けたコンバット・トリックは今セット最大の修整値を誇る《力の報奨》だ。
ブロックされなかった《鋼胴の甲虫》が+9/+9の修整を帯び、河浜のライフは1となった。河浜もそこから数ターンは除去で耐え忍んだが、1体も、1点も通せないという状況をまくりきるためには、マナ・リソースが足りなかった。
河浜 1-2 桐戸
B席:木原(赤青白) vs. 横沢(赤白) ゲーム3
チームの勝敗はB席に委ねられた。すでにダブルマリガンでゲームを始めている木原が河浜の敗戦を聞き若干暗い表情を浮かべたように見えたが、目の前のゲームに改めて集中し直したようでもあった。
《速太刀の擁護者》、《突撃するロック鳥》、《パルヘリオンの巡視兵》と続ける横沢。木原にとって幸いだったのは、序盤の打点がそこまで激しいものではなかったということだ。順調に土地を並べ、《高熱仮説》で《速太刀の擁護者》を落としてから《薙ぎ払いの巨人》を用意。これには即座に《光明の縛め》が合わせられて機能不全となるが、《標の稲妻》で《突撃するロック鳥》、《パルヘリオンの巡視兵》をともに対処して盤面は膠着状態だ。
そこからゲームを決めるカードを先に示したのは、木原だ。プレインズウォーカー《イゼット副長、ラル》を着地させ、手札を充足させてゆく。すでにゲーム開始時のダブルマリガン分は取り戻した計算ともいえる。
横沢が一縷の望みをかけて仕掛けた《気難しいゴブリン》、《猛り狂う聖像》の同時展開に対し、木原が《轟音のクラリオン》で2体を屠ると、ゲームの趨勢は決まった。
《イゼット副長、ラル》が奥義となる[-8]能力を起動し、横沢のライフはたて続けの呪文によってすみやかに削りきられた。
木原 2-1 横沢
チーム 松本/木原/河浜 2-1 チーム 小野/横沢/桐戸
試合後
木原のデッキは遅めの青赤に白を含めた「青赤白コントロール」とも呼ぶべきデッキタイプだ。サード(3番手)デッキとして、正攻法だけではなく「からめ手」で相手を打ち倒すことを念頭に置くポジションのものだ。そういう意味で、ゲーム1の展開は木原にしてみれば理想的だったのかもしれない。
こうしたデッキを編み出せたのは、3人の練習が合わさっての結果だった。
松本「2人(木原、河浜)とは活動の距離が離れているので、LINEで評価や相談を続けてきてました。実際に合同で練習したのは、昨日のお昼が初めてとなりました。すり合わせができた部分もあるんですけど、お互いの評価が違うなと感じた部分もあって。そこは、2人の評価を信じて譲ったところもありました。」
河浜「緑の評価や引き出しに関しては、松本くんのフィールドだなと感じたところもありました。なので、(緑白黒を)任せました。」
木原はこれまでのマッチのほとんどが手打ち(チーム結果がついたため合意の引き分け)だったとも話す。松本、河浜2人の強豪リミテッダーは互いの良いところを活かすようにコミュニケーションをとり続け、チームとして機能し続けている様子だ。ヘビー・コントロールと呼んでも差し支えなさそうな青赤白を握る木原の実力に関しても、2人は信頼を置いていた。
チーム 松本 郁弥/木原 惇希/河浜 貴和。互いの高い実力を担保に互いを信頼しあう、競技チームのひとつの理想がそこにあった。
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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